2013/11/25(月) - 13:16
UCI(国際自転車競技連合)クラス2に指定された関西シクロクロス第3戦がビワコマイアミランドで開催され、砂のコースを攻略した竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)が優勝。安定した走りで豊岡英子(パナソニックレディース)がエリート女子レースを制した。
マイアミと聞けば真っ先に思い浮かべるのはアメリカ・フロリダ州のマイアミ。しかし、国内シクロクロッサーにとっては琵琶湖東岸に位置するビワコマイアミランドを意味する。その響きとは裏腹に、苦しみを意味する言葉だ。
琵琶湖東岸に位置するマイアミランドで、UCIクラス2のシクロクロスレースが開催された。UCI登録上のレース名は関西シクロクロス野洲ラウンド。シクロクロス世界選手権の日本代表メンバーの選考に関わるセレクションレースの一つだ。
UCIレースの特徴として「80%ルール」が挙げられる。80%ルールとは、トップ選手のラップタイムの80%のタイムを経過して周回を終えた選手は、降車が指示されるというもの。例えばトップのラップタイムが8分の場合、トップから6分24秒より遅れて周回を終えた時点で降車となる。
ビーチと松林を組み合わせたコースは全長2500m。バックストレートに位置する全長200mほどのビーチを含めて2ヵ所ある砂セクションが名物だが、例年よりは砂面が固く、ライダーの「乗車率」が高い印象。
同じくUCIレースの野辺山シクロクロスに引き続いて招待選手として参戦したザック・マクドナルド(Rapha FOCUS)は「アメリカにも砂のコースはあるけど、草が混ざっている場合がほとんどなので、ここまで深くない。テクニックとパワーが必要。(前日に開催されたUCIワールドカップの)コクサイデはもっと深いけど」とコースの感想を述べる。
マクドナルドは現在22歳ながら昨シーズンのシクロクロス全米選手権エリートレースで2位。しかし来日直後に体調を崩し、野辺山シクロクロス2連戦を事実上パスした。京都で1週間をゆっくりと過ごし、このマイアミに向けて療養したと言う。まだ咳が残り、本調子にはほど遠いものの、この日は序盤から先頭争いを繰り広げた。
マクドナルドとともに1周目で先頭パックを形成したのは竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)の2人。一時は横山航太(篠ノ井高校)と丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)もこれに加わったものの、3名との距離は徐々に広がる。
「例年と比べて砂が少なかったので絡んだレースになると思っていました」という竹之内の言葉通り、序盤はパック走行が続く。しかしマクドナルドが砂地で前転してパックから離脱。つづいて小坂がパンクしてペースを落とし、竹之内の独走が始まる。
「しばらく他の選手を見てから、3周目ぐらいにスイッチを入れてペースアップ。そこからは心拍を上げきらず下げきらず、落ち着いて、集中して走った。ラインを決めて、あとは自分のラインに沿って淡々と走りました」と、全日本チャンピオンジャージを着てマイアミビーチを駆け抜けた竹之内。バイク交換したマクドナルドが追走したが、竹之内とのタイム差は縮まらない。
3番手を走る小坂は「手応えを感じていたので前半から飛ばしたものの、3周目でパンクしてホイールを交換してからペースを崩してしまった。スペアのスリックタイヤを用意してなかったので、コーナーを攻められなくなった」と悔やむ。最終的に竹之内が51秒差で独走。2位にマクドナルド、3位に小坂が入った。
竹之内は「ロードシーズンから休みなくシクロクロスに突入したので、来シーズンも見据えながら、野辺山から1週間のんびりと過ごしていました。もちろん練習はしていましたが、強度を上げていなかった。だから今日の序盤は心拍が上がらなくて、掛かりも悪かった」と話す。シクロクロスシーズン中盤に差し掛かった今、全日本選手権やヨーロッパ遠征、世界選手権、そして2014年のロードシーズンに向けて動き出している。
竹之内、マクドナルド、小坂の三強の後ろで闘いを繰り広げたのが、U23の沢田時(チームブリヂストンアンカー)と横山航太(篠ノ井高校)。前週の野辺山では横山が連勝したが、自宅が会場から15分というローカルライダーの意地を見せた沢田が先着している。同じくU23の中井路雅(京都産業大学)が8位、前田公平(TEAM SCOTT)が9位。時間差スタートのジュニアレースでは地元滋賀県出身の中井唯晶(瀬田工業高校)が優勝した。
接戦となったのはエリート女子のCL1。1周目から先行した豊岡英子(パナソニックレディース)を、全日本チャンピオンの宮内佐季子(CLUBviento)が追い上げる展開で周回を重ねて行く。
両者ともに2分先にスタートしたCM1の選手たちをパスしながら10〜20秒差で周回し、最終周回でタイム差は縮まる。最終ストレートで宮内が豊岡の背後まで迫ったが、4秒差で豊岡が先着した。3位には「ようやく表彰台に乗れてホッとしています」と語るロード全日本チャンピオンの與那嶺恵理(TEAM FORZA!)が入っている。
