2009/07/09(木) - 11:15
海沿いの平坦な196.5kmで行なわれたツール・ド・フランス第5ステージは、序盤から逃げを試みたトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)が、他の逃げメンバーを振るい落とし、スプリンターチームの追い上げを振り切って優勝。7度目のツール挑戦で初のステージ優勝に輝いた。
地中海に面した平野部を196.5kmかけて南下するツール第5ステージ。中盤に2つの山岳が登場するが、スプリンターでも難なく越えることが出来る。十中八九、スプリンターの勝負に持ち込まれると思われた。
アタック合戦の末に集団から飛び出したのは別府史之(スキル・シマノ)、トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)、アントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー)、マルチン・サパ(ポーランド、ランプレ)の4名。アタックを主導したフミだが、やがては脱落して集団に飲み込まれてしまう。
フミが吸収されるとミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)、ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)の3名がアタックを成功させ、先頭の3名に合流。20km地点から6名の逃げが始まった。
この日サクソバンクはリーダーチームとしての責務を果たさず、タイム差は10分近くまで拡大。メイン集団はレース序盤からチームコロンビア・HTCとガーミンがコントロールし、逃げとのタイム差を3〜4分に保った。
2つの4級山岳を越えると、あとはゴールまで海岸線に近い平坦路が続く。最後の山岳の下りで落車したのはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)。手首を痛めたヘーシンクは再スタートを切ったが、ちょうどその頃、サクソバンクが先頭に立って集団のペースを上げ始めた。横風区間での集団破壊を狙ったペースアップだ。
マイヨジョーヌまでローテーションに加わるサクソバンクの攻撃的なペースアップにより、集団は3つに分裂。ここからは、後続を引き離したいチームと、先行した集団に追いつきたいチームによる力勝負に。
後方に取り残されたのはトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)やダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)ら。ヘーシンクは何とかこの第2集団に追いついた。
約40kmに渡るこのメイン集団と第2集団のハイスピードバトルは、結果的に残り20km地点で第2集団が追いついてフリダシに戻った。しかし左手でハンドルバーを握れないヘーシンクはこの集団から脱落。結局ヘーシンクはグリシャ・ニアマン(ドイツ)にサポートされながら9分35秒遅れでゴールした。
集団のペースアップによって、逃げグループのリードは一時的に40秒差まで縮まっていた。ゴールまで30kmを残して逃げのリードは40秒。逃げ切るには絶望的な数字だ。
しかし一旦1つに戻った集団はスローダウン。このペースの緩みにより、スプリンターチームが本格的な牽引を始めた残り15kmの時点で、タイム差は1分25秒まで拡大した。集団スプリントに持ち込みたいチームコロンビア・HTCやガーミンが慌てて全力で追撃したが届かず、ステージ優勝の行方は先頭6名に絞られた。
やがて残り6km地点で先頭からイグナチエフがアタックを仕掛けると、逃げグループの中でのステージ優勝争いが勃発。イグナチエフのアタックは成功せず、残り5kmで飛び出したヴォクレールが独走態勢に入った。
追い上げるティマーとイグナチエフ、そしてメイン集団。しかしヴォクレールは先頭を最後まで守り抜いた。後方を何度も確認し、勝利を確信したヴォクレールは首を振りながら沿道の歓声に手を振って応え、そして両手を広げてゴール。逃げ切り勝利を飾った。
キャリア初のツールステージ優勝を、劇的な逃げ切りで成し遂げたヴォクレール。2004年に大逃げを決めてマイヨジョーヌを10日間着た男が、7度目のツール挑戦でようやくステージ優勝を手にした。
奇しくもこの日はジャンルネ・ベルノドー監督(Bboxブイグテレコム)の53回目の誕生日。長年同監督の下で走るヴォクレールは、チーム創設以来2度目のステージ優勝という素晴らしいバースデープレゼントを恩師にプレゼントした。
7秒遅れでゴールにやってきたメイン集団は、ティマーとイグナチエフを飲み込み、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)を先頭にゴール。カヴはステージ3勝を逃したが、ポイント賞のリードを広げることには成功した。また、新城幸也(Bboxブイグテレコム)はステージ18位に入り、8ポイントを加算している。
総合成績に変動は無く、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)を0.22秒リードしてマイヨジョーヌをキープしている。
また、大きく遅れてゴールしたヘーシンクは、搬送先の病院で手首骨折の診断を受けた。ラボバンクのサブエースとして、新人賞&山岳賞争いに絡むと予想されたヘーシンクは無念のリタイア。ほろ苦いツールデビューとなった。
ツール・ド・フランス2009第5ステージ結果
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)4h29'35"
2位 ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)+07"
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
5位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)
6位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
8位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
10位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)
18位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)
72位 別府史之(日本、スキル・シマノ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)15h07'49"
2位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+00"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+19"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+23"
5位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+31"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+38"
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、アスタナ)+51"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+52"
9位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+1'06"
10位 デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)+1'07"
139位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+6'49"
