2014/01/13(月) - 09:55
年末の8日間で500kmを走れるかにチャレンジするRapha Festive500。大阪にあるRaphaの路面店サイクルクラブのスタッフ、ヒロさんは期間中毎日ライドを開催。その道のりを写真で文章で、綴ります。
今回のFestive500のテーマ
Festive500は12月24日から31日の間に500km走りましょうというチャレンジ企画(Vol.1はこちら )です。達成できるかも重要ですが、チャレンジを計画立ててライドの中身を濃くすることがイベントの裏テーマ。Rapha Cycle Club Osaka主催のライドイベントを考えるにあたり、「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を提案したかったのです。
関西には誰もが知っている峠やコースが沢山ありますが、いつもと違ったコースを走ってみたい。このFestive500ライドのルート製作をお願いしたライダーはこの「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を知っている人ばかり。目の回りにはワクワクする場所や道が多くあるけど知らないだけ。じゃあこの機会に走ってみようではありませんか。そんなワクワクする年末の8日間はこんなテーマで始まりました。
12月24日(火)三田ライド さっそく道をそれてみる
Rapha Festive500サイクルクラブライドの一日目は、宝塚市をスタートし兵庫県の三田を回って帰ってくる約80kmの行程。交通量も少なく走りやすいため地元のアマチュアロードレーサーや熱心なサイクリストの定番の練習コースを下地に設定しましたが、この日は年末の平日と言うこともありサイクリストとは出会わず。
大きな峠はなく、細かいアップダウンの続くコースが特徴。近くには峠もあり、様々な走り方のできる懐の深いエリアです。この日も少しだけ横道に入って農道にお邪魔。泥は有りませんでしたが、Raphaのクラブライドに初めて参加した方は驚いたかもしれません。大阪市内から自走で来た人は既にこの日だけで120kmを走破。初日から120km超えはすごいですね…。
Hiro’s Festive500 Day1, 80km+α=105.8km
12月25日(水)大阪シティライドで船に乗る!
この日は、サイクルクラブのある大阪市の中心を巡る大阪シティライド。この日はいつものビブ、ジャージを脱ぎ、シティライド用のウェアでスマートにコーディネート。知っていそうで、知らない街の景色を探しに行きます。サイクルクラブ大阪から一路西へ、安治川沿いを港方面へ。
今回は大阪府民も地元の人でなければ無縁に等しい渡船に乗るのがテーマのひとつ。大阪は長い歴史の中で水の都とも呼ばれ以前は渡船も30カ所以上有ったそうですが、安治川、尻無川、木津川を中心に設置され、現在大阪府には8カ所の渡船場を残すのみ。いずれも多くの近隣住民の足として使われ自転車も乗船可能となっています。
渡船をコースに組み込んだ理由は渡船がこの辺りの歴史になっているから。時が経っても、数を減らしながらも形を変えて残っているのは土地の人に必要とされ続けている何よりの証。渡船といくつもの橋を繋げておよそ20km程。散歩するにもちょうど良い距離と時間です。お薦めの渡船場は今回も乗船した千歳渡船場。北恩加島側から乗船し、千歳橋のたもとを出発。なみはや大橋を右手に眺めながらの景色は大都市特有の情緒を持った風景です。
Hiro’s Festive500 Day2, 22.7km+α=72.3km
12月26日(木)ディープ大阪で人の暮らしの営為を感じる
3日目はシクロワイアードでもお馴染みのフォトグラファー、辻啓の案内で大阪は南河内方面へ。Rapha Cycle Club Osakaのクラブライドでも時折訪れるエリアですが、今回はまた新しい場所へ。友人でもある彼には何度も連れてきて貰っている地域ですが、この水先案内人はいつも笑っちゃうようなキツい坂や住民でも通らないであろう裏路地へと案内してくれました。
山間の家々を縫って走る坂道はどれも急で足に堪える場所ばかりですが、坂の繋ぎ方が絶妙なのと、道の雰囲気が相まって一つ一つ坂を登る度に何故かみんな呼吸を乱しながらも笑みが絶えないのです。