圧勝とは呼べない勝ち方だったが、豊岡はあくまでも「自分のペースで走り続けた」と話す。「終盤に焦ってミスしたり、メカトラで負けたことがあったから、ミスせず最後まで走りきったことが良かった。他の競技から参加する選手も増えていて、女子シクロクロスに注目が集まり始めていることが嬉しい」。
対して宮内は、悔しさを浮かべながら「やはり表彰台の真ん中に立ちたい」と、全日本選手権に向けて闘志を露に。全日本選手権は2週間後の12月8日に滋賀県高島市のマキノ高原で開催される。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
C1 + U23
1位 竹之内悠(コルバ・スペラーノハム) 55'30"
2位 ザック・マクドナルド(Rapha FOCUS) +51"
3位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) +56"
4位 沢田時(チームブリヂストンアンカー) +1'13"
5位 横山航太(篠ノ井高校) +1'59"
6位 丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX) +2'11"
7位 小坂正則(スワコレーシングチーム) +2'20"
8位 中井路雅(京都産業大学) +2'58"
9位 前田公平(TEAM SCOTT) +3'15"
10位 濱由嵩(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +3'39"
CL1
1位 豊岡英子(パナソニックレディース) 40'03"
2位 宮内佐季子(CLUBviento) +04"
3位 與那嶺恵理(TEAM FORZA!) +1'22"
4位 坂口聖香(パナソニックレディース) +2'13"
5位 坂口楓華(パナソニックレディース) +3'39"
6位 武田和佳(ARAI MURACA) +3'56"
7位 相野田静香(clubGROW) -1Lap
CJ
1位 中井唯晶(瀬田工業高校)
2位 山田将輝(Limited846/DIRT FREAK)
3位 竹内遼(TEAM Pro Ride)
CM1
1位 丸畑明彦(PCサイクルクラブ松本)
2位 大河内二郎(シルクロード)
3位 羽鳥和重(cycleclub3UP)
C2
1位 豊田勝徳(Team AVEL)
2位 松井正通(MoricoWave)
3位 細渓拓男(Salata bianca kobe)
text&photo:Kei Tsuji
マイアミと聞けば真っ先に思い浮かべるのはアメリカ・フロリダ州のマイアミ。しかし、国内シクロクロッサーにとっては琵琶湖東岸に位置するビワコマイアミランドを意味する。その響きとは裏腹に、苦しみを意味する言葉だ。
琵琶湖東岸に位置するマイアミランドで、UCIクラス2のシクロクロスレースが開催された。UCI登録上のレース名は関西シクロクロス野洲ラウンド。シクロクロス世界選手権の日本代表メンバーの選考に関わるセレクションレースの一つだ。
UCIレースの特徴として「80%ルール」が挙げられる。80%ルールとは、トップ選手のラップタイムの80%のタイムを経過して周回を終えた選手は、降車が指示されるというもの。例えばトップのラップタイムが8分の場合、トップから6分24秒より遅れて周回を終えた時点で降車となる。
ビーチと松林を組み合わせたコースは全長2500m。バックストレートに位置する全長200mほどのビーチを含めて2ヵ所ある砂セクションが名物だが、例年よりは砂面が固く、ライダーの「乗車率」が高い印象。
同じくUCIレースの野辺山シクロクロスに引き続いて招待選手として参戦したザック・マクドナルド(Rapha FOCUS)は「アメリカにも砂のコースはあるけど、草が混ざっている場合がほとんどなので、ここまで深くない。テクニックとパワーが必要。(前日に開催されたUCIワールドカップの)コクサイデはもっと深いけど」とコースの感想を述べる。
マクドナルドは現在22歳ながら昨シーズンのシクロクロス全米選手権エリートレースで2位。しかし来日直後に体調を崩し、野辺山シクロクロス2連戦を事実上パスした。京都で1週間をゆっくりと過ごし、このマイアミに向けて療養したと言う。まだ咳が残り、本調子にはほど遠いものの、この日は序盤から先頭争いを繰り広げた。
マクドナルドとともに1周目で先頭パックを形成したのは竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)の2人。一時は横山航太(篠ノ井高校)と丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)もこれに加わったものの、3名との距離は徐々に広がる。
「例年と比べて砂が少なかったので絡んだレースになると思っていました」という竹之内の言葉通り、序盤はパック走行が続く。しかしマクドナルドが砂地で前転してパックから離脱。つづいて小坂がパンクしてペースを落とし、竹之内の独走が始まる。
