2014/03/04(火) - 08:51
2013年、スペシャライズドが「次世代の最速アルミレーシングバイク」と銘打ってデビューさせた新型Allez(アレー)。その新生アレーを更にブラッシュアップし、スペシャライズドのフラッグシップモデルに与えられる「S-WORKS」を冠した注目バイクのインプレッションを行った。
スペシャライズド S-WORKS ALLEZ (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
ロードバイクの進化の歴史は、フレーム素材の変遷でもある。クロモリやアルミから、軽さと強度、更にしなやかさという多くのメリットを兼ね備えるカーボンへ。この移り変わりは必然と言うべきことだが、まだまだ金属フレームの走りを愛して止まない人々もいる。
「カーボンバイクの台頭によって、アルミ製バイクは市場の隅に追いやられてしまっていた。僕らはアルミバイクを次世代のレベルへと進化させ、再び復権させたいと考えたんだ。」と語るのは、スペシャライズドのR&Dエンジニア、チャック・テシェイラ氏。イーストン=ベル・スポーツ社でおよそ25年に渡りアルミニウムに携わってきた氏こそ、新世代のアレー誕生を支えた中心人物である。
ダウンチューブ上下に大胆に記されたS-WORKS
スマートウェルディングが用いられたヘッド周辺。ほとんどビードも無く、非常に滑らかな仕上がりだ
最高峰のFactカーボンを使った、ターマックS-WORKSと同じフロントフォーク
ロードバイクに関しては、ターマックとルーベ、そしてヴェンジという3車種が有名なスペシャライズドだが、過去には先進の加工技術を導入してフルアルミのロードフレームを製造し、当時のトップチームへと供給した実績を持つ。2011年にテシェイラ氏がスペシャライズドへと加入したことで、高性能アルミフレームが誕生することはごく自然な流れであった。
それでは、「世界最高のアルミバイク」を目指した新生アレーは、従来の一般的なバイクと何が違うのか?それは剛性の要となるヘッドチューブ周辺の構造にある。通常の金属フレームでは円柱形のヘッドチューブにトップチューブとダウンチューブを繋ぐ行程を踏むが、アレーはあらかじめトップチューブとダウンチューブの前端をヘッドチューブと一体でハイドロフォーム成形し、そこに各チューブを繋いでいることがポイントである。
上1-1/8、下1-3/8というスペシャライズドオリジナルのヘッド規格を採用する
湾曲したトップチューブは、振動吸収性を狙ったもの
大口径のダウンチューブ。シフトワイヤーは外出し式だ
BBはプレスフィットを採用。セラミックスピード社製のベアリングが使用されている
更にこの接合部分にはスペシャライズドがパテントをもつ「ダルージオ・スマートウェルド」工法が用いられていることも注目すべき点だ。ハイドロフォーミングによって、ヘッド部の接合部を従来よりもトップ、ダウン側にオフセットさせることで、接合部をもっとも応力のかかる部分から遠ざけ、チューブの形状と構造を劇的に変化させた。さらに、それぞれの切り口を巻き上げた面で重ね合わせた際にできる溝に沿って溶接するというもの。
これによって強度を落とすこと無く、通常の溶接に対して接合部を薄く仕上げることが可能に。テシェイラ氏の言葉を借りれば、「スマートウェルディングによってアルミ溶接は劇的な変化を遂げた」のだ。オーバーコストを嫌い、ヘッドチューブのみこの工法が用いられている(他の部分だと溶接面が小さいため、メリットも少ない)ことは、いかに手間の掛かる技術であるかの逆説的な証明でもある。
滑らかな曲線を描くチェーンステーはハイドロフォーミングの賜物
質実剛健な作りを魅せるリアエンド。耐久性も高そうだ
セカンドグレードとなるアレーRACEとの違いは、使用するアルミチューブが僅かに薄い点。この他にケーブル受けやハンガーなどの細部が工夫されており、RACEと比較してフレームで20g軽い。僅かな減量ではあるものの、あえて細かに数値を刻んでくるあたりには、スペシャライズドの「本気」を感じざるを得ない。塗装は軽量化を追求したアノダイズド仕上げとなる。
フルアルミと聞くと振動吸収性に不安を感じるかもしれないが、次世代アルミバイクたるアレーでは、トップチューブを湾曲させ、更にシートステーを限りなく薄く扁平とすることで突き上げカットを考慮している。パワーの逃げを防ぐ、複雑な曲線を描くチェーンステーもハイドロフォーミング工法の賜物だ。
シートステーは振動吸収性能を狙って非常に薄く作られている
とてもスマートな仕上がりを見せるシートステー上部
シートチューブに記された、スマートウェルディングのロゴ
2013年の登場当時、世界限定110台という超稀少モデルとして登場したS-WORKSアレーだが、2014年モデルでは完成車として継続ラインナップされている。今回のテストバイクはその完成車スペックであり、コンポーネントは9000系デュラエース(クランクセットはS-WORKS)、ホイールはロヴァールのカーボンクリンチャーホイール「CLX40」だ。早速インプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「アルミならではの加速性を活かした、レーシングスペックバイク」小西裕介(なるしまフレンド)
ずばりアルミレーシングバイク。加速性能が非常に良く、カーボン全盛期の今にあって新鮮な乗り味を味わうことができました。荒れた路面ではアルミらしくゴツゴツという印象ですが、荒い路面を除いたコースであれば、ロングライドにも対応する足残りがよいフレームだと感じました。
このバイクは加速性に秀でており、特にダンシングをした際に気持ちよくパワーの掛かり前に進んでいきました。パワーを逃さない理由はフレーム、特にハンガー周辺の硬さにありますが、足に過度なストレスを返してくるほどではありません。思わずダッシュをかけたくなるような剛性感がありますね。
「アルミならではの加速性を活かした、レーシングスペックバイク」小西裕介(なるしまフレンド)
コーナリングやブレーキングに関しては抜群の安定感を誇ります。下りでスピードを出したときでも、曲がる動作が多い場面でも、狙ったラインをトレースできる安定したハンドリング性能がありました。ブレーキングも完成車パッケージでデュラエースが装備されているのですが、そのストッピングパワーを余すことなくコントロールできる余裕ぶり。ロヴァールホイールの剛性感も制動力に一役買っていると感じます。
得意としているのは、短い登りを一気に駆け上るような加速性を活かせる場面。そうした際にはカーボンバイクを出し抜く能力を感じましたし、また、長い登りではシッティングとダンシングを切り替えたときの繋がりがスムーズで、ロスがありません。このあたりは流石レーシングスペックですね。
また、漕いだときの軽さは平地でも活きています。ケイデンスを高めに保ちながらペダルを回すことで巡航しやすく、そこからアタックをかける場合も漕ぎが軽く、スピードの伸びが良い。足に疲労感が残ったり、踏み切れなかったりする印象は薄く、誰でもアルミの性質を活かした加速性や乗り味を味わえます。ただし荒れた路面では跳ねによりトラクションが抜けてしまうため、暴れを押さえ込む必要があります。
パーツアッセンブルも完成されているため、そのままの仕様でレースに出ても不満はありません。通じてこのバイクは、既にレースに出場していて、さらに上位を狙うレーサーに合っているでしょう。SL4と比較しても乗り味が劣ることがなく、プロカテゴリーでも通用するようなフィーリング。アルミのシャープさが好きな人には間違いなく合っているバイクです。
「カーボンバイクを超えるスペックを持つ、究極的なアルミバイク」江下健太郎(じてんしゃPit)
アルミにしてカーボンバイクを超えてしまったような印象があります。フレーム性能も高いのですが、完成車パッケージのパーツアッセンブルも含めて素晴らしい。アルミレーシングバイクとして理想の形を実現していると思いますね。
「カーボンバイクを超えるスペックを持つ、究極的なアルミバイク」江下健太郎(じてんしゃPit) このバイクの特筆すべきはアルミらしいクイックな反応性でしょう。加速の反応とハンドリングの反応、全てにおいて高いレベルで仕上がっており、「ここでついてきて欲しい」という思いに遅れること無く走ってくれます。
一踏みの加速性はターマックのS-WORKSと比較すれば負けてしまいますが、その下のグレードのバイクとは同等もしくはそれ以上の性能が出ています。
共通してハンドリングもクイックな味付けとなっており、これはヘッドアングルが立っていることで生まれているのだと思います。これと引き換えにまったりとしたフィーリングではないものの、ヘッド長やホイールベースなどを工夫してフラつきが出ないように工夫されています。
アルミフレームと言えば走行時に路面の細かい振動を伝えてくるというイメージが先行しがちですが、このアレーに関してはその傾向が薄い。
ホイールやタイヤなども絡んでくる部分ですから明確な判断はできませんが、シートステーの接続部がサイドに広がっていたり、チェーンステーをつぶしているあたりが振動カットに貢献していることは間違いないでしょう。
アルミのレーシングバイクですから、やはりレーサーにこそベストです。比較的大柄で重量があり、パワーがある方にマッチしていると思います。ヘッドが長い分、身長のある方ならばその影響を受けづらいですし、カーボンよりは脚が受けるダメージも大きい。これをパワーで跳ね返すことのできる方は、きっと一番性能を堪能できるはず。しかし柔らかめのホイールや、太めのタイヤを履かせることで暴れを抑えることもできるでしょう。
スペシャライズドがこの時代にアルミハイエンドバイクをリリースしたこと。そこには新たなトレンドを生み出そうという意欲を感じます。開発能力に秀でたブランドですから、アルミでも十分な性能を確保して、最近のクロモリブームをアルミでも巻き起こしたいのではないでしょうか。
アルミという一世代前の素材に最先端のテクノロジーを加える事で、アルミフレームの究極的な形で完成されているこのバイクは、ラグジュアリー的な存在。完成車としてのパッケージングも抜群に良いので、周りとは違う何かを求めたい方にはオススメできますね。
スペシャライズド S-WORKS ALLEZ (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
スペシャライズド S-WORKS ALLEZ
サイズ:490、520、540、560
フレーム:スペシャライズド S-Works Smartweld E5 alloy, hydroformed aluminum tubing, 1-3/8" lower bearing, OSBB
フォーク:スペシャライズド S-Works Tarmac, FACT carbon full monocoque, carbon steerer/crown for 1-3/8" lower bearing
コンポーネント:シマノ 9000系デュラエース
クランクセット:スペシャライズド FACT carbon, 52x36
ホイール:ロヴァール Rapide CLX 40
ハンドル、ステム、シートポスト:スペシャライズド S-Works
タイヤ:スペシャライズド S-Works Turbo, 127TPI, aramid bead, BlackBelt protection, 700x24c
価 格:650,000円(本体価格¥619,048)
インプレライダーのプロフィール
江下健太郎(じてんしゃPit) 江下健太郎(じてんしゃPit)
ロード、MTB、シクロクロスとジャンルを問わず活躍する現役ライダー。かつては愛三工業レーシングに所属し、2005年の実業団チームランキング1位に貢献。1999年MTB&シクロクロスU23世界選手権日本代表。ロードでは2002年ツール・ド・台湾日本代表を経験し、また、ツール・ド・ブルギナファソで敢闘賞を獲得。埼玉県日高市の「じてんしゃPit」店主としてレースの現場から得たノウハウを提供している。愛称は「えしけん」。
じてんしゃPit
小西裕介(なるしまフレンド) 小西裕介(なるしまフレンド)
なるしまフレンド立川店店長。登録レーサーを経験し、メカニックの知識も豊富で走ることからメカのことまでアドバイスできるノウハウを持つ。レース歴は19年。過去ツール・ド・台湾などの国際レースにも出場するなど、トップレベルのロードサイクリストとして活躍した経歴を持つ。脚質はサーキットコースを得意とするスピードマンだ。
なるしまフレンド
ウェア協力:ビエンメ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO

ロードバイクの進化の歴史は、フレーム素材の変遷でもある。クロモリやアルミから、軽さと強度、更にしなやかさという多くのメリットを兼ね備えるカーボンへ。この移り変わりは必然と言うべきことだが、まだまだ金属フレームの走りを愛して止まない人々もいる。
「カーボンバイクの台頭によって、アルミ製バイクは市場の隅に追いやられてしまっていた。僕らはアルミバイクを次世代のレベルへと進化させ、再び復権させたいと考えたんだ。」と語るのは、スペシャライズドのR&Dエンジニア、チャック・テシェイラ氏。イーストン=ベル・スポーツ社でおよそ25年に渡りアルミニウムに携わってきた氏こそ、新世代のアレー誕生を支えた中心人物である。



ロードバイクに関しては、ターマックとルーベ、そしてヴェンジという3車種が有名なスペシャライズドだが、過去には先進の加工技術を導入してフルアルミのロードフレームを製造し、当時のトップチームへと供給した実績を持つ。2011年にテシェイラ氏がスペシャライズドへと加入したことで、高性能アルミフレームが誕生することはごく自然な流れであった。
それでは、「世界最高のアルミバイク」を目指した新生アレーは、従来の一般的なバイクと何が違うのか?それは剛性の要となるヘッドチューブ周辺の構造にある。通常の金属フレームでは円柱形のヘッドチューブにトップチューブとダウンチューブを繋ぐ行程を踏むが、アレーはあらかじめトップチューブとダウンチューブの前端をヘッドチューブと一体でハイドロフォーム成形し、そこに各チューブを繋いでいることがポイントである。




更にこの接合部分にはスペシャライズドがパテントをもつ「ダルージオ・スマートウェルド」工法が用いられていることも注目すべき点だ。ハイドロフォーミングによって、ヘッド部の接合部を従来よりもトップ、ダウン側にオフセットさせることで、接合部をもっとも応力のかかる部分から遠ざけ、チューブの形状と構造を劇的に変化させた。さらに、それぞれの切り口を巻き上げた面で重ね合わせた際にできる溝に沿って溶接するというもの。
これによって強度を落とすこと無く、通常の溶接に対して接合部を薄く仕上げることが可能に。テシェイラ氏の言葉を借りれば、「スマートウェルディングによってアルミ溶接は劇的な変化を遂げた」のだ。オーバーコストを嫌い、ヘッドチューブのみこの工法が用いられている(他の部分だと溶接面が小さいため、メリットも少ない)ことは、いかに手間の掛かる技術であるかの逆説的な証明でもある。


セカンドグレードとなるアレーRACEとの違いは、使用するアルミチューブが僅かに薄い点。この他にケーブル受けやハンガーなどの細部が工夫されており、RACEと比較してフレームで20g軽い。僅かな減量ではあるものの、あえて細かに数値を刻んでくるあたりには、スペシャライズドの「本気」を感じざるを得ない。塗装は軽量化を追求したアノダイズド仕上げとなる。
フルアルミと聞くと振動吸収性に不安を感じるかもしれないが、次世代アルミバイクたるアレーでは、トップチューブを湾曲させ、更にシートステーを限りなく薄く扁平とすることで突き上げカットを考慮している。パワーの逃げを防ぐ、複雑な曲線を描くチェーンステーもハイドロフォーミング工法の賜物だ。



2013年の登場当時、世界限定110台という超稀少モデルとして登場したS-WORKSアレーだが、2014年モデルでは完成車として継続ラインナップされている。今回のテストバイクはその完成車スペックであり、コンポーネントは9000系デュラエース(クランクセットはS-WORKS)、ホイールはロヴァールのカーボンクリンチャーホイール「CLX40」だ。早速インプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「アルミならではの加速性を活かした、レーシングスペックバイク」小西裕介(なるしまフレンド)
ずばりアルミレーシングバイク。加速性能が非常に良く、カーボン全盛期の今にあって新鮮な乗り味を味わうことができました。荒れた路面ではアルミらしくゴツゴツという印象ですが、荒い路面を除いたコースであれば、ロングライドにも対応する足残りがよいフレームだと感じました。
このバイクは加速性に秀でており、特にダンシングをした際に気持ちよくパワーの掛かり前に進んでいきました。パワーを逃さない理由はフレーム、特にハンガー周辺の硬さにありますが、足に過度なストレスを返してくるほどではありません。思わずダッシュをかけたくなるような剛性感がありますね。

コーナリングやブレーキングに関しては抜群の安定感を誇ります。下りでスピードを出したときでも、曲がる動作が多い場面でも、狙ったラインをトレースできる安定したハンドリング性能がありました。ブレーキングも完成車パッケージでデュラエースが装備されているのですが、そのストッピングパワーを余すことなくコントロールできる余裕ぶり。ロヴァールホイールの剛性感も制動力に一役買っていると感じます。
得意としているのは、短い登りを一気に駆け上るような加速性を活かせる場面。そうした際にはカーボンバイクを出し抜く能力を感じましたし、また、長い登りではシッティングとダンシングを切り替えたときの繋がりがスムーズで、ロスがありません。このあたりは流石レーシングスペックですね。
また、漕いだときの軽さは平地でも活きています。ケイデンスを高めに保ちながらペダルを回すことで巡航しやすく、そこからアタックをかける場合も漕ぎが軽く、スピードの伸びが良い。足に疲労感が残ったり、踏み切れなかったりする印象は薄く、誰でもアルミの性質を活かした加速性や乗り味を味わえます。ただし荒れた路面では跳ねによりトラクションが抜けてしまうため、暴れを押さえ込む必要があります。
パーツアッセンブルも完成されているため、そのままの仕様でレースに出ても不満はありません。通じてこのバイクは、既にレースに出場していて、さらに上位を狙うレーサーに合っているでしょう。SL4と比較しても乗り味が劣ることがなく、プロカテゴリーでも通用するようなフィーリング。アルミのシャープさが好きな人には間違いなく合っているバイクです。
「カーボンバイクを超えるスペックを持つ、究極的なアルミバイク」江下健太郎(じてんしゃPit)
アルミにしてカーボンバイクを超えてしまったような印象があります。フレーム性能も高いのですが、完成車パッケージのパーツアッセンブルも含めて素晴らしい。アルミレーシングバイクとして理想の形を実現していると思いますね。