どんだけ登らせんねん!と突っ込みが出るほど坂を繋いだコースながら、ただキツいだけではない。路の端には苔がむし、雨が降る前の独特の湿気が森を包み、木々の間からは時折曇り空が覗く。同じような山の風景が日本中にありそうでですが、気候や住む人々によって実は微妙に異なっています。その違いを感じる機会を得たのはサイクリストの大きな特権かもしれません。この日は58km中、アプローチの平坦部分を抜くと30kmで900mほど登り足にかなりキた日でした。
Hiro’s Festive500 Day3, 58.5km
12月27日(金)通勤だからこそ、自転車に乗りたい
12月27日は2回目のシティライド。サイクルクラブ大阪のある大阪市から神戸方面へのコミューティングライド(通勤ライド)。神戸方面へと言っても無数の道が有りますが、それは集ったサイクリストのチョイス、そして即興でコースを探索する設定です。
僕を含め毎日自転車で通勤している人にとっては、自転車で通勤できないことをかなりの苦痛に感じるものです。日本では働く場所の都合や駐輪場の問題で、自転車通勤する人が欧米に比べても圧倒的に少ないと思います。帰りが遅くなり、夜の走行に不安を感じている方々がいるのも確か。
今回Festive500の期間中にRaphaでは集った皆さんでサイクルクラブ大阪から神戸方面に帰るライドイベントを提案しました。1人で夜の帰りが不安な人も数人で帰宅する事で不安は少なくなるはずです。これを機会に1週間や2週間に一度だけでも自転車で通勤してみて下さい。街の見え方はぐっと変わり、もっと自分の街が好きになるでしょう。
Hiro’s Festive500 Day4, 44,8km
12月28日(土)大荒れの定番アワイチが牙を剥く
この日から年末年始の休暇に突入する人が多かった28日(土)のライドイベントは、瀬戸内海東部の淡路島一周ライド(通称アワイチ)。昨年のFestive500 Club Rideでも走ったこの場所は、関西近郊の自転車人にとっては定番コースで、150kmを超えるロングライドとしても有名です。冬は特に強風が吹き荒れる場所で、ひとたび天候が崩れるとベテランのライダーでもショートカットをしたり走るのを辞める人が出るほど…。
この日だけは冒頭に書いた「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を止め、島を時計回りに1周する定番コースを踏襲しました。距離が長い事と、天気が崩れた場合のエスケープルートを考慮しての決断でした。
朝は天候にも恵まれ風も穏やかにスタート。よしこのまま最後まで頼むぜ!と意気揚々と走っていると今回唯一の峠で何と雪が!峠を下り切ると、雨混じりの雪が容赦なく我々の頬をたたき、150km走ると決めた信念をくじこうとします。幸い悪天候は長くは続かず、時折晴れ間を見せるのですが相変わらず横っ面を引っぱたかれるように風は強いのです。南端から先は追い風気味に変わり少しずつスピードに乗っていき、日が落ちる前にスタート地点に戻る事ができました。
元気な人だと、淡路島まで家から自走で来て帰ると言う人もいてこの日だけで200kmを優に超えています。24日から走り始めた僕などはこの日が丁度半分を超えた辺りで少しずつ疲労を感じていた頃。この先31日まで走りきれるのか…。そんな弱音がフッと頭をよぎったのはココだけの話…。
Hiro’s Festive500 Day5, 158.7km
12月29日(日)冬でも走る女性ライダーに元気をもらって
そして明くる29日は大阪府北部の箕面駅を起点にした60kmのコース。Festive500 Club Rideの中で唯一の女性限定ライド。これまでもRaphaサイクルクラブ大阪ではWomen’s Club Rideとして何度も女性ライドを開催していますが、冬になると冬眠するかのように女性サイクリストは減っていくのです!
男性でも寒い事には違いないし、暖かい布団からわざわざ這い出して寒空の下ペダルを回すのは至難の技。でもそれは一人で走るからではないでしょうか?仲間と一緒に走るのであれば朝起きるのがシンドイなんて弱音は吐けないでしょう?
