2014/02/19(水) - 15:58
2013年シーズンはMTB世界選手権で15位、そしてワールドカップでは16位、UCIポイントランキングでは11位という結果を残した山本幸平(スペシャライズド)。タイのチェンライ国際MTBチャレンジでシーズンのスタートを切った山本に抱負を聞いた。
ー まずは今年初レースとなったチェンライ国際MTBチャレンジについて訊かせてください。楽しく走れましたか?(結果は平野星矢に次ぐ2位)
残念だったのは、タイ入りする5日前ぐらいに風邪をこじらせてしまって体調が不十分だったことですね。呼吸がしにくかったり、心拍が上がらなかったことが予想外でした。でも2日間たっぷり追い込めて、楽しくレースが出来ました。
体調不足とはいえ、今年のオフにうまく噛み合った部分が見つけられたことと、まだ足りないところがあるんだな、と感じた面とがありますね。
ー 斎藤亮や平野星矢選手と一緒に走れたのは、久々のことでしたよね?
リョウさんやセイヤと走れたのは良かったですね。最近は日本のトップ選手と走るのは年に一度の全日本選手権だけになっているので、楽しかったですね。このレースならではです。楽しかった。
ー 斎藤選手は本来別の年齢カテゴリーでの出走でしたが、交渉して一緒に走れるように主催者に頼んでいましたね。
一緒に走ってみて、この時期にしては皆が体調を上げてきているので、気合が入っているな! と感じました。リョウさんはメリダからブリヂストンアンカーに移籍したけど、イメージ的にも違和感が無くて、すんなり溶けこめていて、充実しているように感じましたね。うまく自分の流れを作れている、と感じました。
ー 1月はスイス、そしてここでタイ入りしてこれから例年通り合宿へ入るということですね?
そうです。タイでこれからの1ヶ月を過ごして、3月4日にスイスに帰って、16日からUCIレースが開幕します。そこからはほぼ毎週レースが入っています。その5週目に南アフリカのピーターマリッツバーグで開幕するMTBワールドカップ第1戦を迎えるようにプログラムを組んでいます。
ー タイ合宿は今年はユキヤ(新城幸也)が不在(※)で、今まで音頭を取ってきたニイチャン(福島晋一)もいない。いつもとは違うものになりそう?
※新城は当初の予定を変更してタイ合宿に2月18日から再合流した。
タイ合宿ではここ3年、あまり皆とは一緒には走らず、ひとりで走ることが多かったので、基本は変わらないですね。僕の場合はひとりでやりたいトレーニングがあるので、そうしていました。滞在のときにいつものメンバーがいないのは寂しいですが、そこはマイペンライ(=問題ない、気にしない)ということで(笑)。
ー 今年の目標にしているレースと、年間のレースプランを教えて下さい。
MTBワールドカップが今年は年7戦あるんですが、それに加えてMTB世界選手権の合計8戦がメインに考えているレースです。去年は世界選手権が15位で、ワールドカップの最高順位(南アフリカ大会)が16位でした。ここ近年は毎年成績が伸びてはいる。今年は「世界選とワールドカップで必ず一桁を取る」というのが目標になりますね。でも、昨年のうちに世界のトップ10以内を達成したかったというのが本音ですが。
ー 今年こそ期待しています。 全日本選手権についてはどうですか?
もちろん出場します。全日本はこれまで6連覇しているので、7連覇を狙います。アジア選手権でも6連覇を。そして今年は「アジア大会」が韓国で開催されるので、そこでも勝つことです。アジア大会は4年前の杭州大会で唯一負けているんです。それらアジアの大会は僕にとっては勝たなければいけないレースなので、落とさずに取りたいですね。
今はまだなんとも言えないんですが、ロードレースの全日本選手権にも出たいと思って調整しています。MTBアジア選手権が11月ぐらいの開催になるかも、という流動的な部分があるので、調整が必要ですが。
ー それは何のためにですか?
