昨年に続き、夜昼 2連戦で行われた信州クロスの第4,5戦、1日目のナイターは父、小坂正則を引き離し、2日目は横山航太との接戦を制す形で、小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)の2連勝となった。



1日目 信州クロス シーズン 2013-2014 第4戦 

1日目はナイタークロスが開催された1日目はナイタークロスが開催された photo:Alisa.Okazaki
ここ飯山で初めてシクロクロスが開催されたのは3年前。昨年はナイターが追加されて2日間に、今年は距離が延長され、よりテクニカルなコースへと順調に育って来ている。
世界基準を目指し、10時間かけて設営されたという総距離2700mのコースには、スピードが上がる長い舗装路、砂場、名物の激坂、重い芝生のバンク、下りのシングルトラック、担ぎ必至の長い階段、Uターン直後の2連続シケインなど、様々な要素がバランス良く組み合わされ、とにかくキツイ。関西や関東ではちょっと味わうことができないハードコースを求めてか、両日共に C1 のレースは 30人以上の選手が出走した。
また、2年ぶりに三船雅彦氏のスクールも開かれ、実際にこの難コースを走行しながら、参加者たちに各所の攻略法が伝授された。

1日目 : 階段を担いで登る宮内佐季子(CLUBviento)1日目 : 階段を担いで登る宮内佐季子(CLUBviento) photo:Alisa.Okazaki1日目 : L1 3位の武田和佳(ARAI MURACA)1日目 : L1 3位の武田和佳(ARAI MURACA) photo:Alisa.Okazaki

1日目 : 日が落ちて、気温もグッと下がった 19:10 に C1 がスタート1日目 : 日が落ちて、気温もグッと下がった 19:10 に C1 がスタート photo:Alisa.Okazaki1日目 : 階段を駆け上がる小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)1日目 : 階段を駆け上がる小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:Alisa.Okazaki


C3 スタートの午後5時にはまだ空の明るさも残っていたが、C1 の時間になると文字通りナイターの雰囲気に。グラウンドの強い照明と、特設のスポットライトが走る選手達を浮かび上がらせ、あちこちで美しいコントラストを作る。

前列から、小坂光、前田公平(TEAM SCOTT)が先頭を切っていくと、小坂正則(スワコレーシングチーム)が続き、最後方から横山航太(篠ノ井高校)も追い付く。そのまま 4人で 3周回ほど重ねたのち、横山が離脱。前田も先頭 2人から遅れると 2人で 3,4位パックを形成。しかし前田が後半の舗装路に切り替わるカーブで落車すると勝負がついた。前は、6周回目で小坂正則が離れると、小坂光はそこから徐々に差を広げ、逃げ切り勝利を果たした。

1日目 : C1 2位の小坂正則(スワコレーシングチーム)1日目 : C1 2位の小坂正則(スワコレーシングチーム) photo:Alisa.Okazaki1日目 : C1 3位の横山航太(篠ノ井高校)1日目 : C1 3位の横山航太(篠ノ井高校) photo:Alisa.Okazaki


また、このレースは、今季から試験運用が始まった JCX シリーズ の第1戦ともなっており、まずは小坂光がシリーズチャンピオンへ向けて滑りだした形となった。

・JCX シリーズとは? > AJOCCが「ジャパン シクロクロスシリーズ」の概要を発表

1日目 : C1 優勝の小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)、2位小坂正則(スワコレーシングチーム)、3位横山航太(篠ノ井高校)1日目 : C1 優勝の小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)、2位小坂正則(スワコレーシングチーム)、3位横山航太(篠ノ井高校) photo:Alisa.Okazaki信州クロス シーズン 2013-2014 第4戦 飯山ナイター

C1 9周回
1位 小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) 0:59:19
2位 小坂 正則(スワコレーシングチーム) +0:20
3位 横山 航太(篠ノ井高校) +1:27
4位 前田 公平(TEAM SCOTT) +2:13
5位 合田 正之(cycleclub3UP)+3:05
6位 飯塚 隆文(スワコレーシングチーム) +3:32
7位 濱 由嵩(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +3:41
6位 兼子 博昭(スワコレーシングチーム) +4:13
9位 安藤 光平(Team CUORE) +5:01
10位 山本 聖吾(スワコレーシングチーム) +5:23

C2 5周回
1位 代田義明(W.V.OTA twin) 0:43:37
2位 岩波信二(CORSA YAMANASHI) +0:53
3位 安川 生(国際自然環境アウトドア専門学校) +1:17

L1 5周
1位 宮内佐季子(CLUBviento) 0:46:52
2位 相野田 静香(clubGROW) +2:11
3位 武田和佳(ARAI MURACA) +4:03


C3 4周回
1位 村山一成(チーム サイクルマインド) 0:30:07
2位 堺 章吾(パワースポーツ sick) +0:29
3位 浜頭 恭(GRUPPO ACQUA TAMA) +0:31

L2 3周回
1位 今井美穂(CycleClub.jp) 0:35:39
2位 松崎亜妃(ARAI MURACA) +1Lap
3位 藤森なおみ(Team宝塚線) +1Lap


ジュニア 6周回
1位 竹内 遼(TEAM Pro Ride) 0:41:26
2位 山田将輝(Limited846/DIRT FREAK) +0:16

マスター 4周回
1位 羽鳥和重(cycleclub 3UP) 0:29:46
2位 馬野大嗣(ユーロードレーシング) +1:02
3位 渡辺誠一(八ヶ岳CYCLO CROSS) +3:11


キッズ 2周回
1位 中村暁蓮(北陸ドロタボウ) 0:09:36
2位 宮嵜孝志(Team ProRide) +1:07
3位 堀澤咲月(Team GORILLA) +2:19




2日目 信州クロス シーズン 2013-2014 第5戦 

2日目 : 国内有力選手が揃った C1/Junior のレースがスタート2日目 : 国内有力選手が揃った C1/Junior のレースがスタート photo:Nobumichi Komori
朝、会場に足を運ぶと、スタート直後の芝生区間の杭が打ち直され、バンク、泥、バンクというテクニカルでいやらしいラインが作られていた。更に、グラウンド周回後に戻ってくる丘の上にも、降車を強いるような切り返しが設けられ、試走するライダー達を悩ませる。昨晩からの短時間でこんな変更を行ってくるあたりに、オルガナイザーの意気込みを伺わせる。

2日目 : 一斉に芝のバンクへ飛び込んでいく集団2日目 : 一斉に芝のバンクへ飛び込んでいく集団 photo:Nobumichi Komori2日目 : この人数で階段を駆け上がっていく様子は壮観だ2日目 : この人数で階段を駆け上がっていく様子は壮観だ photo:TRK

2日目 : 短い階段を駆け上がると、下りのシングルトラックへと続いていく2日目 : 短い階段を駆け上がると、下りのシングルトラックへと続いていく photo:Alisa.Okazaki2日目 : 階段を担いで登る横山航太(篠ノ井高校)と小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)2日目 : 階段を担いで登る横山航太(篠ノ井高校)と小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:Alisa.Okazaki


昼過ぎスタートの C1 のレースは、世界選セレクションシリーズの第1戦ともなっている。このレースに集中するため、ナイターをパスした丸山厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)や、U23 の枠を争うため関西から訪れた中井路雅(京都産業大学)、木村吉秀(岩井商会RACING)、同時出走の Junior 3名など、昨晩とはまた違った 38名のライダーがスタートラインに並んだ。

前田公平(TEAM SCOTT)、中井路雅ら若手が元気よく飛び出していったが、1周目を終えたあたりで、横山と小坂親子 3人のパックが先行、少し開いて中井、木村、前田、兼子博昭(スワコレーシングチーム)が続く展開となる。期待された丸山は、スタート直後の落車に巻き込まれ、一時は最後尾まで後退。そこから脚を見せ 4位まで巻き返したが、先頭パックまで追い付くことは出来なかった。4周目で先頭 3人が少しばらけると、連戦の疲れからか小坂正則が徐々に遅れ、2名での争いとなる。小坂光と横山はそれぞれが得意とするセクションで入れ替わりながら周回を重ね、お互いの様子を伺っているようにも見えた。

2日目 : 一旦下って、登りながらターンする、丘の上のテクニカルな折り返し2日目 : 一旦下って、登りながらターンする、丘の上のテクニカルな折り返し photo:TRK