この日の朝はピンと張りつめた空気が刺さるような寒さ。雲一つない空から太陽はさんさんと注いでいるのですが、箕面から北に標高を上げつつ山間を抜けるため気温は上がらず、まるで冷蔵庫の中に居るような感じ。だけどこの厳しい寒さと太陽の光の調和が僕はたまらなく好きなのです。
キンキンに冷えた山の空気を朝日が包みこむ瞬間は、透き通った香りがするかのよう。言葉にはできません。通るはずだったルートは前夜の局地的な雨の影響で道路が一部凍結し、大事を取ってルート変更。距離は短くなってしまったのですが冬の北摂を走る楽しみを感じてもらえたら幸いです。
Hiro’s Festive500 Day6, 79.0km
12月30日(月)サディスティックな奈良ライド
残すところ2日となったFestive500 Club Ride。12月30日は奈良県でのライド。鹿で有名な奈良公園をスタートし急勾配で有名な鉢伏峠を抜け一台峠へ。この二つの峠を超えればあとは急峻な場所はなく、布目ダム、野牛を進む約70kmのコース。
今回のコースを考えてくれたのもフォトグラファーの辻啓。今回も地元のライダーすら行かないコースを嗅ぎ当て魅力的な場所に連れて行ってくれました。この日は1,300mほど登るという。毎日走っている身からすると足が泣きそうな日でもあります…。
これで7日目となるFestive500 Club Rideですが関西各地で風景がどれも異なることに驚きます。里山の風景もはっきりとした違いではないのですが確かにあり、目に見えない違いを感じるのです。この日とても嬉しかったのが女性が3人参加してくれた事。しかも皆なかなか良いペースで走る走る。
「他のイベントににも来て下さいよ!」と僕
「いや~、ついて行けないデスよ~。」彼女達
謙虚に答えてくれるのですが、遅れたって大丈夫なのです。僕たちのClub Rideは特に男性だけを対象にしているわけではなく、いつでも女性はウェルカムです。また次の機会にも是非参加して下さいね。
Hiro’s Festive500 Day7, 72.3km
12月31日(火)古都で迎えた大晦日、京都の峠から街へ
大晦日は京都へ。ここのルート作成はRaphaがサポートする八ヶ岳サイクリングクラブのヴィンちゃんことヴィンセント・フラナガンさんと松村孝一さんに依頼。京都のローカルライダーの2人は道を知り尽くしたエキスパート。昨年4月に京都で行われたRapha Kyoto Gentlemen’s Raceのコースもこの2人の尽力によるもの。
前半から江文峠、途中峠と二つの峠を越えるところ、天気は良いにも関わらず低気温が立ちはだかる。前夜に京都で降った雨がそのまま凍る恐れが有るため、京都市内でも至る所に冬の名物、凍結防止の塩カル(塩化カルシウム)が。2人のオーガナイザーが危惧するのはこの先の道の凍結具合。
予想は残念ながら的中し、最初の峠のアプローチで既に一部路面が凍結。アイスバーンと化した路面をビンディングシューズでヨチヨチ歩きでかわし、降りては乗るを繰り返しようやく最初の江文峠へ。そこからの下りは日陰が多く、凍結部分が増えてもう乗ることがほぼ出来ません。なんとか下り切って話し合いの結果、これから先は危険と判断。2013年最後のライドイベントは完走を断念し、ルートを変更することとなりました。
ルートを変更せざるを得なかった私達は予定変更。急遽京都観光シティライドに行くことに!この変更に心踊ったのは僕だけではないはず。個人的に京都のど真ん中を走ってみたかったからというのもありますが。本日の目標60kmは達成できそうにないけれど、少しでも距離を伸ばして神社に参拝に行きましょうか?
