ピナレロQ36.5プロサイクリングに移籍したサム・ベネット(アイルランド)が、昨年11月に心房細動を患い、アブレーション手術を受けたと明かした。レース復帰時期は未定で、3月末を一つの目標に調整を進めているという。



心房細動であったことを告白したサム・ベネット(アイルランド) photo:CorVos

2020年のツール・ド・フランスで最終第21ステージを含む区間2勝を挙げ、マイヨヴェール(ポイント賞)を獲得したサム・ベネット(アイルランド)。2年間所属したデカトロンCMA CGMを離れ、2026年は1年契約でピナレロQ36.5プロサイクリングに移籍した。しかし、アイルランド紙アイリッシュ・インディペンデントの取材で、心房細動のアブレーション手術を受けていたことを打ち明けた。

ベネットは昨年11月、ロンドン滞在中の夜中に動悸で目が覚め、翌朝にチームの医療スタッフへ連絡。検査の結果、心房細動だと判明した。心房細動は心房が小刻みに震えて脈が乱れる不整脈の1つで、ベネットはその兆候が2025年シーズン終盤の不調として表れていた可能性にも言及している。

「心臓の上部2つの部屋が下部2つよりも2倍の速さで拍動していたそうだ。血流が30〜40%も低下して、スプリントに入ろうとすると踏めずに座り込んでしまうことがあった。状況としては辻褄が合うが、実際にそれが(不調の)原因だったかどうかは、レースに復帰してみないと分からない」

2020年ツールでマイヨヴェールを獲得したサム・ベネット(アイルランド) photo:Makoto.AYANO

治療方法として投薬なども選択肢にあったが、再発を防ぐためにもカテーテルアブレーション治療を選択した。これはカテーテル(体の中に入る細い管)の先端を使い、不規則な電気信号の発生源となる部位を加熱し、異常な信号を止める治療方法だ。11月18日にドイツのフランクフランクルトで手術を受け、直後から抗凝固薬の服用が続いたため、落車時のリスクを考えてトレーニングを控え、今週になってようやくロードでのトレーニングを再開した。

インタビューで復帰時期について「具体的な予定はないが、3月末を一つの目標に設定している」と語ったベネット。35歳となった2025年は4勝を挙げた一方、勝利はいずれも1クラスのレースにとどまった。それでも2025年のティレーノ〜アドリアティコで区間2位に入るなど復調の兆しは見せており、新天地での復活が期待される。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Makoto.AYANO