2013/07/22(月) - 16:41
やはり世界の舞台を走る山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム)の走りは強力だった。唯一食らいついた斉藤亮(MIYATA-MERIDA)を後半パワーで引き離し、6連続となる全日本チャンピオンの座を手に入れた。
MTBクロスカントリーの全日本チャンピオンを決めるレースの舞台となったのは、修善寺・日本サイクルスポーツセンター(日本CSC)の敷地内に設けられた1周4.6kmの周回コース。ロードコースの舗装路や人口のバーム、ジャンプセクション、舗装の激坂上りなどが用意されたものの、全体的にアップダウンは厳しくない「踏み」の多いサーキットだ。
好転に恵まれたこの日、終日に渡って路面状況はドライ。一部林の中のシングル区間は湿り気を含んだ走りやすい状態となり、よりパワーが問われるコンディションとなった。
男子エリートでは5連覇中の山本幸平と今シーズンJシリーズ開幕3連勝を飾っている斉藤亮の走り、そして小野寺健(スペシャライズドレーシングチーム)、平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)など他ライバル勢がどう戦うかに注目が集まった。
スタートと共に先頭に立ったのは山本。この動きを斉藤がフォローすると先頭2人は後続を徐々に引き離し、先頭は2名のパックとなる。続くのは平野、千田尚孝(自転車村レーシングチーム)、門田基志(TEAM GIANT)、小野寺ら。小野寺は序盤にサドルが折れるトラブルに見舞われ、修理に時間を要し中盤からの追い上げを強いられた。
「今日の斉藤さんは充実していて、特に気持ちが強かった。作戦を変えざるを得なかった。」と後に山本が語るほどに斉藤の粘りは強力で、先頭2人は3位グループとの差を次第に広げ完全に抜け出す展開となる。
しかし中盤、全開でプッシュし余裕を欠いた斉藤が下りコーナーでミス。斉藤は高速を維持しギャップの広がりを最小限に食い止めていたものの、若干開いた距離は少しずつ大きなものとなっていく。そして終盤、諦めずに踏み込んでいた斉藤は遂にペースダウン。山本と斉藤の差は1分を超え、レースを決める決定的なものとなった。
最終的に山本は斉藤を大きく引き離してゴールへ飛び込み、全日本選手権6連覇を達成。レースから2週間離れていたこと、蒸し暑い気候に身体が慣れないながらも、最後は世界の舞台で鍛えた強さを十二分に見せつける結果となった。
そして1分21秒遅れて斉藤がゴール。斉藤は後に「今日は勝つか負けるかの勝負がしたかった。結果勝てなかったことは残念ですが、今持てる全てを出し切ることができたので悔いはありません。単純に去年と比較して良いのかは分かりませんが、幸平との差も縮まっています。勝負できるレベルには達しているので、今後はより海外でも戦えるだけのフィジカルを鍛えたい。来シーズンは海外を視野に入れています。」と今後の展望を語った。
そして3位はトラブルから追い上げ、平野を終盤にパスした小野寺入り表彰台の座を獲得。以下千田、門田と続き、池田祐樹(TOPEAK ERGON)は7位に入った。完走は15名で、山本の平均スピードは24.1km/hだった。
山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム)のコメント
「いつもの流れでスタートから独走で行こうかと思ったけれど、斉藤さんがコンディションも良く、やる気もビシビシ伝わってくるほど今日は強かった。2週間レースから遠ざかっていたことに加え、気候のため思うようにハイペースを刻めませんでした。離そうと思っても離れず、仕方なく全体的にはマイペースを刻みつつ上りでプッシュする走りに切り替えました。すると少しずつ間隔が空いたので、そこからは落ち着いてゴールを目指しました。
今シーズンはワールドカップがあと3戦、そして世界選手権が残っています。僕の目標は一ケタでゴールすることですし、そうやって結果を残さないとチームや周りの皆さんが納得してくれません。でも今日の走りでは目標達成にはまだまだ遠い。よりスピードを身につけたいですね。」
男子エリート
1位 山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム) 1h35'42"
2位 斉藤亮(MIYATA-MERIDA) +1'21"
3位 小野寺健(スペシャライズドレーシングチーム) +3'40"
4位 平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +3'56"
5位 千田尚孝(自転車村レーシングチーム) +4'57"
6位 門田基志(TEAM GIANT) +8'17"
7位 池田祐樹(TOPEAK ERGON) +9'04"
8位 山田主 +9'31"
9位 松本駿(TEAM SCOTT) +9'47"
10位 神谷知明(GIANT/MET/T-SERV) +9'55"
女子は中込由香里が10年ぶり5度目の全日本チャンピオンに
去年まで9連覇を達成した女王・片山梨絵の引退により、誰が次期王者となるか注目されていた女子クラス。全日本ロード&タイムトライアルの2冠を今年獲得している與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)はやはり最有力候補だ。
ほかベテランの中込由香里(team SY-Nak)やダウンヒル界の女王・末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN)がどう攻めていくかに注目が集まった。
序盤に先頭に立ったのはやはり與那嶺と中込。徐々に與那嶺がリードを広げこのまま独走体勢に持ち込むかと思われた矢先、チェーンが切れるトラブルに見舞われ大きくタイムロス。フィードゾーンでの補修作業中に最後尾まで転落してしまう。
先頭では中込と末政がそれぞれ快調なペースを刻んでいたものの、レース中盤に末政が落車しペースダウン。順位を下げた與那嶺は圧倒的な走りで巻き返しを図り、トップでゴールゲートをくぐったのだが、メカトラから復帰する際に他チームから規則外の援助を与えられたとして最終的に4位へ降格となり、中込が優勝に輝いた。
「勝ち方はとにかく、どうしても1位が欲しいと思いつつレースをしていました。今回は本当の意味で勝ったとは思っていませんが、いろいろな力が集まった奇跡の全日本チャンピオンタイトルだと思います」と表彰式でコメントした。
アンダーは沢田時、ジュニアは横山航太が戴冠
普段ヨーロッパを舞台に戦う沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の走りに注目された男子アンダーU23クラス。沢田はスタートからトップに立ち独走体勢に持ちこむかと思われたが、昨年のチャンピオンである中原義貴(Cannondale)が意地を見せて中盤までランデブー状態に。
しかしレース中盤からは徐々に差が開き始め、最終的に沢田は中原から27秒先行した状態でゴールを迎えた。3位は西田尚平(国際自然環境アウトドア専門学校)、前田公平(TEAM SCOTT)は4位に入った。
ジュニアは終止レースをリードした横山航太(CLUB Grow)が山田誉史輝(DIRTFREAK/LITEC)に対して2分半を付ける圧勝で全日本チャンピオンの座についた。マスターズは序盤からレースを作った鈴木智之(ckirin.com)が制した。
女子
1位 中込由香里(team SY-Nak) 1h30'26"
2位 末政実緒(DF/SARACEN) +6'28"
3位 小林可奈子(AZUMINO FOX GDR) +7'37"
4位 與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!) —
5位 斎藤磨実(TEAM MASA+BOMA) +10'24"
男子U23
1位 沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)1h17'25"
2位 中原義貴(Cannondale) +27"
3位 西田尚平(国際自然環境アウトドア専門学校) +1'22"
男子ジュニア
1位 横山航太(CLUB Grow) 1h07'24"
2位 山田誉史輝(DIRTFREAK/LITEC) +2'38"
3位 長谷川大成(自転車村レーシングチーム) +4'00"
マスターズ
1位 鈴木智之(ckirin.com) 1h19'59"
2位 大塚潤(Team YOU CAN) +1'35"
3位 北島篤志(ckirin.com) +2'43"
text&photo:So.Isobe
MTBクロスカントリーの全日本チャンピオンを決めるレースの舞台となったのは、修善寺・日本サイクルスポーツセンター(日本CSC)の敷地内に設けられた1周4.6kmの周回コース。ロードコースの舗装路や人口のバーム、ジャンプセクション、舗装の激坂上りなどが用意されたものの、全体的にアップダウンは厳しくない「踏み」の多いサーキットだ。
好転に恵まれたこの日、終日に渡って路面状況はドライ。一部林の中のシングル区間は湿り気を含んだ走りやすい状態となり、よりパワーが問われるコンディションとなった。
男子エリートでは5連覇中の山本幸平と今シーズンJシリーズ開幕3連勝を飾っている斉藤亮の走り、そして小野寺健(スペシャライズドレーシングチーム)、平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)など他ライバル勢がどう戦うかに注目が集まった。
スタートと共に先頭に立ったのは山本。この動きを斉藤がフォローすると先頭2人は後続を徐々に引き離し、先頭は2名のパックとなる。続くのは平野、千田尚孝(自転車村レーシングチーム)、門田基志(TEAM GIANT)、小野寺ら。小野寺は序盤にサドルが折れるトラブルに見舞われ、修理に時間を要し中盤からの追い上げを強いられた。
「今日の斉藤さんは充実していて、特に気持ちが強かった。作戦を変えざるを得なかった。」と後に山本が語るほどに斉藤の粘りは強力で、先頭2人は3位グループとの差を次第に広げ完全に抜け出す展開となる。
しかし中盤、全開でプッシュし余裕を欠いた斉藤が下りコーナーでミス。斉藤は高速を維持しギャップの広がりを最小限に食い止めていたものの、若干開いた距離は少しずつ大きなものとなっていく。そして終盤、諦めずに踏み込んでいた斉藤は遂にペースダウン。山本と斉藤の差は1分を超え、レースを決める決定的なものとなった。
最終的に山本は斉藤を大きく引き離してゴールへ飛び込み、全日本選手権6連覇を達成。レースから2週間離れていたこと、蒸し暑い気候に身体が慣れないながらも、最後は世界の舞台で鍛えた強さを十二分に見せつける結果となった。
そして1分21秒遅れて斉藤がゴール。斉藤は後に「今日は勝つか負けるかの勝負がしたかった。結果勝てなかったことは残念ですが、今持てる全てを出し切ることができたので悔いはありません。単純に去年と比較して良いのかは分かりませんが、幸平との差も縮まっています。勝負できるレベルには達しているので、今後はより海外でも戦えるだけのフィジカルを鍛えたい。来シーズンは海外を視野に入れています。」と今後の展望を語った。
そして3位はトラブルから追い上げ、平野を終盤にパスした小野寺入り表彰台の座を獲得。以下千田、門田と続き、池田祐樹(TOPEAK ERGON)は7位に入った。完走は15名で、山本の平均スピードは24.1km/hだった。
