2月24日、6日間の日程で開催されたツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)が閉幕した。ゴールスプリントで有終の美を飾ったのはアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)。同時にクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)の大会連覇が決まった。



チームメイトに守られて走るリーダージャージのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)チームメイトに守られて走るリーダージャージのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2014第6ステージツアー・オブ・オマーン2014第6ステージ image:A.S.O.ツアー・オブ・オマーン最終ステージは、首都マスカットに近いマトラ・コルニッシュ(海岸通)の周回コースに至る146.5km。前半にKOMが2つ登場するものの、実質的に総合争いは第5ステージのグリーンマウンテンで決着が付いている。最終日は再びスプリンターの独壇場だ。

レース序盤に逃げグループを形成するニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)らレース序盤に逃げグループを形成するニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)ら photo:Tim de Waeleレースは前半のKOMでアタックの応酬となり、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)といった面々が攻撃を仕掛ける。しかしいずれの動きもリードを奪えずに吸収された。

真っ白なモスクに向かって進むプロトン真っ白なモスクに向かって進むプロトン photo:Tim de Waeleその後もアップダウン区間でアタックは続き、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)までもが飛び出す展開に。

リーダージャージを着て走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)リーダージャージを着て走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleチームスカイ率いるメイン集団がこれらの危険な動きを許さずに吸収。すると、88km地点でマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)、クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)の逃げがようやく決まった。

ブアニらを下したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ブアニらを下したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Tim de Waele先頭3名はロット・ベリソルとチームスカイが牽引するメイン集団に対して1分30秒のリードしか築けなかったものの、逃げ切りを狙ってマトラ・コルニッシュの周回コースを駆け抜ける。本格的にペースが上がるメイン集団は、残り2.5km地点でようやく逃げをキャッチ。大集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。

この日もロットトレインにリードアウトされたグライペルが先頭でスプリントを開始する。ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やサム・ベネット(アイルランド、ネットアップ・エンデューラ)がこれに対抗したが、グライペルに並ぶことは出来ない。緑のポイント賞ジャージを着るグライペルが他を寄せ付けずに勝利した。

グライペルは今大会3勝目、今シーズン世界最多の6勝目。強力なロット・ベリソルにサポートされて、ドイツチャンピオンが勝ちまくっている。

ロット・ベリソルのバルト・レイセン監督は「カタールとオマーンで大成功の2週間を終えた。合計12ステージのうち4ステージで勝利。ルーランズとグライペルをはじめ、チームが良い雰囲気でレースに挑んだ証拠だ。来るベルギーレースに向けてチームは最高のコンディションで帰国する。これからもっと勝ち続けることだろう。ギャロパンやファンデンブロックもチームのために働き、それぞれの目標に向かって調子を上げている」と満足感溢れるコメントを残す(チーム公式サイトより)。

そしてツアー・オブ・オマーン総合優勝のタイトルは2年連続でクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)の手に。ツール・ド・フランスのタイトル防衛に向けて、フルームが好調なシーズン滑り出しを見せている。



表彰台に登る総合トップスリー表彰台に登る総合トップスリー photo:Tim de Waele



ツアー・オブ・オマーン2014第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)            3h25'41"
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ネットアップ・エンデューラ)
4位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
5位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
6位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
7位 マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)               22h02'26"
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)          +26"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)      +31"
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                +48"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキン)                  +57"
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)      +1'01"
7位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)        +1'19"
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)            +1'25"
9位 ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)                +1'32"
10位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               +1'34"

ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

ヤングライダー賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)

総合敢闘賞(中間スプリント賞)
プレベン・ファンヘッケ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele