2013/11/06(水) - 18:45
11月2〜4日の3日間で開催されたサイクルモードインターナショナル。今年のトレンドや傾向、そして注目のプロダクツやステージイベントをダイジェストでレポートします。
ここ数年で急速に発展を遂げたサイクリングブームが落ち着きを見た現在。新たにスポーツバイクを始めたいという需要は変わらず存在しているが、既にバイクを購入しビギナーの域を脱した、もしくは脱しようとしている層は今、新たな自転車の楽しみ方を探し求めている段階だ。
クロスバイクやロードバイクを乗り慣れて、次はグランフォンドに代表されるロングライドなのか、ストイックなレースにチャレンジか、お洒落に自転車と付き合うのか、はたまたMTBなど違うカテゴリーに進んでみるのか等々…。このように多様化、成熟化する動きがシクロクロスや、ハンドメイドバイクのブームを押し進めていると言っても良いだろう。
こうした国内自転車ブームの変化に合わせ、トレンドを紹介するサイクルモードも年々変化を止めていない。大手ブランドが出展しない一方で勢いを増しているのが「サイクルツーリズム」を打ち出す各地方自治体と、ニッチなパーツやアイテムを紹介する新興海外メーカーや小規模ブランドの数々だ。
今年、その中でも最も力を入れてアピールしていたのは沖縄県だった。ブースでは新城幸也を始めとした沖縄出身選手のトークショーや各イベントの紹介に加え、エイドステーションで用意される"ならでは"の補給食を味わえるなど盛りだくさんの内容で、常にブースは満員状態。その他千葉サイクリング協会から「チーバくん」、奈良の「せんとくん」、屋久島の「セ・キノコ」などゆるキャラも登場し人気を博していた。
今年のプロダクトトレンドはフィッティングとパワーメーター、ロード用ディスクブレーキ
少々マーケティングに関する前置きが長くなったが、ここからは各ブースに並んだトレンディな製品やシステムを、各カテゴリーごとにピックアップしていきたいと思う。まず取り上げたいのは、シマノが発表したフィッティングシステム。
専用のマシンを使うこのシステムの特徴は、「短時間でベストなポジションを出す事ができ、更にペダリングのパワーやベクトルの方向を算出可能」としていること。身長など身体の数値を入力し、モーションキャプチャーを使って柔軟性を計ると自動的に計算を行い、ベストはポジションが出せるという画期的なシステムで、更に各メーカーのバイクのジオメトリーがデータ化されているため、自分に合ったベストはバイクを選択可能という。
またペダルのどの位置を踏めているか、クランクがどの状態の時に推進力が生まれているかなども可視化されているため、より効率の良くトレーニングする事も可能だ。詳細はムービーをご覧頂きたいが、わずか30分ほどで施術を行う事ができるこのシステムは大きな注目を集めており、「これ目当てに来た」というショップスタッフもかなり多く話題を呼んでいた。
そしてコアなレーサーから注目を集めるパワーメーターも、今回サイクルモードを彩った製品だ。特に発表されたばかりのパイオニア製パワーメーターと、ガーミンのVECTOR、そしてローターのROTOR POWERは注目の的であった。まだ国内未入荷の製品も多いこのジャンル、果たしてどのような伸びを見せるのだろうか。
また、国内に訪れているシクロクロスブームを反映し、CXバイクの展示量が昨年を確実に上回っていたこともトピックスの一つだ。
従来から存在したカンチブレーキ仕様車に代わり、最新鋭のロード用ディスクブレーキ搭載車が勢力を築いていたことが印象的であったが、ロードバイクと比べ未だマイナー競技であることは変わらないため、ベルギーブランドやハンドメイド系ブランドがより注力している印象。今後大手ブランドがどう参入してくるかに注目したいところだ。
今回見た限りではロード用油圧ディスクブレーキの試乗車は無かったものの、ミズタニ自転車のブースではSMPサドルのテスト用バイクにシマノ製油圧ディスクブレーキが搭載されており、握りや効きを体感する事ができた。シマノに先駆けてデビューさせたSRAM・REDの油圧式ディスクブレーキ装備車はピナレロやグエルチョッティ、ストークなどのブースに展示があった。
蛍光カラーブームは継続中 次なるはアースカラー
現在、世界的にスポーツエキップメントでは蛍光カラーが流行を見せているが、2014年モデルが並んだ今回のサイクルモードでもその存在感は未だ揺るぎないものだった。
またイタリアをはじめヨーロピアンブランドにその傾向が強い一方で、ジロなどアメリカ系ブランドでは、次なるトレンドとして迷彩などアースカラーを取り入れた製品も展示されていた。話を聞く限り、これからはダークグリーンやブラウン、オフホワイトなど落ち着いたカラーが流行だろうとのことだ。
大物ゲストが次々と登場したステージイベント 自転車名人発表や、JBCF表彰式も
メイン会場に設置されたメインステージでは、今年も3日間ほぼ絶え間無く様々なイベントが開催されていた。初日の注目はトライアスロンに打ち込んでいる"ホリエモン"こと堀江貴文氏のトークショーで、学生時代は自転車部に所属していたというエピソードも披露された。
また、「日本人がツール・ド・フランスで勝つために」と銘打った日本ジュニアとU23チームのコーチを務める柿木孝之氏によるトークショーの他、最終日には新城幸也と別府史之による「サムライプレミアムトークライブ」、豊岡英子&池本真也によるシクロクロス座談会も開催されるなど、幅広いジャンルのコンテンツが充実。
また、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)による年間シリーズ表彰が行われ、Jプロツアーはホセ・ビセンテ(チーム右京)、U23は西村大輝(シマノレーシング)、Jフェミニンツアーは豊岡英子らが受賞。ステージイベントの最後を華やかな雰囲気に飾った。(詳しくは別記事をご覧下さい)。各注目ステージイベントはムービーに収録。注目のブースイベントを合わせ、追って記事紹介します。
谷垣禎一法務大臣が五代目「自転車名人」に就任
一昨年の片山右京さんに続いて自転車名人に就任した谷垣氏は、「私は歴代の名人の中で最も年配。お年寄りの方々に正しい乗り方を伝え、政治の面から自転車環境を整備していきたい。」と意気込みを語った。
"日本最大級のスポーツ自転車フェスティバル"として開催されるサイクルモード。変化を続けながらも、メーカーの最新モデルが一同に会する貴重なイベントだ。また来年は、どんなトレンドを運んできてくれるのか期待せずにはいられない。
シクロワイアードでは、後日よりサイクルモード各ブース注目の製品やトピックスを、"気になる逸品"紹介記事として順次掲載予定です。担当者に聞いた開発裏ストーリーや、海外VIPのインタビューもお届けしますのでご期待下さい。
text:So.Isobe
photo:CW編集部
ここ数年で急速に発展を遂げたサイクリングブームが落ち着きを見た現在。新たにスポーツバイクを始めたいという需要は変わらず存在しているが、既にバイクを購入しビギナーの域を脱した、もしくは脱しようとしている層は今、新たな自転車の楽しみ方を探し求めている段階だ。
クロスバイクやロードバイクを乗り慣れて、次はグランフォンドに代表されるロングライドなのか、ストイックなレースにチャレンジか、お洒落に自転車と付き合うのか、はたまたMTBなど違うカテゴリーに進んでみるのか等々…。このように多様化、成熟化する動きがシクロクロスや、ハンドメイドバイクのブームを押し進めていると言っても良いだろう。
こうした国内自転車ブームの変化に合わせ、トレンドを紹介するサイクルモードも年々変化を止めていない。大手ブランドが出展しない一方で勢いを増しているのが「サイクルツーリズム」を打ち出す各地方自治体と、ニッチなパーツやアイテムを紹介する新興海外メーカーや小規模ブランドの数々だ。
今年、その中でも最も力を入れてアピールしていたのは沖縄県だった。ブースでは新城幸也を始めとした沖縄出身選手のトークショーや各イベントの紹介に加え、エイドステーションで用意される"ならでは"の補給食を味わえるなど盛りだくさんの内容で、常にブースは満員状態。その他千葉サイクリング協会から「チーバくん」、奈良の「せんとくん」、屋久島の「セ・キノコ」などゆるキャラも登場し人気を博していた。
今年のプロダクトトレンドはフィッティングとパワーメーター、ロード用ディスクブレーキ
少々マーケティングに関する前置きが長くなったが、ここからは各ブースに並んだトレンディな製品やシステムを、各カテゴリーごとにピックアップしていきたいと思う。まず取り上げたいのは、シマノが発表したフィッティングシステム。
専用のマシンを使うこのシステムの特徴は、「短時間でベストなポジションを出す事ができ、更にペダリングのパワーやベクトルの方向を算出可能」としていること。身長など身体の数値を入力し、モーションキャプチャーを使って柔軟性を計ると自動的に計算を行い、ベストはポジションが出せるという画期的なシステムで、更に各メーカーのバイクのジオメトリーがデータ化されているため、自分に合ったベストはバイクを選択可能という。
