2013/08/19(月) - 16:04
まるでロンド・ファン・フラーンデレンのような石畳の急坂が連続する難コースで行なわれたエネコ・ツアー(UCIワールドツアー)第7ステージ。終盤にライバルを振り切って逃げたゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)がステージ優勝と総合優勝を手にした。
ベルギー西部のフランドル地方、ティーネンからヘラールツベルヘンまでの208kmコースには合計11カ所の急坂が詰め込まれている。首都ブリュッセルの南部を西に駆け抜け、ヘラールツベルヘンを起点にした大小2つの周回コースを走る。
「ボスベルグ」や「テンボシュ」「エイケンモーレン」など、ロンド・ファン・フラーンデレンなどのフランドルクラシックでお馴染みの急坂が多数登場。現在ではロンドから外されている「ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン(ミュール・カペルミュール)」が3回登場するのが特徴で、登りの中腹(最大勾配19.8%の激坂区間手前)にフィニッシュラインが引かれている。
前日の第6ステージを終えた時点でリーダージャージのトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)と総合2位ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)のタイム差は僅かに8秒。総合争いを決定づけるこの最終ステージで、UCIプロチーム所属の8名が逃げた。
逃げたのはイアン・スタナード(イギリス、スカイプロサイクリング)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)、ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、ピム・リヒハルト(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ジュリアン・ケルン(ドイツ、アージェードゥーゼル)。ポイント賞ジャージのグライペルが積極的にスプリントポイントでポイントを稼いだ。
メイン集団をコントロールしたのはリーダージャージ擁するアルゴス・シマノで、これにアスタナとランプレ・メリダが合流。石畳の急坂をこなしながら、最大5分まで広がった逃げグループとのタイム差を詰めて行く。
やがてゴールまで50kmを切ると先頭からスタナードがアタック。これにまず反応したのはグライペルで、リヒハルトも合流する。先頭3名に縮小し、ここから2回目の「ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン」でスタナードが独走に持ち込んだ。
ゴールまで26kmを残して独走を開始したスタナードを追って、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキンプロサイクリング)の3人がメイン集団から抜け出すことに成功する。
リーダージャージのドゥムランはチームメイトを失いながらも集団内で走行。総合7位シャヴァネルのアタックについてドゥムランは「自分のポジションが危ぶまれる状況だったので少し焦った。でも総合上位を守りたい他のチームのサポートがあったので、危機に陥ることはなかった」と振り返っている。しばらくして、シャヴァネルのグループは、アスタナやオリカ・グリーンエッジ、レディオシャック・レオパードが牽引するメイン集団によって吸収された。
ゴール6km手前の「デンデロールトベルグ」でレースは重要な局面を迎える。総合2位のスティバルがシャヴァネルに続いてアタック。すぐにリーダージャージのドゥムランが反応したが、スティバルの先行が決まる。メイン集団から飛び出したスティバルは、先頭スタナードをキャッチした。
先頭スティバルとスタナードは20秒ほどのリードをもって最後の「ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン」に突入。序盤から逃げ続けたスタナードが最後の力を振り絞ってスパートを仕掛けたが決まらない。石畳が敷かれた登りでスティバルが先行し、スタナードを4秒、ドゥムランらを25秒引き離してゴールした。
ステージ2勝目を飾り、逆転で総合優勝を決めたスティバル。2度のシクロクロス世界チャンピオンが、ロードにおけるキャリア最高の勝利を手にした。
「この勝利は本当に予想していなかった。膝の故障の後、自分がどんなコンディションなのか分からなかったんだ。ツール・ド・ポローニュで感触は掴んでいたけど、このエネコでは総合トップ10、良くて総合トップ5だと思っていた。でも蓋を開けるとステージ2勝で、昨日も優勝しかけた。本当にアメイジングだ」とスティバルは喜ぶ。
スタナードに勝利を譲らなかった理由について問われたスティバルは「彼がいなかったら逃げ切るのは難しかったと思う。でも、ライバルたちからどれだけ先行していたか分からなかった。だから、残念なことだけど、あの時点で彼を待つことは出来なかった」とコメントしている。
最終的にスティバルとドゥムランの総合タイム差は26秒。総合3位にはアンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)が入っている。ステージ3位に入ったラース・ボーム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)が1ポイント差でグライペルからポイント賞トップの座を奪い取った。
宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)はステージ105位でレースを終え、最終的な総合成績は99位。宮澤は「タフな石畳のアップダウンが続き、常に位置取りが続く中、補給とポジションが自分の仕事。風とコースインフォメーションを聞きながら必要なタイミングで前に上がり、補給を取れなかった選手にサコッシュを運ぶ。残り20kmまで仕事をし、グルペットでゴール。久しぶりのレースだったが、次につながるレースが出来た」とレースを振り返っている。
選手コメントはレース公式サイトより。
エネコ・ツアー2013第7ステージ結果
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) 5h00'03"
2位 イアン・スタナード(イギリス、スカイプロサイクリング) +04"
3位 ラース・ボーム(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +12"
4位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム) +14"
5位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +17"
6位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +25"
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
8位 トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)
9位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ローレンス・デフリース(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
105位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +10'04"
個人総合成績
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) 25h14'05"
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ) +26"
3位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +50"
4位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +55"
5位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'20"
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +1'32"
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +1'34"
9位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) +2'07"
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +2'14"
99位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +33'53"
ポイント賞
ラース・ボーム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
コンバティビティ賞
ローレンス・デフリース(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
ベルギー西部のフランドル地方、ティーネンからヘラールツベルヘンまでの208kmコースには合計11カ所の急坂が詰め込まれている。首都ブリュッセルの南部を西に駆け抜け、ヘラールツベルヘンを起点にした大小2つの周回コースを走る。
「ボスベルグ」や「テンボシュ」「エイケンモーレン」など、ロンド・ファン・フラーンデレンなどのフランドルクラシックでお馴染みの急坂が多数登場。現在ではロンドから外されている「ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン(ミュール・カペルミュール)」が3回登場するのが特徴で、登りの中腹(最大勾配19.8%の激坂区間手前)にフィニッシュラインが引かれている。
前日の第6ステージを終えた時点でリーダージャージのトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)と総合2位ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)のタイム差は僅かに8秒。総合争いを決定づけるこの最終ステージで、UCIプロチーム所属の8名が逃げた。
逃げたのはイアン・スタナード(イギリス、スカイプロサイクリング)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)、ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、ピム・リヒハルト(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ジュリアン・ケルン(ドイツ、アージェードゥーゼル)。ポイント賞ジャージのグライペルが積極的にスプリントポイントでポイントを稼いだ。
メイン集団をコントロールしたのはリーダージャージ擁するアルゴス・シマノで、これにアスタナとランプレ・メリダが合流。石畳の急坂をこなしながら、最大5分まで広がった逃げグループとのタイム差を詰めて行く。
やがてゴールまで50kmを切ると先頭からスタナードがアタック。これにまず反応したのはグライペルで、リヒハルトも合流する。先頭3名に縮小し、ここから2回目の「ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン」でスタナードが独走に持ち込んだ。
ゴールまで26kmを残して独走を開始したスタナードを追って、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキンプロサイクリング)の3人がメイン集団から抜け出すことに成功する。
リーダージャージのドゥムランはチームメイトを失いながらも集団内で走行。総合7位シャヴァネルのアタックについてドゥムランは「自分のポジションが危ぶまれる状況だったので少し焦った。でも総合上位を守りたい他のチームのサポートがあったので、危機に陥ることはなかった」と振り返っている。しばらくして、シャヴァネルのグループは、アスタナやオリカ・グリーンエッジ、レディオシャック・レオパードが牽引するメイン集団によって吸収された。
ゴール6km手前の「デンデロールトベルグ」でレースは重要な局面を迎える。総合2位のスティバルがシャヴァネルに続いてアタック。すぐにリーダージャージのドゥムランが反応したが、スティバルの先行が決まる。メイン集団から飛び出したスティバルは、先頭スタナードをキャッチした。
先頭スティバルとスタナードは20秒ほどのリードをもって最後の「ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン」に突入。序盤から逃げ続けたスタナードが最後の力を振り絞ってスパートを仕掛けたが決まらない。石畳が敷かれた登りでスティバルが先行し、スタナードを4秒、ドゥムランらを25秒引き離してゴールした。
ステージ2勝目を飾り、逆転で総合優勝を決めたスティバル。2度のシクロクロス世界チャンピオンが、ロードにおけるキャリア最高の勝利を手にした。
「この勝利は本当に予想していなかった。膝の故障の後、自分がどんなコンディションなのか分からなかったんだ。ツール・ド・ポローニュで感触は掴んでいたけど、このエネコでは総合トップ10、良くて総合トップ5だと思っていた。でも蓋を開けるとステージ2勝で、昨日も優勝しかけた。本当にアメイジングだ」とスティバルは喜ぶ。
スタナードに勝利を譲らなかった理由について問われたスティバルは「彼がいなかったら逃げ切るのは難しかったと思う。でも、ライバルたちからどれだけ先行していたか分からなかった。だから、残念なことだけど、あの時点で彼を待つことは出来なかった」とコメントしている。
最終的にスティバルとドゥムランの総合タイム差は26秒。総合3位にはアンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)が入っている。ステージ3位に入ったラース・ボーム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)が1ポイント差でグライペルからポイント賞トップの座を奪い取った。
宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)はステージ105位でレースを終え、最終的な総合成績は99位。宮澤は「タフな石畳のアップダウンが続き、常に位置取りが続く中、補給とポジションが自分の仕事。風とコースインフォメーションを聞きながら必要なタイミングで前に上がり、補給を取れなかった選手にサコッシュを運ぶ。残り20kmまで仕事をし、グルペットでゴール。久しぶりのレースだったが、次につながるレースが出来た」とレースを振り返っている。
選手コメントはレース公式サイトより。
エネコ・ツアー2013第7ステージ結果
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) 5h00'03"
2位 イアン・スタナード(イギリス、スカイプロサイクリング) +04"
3位 ラース・ボーム(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +12"
4位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム) +14"
5位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +17"
6位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +25"
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
8位 トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)
9位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ローレンス・デフリース(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
105位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +10'04"
個人総合成績
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) 25h14'05"
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ) +26"
3位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +50"
4位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +55"
5位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'20"
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキンプロサイクリング) +1'32"
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +1'34"
9位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) +2'07"
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・レオパード) +2'14"
99位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ) +33'53"
ポイント賞
ラース・ボーム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
コンバティビティ賞
ローレンス・デフリース(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
Amazon.co.jp
【正規品】 ヒューガルデン ホワイト 330ml瓶×24本
ヒューガルデン