2014/03/14(金) - 08:05
2級山岳をこなし、人数を減らした集団から3名がアタック。パリ〜ニース(UCIワールドツアー)第5ステージで、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)が逃げ切り勝利を飾ってみせた。
前日の第4ステージと同様に、3つの3級山岳を越えて終盤に2級山岳をクリアする第5ステージ。アタッカーにもクライマーにも、スプリンターにもチャンスがある中級山岳ステージだ。
17km地点で形成されたのは、前日に総合の夢が潰えたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)、ブリース・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)、マシュー・ブッシュ(フランス、トレックファクトリーレーシング)という強力な逃げグループ。
ツール・ド・フランスのステージ優勝経験者3名(2008年と2010年シャヴァネル、2009年フェイユ、2013年バケランツ)や、総合上位の選手(20位・19秒差バケランツ)が逃げに含まれているため、チームスカイが警戒を解くことなく集団先頭に陣取る。タイム差は2分40秒に抑え込まれた。
リヨン郊外に広がる丘陵地帯を縫うように進み、曲がりくねった道で集団は縦に長く伸びる。先頭5名は30秒ほどのリードをもって最後の2級山岳へと入って行く。登坂距離12.5km/平均勾配2.8%という、長く緩い登りで先頭からシャヴァネルがアタックを仕掛けた。
登りを高速で進むメイン集団からは、総合5位サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)がパンクで脱落する。ロメン・バルデ(フランス)らの協力を得てドゥムランは懸命に追走したが、集団復帰は叶わない。
ダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)のハイペースがイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)らのアタックを封じ込め、先頭で粘っていたシャヴァネルを飲み込む。
カウンターで勢い良くローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)やステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)らが仕掛けたものの、いずれも頂上までにリードを築けずに吸収される。すると、続いて本命たちが動いた。
2級山岳の頂上400m手前で、下りを見据えたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が一気にスパートを仕掛け、ここにカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)が反応する。下りのテクニカルコーナーを攻めるニーバリとベタンクール。マイヨジョーヌのトーマスが落ち着いて対処した。
ニーバリのアタックが封じ込められると、残り9km、短い登りでベタンクールが飛び出し、ここにヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)とボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)が合流する。緩い下りでローテーションを回した3名が10秒のリードを築き上げた。
集団スプリント狙いのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)や、トム・ボーネン(ベルギー)擁するオメガファーマ・クイックステップがメイン集団を率いたものの、タイム差は詰まらないままフラムルージュ(残り1km)を迎える。ステージ優勝の行方はベタンクール、フグルサング、ユンヘルスの3人に絞られた。
最後尾から落ち着いてスプリントに持ち込んだベタンクールが、悠々とフグルサングとユンヘルスをパス。メイン集団のボーネンらがスプリントで突き進むその2秒前で、ベタンクールが先頭でフィニッシュした。
「身体的に準備は出来ていた。興味深いコースレイアウトなので難しいステージになると思っていたよ。ライバルたちが疲労しているように見えたので早めに仕掛けてみたんだ」。そう語るベタンクールはコロンビア生まれの24歳。アックア・エ・サポーネから昨年AG2Rラモンディアールに移籍し、ジロ・デ・イタリアで総合5位&ヤングライダー賞を獲得している。今シーズンすでにツール・デュ・オーヴァルで優勝済みだ。
「これまでの4ステージで少しタイムを失ったことが悔やまれる」と話すベタンクールは、総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)と5秒差の総合4位に浮上。ドゥムランやバルデが遅れた今、AG2Rラモンディアールはベタンクールの総合成績にフォーカスする。同チームのヴァンサン・ラヴニュ監督は「彼はピュアクライマーではなく、ロドリゲスのようなパンチャータイプのクライマーだ。グランツールでも今後注目の存在になるだろう。このパリ〜ニースのコースは彼向きだと言える」とコメントしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
パリ〜ニース2014第5ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
山岳賞
シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
ヤングライダー賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
チーム総合成績
AG2Rラモンディアール
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
前日の第4ステージと同様に、3つの3級山岳を越えて終盤に2級山岳をクリアする第5ステージ。アタッカーにもクライマーにも、スプリンターにもチャンスがある中級山岳ステージだ。
17km地点で形成されたのは、前日に総合の夢が潰えたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)、ブリース・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)、マシュー・ブッシュ(フランス、トレックファクトリーレーシング)という強力な逃げグループ。
ツール・ド・フランスのステージ優勝経験者3名(2008年と2010年シャヴァネル、2009年フェイユ、2013年バケランツ)や、総合上位の選手(20位・19秒差バケランツ)が逃げに含まれているため、チームスカイが警戒を解くことなく集団先頭に陣取る。タイム差は2分40秒に抑え込まれた。