「しばらく他の選手を見てから、3周目ぐらいにスイッチを入れてペースアップ。そこからは心拍を上げきらず下げきらず、落ち着いて、集中して走った。ラインを決めて、あとは自分のラインに沿って淡々と走りました」と、全日本チャンピオンジャージを着てマイアミビーチを駆け抜けた竹之内。バイク交換したマクドナルドが追走したが、竹之内とのタイム差は縮まらない。
3番手を走る小坂は「手応えを感じていたので前半から飛ばしたものの、3周目でパンクしてホイールを交換してからペースを崩してしまった。スペアのスリックタイヤを用意してなかったので、コーナーを攻められなくなった」と悔やむ。最終的に竹之内が51秒差で独走。2位にマクドナルド、3位に小坂が入った。
竹之内は「ロードシーズンから休みなくシクロクロスに突入したので、来シーズンも見据えながら、野辺山から1週間のんびりと過ごしていました。もちろん練習はしていましたが、強度を上げていなかった。だから今日の序盤は心拍が上がらなくて、掛かりも悪かった」と話す。シクロクロスシーズン中盤に差し掛かった今、全日本選手権やヨーロッパ遠征、世界選手権、そして2014年のロードシーズンに向けて動き出している。
竹之内、マクドナルド、小坂の三強の後ろで闘いを繰り広げたのが、U23の沢田時(チームブリヂストンアンカー)と横山航太(篠ノ井高校)。前週の野辺山では横山が連勝したが、自宅が会場から15分というローカルライダーの意地を見せた沢田が先着している。同じくU23の中井路雅(京都産業大学)が8位、前田公平(TEAM SCOTT)が9位。時間差スタートのジュニアレースでは地元滋賀県出身の中井唯晶(瀬田工業高校)が優勝した。
接戦となったのはエリート女子のCL1。1周目から先行した豊岡英子(パナソニックレディース)を、全日本チャンピオンの宮内佐季子(CLUBviento)が追い上げる展開で周回を重ねて行く。
両者ともに2分先にスタートしたCM1の選手たちをパスしながら10〜20秒差で周回し、最終周回でタイム差は縮まる。最終ストレートで宮内が豊岡の背後まで迫ったが、4秒差で豊岡が先着した。3位には「ようやく表彰台に乗れてホッとしています」と語るロード全日本チャンピオンの與那嶺恵理(TEAM FORZA!)が入っている。
圧勝とは呼べない勝ち方だったが、豊岡はあくまでも「自分のペースで走り続けた」と話す。「終盤に焦ってミスしたり、メカトラで負けたことがあったから、ミスせず最後まで走りきったことが良かった。他の競技から参加する選手も増えていて、女子シクロクロスに注目が集まり始めていることが嬉しい」。
対して宮内は、悔しさを浮かべながら「やはり表彰台の真ん中に立ちたい」と、全日本選手権に向けて闘志を露に。全日本選手権は2週間後の12月8日に滋賀県高島市のマキノ高原で開催される。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
C1 + U23
1位 竹之内悠(コルバ・スペラーノハム) 55'30"
2位 ザック・マクドナルド(Rapha FOCUS) +51"
3位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) +56"
4位 沢田時(チームブリヂストンアンカー) +1'13"
5位 横山航太(篠ノ井高校) +1'59"
6位 丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX) +2'11"
7位 小坂正則(スワコレーシングチーム) +2'20"
8位 中井路雅(京都産業大学) +2'58"
9位 前田公平(TEAM SCOTT) +3'15"
10位 濱由嵩(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +3'39"
CL1
1位 豊岡英子(パナソニックレディース) 40'03"
2位 宮内佐季子(CLUBviento) +04"
3位 與那嶺恵理(TEAM FORZA!) +1'22"
4位 坂口聖香(パナソニックレディース) +2'13"
5位 坂口楓華(パナソニックレディース) +3'39"
6位 武田和佳(ARAI MURACA) +3'56"
7位 相野田静香(clubGROW) -1Lap
CJ
1位 中井唯晶(瀬田工業高校)
2位 山田将輝(Limited846/DIRT FREAK)
3位 竹内遼(TEAM Pro Ride)
CM1
1位 丸畑明彦(PCサイクルクラブ松本)
2位 大河内二郎(シルクロード)
3位 羽鳥和重(cycleclub3UP)
C2
1位 豊田勝徳(Team AVEL)
2位 松井正通(MoricoWave)
3位 細渓拓男(Salata bianca kobe)
text&photo:Kei Tsuji
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