ロードレースは練習のために良いと思っています。全日本ロードのある6月はMTBマラソン世界選手権がある月なんですが、クロスカントリーのレースは無いんです。だから6月は一度身体をフレッシュな状態に戻して乗り込む時期でもあるので、ロードに乗るんです。そこで全日本選手権にも出たいな、と。
チームメイトのヤロスラフ(クルハヴィ)も昨年はチェコ選手権に出て表彰台に上がっているんです。スロバキアと共催なのでペーター・サガン(キャノンデール)が勝ったけど、ヤロはサガンと一緒にスプリントしているんですよね。
ー トップクラスのロードレースに出たいと、フェイスブックでもコメントしていましたね。
プログラム的に合えばですが、日本のトップ選手と一緒に走れるレースなら出たいんですよ。JBCF(実業団)レースだったら特別枠で出れるようだから、ぜひ走りたいと思います。
ニノ・シュルター(スイス、スコット)も今年はロードレースに出るんですよ。ツール・ド・スイスやツール・ド・ロマンディに出るそうです。ロードはチームエントリーが基本ですが、ニノはスコットとの契約があるから、オリカ・グリーンエッジで出場するらしいですね(関連記事)。僕もそういったテがないか探してみます。
ー ゼネク・スティバルはクイックステップに所属して普段はロードを走り、シクロクロス世界選手権に優勝しましたからね。パリ〜ルーベやロンド・ファン・フラーンデレンでも勝てる選手ですね。
MTBで結果を出すためにロードレースを活用したいと思っています。仕組み的にもっと簡単にMTB選手がレベルの高いロードレースを走れるようになるといいんですが。
ー Cape EpicやBrasil ride、ドロミテマンなど、昨年はアドベンチャー系レースやエンデューロにも出場していましたが、今年もそういったレースに出場するんですか?
いえ、今年はその予定はないです。というのは、今年のスペシャライズドチームの方針が「本来のクロスカントリーレースで成績を出す」ということになっているんです。昨年のチームランキングが2位に終わってしまったので、最強チームに返り咲かねばならないという至上命題があるんです。
僕はステージレースも好きなので、それらに出たいというのはあるんですが、スケジュールに入れているのはランカウィのみです。Cape Epic(ケープエピック)はMTB界では超メジャーな凄いレースです。メディアも多いし、ステイタスが高い。南アフリカの自転車熱は凄いですね。
ー リオデジャネイロと東京オリンピックを当然意識していると思いますが、2016リオ五輪の時に31歳、2020東京五輪のときは35歳ですね。この先、年齢と主に変化するパフォーマンスについてどう考えていますか?
リオはいいんじゃないですか? 今年トップ10に入って、来年は表彰台に上って「3本の指」に入って、次の年にリオ五輪の優勝候補になっていればベストですよね!(笑)。 東京五輪ももちろん出たいけど、リオが終わってからの話ですね。
東京五輪の時は若手が育ってくれていたらいいですね。僕はいずれ選手育成の仕事もやりたいと思っています。同時に日本が出場枠が2つ以上取れる活動をしたいですね。
ー 東京五輪のときの35歳という年齢はどう捉えていますか? まだまだやれる?
悪くないと思います。大きな怪我をしていなかったら、35歳はうまく自分をコントロールできる年齢だと思います。メンタル面でも有利だし。
ー 機材面では27.5インチホイールが台頭してきていますね。どう思いますか?
よく訊かれますが、27.5にはまだ乗ったことが無いんです。アンカー時代は26インチでしたが、スペシャライズドレーシングに移籍してからは29インチ一辺倒で、それしか選択肢がない。でも僕が思うには僕の(大柄な)体型で、スペシャライズドの考えられたバイクが有れば、とくに27.5は必要ないと思っています。29で走ったほうがより有利だと思います。
現在のワールドカップのコースでは、パワーでいかなければトップ10入りは難しい。そんな状況ですから、それを走りで稼げるバイクを考えたら29でないと厳しいと思います。でも27.5は普通の日本人ライダーには良い選択肢になると思います。小柄な体型のライダーや女性には向いていると思います。
ー 新しい機材や、現在何かを試しているといったことはありますか?
今のスペシャライズドレーシングチームに居れば、とくに新しいものを探すというよりは、「今ある機材」を使って走るほうがメリットがあると感じています。今は素晴らしい製品に恵まれています。であれば、与えられたものに身体を慣らして、うまく使いこなせるようにする。そういうイメージでいますね。
新たに取り入れたことといえば、もともとロードでだけパワータップを使用していたんですが、MTBのトレーニングにも取り入れています。まだあまり試せていないですが、楽しみですね。オフロードでパワーを計測することはしてこなかったんですが、新しい発見はあるかもしれないですね。
ー スイスでの生活には慣れていますか? 異国での生活に疲れることはないでしょうか?