リヨン郊外に広がる丘陵地帯を縫うように進み、曲がりくねった道で集団は縦に長く伸びる。先頭5名は30秒ほどのリードをもって最後の2級山岳へと入って行く。登坂距離12.5km/平均勾配2.8%という、長く緩い登りで先頭からシャヴァネルがアタックを仕掛けた。
登りを高速で進むメイン集団からは、総合5位サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)がパンクで脱落する。ロメン・バルデ(フランス)らの協力を得てドゥムランは懸命に追走したが、集団復帰は叶わない。
ダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)のハイペースがイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)らのアタックを封じ込め、先頭で粘っていたシャヴァネルを飲み込む。
カウンターで勢い良くローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)やステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)らが仕掛けたものの、いずれも頂上までにリードを築けずに吸収される。すると、続いて本命たちが動いた。
2級山岳の頂上400m手前で、下りを見据えたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が一気にスパートを仕掛け、ここにカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)が反応する。下りのテクニカルコーナーを攻めるニーバリとベタンクール。マイヨジョーヌのトーマスが落ち着いて対処した。
ニーバリのアタックが封じ込められると、残り9km、短い登りでベタンクールが飛び出し、ここにヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)とボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)が合流する。緩い下りでローテーションを回した3名が10秒のリードを築き上げた。
集団スプリント狙いのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)や、トム・ボーネン(ベルギー)擁するオメガファーマ・クイックステップがメイン集団を率いたものの、タイム差は詰まらないままフラムルージュ(残り1km)を迎える。ステージ優勝の行方はベタンクール、フグルサング、ユンヘルスの3人に絞られた。
最後尾から落ち着いてスプリントに持ち込んだベタンクールが、悠々とフグルサングとユンヘルスをパス。メイン集団のボーネンらがスプリントで突き進むその2秒前で、ベタンクールが先頭でフィニッシュした。
「身体的に準備は出来ていた。興味深いコースレイアウトなので難しいステージになると思っていたよ。ライバルたちが疲労しているように見えたので早めに仕掛けてみたんだ」。そう語るベタンクールはコロンビア生まれの24歳。アックア・エ・サポーネから昨年AG2Rラモンディアールに移籍し、ジロ・デ・イタリアで総合5位&ヤングライダー賞を獲得している。今シーズンすでにツール・デュ・オーヴァルで優勝済みだ。
「これまでの4ステージで少しタイムを失ったことが悔やまれる」と話すベタンクールは、総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)と5秒差の総合4位に浮上。ドゥムランやバルデが遅れた今、AG2Rラモンディアールはベタンクールの総合成績にフォーカスする。同チームのヴァンサン・ラヴニュ監督は「彼はピュアクライマーではなく、ロドリゲスのようなパンチャータイプのクライマーだ。グランツールでも今後注目の存在になるだろう。このパリ〜ニースのコースは彼向きだと言える」とコメントしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
パリ〜ニース2014第5ステージ結果
1位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
4位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
5位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ジャイアント・シマノ)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
8位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 マルコ・マルカート(イタリア、キャノンデール)
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
4位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
5位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ジャイアント・シマノ)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
8位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 マルコ・マルカート(イタリア、キャノンデール)
3h38'15"
+02"
+02"
個人総合成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
4位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
4位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
7位 ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
21h52'42"
+03"
+04"
+05"
+08"
+13"
+15"
+19"
+03"
+04"
+05"
+08"
+13"
+15"
+19"
ポイント賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
山岳賞
シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
ヤングライダー賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
チーム総合成績
AG2Rラモンディアール
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele