2014/02/25(火) - 09:33
スーパーライトの名を冠したIZALCO TEAM SLの登場から1年、早くもフォーカスはフラッグシップモデルのモデルチェンジに踏み切った。「IZALCO MAX」は、フォークとリアバックを可能な限りシェイプアップ、フレーム重量750gを達成した意欲作。その実力に迫る。
ドイツのロードバイクブランドを幾つか挙げよ、と聞かれて、詳しい方ならばすぐにその名が出てくるであろうフォーカス。1992年創業とまだ歴史が浅いながらも質実剛健なバイク開発と製作を行い、僅か10年あまりにして世界の有名ブランドと方を並べるまでに成長した総合ブランドである。
そんなフォーカスのフラッグシップロードの座に燦然と輝くのが、IZALCO(イザルコ)だ。カーボンの初代モデル登場以来、IZALCOは時代のプロチームへと供給され、そこからのフィードバックを得ながら進化を続けてきた。2013年シーズンはフランスのUCIプロツアーチームであるアージェードゥーゼルがフォーカスバイクを使用し、クリストフ・リブロンのラルプデュエズ制覇やカルロス・ベタンクールの新人賞獲得などが記憶に新しい。
IZALCO MAXの開発コンセプトは、過酷なレース環境に耐え得る強度と剛性を備えながら、徹底的に重量を削ぎ落とすことにある。従来モデルであるIzalco Team SLまでは長きに渡り、ほぼ同様のルックスを堅持してきたが、可能な限り細身としたフォークやリアバックを備え、そのイメージを一新した。
場所によってチューブ厚1mm以下というフレームには、「HMカーボン」と「ウルトラHMカーボン」という2種類の素材を独自比率でブレンドしたカーボンシートが使用され、1枚1枚のシート面積を可能な限り大きく取り接合部を減らすことで軽量化が推し量られている。フレーム内部を限りなく滑らかに仕上げていることも、応力集中や重量増を防ぐためのキーフィーチャーだ。
クラウン部分から一気にシェイプされる、まるでピンヒールのようなフロントフォークはIZALCO MAXのアイコンとも呼べる部分。当然の如くエンドまでカーボン製となるフォークの重量は僅か295gをマークするが、一体成形工法により十分な横剛性(55N/mm)と強度を確保しているという。軽量化のために一般的なプレッシャーアンカー方式を廃し、臼を使用したオリジナル規格を導入した(継続モデルであるIzalco Team SLにも採用されている)点も話題である。
IZALCO MAXの軽量化はこれだけに留まらず、フレーム一体式のフルカーボン製FD台座や、「THE MAX CRAMP」と名付けられた僅か18gのシートクランプ、そして今時のフレームには珍しく、メカニカル/電動コンポーネント兼用をしていないというストイックさ。この点も含め、あくまでプロ選手や、コンポーネントの好き嫌いを明確に知る上級(もしくはベテラン)ライダーへと最もフィットするバイクだと言えるだろう。
一方で軽量バイクが陥りがちな不安定感や剛性低下を防ぎ、ハードユースにも耐える強度の確保も忘れられてはいない。ヘッドチューブ周辺にはトップ〜ヘッド〜ダウンチューブと繋がるコの字状のリブが確認できるが、これはヘッドチューブ断面形状を工夫し強度を稼ぐ「ブーストボックス」と呼ばれる新構造。そこから繋がる極太の真円トップチューブも剛性強化に一役買っている部分だ。
もちろんフォーカス製カーボンフレームの特長である「SSPS」、つまりフレームサイズによってチューブの外径を変え、トップチューブとダウンチューブの剛性バランスを調整するシステムが投入されており、各サイズ間で性能差が出ないよう配慮されている。フルカーボン製のBBシェルはベアリングを支持するパーツを省略したPF30規格を採用することで、肉厚を2mm以下に抑えているというから驚きだ。
今回のテストに用意したのは、コンポーネントにスラムRED22を、ホイールにフルクラムRacing0を搭載した最軽量パッケージ。完成車重量わずか6.2kgという、アージェードゥーゼルの2014年メインバイクの性能に迫る。
ーインプレッション
「ダッシュが連続する場面を得意とする生粋のレーシングマシン」江下健太郎(じてんしゃPit)
このバイクはまず第一に、軽さではなく剛性感が目立ちました。見た目の華奢さからはイメージできないほど非常にがっしりとしており、持ち前の軽量性と組み合わさることで、昨年のIZALCO TEAM SLと同様の抜群の軽快感ある走りを見せてくれました。
前述したように剛性に関しては非常に高く、それは踏み心地と乗り心地の面に顕著に現れています。ペダルに軽く力を加えてもフレームがスススと進むほどにダイレクトな反応があり、フィーリングはかなり軽いものがあります。
細さが際立つフロントフォークもフレーム同様のしっかりとした剛性を有していて、フロント荷重のスプリントでも捻れやたわみが生まれることなく、パワーを受け止め加速に繋げてくれます。
ピュアレーシングバイクだけにペダリングスキルに対する許容度も広くありませんが、これはスキルを自然と養うことができる、と捉えることもできますね。ロス無く進むバイクですから、綺麗なペダリングができればその分楽をして走ることができるでしょう。一気にパワーをかけた場合でも、たわみなどはほとんどありません。
低速域ではハンドリングに鈍さを感じる場面もありましたが、中〜高速域ではこれが見事に解消され、狙ったラインを外しません。乗り心地に関してはレーサーであるだけに、路面の振動をダイレクトに身体へと伝えてくる性格がありますね。
長距離や荒れた路面を走る場合、振動や硬さによる疲れがたまるので、それを押さえ込む技術や慣れ、基本的な体力がある程度必要ですが、これは走り込みとともに向上する部分だと思います。
そんな性格があるピュアレーサーですから、はやり得意なのはクリテリウムのようなダッシュが多く、かつ短時間に繰り返すような場面です。また、高出力をキープできるパワーライダーや、スプリントが得意な方に向いているバイクだと言えます。耐久レースやツール・ド・おきなわの長距離コースなどの場合は自分の脚質とレース時間、高低差にあわせたセッティングを考えたほうが良いかもしれません。
特有の硬さを和らげたい場合、タイヤやホイールのアッセンブルを替えるといいでしょう。テストバイクには高剛性のホイールがセットされていましたから、これを例えばカーボンホイールに換え、太めのタイヤを付ければずいぶんと改善されると思いますね。
また、ジオメトリのフロントセンターが若干短めであり、フロントフォークの剛性が高いことも重なって下りでは前方にのめってしまうような雰囲気があります。ですからサイズ選びで迷った場合、適正範囲内で少し大きめにした方が良いのでは?と個人的に感じました。
総じて今回のテストバイクは、フレーム、フォーク、パーツアッセンブル全てにおいて軽量で高剛性を追求したもの。トレンドは柔軟性を持ち合わせたレーシングバイクですが、そうではなく、ピュアレーサーや自身のスキルを向上させたい方にベストなモデルです。
「細身の軽量バイクだが、それを感じさせない剛性と乗り味がある」小西裕介(なるしまフレンド)
細身のルックスはエンデュランスバイクのような雰囲気を感じさせましたが、中身は完全なるピュアレーシングバイクでした。高剛性、素早い反応、踏んだ分だけの加速…。脚力のある方が乗ればとても面白いと感じるであろうバイクです。
高剛性と軽さが利いた乗り味、つまり漕ぎ出しが軽く、踏んでいけるという感覚が強いことが特徴で、特に登りではフロントフォークやリアバックのたわみの無さが活きており軽快に走ってくれました。ダンシングでもシッティングでも軽快に登れるし、斜度の緩急に関わらずダンシングのフィーリングが変わらずに良く前に進んでくれました。反応性が良いのでペダルを踏んだ分だけ進んでくれるという印象ですね。
全体的な剛性が高いことに加えてバランスが取れているため、前後左右にしなりが生まれず乗り味に不安を感じません。細身のフォルムに目がいきがちですが、ボリュームあるBB周りの造形やたわまないフォークなどがしっかりと効いているのでしょう。ハンドリングはニュートラルですから緊張無くコーナーに入れますし、ブレーキも前後ともしっかりとかかってくれる。高速域で走らせたいバイクです。
高剛性のフレームなので路面の振動を直に伝えてくるかと思いましたが、細かいザラつきをカットしていることが意外でした。どこで振動吸収しているのかはっきりと分かりませんでしたが、カーボンの積層や素材自体の工夫がそうさせているのでしょう。振動を吸収しているので、ロングライドでも取り立てて問題になることはないでしょう。
ピュアレーシングバイクですから、レースなど速度域が高い場面で活きるはず。プロライダーのためのフレームですが、ホビーライダーでも十分にその性能を味わうことができるでしょう。どんなコースにも対応しますが、瞬間的なダッシュを要するレースでこそ真価を発揮します。
フレーム単体のコストパフォーマンスは非常に良いと言えますが、後で失敗の無いようにコンポーネントの電動/機械式はしっかりと判断しておきましょう。このフレームの特徴を伸ばすには硬いミドルハイトのホイールが合っています。ですから今回の完成車パッケージはとても良いと思いました。
このイザルコは、レースで良い成績を出すことを目標にしている人に乗ってもらいたいバイクです。誰でもこの高性能を体感できるでしょうし、細部にまでこだわり抜かれた軽量化など、所有欲も満たしてくれるはずです。
フォーカス IZALCO MAX
フレーム:IZALCO MAX P2T 10 CARBON
フォーク:IZALCO MAX P2T 10 CARBON T4
重 量:750g(フレーム単体)、6.2kg(スラムRED22仕様)
カラー:CARBON/RED(1.0)、CARBON/YELLOW(3.0)
サイズ:48、50、52、54、56cm
価 格:スラムRED22仕様882,000円(税込)、フレームセット441,000円(税込)
インプレライダーのプロフィール
江下健太郎(じてんしゃPit)
ロード、MTB、シクロクロスとジャンルを問わず活躍する現役ライダー。かつては愛三工業レーシングに所属し、2005年の実業団チームランキング1位に貢献。1999年MTB&シクロクロスU23世界選手権日本代表。ロードでは2002年ツール・ド・台湾日本代表を経験し、また、ツール・ド・ブルギナファソで敢闘賞を獲得。埼玉県日高市の「じてんしゃPit」店主としてレースの現場から得たノウハウを提供している。愛称は「えしけん」。
じてんしゃPit
小西裕介(なるしまフレンド)
なるしまフレンド立川店店長。登録レーサーを経験し、メカニックの知識も豊富で走ることからメカのことまでアドバイスできるノウハウを持つ。レース歴は19年。過去ツール・ド・台湾などの国際レースにも出場するなど、トップレベルのロードサイクリストとして活躍した経歴を持つ。脚質はサーキットコースを得意とするスピードマンだ。
なるしまフレンド
ウェア協力:ビエンメ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
ドイツのロードバイクブランドを幾つか挙げよ、と聞かれて、詳しい方ならばすぐにその名が出てくるであろうフォーカス。1992年創業とまだ歴史が浅いながらも質実剛健なバイク開発と製作を行い、僅か10年あまりにして世界の有名ブランドと方を並べるまでに成長した総合ブランドである。
そんなフォーカスのフラッグシップロードの座に燦然と輝くのが、IZALCO(イザルコ)だ。カーボンの初代モデル登場以来、IZALCOは時代のプロチームへと供給され、そこからのフィードバックを得ながら進化を続けてきた。2013年シーズンはフランスのUCIプロツアーチームであるアージェードゥーゼルがフォーカスバイクを使用し、クリストフ・リブロンのラルプデュエズ制覇やカルロス・ベタンクールの新人賞獲得などが記憶に新しい。
IZALCO MAXの開発コンセプトは、過酷なレース環境に耐え得る強度と剛性を備えながら、徹底的に重量を削ぎ落とすことにある。従来モデルであるIzalco Team SLまでは長きに渡り、ほぼ同様のルックスを堅持してきたが、可能な限り細身としたフォークやリアバックを備え、そのイメージを一新した。
場所によってチューブ厚1mm以下というフレームには、「HMカーボン」と「ウルトラHMカーボン」という2種類の素材を独自比率でブレンドしたカーボンシートが使用され、1枚1枚のシート面積を可能な限り大きく取り接合部を減らすことで軽量化が推し量られている。フレーム内部を限りなく滑らかに仕上げていることも、応力集中や重量増を防ぐためのキーフィーチャーだ。
クラウン部分から一気にシェイプされる、まるでピンヒールのようなフロントフォークはIZALCO MAXのアイコンとも呼べる部分。当然の如くエンドまでカーボン製となるフォークの重量は僅か295gをマークするが、一体成形工法により十分な横剛性(55N/mm)と強度を確保しているという。軽量化のために一般的なプレッシャーアンカー方式を廃し、臼を使用したオリジナル規格を導入した(継続モデルであるIzalco Team SLにも採用されている)点も話題である。
IZALCO MAXの軽量化はこれだけに留まらず、フレーム一体式のフルカーボン製FD台座や、「THE MAX CRAMP」と名付けられた僅か18gのシートクランプ、そして今時のフレームには珍しく、メカニカル/電動コンポーネント兼用をしていないというストイックさ。この点も含め、あくまでプロ選手や、コンポーネントの好き嫌いを明確に知る上級(もしくはベテラン)ライダーへと最もフィットするバイクだと言えるだろう。
一方で軽量バイクが陥りがちな不安定感や剛性低下を防ぎ、ハードユースにも耐える強度の確保も忘れられてはいない。ヘッドチューブ周辺にはトップ〜ヘッド〜ダウンチューブと繋がるコの字状のリブが確認できるが、これはヘッドチューブ断面形状を工夫し強度を稼ぐ「ブーストボックス」と呼ばれる新構造。そこから繋がる極太の真円トップチューブも剛性強化に一役買っている部分だ。
もちろんフォーカス製カーボンフレームの特長である「SSPS」、つまりフレームサイズによってチューブの外径を変え、トップチューブとダウンチューブの剛性バランスを調整するシステムが投入されており、各サイズ間で性能差が出ないよう配慮されている。フルカーボン製のBBシェルはベアリングを支持するパーツを省略したPF30規格を採用することで、肉厚を2mm以下に抑えているというから驚きだ。
今回のテストに用意したのは、コンポーネントにスラムRED22を、ホイールにフルクラムRacing0を搭載した最軽量パッケージ。完成車重量わずか6.2kgという、アージェードゥーゼルの2014年メインバイクの性能に迫る。
ーインプレッション
「ダッシュが連続する場面を得意とする生粋のレーシングマシン」江下健太郎(じてんしゃPit)
このバイクはまず第一に、軽さではなく剛性感が目立ちました。見た目の華奢さからはイメージできないほど非常にがっしりとしており、持ち前の軽量性と組み合わさることで、昨年のIZALCO TEAM SLと同様の抜群の軽快感ある走りを見せてくれました。
前述したように剛性に関しては非常に高く、それは踏み心地と乗り心地の面に顕著に現れています。ペダルに軽く力を加えてもフレームがスススと進むほどにダイレクトな反応があり、フィーリングはかなり軽いものがあります。
細さが際立つフロントフォークもフレーム同様のしっかりとした剛性を有していて、フロント荷重のスプリントでも捻れやたわみが生まれることなく、パワーを受け止め加速に繋げてくれます。
ピュアレーシングバイクだけにペダリングスキルに対する許容度も広くありませんが、これはスキルを自然と養うことができる、と捉えることもできますね。ロス無く進むバイクですから、綺麗なペダリングができればその分楽をして走ることができるでしょう。一気にパワーをかけた場合でも、たわみなどはほとんどありません。
低速域ではハンドリングに鈍さを感じる場面もありましたが、中〜高速域ではこれが見事に解消され、狙ったラインを外しません。乗り心地に関してはレーサーであるだけに、路面の振動をダイレクトに身体へと伝えてくる性格がありますね。
長距離や荒れた路面を走る場合、振動や硬さによる疲れがたまるので、それを押さえ込む技術や慣れ、基本的な体力がある程度必要ですが、これは走り込みとともに向上する部分だと思います。
そんな性格があるピュアレーサーですから、はやり得意なのはクリテリウムのようなダッシュが多く、かつ短時間に繰り返すような場面です。また、高出力をキープできるパワーライダーや、スプリントが得意な方に向いているバイクだと言えます。耐久レースやツール・ド・おきなわの長距離コースなどの場合は自分の脚質とレース時間、高低差にあわせたセッティングを考えたほうが良いかもしれません。
特有の硬さを和らげたい場合、タイヤやホイールのアッセンブルを替えるといいでしょう。テストバイクには高剛性のホイールがセットされていましたから、これを例えばカーボンホイールに換え、太めのタイヤを付ければずいぶんと改善されると思いますね。
また、ジオメトリのフロントセンターが若干短めであり、フロントフォークの剛性が高いことも重なって下りでは前方にのめってしまうような雰囲気があります。ですからサイズ選びで迷った場合、適正範囲内で少し大きめにした方が良いのでは?と個人的に感じました。