山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム)のコメント
「いつもの流れでスタートから独走で行こうかと思ったけれど、斉藤さんがコンディションも良く、やる気もビシビシ伝わってくるほど今日は強かった。2週間レースから遠ざかっていたことに加え、気候のため思うようにハイペースを刻めませんでした。離そうと思っても離れず、仕方なく全体的にはマイペースを刻みつつ上りでプッシュする走りに切り替えました。すると少しずつ間隔が空いたので、そこからは落ち着いてゴールを目指しました。
今シーズンはワールドカップがあと3戦、そして世界選手権が残っています。僕の目標は一ケタでゴールすることですし、そうやって結果を残さないとチームや周りの皆さんが納得してくれません。でも今日の走りでは目標達成にはまだまだ遠い。よりスピードを身につけたいですね。」
男子エリート
1位 山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム) 1h35'42"
2位 斉藤亮(MIYATA-MERIDA) +1'21"
3位 小野寺健(スペシャライズドレーシングチーム) +3'40"
4位 平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +3'56"
5位 千田尚孝(自転車村レーシングチーム) +4'57"
6位 門田基志(TEAM GIANT) +8'17"
7位 池田祐樹(TOPEAK ERGON) +9'04"
8位 山田主 +9'31"
9位 松本駿(TEAM SCOTT) +9'47"
10位 神谷知明(GIANT/MET/T-SERV) +9'55"
女子は中込由香里が10年ぶり5度目の全日本チャンピオンに
去年まで9連覇を達成した女王・片山梨絵の引退により、誰が次期王者となるか注目されていた女子クラス。全日本ロード&タイムトライアルの2冠を今年獲得している與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)はやはり最有力候補だ。
ほかベテランの中込由香里(team SY-Nak)やダウンヒル界の女王・末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN)がどう攻めていくかに注目が集まった。
序盤に先頭に立ったのはやはり與那嶺と中込。徐々に與那嶺がリードを広げこのまま独走体勢に持ち込むかと思われた矢先、チェーンが切れるトラブルに見舞われ大きくタイムロス。フィードゾーンでの補修作業中に最後尾まで転落してしまう。
先頭では中込と末政がそれぞれ快調なペースを刻んでいたものの、レース中盤に末政が落車しペースダウン。順位を下げた與那嶺は圧倒的な走りで巻き返しを図り、トップでゴールゲートをくぐったのだが、メカトラから復帰する際に他チームから規則外の援助を与えられたとして最終的に4位へ降格となり、中込が優勝に輝いた。
「勝ち方はとにかく、どうしても1位が欲しいと思いつつレースをしていました。今回は本当の意味で勝ったとは思っていませんが、いろいろな力が集まった奇跡の全日本チャンピオンタイトルだと思います」と表彰式でコメントした。
アンダーは沢田時、ジュニアは横山航太が戴冠
普段ヨーロッパを舞台に戦う沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の走りに注目された男子アンダーU23クラス。沢田はスタートからトップに立ち独走体勢に持ちこむかと思われたが、昨年のチャンピオンである中原義貴(Cannondale)が意地を見せて中盤までランデブー状態に。
しかしレース中盤からは徐々に差が開き始め、最終的に沢田は中原から27秒先行した状態でゴールを迎えた。3位は西田尚平(国際自然環境アウトドア専門学校)、前田公平(TEAM SCOTT)は4位に入った。
ジュニアは終止レースをリードした横山航太(CLUB Grow)が山田誉史輝(DIRTFREAK/LITEC)に対して2分半を付ける圧勝で全日本チャンピオンの座についた。マスターズは序盤からレースを作った鈴木智之(ckirin.com)が制した。
女子
1位 中込由香里(team SY-Nak) 1h30'26"
2位 末政実緒(DF/SARACEN) +6'28"
3位 小林可奈子(AZUMINO FOX GDR) +7'37"
4位 與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!) —
5位 斎藤磨実(TEAM MASA+BOMA) +10'24"
男子U23
1位 沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)1h17'25"
2位 中原義貴(Cannondale) +27"
3位 西田尚平(国際自然環境アウトドア専門学校) +1'22"
男子ジュニア
1位 横山航太(CLUB Grow) 1h07'24"
2位 山田誉史輝(DIRTFREAK/LITEC) +2'38"
3位 長谷川大成(自転車村レーシングチーム) +4'00"
マスターズ
1位 鈴木智之(ckirin.com) 1h19'59"
2位 大塚潤(Team YOU CAN) +1'35"
3位 北島篤志(ckirin.com) +2'43"
text&photo:So.Isobe
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