またペダルのどの位置を踏めているか、クランクがどの状態の時に推進力が生まれているかなども可視化されているため、より効率の良くトレーニングする事も可能だ。詳細はムービーをご覧頂きたいが、わずか30分ほどで施術を行う事ができるこのシステムは大きな注目を集めており、「これ目当てに来た」というショップスタッフもかなり多く話題を呼んでいた。
そしてコアなレーサーから注目を集めるパワーメーターも、今回サイクルモードを彩った製品だ。特に発表されたばかりのパイオニア製パワーメーターと、ガーミンのVECTOR、そしてローターのROTOR POWERは注目の的であった。まだ国内未入荷の製品も多いこのジャンル、果たしてどのような伸びを見せるのだろうか。
また、国内に訪れているシクロクロスブームを反映し、CXバイクの展示量が昨年を確実に上回っていたこともトピックスの一つだ。
従来から存在したカンチブレーキ仕様車に代わり、最新鋭のロード用ディスクブレーキ搭載車が勢力を築いていたことが印象的であったが、ロードバイクと比べ未だマイナー競技であることは変わらないため、ベルギーブランドやハンドメイド系ブランドがより注力している印象。今後大手ブランドがどう参入してくるかに注目したいところだ。
今回見た限りではロード用油圧ディスクブレーキの試乗車は無かったものの、ミズタニ自転車のブースではSMPサドルのテスト用バイクにシマノ製油圧ディスクブレーキが搭載されており、握りや効きを体感する事ができた。シマノに先駆けてデビューさせたSRAM・REDの油圧式ディスクブレーキ装備車はピナレロやグエルチョッティ、ストークなどのブースに展示があった。
蛍光カラーブームは継続中 次なるはアースカラー
現在、世界的にスポーツエキップメントでは蛍光カラーが流行を見せているが、2014年モデルが並んだ今回のサイクルモードでもその存在感は未だ揺るぎないものだった。
またイタリアをはじめヨーロピアンブランドにその傾向が強い一方で、ジロなどアメリカ系ブランドでは、次なるトレンドとして迷彩などアースカラーを取り入れた製品も展示されていた。話を聞く限り、これからはダークグリーンやブラウン、オフホワイトなど落ち着いたカラーが流行だろうとのことだ。
大物ゲストが次々と登場したステージイベント 自転車名人発表や、JBCF表彰式も
メイン会場に設置されたメインステージでは、今年も3日間ほぼ絶え間無く様々なイベントが開催されていた。初日の注目はトライアスロンに打ち込んでいる"ホリエモン"こと堀江貴文氏のトークショーで、学生時代は自転車部に所属していたというエピソードも披露された。
また、「日本人がツール・ド・フランスで勝つために」と銘打った日本ジュニアとU23チームのコーチを務める柿木孝之氏によるトークショーの他、最終日には新城幸也と別府史之による「サムライプレミアムトークライブ」、豊岡英子&池本真也によるシクロクロス座談会も開催されるなど、幅広いジャンルのコンテンツが充実。
また、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)による年間シリーズ表彰が行われ、Jプロツアーはホセ・ビセンテ(チーム右京)、U23は西村大輝(シマノレーシング)、Jフェミニンツアーは豊岡英子らが受賞。ステージイベントの最後を華やかな雰囲気に飾った。(詳しくは別記事をご覧下さい)。各注目ステージイベントはムービーに収録。注目のブースイベントを合わせ、追って記事紹介します。
谷垣禎一法務大臣が五代目「自転車名人」に就任
一昨年の片山右京さんに続いて自転車名人に就任した谷垣氏は、「私は歴代の名人の中で最も年配。お年寄りの方々に正しい乗り方を伝え、政治の面から自転車環境を整備していきたい。」と意気込みを語った。
"日本最大級のスポーツ自転車フェスティバル"として開催されるサイクルモード。変化を続けながらも、メーカーの最新モデルが一同に会する貴重なイベントだ。また来年は、どんなトレンドを運んできてくれるのか期待せずにはいられない。
シクロワイアードでは、後日よりサイクルモード各ブース注目の製品やトピックスを、"気になる逸品"紹介記事として順次掲載予定です。担当者に聞いた開発裏ストーリーや、海外VIPのインタビューもお届けしますのでご期待下さい。
text:So.Isobe
photo:CW編集部
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