総じて今回のテストバイクは、フレーム、フォーク、パーツアッセンブル全てにおいて軽量で高剛性を追求したもの。トレンドは柔軟性を持ち合わせたレーシングバイクですが、そうではなく、ピュアレーサーや自身のスキルを向上させたい方にベストなモデルです。
「細身の軽量バイクだが、それを感じさせない剛性と乗り味がある」小西裕介(なるしまフレンド)
細身のルックスはエンデュランスバイクのような雰囲気を感じさせましたが、中身は完全なるピュアレーシングバイクでした。高剛性、素早い反応、踏んだ分だけの加速…。脚力のある方が乗ればとても面白いと感じるであろうバイクです。
高剛性と軽さが利いた乗り味、つまり漕ぎ出しが軽く、踏んでいけるという感覚が強いことが特徴で、特に登りではフロントフォークやリアバックのたわみの無さが活きており軽快に走ってくれました。ダンシングでもシッティングでも軽快に登れるし、斜度の緩急に関わらずダンシングのフィーリングが変わらずに良く前に進んでくれました。反応性が良いのでペダルを踏んだ分だけ進んでくれるという印象ですね。
全体的な剛性が高いことに加えてバランスが取れているため、前後左右にしなりが生まれず乗り味に不安を感じません。細身のフォルムに目がいきがちですが、ボリュームあるBB周りの造形やたわまないフォークなどがしっかりと効いているのでしょう。ハンドリングはニュートラルですから緊張無くコーナーに入れますし、ブレーキも前後ともしっかりとかかってくれる。高速域で走らせたいバイクです。
高剛性のフレームなので路面の振動を直に伝えてくるかと思いましたが、細かいザラつきをカットしていることが意外でした。どこで振動吸収しているのかはっきりと分かりませんでしたが、カーボンの積層や素材自体の工夫がそうさせているのでしょう。振動を吸収しているので、ロングライドでも取り立てて問題になることはないでしょう。
ピュアレーシングバイクですから、レースなど速度域が高い場面で活きるはず。プロライダーのためのフレームですが、ホビーライダーでも十分にその性能を味わうことができるでしょう。どんなコースにも対応しますが、瞬間的なダッシュを要するレースでこそ真価を発揮します。
フレーム単体のコストパフォーマンスは非常に良いと言えますが、後で失敗の無いようにコンポーネントの電動/機械式はしっかりと判断しておきましょう。このフレームの特徴を伸ばすには硬いミドルハイトのホイールが合っています。ですから今回の完成車パッケージはとても良いと思いました。
このイザルコは、レースで良い成績を出すことを目標にしている人に乗ってもらいたいバイクです。誰でもこの高性能を体感できるでしょうし、細部にまでこだわり抜かれた軽量化など、所有欲も満たしてくれるはずです。
フォーカス IZALCO MAX
フレーム:IZALCO MAX P2T 10 CARBON
フォーク:IZALCO MAX P2T 10 CARBON T4
重 量:750g(フレーム単体)、6.2kg(スラムRED22仕様)
カラー:CARBON/RED(1.0)、CARBON/YELLOW(3.0)
サイズ:48、50、52、54、56cm
価 格:スラムRED22仕様882,000円(税込)、フレームセット441,000円(税込)
インプレライダーのプロフィール
江下健太郎(じてんしゃPit)
ロード、MTB、シクロクロスとジャンルを問わず活躍する現役ライダー。かつては愛三工業レーシングに所属し、2005年の実業団チームランキング1位に貢献。1999年MTB&シクロクロスU23世界選手権日本代表。ロードでは2002年ツール・ド・台湾日本代表を経験し、また、ツール・ド・ブルギナファソで敢闘賞を獲得。埼玉県日高市の「じてんしゃPit」店主としてレースの現場から得たノウハウを提供している。愛称は「えしけん」。
じてんしゃPit
小西裕介(なるしまフレンド)
なるしまフレンド立川店店長。登録レーサーを経験し、メカニックの知識も豊富で走ることからメカのことまでアドバイスできるノウハウを持つ。レース歴は19年。過去ツール・ド・台湾などの国際レースにも出場するなど、トップレベルのロードサイクリストとして活躍した経歴を持つ。脚質はサーキットコースを得意とするスピードマンだ。
なるしまフレンド
ウェア協力:ビエンメ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO