2013/09/26(木) - 05:55
ロード世界選手権史上最長の57.9kmコースで行なわれたエリート男子個人タイムトライアル。過去2年連続で優勝しているトニ・マルティン(ドイツ)が、ライバルたちを大差で破って優勝した。マルティンが記録した平均スピード52.9km/hは、世界選手権の個人タイムトライアル史上最速。
通常、世界選手権の個人タイムトライアルは40〜50kmの距離で行なわれることが多く、1時間以内でゴールする場合がほとんど。しかしフィレンツェ大会の距離は史上最長の57.9kmで、レース時間は1時間を超える。コースは序盤の登りを除いてほぼ真っ平ら&直線的で、微風が選手たちの背中を押した。
保養地モンテカティーニ・テルメをスタートしたのは51カ国・77名の選手たち。経験とパワーが物を言うスーパーロングコースで、終盤スタートの実力者3名がトップ争いを繰り広げた。
スタート直後に始まる標高差100mほどの丘に置かれた第1計測(7.3km)で、最後から3番手スタートのファビアン・カンチェラーラ(スイス)が手始めにトップタイムを更新。最後から2番手スタートのブラドレー・ウィギンズ(イギリス)はカンチェラーラから15秒遅れ。最終走者マルティンの力を持ってしても、0.36秒カンチェラーラに届かない。
世界選TTで史上最多4回(2006年、2007年、2009年、2010年)優勝を飾っているカンチェラーラが、復活を印象づける好スタートを切る。しかしコースが平坦に変わると、ディフェンディングチャンピオンのマルティンがリードを奪い、じわりじわりとタイム差を広げて行った。
58x11Tというビッグギアを低いケイデンスで踏んだマルティンが、60km/h近いスピードで平地を巡航する。第2計測(24.5km)でマルティンはカンチェラーラに対して14秒のリードを築くことに成功。その後もマルティンのスピードは落ちなかった。
「石畳やコーナーが連続する後半はカンチェラーラ向き。だから前半からリードしなければならないと思っていた」と語るマルティンのスピードは落ちず、第3計測(42.8km)で両者のタイム差は29秒まで広がった。
第1計測(7.3km)
1位 カンチェラーラ 9'38"
2位 マルティン +00"
4位 クアーデ +12"
5位 フィニー +12"
6位 ウィギンズ +15"
11位 ピノッティ +21"
12位 キリエンカ +23"
25位 マローリ +33"
26位 ラーション +33"
27位 シウトソウ +33"
第2計測(24.5km)
1位 マルティン 27'27"
2位 カンチェラーラ +14"
3位 キリエンカ +34
4位 ウィギンズ +38"
5位 フィニー +55"
6位 クアーデ +56"
9位 ピノッティ +1'15"
13位 マローリ +1'22"
14位 ラーション +1'27"
16位 シウトソウ +1'32"
第3計測(42.8km)
1位 マルティン 47'24"
2位 カンチェラーラ +29"
3位 ウィギンズ +41"
4位 キリエンカ +1'02"
5位 フィニー +1'20"
6位 クアーデ +1'49"
7位 ピノッティ +2'03"
8位 マローリ +2'05"
9位 ラーション +2'06"
11位 シウトソウ +2'14"
マルティンが快調にリードを広げる中、ウィギンズの追い上げによってカンチェラーラの銀メダルに黄信号が点滅する。「レースの早い時点で無線が聞こえなくなり、タイム差が分からないまま走り続けた」というカンチェラーラ。グランツール向けの身体から5〜6kgほど増量して挑んだウィギンズが後半にかけてペースを上げ、第3計測でカンチェラーラと12秒差に。カンチェラーラは市街地の石畳やテクニカルコーナーでむしろタイムを失ってしまった。
「ラスト5kmはウィニングランのようだった。ゴール手前のコーナーではリスクを負わずに慎重に走ったよ」。安全マージンをとって走りきったマルティンが、3連覇を意味する3本指を立てフィニッシュ。ゴール後、マルティンは疲労と喜びで地面に倒れ込んだ。
マルティンの優勝タイムは1時間5分36秒。平均スピードは世界選TT史上最速の52.9km/h。2位にはカンチェラーラを2秒差で下したウィギンズが入り、カンチェラーラが3位に。マルティンが初めて世界TTチャンピオンに輝いた2011年のコペンハーゲン大会と全く同じ順位でのフィニッシュとなった。
3年連続でアルカンシェルを受け取ったマルティンは「今日の走りはパーフェクトだったと思う。パンクや落車が無い限り勝てると思っていた」とレース後の記者会見でコメントする。敗れたウィギンズとカンチェラーラも「マルティンだけレベルが違った」と語るほど、28歳のジャーマンクロノマンの走りは冴えていた。
選手コメントは別ページにてお伝えします。その他の写真はフォトギャラリーにて!
ロード世界選手権2013エリート男子個人タイムトライアル結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ) 1h05'36"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス) +46"
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス) +48"
4位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ) +1'26"
5位 テイラー・フィニー(アメリカ) +2'08"
6位 ラスムスクリスティアン・クアーデ(デンマーク) +2'36"
7位 マルコ・ピノッティ(イタリア) +2'41"
8位 アドリアーノ・マローリ(イタリア) +2'51"
9位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン) +2'58"
10位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ) +2'59"
11位 ヤン・バルタ(チェコ) +3'07"
12位 ローハン・デニス(オーストラリア) +3'09"
13位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド) +3'13"
14位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン) +3'13"
15位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) +3'14"
16位 クリストフ・ファンデワール(ベルギー) +3'17"
17位 リッチー・ポルト(オーストラリア) +3'22"
18位 ウラディミール・グセフ(ロシア) +3'28"
19位 デミトリ・グルージェフ(カザフスタン) +3'35"
20位 ベアト・グラブシュ(ドイツ) +3'41"
text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
通常、世界選手権の個人タイムトライアルは40〜50kmの距離で行なわれることが多く、1時間以内でゴールする場合がほとんど。しかしフィレンツェ大会の距離は史上最長の57.9kmで、レース時間は1時間を超える。コースは序盤の登りを除いてほぼ真っ平ら&直線的で、微風が選手たちの背中を押した。
保養地モンテカティーニ・テルメをスタートしたのは51カ国・77名の選手たち。経験とパワーが物を言うスーパーロングコースで、終盤スタートの実力者3名がトップ争いを繰り広げた。
スタート直後に始まる標高差100mほどの丘に置かれた第1計測(7.3km)で、最後から3番手スタートのファビアン・カンチェラーラ(スイス)が手始めにトップタイムを更新。最後から2番手スタートのブラドレー・ウィギンズ(イギリス)はカンチェラーラから15秒遅れ。最終走者マルティンの力を持ってしても、0.36秒カンチェラーラに届かない。
世界選TTで史上最多4回(2006年、2007年、2009年、2010年)優勝を飾っているカンチェラーラが、復活を印象づける好スタートを切る。しかしコースが平坦に変わると、ディフェンディングチャンピオンのマルティンがリードを奪い、じわりじわりとタイム差を広げて行った。
58x11Tというビッグギアを低いケイデンスで踏んだマルティンが、60km/h近いスピードで平地を巡航する。第2計測(24.5km)でマルティンはカンチェラーラに対して14秒のリードを築くことに成功。その後もマルティンのスピードは落ちなかった。
「石畳やコーナーが連続する後半はカンチェラーラ向き。だから前半からリードしなければならないと思っていた」と語るマルティンのスピードは落ちず、第3計測(42.8km)で両者のタイム差は29秒まで広がった。
第1計測(7.3km)
1位 カンチェラーラ 9'38"
2位 マルティン +00"
4位 クアーデ +12"
5位 フィニー +12"
6位 ウィギンズ +15"
11位 ピノッティ +21"
12位 キリエンカ +23"
25位 マローリ +33"
26位 ラーション +33"
27位 シウトソウ +33"
第2計測(24.5km)
1位 マルティン 27'27"
2位 カンチェラーラ +14"
3位 キリエンカ +34
4位 ウィギンズ +38"
5位 フィニー +55"
6位 クアーデ +56"
9位 ピノッティ +1'15"
13位 マローリ +1'22"
14位 ラーション +1'27"
16位 シウトソウ +1'32"
第3計測(42.8km)
1位 マルティン 47'24"
2位 カンチェラーラ +29"
3位 ウィギンズ +41"
4位 キリエンカ +1'02"
5位 フィニー +1'20"
6位 クアーデ +1'49"
7位 ピノッティ +2'03"
8位 マローリ +2'05"
9位 ラーション +2'06"
11位 シウトソウ +2'14"
マルティンが快調にリードを広げる中、ウィギンズの追い上げによってカンチェラーラの銀メダルに黄信号が点滅する。「レースの早い時点で無線が聞こえなくなり、タイム差が分からないまま走り続けた」というカンチェラーラ。グランツール向けの身体から5〜6kgほど増量して挑んだウィギンズが後半にかけてペースを上げ、第3計測でカンチェラーラと12秒差に。カンチェラーラは市街地の石畳やテクニカルコーナーでむしろタイムを失ってしまった。
「ラスト5kmはウィニングランのようだった。ゴール手前のコーナーではリスクを負わずに慎重に走ったよ」。安全マージンをとって走りきったマルティンが、3連覇を意味する3本指を立てフィニッシュ。ゴール後、マルティンは疲労と喜びで地面に倒れ込んだ。
マルティンの優勝タイムは1時間5分36秒。平均スピードは世界選TT史上最速の52.9km/h。2位にはカンチェラーラを2秒差で下したウィギンズが入り、カンチェラーラが3位に。マルティンが初めて世界TTチャンピオンに輝いた2011年のコペンハーゲン大会と全く同じ順位でのフィニッシュとなった。
3年連続でアルカンシェルを受け取ったマルティンは「今日の走りはパーフェクトだったと思う。パンクや落車が無い限り勝てると思っていた」とレース後の記者会見でコメントする。敗れたウィギンズとカンチェラーラも「マルティンだけレベルが違った」と語るほど、28歳のジャーマンクロノマンの走りは冴えていた。
選手コメントは別ページにてお伝えします。その他の写真はフォトギャラリーにて!
ロード世界選手権2013エリート男子個人タイムトライアル結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ) 1h05'36"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス) +46"
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス) +48"
4位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ) +1'26"
5位 テイラー・フィニー(アメリカ) +2'08"
6位 ラスムスクリスティアン・クアーデ(デンマーク) +2'36"
7位 マルコ・ピノッティ(イタリア) +2'41"
8位 アドリアーノ・マローリ(イタリア) +2'51"
9位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン) +2'58"
10位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ) +2'59"
11位 ヤン・バルタ(チェコ) +3'07"
12位 ローハン・デニス(オーストラリア) +3'09"
13位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド) +3'13"
14位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン) +3'13"
15位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) +3'14"
16位 クリストフ・ファンデワール(ベルギー) +3'17"
17位 リッチー・ポルト(オーストラリア) +3'22"
18位 ウラディミール・グセフ(ロシア) +3'28"
19位 デミトリ・グルージェフ(カザフスタン) +3'35"
20位 ベアト・グラブシュ(ドイツ) +3'41"
text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
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