一踏みの加速性はターマックのS-WORKSと比較すれば負けてしまいますが、その下のグレードのバイクとは同等もしくはそれ以上の性能が出ています。
共通してハンドリングもクイックな味付けとなっており、これはヘッドアングルが立っていることで生まれているのだと思います。これと引き換えにまったりとしたフィーリングではないものの、ヘッド長やホイールベースなどを工夫してフラつきが出ないように工夫されています。
アルミフレームと言えば走行時に路面の細かい振動を伝えてくるというイメージが先行しがちですが、このアレーに関してはその傾向が薄い。
ホイールやタイヤなども絡んでくる部分ですから明確な判断はできませんが、シートステーの接続部がサイドに広がっていたり、チェーンステーをつぶしているあたりが振動カットに貢献していることは間違いないでしょう。
アルミのレーシングバイクですから、やはりレーサーにこそベストです。比較的大柄で重量があり、パワーがある方にマッチしていると思います。ヘッドが長い分、身長のある方ならばその影響を受けづらいですし、カーボンよりは脚が受けるダメージも大きい。これをパワーで跳ね返すことのできる方は、きっと一番性能を堪能できるはず。しかし柔らかめのホイールや、太めのタイヤを履かせることで暴れを抑えることもできるでしょう。
スペシャライズドがこの時代にアルミハイエンドバイクをリリースしたこと。そこには新たなトレンドを生み出そうという意欲を感じます。開発能力に秀でたブランドですから、アルミでも十分な性能を確保して、最近のクロモリブームをアルミでも巻き起こしたいのではないでしょうか。
アルミという一世代前の素材に最先端のテクノロジーを加える事で、アルミフレームの究極的な形で完成されているこのバイクは、ラグジュアリー的な存在。完成車としてのパッケージングも抜群に良いので、周りとは違う何かを求めたい方にはオススメできますね。

スペシャライズド S-WORKS ALLEZ
サイズ:490、520、540、560
フレーム:スペシャライズド S-Works Smartweld E5 alloy, hydroformed aluminum tubing, 1-3/8" lower bearing, OSBB
フォーク:スペシャライズド S-Works Tarmac, FACT carbon full monocoque, carbon steerer/crown for 1-3/8" lower bearing
コンポーネント:シマノ 9000系デュラエース
クランクセット:スペシャライズド FACT carbon, 52x36
ホイール:ロヴァール Rapide CLX 40
ハンドル、ステム、シートポスト:スペシャライズド S-Works
タイヤ:スペシャライズド S-Works Turbo, 127TPI, aramid bead, BlackBelt protection, 700x24c
価 格:650,000円(本体価格¥619,048)
インプレライダーのプロフィール

ロード、MTB、シクロクロスとジャンルを問わず活躍する現役ライダー。かつては愛三工業レーシングに所属し、2005年の実業団チームランキング1位に貢献。1999年MTB&シクロクロスU23世界選手権日本代表。ロードでは2002年ツール・ド・台湾日本代表を経験し、また、ツール・ド・ブルギナファソで敢闘賞を獲得。埼玉県日高市の「じてんしゃPit」店主としてレースの現場から得たノウハウを提供している。愛称は「えしけん」。
じてんしゃPit

なるしまフレンド立川店店長。登録レーサーを経験し、メカニックの知識も豊富で走ることからメカのことまでアドバイスできるノウハウを持つ。レース歴は19年。過去ツール・ド・台湾などの国際レースにも出場するなど、トップレベルのロードサイクリストとして活躍した経歴を持つ。脚質はサーキットコースを得意とするスピードマンだ。
なるしまフレンド
ウェア協力:ビエンメ
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
リンク
Amazon.co.jp