8周回目、横山がグラウンドを抜けた激坂で仕掛けると、「脚に来ていた」という小坂光は着いていけず、それを見た横山が一気に引き離しにかかる。一時はかなりの差が開き、勝負がついたかと思われたが、最終周回に入る手前あたりから立て直した小坂光が徐々にペースを上げると、再び横山との差を詰めていく。追いつかれまいと得意とするシングルトラックで攻めた横山が転倒、また勝負の行方はわからなくなった。

最終局面、Uターン直後のシケインというテクニックと経験の差が出るところで横山を交わすと、小坂光がそのままゴールまで一気に踏み切り、昨年に引き続きナイターとの 2連勝を飾った。最後まで手に汗握る展開に、観客たちからも絶え間なく応援や歓声があがり、大いに盛り上がる戦いとなった。

L1 は全日本チャンピオンの宮内 佐季子(CLUBviento)が、Junior は竹内 遼(TEAM Pro Ride)がそれぞれナイターとの連勝を果たしている。

2日目 : 相性の良い飯山で、今季も2連勝を飾った小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)2日目 : 相性の良い飯山で、今季も2連勝を飾った小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:Nobumichi Komori2日目 : 泥のバンクを駆け抜ける横山航太(篠ノ井高校)2日目 : 泥のバンクを駆け抜ける横山航太(篠ノ井高校) photo:Alisa.Okazaki

2日目 :  L1 2連勝の宮内佐季子(CLUBviento)2日目 : L1 2連勝の宮内佐季子(CLUBviento) photo:Alisa.Okazaki2日目 : Junior 2連勝の竹内遼(TEAM Pro Ride)2日目 : Junior 2連勝の竹内遼(TEAM Pro Ride) photo:Alisa.Okazaki


インタビュー

小坂光「リズムよく連勝できて気持ちが上がってきた」

ーレースを振り返って
昨日 (ナイターレース) の疲れはあったのですが、序盤は普通に体が動いたので積極的に走りました。予想していたとおり、すぐに (横山航太と) 2人になったので、そこからは落ち着いて、ペースを上げすぎず下げすぎず休みながらという展開でした。後半になって、脱水だったのかもしれないですが、脚が攣りそうになってしまい、登り返しで踏み切れず、そこで差が開いてしまいました。
後半のパワー不足は感じましたが、攣りそうだった脚が落ち着いてからは、下りなどを利用して徐々に詰め、最終周回に入った時には差が少し縮められていたので、まだ諦めなければ追いつけると信じ、踏んでいきました。横山くんが下りでミスして転んだところで一気に追いつき、あとはとにかく前に出て全力で踏むしかないと思い、最後は踏み切れて、勝てて良かったです。

ーセレクションシリーズの1戦目ですが
昨日もレースだったので、この2日目だけ特別視していたという事はなく、3連戦の中の 1戦として、全て勝つつもりで走りました。リズム良く連勝できたので、ここまでコンディションに不安もあって気持ち的には沈んていたのですが、これで気持ちも上がってきました。明日の猪苗代ももちろん勝つつもりでいきます。

2位の横山航太

世界選へ向けてという意味では、U23 のライバルの選手達に対して少しリードできたとは思うのですが、やはり勝ちたかったですね、今日は。
前半から光さんとのランデブーだったので、お互いの得意なところ、苦手なところを探りあいながら、考えながら走っていました。短い階段のところで、自分は乗っていけましたが、光さんは担いでいたので、そこで差を開くことができると思い、ラスト 2周の急な登り返しからの重い芝生ので仕掛けて前へ出ました。狙っていた階段のところでうまく離し、そこからは同じくらいの差を保ちながら進んでいたのですが、ラスト 1周、自分のミスで転んでしまいました。そこは少し悔しい部分ではあるのですが、攻めるだけ攻めたので、出来るだけのことはやりました。ラスト 1周に入る時には、勝ったかなと思ったのですが、光選手のほうが一枚上手でした。次は野辺山 2連戦を走ります。

3位の小坂正則

昨年は、連戦の疲れから全然足が回らなかったので、不安もあったのですが、今日は自分の予想以上に体が動いて、後半はさすがに疲れてしまいましたが、序盤は良いペースで走れてました。連戦とはいえ、レースが始まってしまうと、独走して勝利を確信できるというこでもなければ、次の日があるからといって力を抜くわけにも行かないので、昨日も結局最後まで手を抜くことなく走り切りました。次も2連戦ですが、野辺山のコースはここよりもさらに脚への負担が大きく、かといって 1日目に力を抜いて走れば順位も沈んでしまうので、次の日のことは考えずにとにかく初日がんばります。

最後に、オルガナイザーの小林輝紀さんにも、飯山とこのレースに寄せる思いを聞いてみた。

中央がオルガナイザーの小林輝紀さん中央がオルガナイザーの小林輝紀さん photo:Alisa.Okazaki「飯山はとても田舎で、会社や就職先も少ないのですが、その中でスポーツを広げていくにはとても良い環境があり、地元の理解も深いので、例えば今回のようなコース設定が出来ることを含め、スポーツにとっては色々とチャンスがある場所だと思います。

今年で開催 3回目にして、ようやく目指してきた形が実現できてきました。まだまだ満足はしていませんが、みなさんの期待に応えられているか、選手がどのくらい評価してくれるかなど、気になっていた部分の達成感は少し有ります。今後の目標は、この大会をもっと地元の人が利用してくれる、地元に愛されるようなイベントに育てることと、いずれ全日本が開催できるよう、レース自体をさらに発展させていくことです。これからも続けていきますのでよろしくお願いします」。


2日目 : C1 優勝の小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)、2位横山航太(篠ノ井高校)、3位小坂正則(スワコレーシングチーム)2日目 : C1 優勝の小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)、2位横山航太(篠ノ井高校)、3位小坂正則(スワコレーシングチーム) photo:Alisa.Okazaki信州クロス シーズン 2013-2014 第5戦 飯山

C1 9周回
1位 小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) 0:58:15
2位 横山 航太(篠ノ井高校) +0:05
3位 小坂 正則(スワコレーシングチーム) +1:15
4位 丸山 厚(JP SPORTS TEST TEAM-MASSA-ANDEX)+2:29
5位 前田 公平(TEAM SCOTT) +3:18
6位 兼子 博昭(スワコレーシングチーム) +3:34
7位 飯塚 隆文(スワコレーシングチーム) +3:49
8位 木村 吉秀(岩井商会RACING) +3:57
9位 山本 聖吾(スワコレーシングチーム) +4:35
10位 松尾 純(BIKE RANCH) +4:40

C2 5周回
1位 安川 生(国際自然環境アウトドア専門学校) 0:37:35
2位 岩波信二(CORSA YAMANASHI) +0:07
3位 中村秀典(スワコレーシングチーム) +0:31

L1 5周
1位 宮内佐季子(CLUBviento) 0:39:34
2位 今井美穂(CycleClub.jp) +1:45
3位 相野田 静香(clubGROW) +1:55


C3 4周回
1位 浜頭 恭(GRUPPO ACQUA TAMA) 0:39:34
2位 佐宗広明(BIORACER OFFROAD TEAM) +0:22
3位 渡邉大輔 +1:25

L2 3周回
1位 智野真央(SNEL CYCLOCROSS TEAM) 0:27:45
2位 中嶋里美 +0:34
3位 清水朱実(北陸ドロタボウ) +1:20


ジュニア 6周回
1位 竹内 遼(TEAM Pro Ride) 0:40:58
2位 山田将輝(Limited846/DIRT FREAK) +2:16
3位 中井唯晶(瀬田工業高校) +2:54

マスター 4周回
1位 清水達也(北陸ドロタボウ) 0:30:47
2位 馬野大嗣(ユーロードレーシング) +0:58
3位 渡辺誠一(八ヶ岳CYCLO CROSS) +3:03


キッズ 2周回
1位 中村暁蓮(北陸ドロタボウ) 0:09:30
2位 宮嵜孝志(Team ProRide) +1:22
3位 堀澤咲月(Team GORILLA) +2:30



text:Alisa.Okazaki
photo:Nobumichi.Komori, TRK, Alisa.Okazaki