2014/03/10(月) - 09:40
第72回パリ〜ニース(UCIワールドツアー)が、3月9日、マント・ラ・ジョリーで開幕。落車多発のナーバスなステージを、元フランスチャンピオンのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がスプリントで締めくくった。
マント・ラ・ジョリーを発着する周回コースで行なわれたパリ〜ニース第1ステージ。コースのほとんどは広大な平野を貫く曲がりくねった田舎道で、街中はロータリーやコーナーが連続する。レース序盤に飛び出したクリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)が最大で10分のリードを稼ぎ出したその後方では、ビッグネームたちが相次いで落車に巻き込まれた。
テクニカルなコースに風が加わったことで落車が多発。レース前半にナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)らが地面に投げ出される。いずれの選手も再スタートを切ったが、パリ〜ニースは初日から荒れた展開となる。総合優勝候補の一角と見られていたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が体調不良によりバイクを降りた。
ユーロップカーが中心となってペースを作ったメイン集団は、先頭ラボリーを余裕をもって吸収。2つあるスプリントポイントでは、リーダージャージ狙いのジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が果敢にスプリントしてボーナスタイムを連取する。
スプリンターチームが集団先頭に立ったタイミングで再び落車が多発し、総合狙いのロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)に加え、スプリンターのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)やトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが後方に取り残される展開に。落車に巻き込まれた選手たちは結局メイン集団に復帰出来ず、1分09秒遅れでフィニッシュラインを切っている。
ジャイアント・シマノとオメガファーマ・クイックステップが中心になってスピードを上げたメイン集団が、テクニカルコーナーをクリアしながらマント・ラ・ジョリーの街中へ。ヘルト・ステーグマン(ベルギー)らのリードアウトを得たメールスマンが好位置でスプリントを開始。同時にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)とブアニが腰を上げた。
上半身を上下に大きく振りながら加速するデゲンコルブと、深い前傾姿勢でハンドルを引き上げるブアニがメールスマンを抜き去る。無駄のない美しいスプリントでブアニが先着した。
落車で左膝から血を流しながらも勝利したブアニ。元ボクサーらしい闘志溢れるコメントを残す。「落車しながらも勝利した2年前のフランス選手権を思い出したよ。膝がひどく痛んだので何度もドクターに診てもらいながら走ったんだ。痛み止めの錠剤をもらって、スプリントのことだけを考えた。落車なんか関係なく今日は勝つんだと自分に言い聞かせたんだ」。
ブアニの第1ステージ勝利ならびにリーダージャージ獲得は2年連続。しかし昨年は翌日の第2ステージで落車リタイアを喫している。「昨年は第1ステージで勝利しながら次の日にリタイアした。今回は、落車して、そして勝った。パリ〜ニースと自分の間には何かしらの運命があるようだ」とコメントしている。
選手コメントはレース公式サイト(www.letour.fr/paris-nice/2014)より。
パリ〜ニース2014第1ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) 3h53'11"
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
6位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
7位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、キャノンデール)
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
個人総合成績
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) 3h53'01"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +01"
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) +04"
4位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +08"
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +09"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) +10"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
10位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
山岳賞
クリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)
ヤングライダー賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
マント・ラ・ジョリーを発着する周回コースで行なわれたパリ〜ニース第1ステージ。コースのほとんどは広大な平野を貫く曲がりくねった田舎道で、街中はロータリーやコーナーが連続する。レース序盤に飛び出したクリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)が最大で10分のリードを稼ぎ出したその後方では、ビッグネームたちが相次いで落車に巻き込まれた。
テクニカルなコースに風が加わったことで落車が多発。レース前半にナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)らが地面に投げ出される。いずれの選手も再スタートを切ったが、パリ〜ニースは初日から荒れた展開となる。総合優勝候補の一角と見られていたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が体調不良によりバイクを降りた。
ユーロップカーが中心となってペースを作ったメイン集団は、先頭ラボリーを余裕をもって吸収。2つあるスプリントポイントでは、リーダージャージ狙いのジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が果敢にスプリントしてボーナスタイムを連取する。
スプリンターチームが集団先頭に立ったタイミングで再び落車が多発し、総合狙いのロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)に加え、スプリンターのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)やトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが後方に取り残される展開に。落車に巻き込まれた選手たちは結局メイン集団に復帰出来ず、1分09秒遅れでフィニッシュラインを切っている。
ジャイアント・シマノとオメガファーマ・クイックステップが中心になってスピードを上げたメイン集団が、テクニカルコーナーをクリアしながらマント・ラ・ジョリーの街中へ。ヘルト・ステーグマン(ベルギー)らのリードアウトを得たメールスマンが好位置でスプリントを開始。同時にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)とブアニが腰を上げた。
上半身を上下に大きく振りながら加速するデゲンコルブと、深い前傾姿勢でハンドルを引き上げるブアニがメールスマンを抜き去る。無駄のない美しいスプリントでブアニが先着した。
落車で左膝から血を流しながらも勝利したブアニ。元ボクサーらしい闘志溢れるコメントを残す。「落車しながらも勝利した2年前のフランス選手権を思い出したよ。膝がひどく痛んだので何度もドクターに診てもらいながら走ったんだ。痛み止めの錠剤をもらって、スプリントのことだけを考えた。落車なんか関係なく今日は勝つんだと自分に言い聞かせたんだ」。
ブアニの第1ステージ勝利ならびにリーダージャージ獲得は2年連続。しかし昨年は翌日の第2ステージで落車リタイアを喫している。「昨年は第1ステージで勝利しながら次の日にリタイアした。今回は、落車して、そして勝った。パリ〜ニースと自分の間には何かしらの運命があるようだ」とコメントしている。
選手コメントはレース公式サイト(www.letour.fr/paris-nice/2014)より。
パリ〜ニース2014第1ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) 3h53'11"
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
6位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
7位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、キャノンデール)
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
個人総合成績
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) 3h53'01"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +01"
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) +04"
4位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +08"
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +09"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) +10"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
10位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
山岳賞
クリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)
ヤングライダー賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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