初めて見る有名な寺院を回りながら賑わいをみせる伏見稲荷で参拝。近くの小西いも、で皆で芋をほおばり2013年のFestive500は幕を閉じたのでした。
Hiro’s Festive500 Day8, 47.9km
冬を走るためのウェア選び
ラファはウェアブランドでもあるので、少し今回のライドでのウェアリングについてご紹介。この8日間毎日走った全体を通して気温はだいたい5℃前後。多くの場合山間部を抜けることが多いため早朝では気温は下がり、空気も冷たくなっています。
毎日実験するようにRaphaのウェアレイヤリングを変えて試していて特に良かったのがMerino Mesh Baselayerです。メッシュ生地というと夏用に思えますがその名の通りメリノウールの混紡を使用しているため、寒い冬に積極的に使用可能でした。参考までに毎日のレイヤリングの基本を記しておきます。肌に近い順に
・Merino Mesh Baselayer 半袖or長袖
・Merino Baselayer 半袖or長袖
・Long Sleeve Pro Team Jersey or Long Sleeve Jersey
・Softshell Gilet(廃盤)
・Classic Wind Jacket or Pro Team Race Cape(お守り代わり)
暑がりにも寒がりの人にもBaselayerの重ね着はお薦め。今回は気温がマイナスになる事はなかったためMerino Baselayerを使用しましたが、もっと寒い時はWinter BaselayerやDeep Winter Baselayerが良いでしょう。ベースレイヤーはサイクリングウェア選びの基本の基本。もし現在快適に走れていないのであればベースレイヤーを再検討するのも有効です。
8日間、Festive500を走り切って
8日間のFestive500を終えて考えたことはまず、参加した方が楽しんでくれたか、と言うこと。そして次にみんな500km達成したかな?と言うこと。勝手な言い方をすれば500kmを達成できなくても結果として楽しめたのならば良いチャレンジだったと考えて良いのではないでしょうか?
そして1人でも多くの人に冒頭の「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を感じて貰えたら最高です。僕たちのクラブライドはガイドをするのではなく、ライドの提案をします。次回は自身で地図と格闘しながらコースを作ったり、友達と迷いながら新しい場所へ繰り出してみて下さい。Rapha Cycle Club OsakaではそんなClub Rideを定期的に行っています。どなたでも参加できるので、お気軽にお問い合わせくださいね。
Hiro’s Festive500, total:639.3km
※チャレンジの達成者にはRaphaからワッペンが贈呈されます。リンク先より英文にて必要情報をご登録ください。1月17日が締め切りなのでお見逃し無く!
text:Hirohide Kubota
今回のFestive500のテーマ
Festive500は12月24日から31日の間に500km走りましょうというチャレンジ企画(Vol.1はこちら )です。達成できるかも重要ですが、チャレンジを計画立ててライドの中身を濃くすることがイベントの裏テーマ。Rapha Cycle Club Osaka主催のライドイベントを考えるにあたり、「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を提案したかったのです。
関西には誰もが知っている峠やコースが沢山ありますが、いつもと違ったコースを走ってみたい。このFestive500ライドのルート製作をお願いしたライダーはこの「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を知っている人ばかり。目の回りにはワクワクする場所や道が多くあるけど知らないだけ。じゃあこの機会に走ってみようではありませんか。そんなワクワクする年末の8日間はこんなテーマで始まりました。
12月24日(火)三田ライド さっそく道をそれてみる
Rapha Festive500サイクルクラブライドの一日目は、宝塚市をスタートし兵庫県の三田を回って帰ってくる約80kmの行程。交通量も少なく走りやすいため地元のアマチュアロードレーサーや熱心なサイクリストの定番の練習コースを下地に設定しましたが、この日は年末の平日と言うこともありサイクリストとは出会わず。
大きな峠はなく、細かいアップダウンの続くコースが特徴。近くには峠もあり、様々な走り方のできる懐の深いエリアです。この日も少しだけ横道に入って農道にお邪魔。泥は有りませんでしたが、Raphaのクラブライドに初めて参加した方は驚いたかもしれません。大阪市内から自走で来た人は既にこの日だけで120kmを走破。初日から120km超えはすごいですね…。
Hiro’s Festive500 Day1, 80km+α=105.8km
12月25日(水)大阪シティライドで船に乗る!
この日は、サイクルクラブのある大阪市の中心を巡る大阪シティライド。この日はいつものビブ、ジャージを脱ぎ、シティライド用のウェアでスマートにコーディネート。知っていそうで、知らない街の景色を探しに行きます。サイクルクラブ大阪から一路西へ、安治川沿いを港方面へ。
今回は大阪府民も地元の人でなければ無縁に等しい渡船に乗るのがテーマのひとつ。大阪は長い歴史の中で水の都とも呼ばれ以前は渡船も30カ所以上有ったそうですが、安治川、尻無川、木津川を中心に設置され、現在大阪府には8カ所の渡船場を残すのみ。いずれも多くの近隣住民の足として使われ自転車も乗船可能となっています。
渡船をコースに組み込んだ理由は渡船がこの辺りの歴史になっているから。時が経っても、数を減らしながらも形を変えて残っているのは土地の人に必要とされ続けている何よりの証。渡船といくつもの橋を繋げておよそ20km程。散歩するにもちょうど良い距離と時間です。お薦めの渡船場は今回も乗船した千歳渡船場。北恩加島側から乗船し、千歳橋のたもとを出発。なみはや大橋を右手に眺めながらの景色は大都市特有の情緒を持った風景です。
Hiro’s Festive500 Day2, 22.7km+α=72.3km
12月26日(木)ディープ大阪で人の暮らしの営為を感じる
3日目はシクロワイアードでもお馴染みのフォトグラファー、辻啓の案内で大阪は南河内方面へ。Rapha Cycle Club Osakaのクラブライドでも時折訪れるエリアですが、今回はまた新しい場所へ。友人でもある彼には何度も連れてきて貰っている地域ですが、この水先案内人はいつも笑っちゃうようなキツい坂や住民でも通らないであろう裏路地へと案内してくれました。
山間の家々を縫って走る坂道はどれも急で足に堪える場所ばかりですが、坂の繋ぎ方が絶妙なのと、道の雰囲気が相まって一つ一つ坂を登る度に何故かみんな呼吸を乱しながらも笑みが絶えないのです。
どんだけ登らせんねん!と突っ込みが出るほど坂を繋いだコースながら、ただキツいだけではない。路の端には苔がむし、雨が降る前の独特の湿気が森を包み、木々の間からは時折曇り空が覗く。同じような山の風景が日本中にありそうでですが、気候や住む人々によって実は微妙に異なっています。その違いを感じる機会を得たのはサイクリストの大きな特権かもしれません。この日は58km中、アプローチの平坦部分を抜くと30kmで900mほど登り足にかなりキた日でした。
Hiro’s Festive500 Day3, 58.5km
12月27日(金)通勤だからこそ、自転車に乗りたい
12月27日は2回目のシティライド。サイクルクラブ大阪のある大阪市から神戸方面へのコミューティングライド(通勤ライド)。神戸方面へと言っても無数の道が有りますが、それは集ったサイクリストのチョイス、そして即興でコースを探索する設定です。
僕を含め毎日自転車で通勤している人にとっては、自転車で通勤できないことをかなりの苦痛に感じるものです。日本では働く場所の都合や駐輪場の問題で、自転車通勤する人が欧米に比べても圧倒的に少ないと思います。帰りが遅くなり、夜の走行に不安を感じている方々がいるのも確か。
今回Festive500の期間中にRaphaでは集った皆さんでサイクルクラブ大阪から神戸方面に帰るライドイベントを提案しました。1人で夜の帰りが不安な人も数人で帰宅する事で不安は少なくなるはずです。これを機会に1週間や2週間に一度だけでも自転車で通勤してみて下さい。街の見え方はぐっと変わり、もっと自分の街が好きになるでしょう。
Hiro’s Festive500 Day4, 44,8km
12月28日(土)大荒れの定番アワイチが牙を剥く
この日から年末年始の休暇に突入する人が多かった28日(土)のライドイベントは、瀬戸内海東部の淡路島一周ライド(通称アワイチ)。昨年のFestive500 Club Rideでも走ったこの場所は、関西近郊の自転車人にとっては定番コースで、150kmを超えるロングライドとしても有名です。冬は特に強風が吹き荒れる場所で、ひとたび天候が崩れるとベテランのライダーでもショートカットをしたり走るのを辞める人が出るほど…。
