アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がツアー・オブ・オマーンのスプリント戦線に帰ってきた。前日のスプリントをメカトラで失っていたグライペルが、オールラウンダーたちのアタック合戦を切り抜けて2勝目。総合リーダージャージも取り返してみせた。



オマーンの切り立った山々がプロトンを見下ろすオマーンの切り立った山々がプロトンを見下ろす photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2014第3ステージツアー・オブ・オマーン2014第3ステージ image:A.S.O.フィニッシュラインの24km手前と6.5km手前でKOMをクリアするツアー・オブ・オマーン第3ステージ。スタートともに飛び出したケヴィン・イスタ(ベルギー、IAMサイクリング)、ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF)、イェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)、マルティン・マースカント(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)を、ステージ優勝狙いのチームが追撃する展開となる。

逃げグループを形成するケヴィン・イスタ(ベルギー、IAMサイクリング)ら逃げグループを形成するケヴィン・イスタ(ベルギー、IAMサイクリング)ら photo:Tim de Waeleメイン集団を率いたのは、グライペル擁するロット・ベリソルではなく、リーダージャージ擁するオリカ・グリーンエッジやキャノンデール、アスタナ、BMCレーシング。登りバトルも視野に入れたチームのコントロールにより、最大3分30秒あったタイム差は徐々に縮まっていく。逃げグループは残り10kmを切って吸収された。

山岳地帯へと入っていくプロトン山岳地帯へと入っていくプロトン photo:Tim de Waele残り6.5kmで頂点を迎えるKOMアルジサー(標高154m)で、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)らがアタックを仕掛けたが決まらない。ダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)がリードする形で登りをクリアした集団から、昨年のツール・ド・フランス覇者クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が発進した。

残り6kmでアタックを仕掛けるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)残り6kmでアタックを仕掛けるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele登り頂上でのフルームのアタックに真っ先に反応したのは、シクロクロス世界選手権で優勝したばかりのゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)。続いてファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキン)も追いつき、先頭では5名の強力なグループが形成される。

ハイスピードダウンヒルを経て平坦区間に差し掛かった5名の後ろには、80名ほどの大集団が迫る。向かい風とサガンの存在が先頭5名のペースアップを阻害し、結局は残り1kmで吸収。踏み直したサガンを振り切って、グライペルがゴールスプリントで勝利した。

オールラウンダーが動く難易度のステージで、"登れるスプリンター"のグライペルが勝利。「コースプロフィールを見て、今日は厳しいレースになると予想していた。ギャロパンやルーランズ、ファンデンブロックで勝利を狙う予定だったけど、チームに鼓舞されて集団内で登りをクリア。強い向かい風が自分に有利に働いたよ。残り4kmの時点で集団最後尾にいた自分をバクとルーランズが強力に引き上げてくれた。そこからリヒハルトとルーランズの完璧なリードアウトを受けてスプリントしたんだ」と、今シーズンの勝利数を世界最多の5勝に伸ばしたグライペルは語っている。リーダージャージを着るリー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がステージ50位に沈んだため、ボーナスタイムによりグライペルが総合首位に返り咲いた。

翌日の第4ステージは、標高355mのKOMが後半に連続する難易度の高いレイアウト。第5ステージのKOMグリーンマウンテン山頂フィニッシュを前に、再びオールラウンダーたちが動きを見せるだろう。

選手コメントはロット・ベリソル公式サイトより。



ゴールスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ゴールスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Tim de Waele
リーダージャージ奪還に成功したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)リーダージャージ奪還に成功したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Tim de Waeleリードアウトお疲れ様でしたリードアウトお疲れ様でした photo:Tim de Waele





ツアー・オブ・オマーン2014第3ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)            3h29'08"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
3位 ナセル・ブアニ(イタリア、FDJ.fr)
4位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
5位 マルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 
6位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
8位 ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ネットアップ・エンデューラ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 エンリコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニ・CSF)

個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)            10h44'20"
2位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)           +08"
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)            +10"
4位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)                +14"
5位 ナセル・ブアニ(イタリア、FDJ.fr)                     +16"
6位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)               +19"
8位 アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)                  +20"
10位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)

ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

ヤングライダー賞
リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

総合敢闘賞(中間スプリント賞)
プレベン・ファンヘッケ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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