スイス生活は2年が終わって3年目です。暮らしは年々良くなっています。環境、トレーニング、知り合いも増えてきているので、年々暮らしやすくなっています。かなり充実できていて、ストレスはないですね。
ー 今年の活躍に期待しています。そしていよいよ世界のトップライダーとしての地位を確かなものにできるシーズンにして下さい。
ありがとうございます。期待していて下さい!
photo&text:Makoto.AYANO
ー まずは今年初レースとなったチェンライ国際MTBチャレンジについて訊かせてください。楽しく走れましたか?(結果は平野星矢に次ぐ2位)
残念だったのは、タイ入りする5日前ぐらいに風邪をこじらせてしまって体調が不十分だったことですね。呼吸がしにくかったり、心拍が上がらなかったことが予想外でした。でも2日間たっぷり追い込めて、楽しくレースが出来ました。
体調不足とはいえ、今年のオフにうまく噛み合った部分が見つけられたことと、まだ足りないところがあるんだな、と感じた面とがありますね。
ー 斎藤亮や平野星矢選手と一緒に走れたのは、久々のことでしたよね?
リョウさんやセイヤと走れたのは良かったですね。最近は日本のトップ選手と走るのは年に一度の全日本選手権だけになっているので、楽しかったですね。このレースならではです。楽しかった。
ー 斎藤選手は本来別の年齢カテゴリーでの出走でしたが、交渉して一緒に走れるように主催者に頼んでいましたね。
一緒に走ってみて、この時期にしては皆が体調を上げてきているので、気合が入っているな! と感じました。リョウさんはメリダからブリヂストンアンカーに移籍したけど、イメージ的にも違和感が無くて、すんなり溶けこめていて、充実しているように感じましたね。うまく自分の流れを作れている、と感じました。
ー 1月はスイス、そしてここでタイ入りしてこれから例年通り合宿へ入るということですね?
そうです。タイでこれからの1ヶ月を過ごして、3月4日にスイスに帰って、16日からUCIレースが開幕します。そこからはほぼ毎週レースが入っています。その5週目に南アフリカのピーターマリッツバーグで開幕するMTBワールドカップ第1戦を迎えるようにプログラムを組んでいます。
ー タイ合宿は今年はユキヤ(新城幸也)が不在(※)で、今まで音頭を取ってきたニイチャン(福島晋一)もいない。いつもとは違うものになりそう?
※新城は当初の予定を変更してタイ合宿に2月18日から再合流した。
タイ合宿ではここ3年、あまり皆とは一緒には走らず、ひとりで走ることが多かったので、基本は変わらないですね。僕の場合はひとりでやりたいトレーニングがあるので、そうしていました。滞在のときにいつものメンバーがいないのは寂しいですが、そこはマイペンライ(=問題ない、気にしない)ということで(笑)。
ー 今年の目標にしているレースと、年間のレースプランを教えて下さい。
MTBワールドカップが今年は年7戦あるんですが、それに加えてMTB世界選手権の合計8戦がメインに考えているレースです。去年は世界選手権が15位で、ワールドカップの最高順位(南アフリカ大会)が16位でした。ここ近年は毎年成績が伸びてはいる。今年は「世界選とワールドカップで必ず一桁を取る」というのが目標になりますね。でも、昨年のうちに世界のトップ10以内を達成したかったというのが本音ですが。
ー 今年こそ期待しています。 全日本選手権についてはどうですか?
もちろん出場します。全日本はこれまで6連覇しているので、7連覇を狙います。アジア選手権でも6連覇を。そして今年は「アジア大会」が韓国で開催されるので、そこでも勝つことです。アジア大会は4年前の杭州大会で唯一負けているんです。それらアジアの大会は僕にとっては勝たなければいけないレースなので、落とさずに取りたいですね。
今はまだなんとも言えないんですが、ロードレースの全日本選手権にも出たいと思って調整しています。MTBアジア選手権が11月ぐらいの開催になるかも、という流動的な部分があるので、調整が必要ですが。
ー それは何のためにですか?
ロードレースは練習のために良いと思っています。全日本ロードのある6月はMTBマラソン世界選手権がある月なんですが、クロスカントリーのレースは無いんです。だから6月は一度身体をフレッシュな状態に戻して乗り込む時期でもあるので、ロードに乗るんです。そこで全日本選手権にも出たいな、と。
チームメイトのヤロスラフ(クルハヴィ)も昨年はチェコ選手権に出て表彰台に上がっているんです。スロバキアと共催なのでペーター・サガン(キャノンデール)が勝ったけど、ヤロはサガンと一緒にスプリントしているんですよね。
ー トップクラスのロードレースに出たいと、フェイスブックでもコメントしていましたね。
プログラム的に合えばですが、日本のトップ選手と一緒に走れるレースなら出たいんですよ。JBCF(実業団)レースだったら特別枠で出れるようだから、ぜひ走りたいと思います。
ニノ・シュルター(スイス、スコット)も今年はロードレースに出るんですよ。ツール・ド・スイスやツール・ド・ロマンディに出るそうです。ロードはチームエントリーが基本ですが、ニノはスコットとの契約があるから、オリカ・グリーンエッジで出場するらしいですね(関連記事)。僕もそういったテがないか探してみます。
ー ゼネク・スティバルはクイックステップに所属して普段はロードを走り、シクロクロス世界選手権に優勝しましたからね。パリ〜ルーベやロンド・ファン・フラーンデレンでも勝てる選手ですね。
MTBで結果を出すためにロードレースを活用したいと思っています。仕組み的にもっと簡単にMTB選手がレベルの高いロードレースを走れるようになるといいんですが。
ー Cape EpicやBrasil ride、ドロミテマンなど、昨年はアドベンチャー系レースやエンデューロにも出場していましたが、今年もそういったレースに出場するんですか?
いえ、今年はその予定はないです。というのは、今年のスペシャライズドチームの方針が「本来のクロスカントリーレースで成績を出す」ということになっているんです。昨年のチームランキングが2位に終わってしまったので、最強チームに返り咲かねばならないという至上命題があるんです。
僕はステージレースも好きなので、それらに出たいというのはあるんですが、スケジュールに入れているのはランカウィのみです。Cape Epic(ケープエピック)はMTB界では超メジャーな凄いレースです。メディアも多いし、ステイタスが高い。南アフリカの自転車熱は凄いですね。
ー リオデジャネイロと東京オリンピックを当然意識していると思いますが、2016リオ五輪の時に31歳、2020東京五輪のときは35歳ですね。この先、年齢と主に変化するパフォーマンスについてどう考えていますか?
リオはいいんじゃないですか? 今年トップ10に入って、来年は表彰台に上って「3本の指」に入って、次の年にリオ五輪の優勝候補になっていればベストですよね!(笑)。 東京五輪ももちろん出たいけど、リオが終わってからの話ですね。
東京五輪の時は若手が育ってくれていたらいいですね。僕はいずれ選手育成の仕事もやりたいと思っています。同時に日本が出場枠が2つ以上取れる活動をしたいですね。
ー 東京五輪のときの35歳という年齢はどう捉えていますか? まだまだやれる?
悪くないと思います。大きな怪我をしていなかったら、35歳はうまく自分をコントロールできる年齢だと思います。メンタル面でも有利だし。
ー 機材面では27.5インチホイールが台頭してきていますね。どう思いますか?
よく訊かれますが、27.5にはまだ乗ったことが無いんです。アンカー時代は26インチでしたが、スペシャライズドレーシングに移籍してからは29インチ一辺倒で、それしか選択肢がない。でも僕が思うには僕の(大柄な)体型で、スペシャライズドの考えられたバイクが有れば、とくに27.5は必要ないと思っています。29で走ったほうがより有利だと思います。
現在のワールドカップのコースでは、パワーでいかなければトップ10入りは難しい。そんな状況ですから、それを走りで稼げるバイクを考えたら29でないと厳しいと思います。でも27.5は普通の日本人ライダーには良い選択肢になると思います。小柄な体型のライダーや女性には向いていると思います。
ー 新しい機材や、現在何かを試しているといったことはありますか?
今のスペシャライズドレーシングチームに居れば、とくに新しいものを探すというよりは、「今ある機材」を使って走るほうがメリットがあると感じています。今は素晴らしい製品に恵まれています。であれば、与えられたものに身体を慣らして、うまく使いこなせるようにする。そういうイメージでいますね。
新たに取り入れたことといえば、もともとロードでだけパワータップを使用していたんですが、MTBのトレーニングにも取り入れています。まだあまり試せていないですが、楽しみですね。オフロードでパワーを計測することはしてこなかったんですが、新しい発見はあるかもしれないですね。
ー スイスでの生活には慣れていますか? 異国での生活に疲れることはないでしょうか?
スイス生活は2年が終わって3年目です。暮らしは年々良くなっています。環境、トレーニング、知り合いも増えてきているので、年々暮らしやすくなっています。かなり充実できていて、ストレスはないですね。
ー 今年の活躍に期待しています。そしていよいよ世界のトップライダーとしての地位を確かなものにできるシーズンにして下さい。
ありがとうございます。期待していて下さい!
photo&text:Makoto.AYANO
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