この日だけは冒頭に書いた「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を止め、島を時計回りに1周する定番コースを踏襲しました。距離が長い事と、天気が崩れた場合のエスケープルートを考慮しての決断でした。
朝は天候にも恵まれ風も穏やかにスタート。よしこのまま最後まで頼むぜ!と意気揚々と走っていると今回唯一の峠で何と雪が!峠を下り切ると、雨混じりの雪が容赦なく我々の頬をたたき、150km走ると決めた信念をくじこうとします。幸い悪天候は長くは続かず、時折晴れ間を見せるのですが相変わらず横っ面を引っぱたかれるように風は強いのです。南端から先は追い風気味に変わり少しずつスピードに乗っていき、日が落ちる前にスタート地点に戻る事ができました。
元気な人だと、淡路島まで家から自走で来て帰ると言う人もいてこの日だけで200kmを優に超えています。24日から走り始めた僕などはこの日が丁度半分を超えた辺りで少しずつ疲労を感じていた頃。この先31日まで走りきれるのか…。そんな弱音がフッと頭をよぎったのはココだけの話…。
Hiro’s Festive500 Day5, 158.7km
12月29日(日)冬でも走る女性ライダーに元気をもらって
そして明くる29日は大阪府北部の箕面駅を起点にした60kmのコース。Festive500 Club Rideの中で唯一の女性限定ライド。これまでもRaphaサイクルクラブ大阪ではWomen’s Club Rideとして何度も女性ライドを開催していますが、冬になると冬眠するかのように女性サイクリストは減っていくのです!
男性でも寒い事には違いないし、暖かい布団からわざわざ這い出して寒空の下ペダルを回すのは至難の技。でもそれは一人で走るからではないでしょうか?仲間と一緒に走るのであれば朝起きるのがシンドイなんて弱音は吐けないでしょう?
この日の朝はピンと張りつめた空気が刺さるような寒さ。雲一つない空から太陽はさんさんと注いでいるのですが、箕面から北に標高を上げつつ山間を抜けるため気温は上がらず、まるで冷蔵庫の中に居るような感じ。だけどこの厳しい寒さと太陽の光の調和が僕はたまらなく好きなのです。
キンキンに冷えた山の空気を朝日が包みこむ瞬間は、透き通った香りがするかのよう。言葉にはできません。通るはずだったルートは前夜の局地的な雨の影響で道路が一部凍結し、大事を取ってルート変更。距離は短くなってしまったのですが冬の北摂を走る楽しみを感じてもらえたら幸いです。
Hiro’s Festive500 Day6, 79.0km
12月30日(月)サディスティックな奈良ライド
残すところ2日となったFestive500 Club Ride。12月30日は奈良県でのライド。鹿で有名な奈良公園をスタートし急勾配で有名な鉢伏峠を抜け一台峠へ。この二つの峠を超えればあとは急峻な場所はなく、布目ダム、野牛を進む約70kmのコース。
今回のコースを考えてくれたのもフォトグラファーの辻啓。今回も地元のライダーすら行かないコースを嗅ぎ当て魅力的な場所に連れて行ってくれました。この日は1,300mほど登るという。毎日走っている身からすると足が泣きそうな日でもあります…。
これで7日目となるFestive500 Club Rideですが関西各地で風景がどれも異なることに驚きます。里山の風景もはっきりとした違いではないのですが確かにあり、目に見えない違いを感じるのです。この日とても嬉しかったのが女性が3人参加してくれた事。しかも皆なかなか良いペースで走る走る。
「他のイベントににも来て下さいよ!」と僕
「いや~、ついて行けないデスよ~。」彼女達
謙虚に答えてくれるのですが、遅れたって大丈夫なのです。僕たちのClub Rideは特に男性だけを対象にしているわけではなく、いつでも女性はウェルカムです。また次の機会にも是非参加して下さいね。
Hiro’s Festive500 Day7, 72.3km
12月31日(火)古都で迎えた大晦日、京都の峠から街へ
大晦日は京都へ。ここのルート作成はRaphaがサポートする八ヶ岳サイクリングクラブのヴィンちゃんことヴィンセント・フラナガンさんと松村孝一さんに依頼。京都のローカルライダーの2人は道を知り尽くしたエキスパート。昨年4月に京都で行われたRapha Kyoto Gentlemen’s Raceのコースもこの2人の尽力によるもの。
前半から江文峠、途中峠と二つの峠を越えるところ、天気は良いにも関わらず低気温が立ちはだかる。前夜に京都で降った雨がそのまま凍る恐れが有るため、京都市内でも至る所に冬の名物、凍結防止の塩カル(塩化カルシウム)が。2人のオーガナイザーが危惧するのはこの先の道の凍結具合。
予想は残念ながら的中し、最初の峠のアプローチで既に一部路面が凍結。アイスバーンと化した路面をビンディングシューズでヨチヨチ歩きでかわし、降りては乗るを繰り返しようやく最初の江文峠へ。そこからの下りは日陰が多く、凍結部分が増えてもう乗ることがほぼ出来ません。なんとか下り切って話し合いの結果、これから先は危険と判断。2013年最後のライドイベントは完走を断念し、ルートを変更することとなりました。
ルートを変更せざるを得なかった私達は予定変更。急遽京都観光シティライドに行くことに!この変更に心踊ったのは僕だけではないはず。個人的に京都のど真ん中を走ってみたかったからというのもありますが。本日の目標60kmは達成できそうにないけれど、少しでも距離を伸ばして神社に参拝に行きましょうか?
初めて見る有名な寺院を回りながら賑わいをみせる伏見稲荷で参拝。近くの小西いも、で皆で芋をほおばり2013年のFestive500は幕を閉じたのでした。
Hiro’s Festive500 Day8, 47.9km
冬を走るためのウェア選び
ラファはウェアブランドでもあるので、少し今回のライドでのウェアリングについてご紹介。この8日間毎日走った全体を通して気温はだいたい5℃前後。多くの場合山間部を抜けることが多いため早朝では気温は下がり、空気も冷たくなっています。
毎日実験するようにRaphaのウェアレイヤリングを変えて試していて特に良かったのがMerino Mesh Baselayerです。メッシュ生地というと夏用に思えますがその名の通りメリノウールの混紡を使用しているため、寒い冬に積極的に使用可能でした。参考までに毎日のレイヤリングの基本を記しておきます。肌に近い順に
・Merino Mesh Baselayer 半袖or長袖
・Merino Baselayer 半袖or長袖
・Long Sleeve Pro Team Jersey or Long Sleeve Jersey
・Softshell Gilet(廃盤)
・Classic Wind Jacket or Pro Team Race Cape(お守り代わり)
暑がりにも寒がりの人にもBaselayerの重ね着はお薦め。今回は気温がマイナスになる事はなかったためMerino Baselayerを使用しましたが、もっと寒い時はWinter BaselayerやDeep Winter Baselayerが良いでしょう。ベースレイヤーはサイクリングウェア選びの基本の基本。もし現在快適に走れていないのであればベースレイヤーを再検討するのも有効です。
8日間、Festive500を走り切って
8日間のFestive500を終えて考えたことはまず、参加した方が楽しんでくれたか、と言うこと。そして次にみんな500km達成したかな?と言うこと。勝手な言い方をすれば500kmを達成できなくても結果として楽しめたのならば良いチャレンジだったと考えて良いのではないでしょうか?
そして1人でも多くの人に冒頭の「いつもの道を1本それてみる楽しさ」を感じて貰えたら最高です。僕たちのクラブライドはガイドをするのではなく、ライドの提案をします。次回は自身で地図と格闘しながらコースを作ったり、友達と迷いながら新しい場所へ繰り出してみて下さい。Rapha Cycle Club OsakaではそんなClub Rideを定期的に行っています。どなたでも参加できるので、お気軽にお問い合わせくださいね。
Hiro’s Festive500, total:639.3km
※チャレンジの達成者にはRaphaからワッペンが贈呈されます。リンク先より英文にて必要情報をご登録ください。1月17日が締め切りなのでお見逃し無く!
text:Hirohide Kubota