150位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+7'35"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)96pts
2位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)70pts
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)54pts
12位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
27位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、フランセーズデジュー)9pts
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)6pts
3位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)6pt
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)15h08'41"
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+39"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+44"
チーム総合成績
1位 アスタナ 43h49'39"
2位 サクソバンク +2'33"
3位 チームコロンビア・HTC +2'45"
第5ステージ敢闘賞
ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)
地中海に面した平野部を196.5kmかけて南下するツール第5ステージ。中盤に2つの山岳が登場するが、スプリンターでも難なく越えることが出来る。十中八九、スプリンターの勝負に持ち込まれると思われた。
アタック合戦の末に集団から飛び出したのは別府史之(スキル・シマノ)、トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)、アントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー)、マルチン・サパ(ポーランド、ランプレ)の4名。アタックを主導したフミだが、やがては脱落して集団に飲み込まれてしまう。
フミが吸収されるとミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)、ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)の3名がアタックを成功させ、先頭の3名に合流。20km地点から6名の逃げが始まった。
この日サクソバンクはリーダーチームとしての責務を果たさず、タイム差は10分近くまで拡大。メイン集団はレース序盤からチームコロンビア・HTCとガーミンがコントロールし、逃げとのタイム差を3〜4分に保った。
2つの4級山岳を越えると、あとはゴールまで海岸線に近い平坦路が続く。最後の山岳の下りで落車したのはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)。手首を痛めたヘーシンクは再スタートを切ったが、ちょうどその頃、サクソバンクが先頭に立って集団のペースを上げ始めた。横風区間での集団破壊を狙ったペースアップだ。
マイヨジョーヌまでローテーションに加わるサクソバンクの攻撃的なペースアップにより、集団は3つに分裂。ここからは、後続を引き離したいチームと、先行した集団に追いつきたいチームによる力勝負に。
後方に取り残されたのはトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)やダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)ら。ヘーシンクは何とかこの第2集団に追いついた。
約40kmに渡るこのメイン集団と第2集団のハイスピードバトルは、結果的に残り20km地点で第2集団が追いついてフリダシに戻った。しかし左手でハンドルバーを握れないヘーシンクはこの集団から脱落。結局ヘーシンクはグリシャ・ニアマン(ドイツ)にサポートされながら9分35秒遅れでゴールした。
集団のペースアップによって、逃げグループのリードは一時的に40秒差まで縮まっていた。ゴールまで30kmを残して逃げのリードは40秒。逃げ切るには絶望的な数字だ。
しかし一旦1つに戻った集団はスローダウン。このペースの緩みにより、スプリンターチームが本格的な牽引を始めた残り15kmの時点で、タイム差は1分25秒まで拡大した。集団スプリントに持ち込みたいチームコロンビア・HTCやガーミンが慌てて全力で追撃したが届かず、ステージ優勝の行方は先頭6名に絞られた。
やがて残り6km地点で先頭からイグナチエフがアタックを仕掛けると、逃げグループの中でのステージ優勝争いが勃発。イグナチエフのアタックは成功せず、残り5kmで飛び出したヴォクレールが独走態勢に入った。
追い上げるティマーとイグナチエフ、そしてメイン集団。しかしヴォクレールは先頭を最後まで守り抜いた。後方を何度も確認し、勝利を確信したヴォクレールは首を振りながら沿道の歓声に手を振って応え、そして両手を広げてゴール。逃げ切り勝利を飾った。
キャリア初のツールステージ優勝を、劇的な逃げ切りで成し遂げたヴォクレール。2004年に大逃げを決めてマイヨジョーヌを10日間着た男が、7度目のツール挑戦でようやくステージ優勝を手にした。
奇しくもこの日はジャンルネ・ベルノドー監督(Bboxブイグテレコム)の53回目の誕生日。長年同監督の下で走るヴォクレールは、チーム創設以来2度目のステージ優勝という素晴らしいバースデープレゼントを恩師にプレゼントした。
7秒遅れでゴールにやってきたメイン集団は、ティマーとイグナチエフを飲み込み、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)を先頭にゴール。カヴはステージ3勝を逃したが、ポイント賞のリードを広げることには成功した。また、新城幸也(Bboxブイグテレコム)はステージ18位に入り、8ポイントを加算している。
総合成績に変動は無く、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)を0.22秒リードしてマイヨジョーヌをキープしている。
また、大きく遅れてゴールしたヘーシンクは、搬送先の病院で手首骨折の診断を受けた。ラボバンクのサブエースとして、新人賞&山岳賞争いに絡むと予想されたヘーシンクは無念のリタイア。ほろ苦いツールデビューとなった。
ツール・ド・フランス2009第5ステージ結果
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)4h29'35"
2位 ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)+07"
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
5位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)
6位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
8位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
10位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)
18位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)
72位 別府史之(日本、スキル・シマノ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)15h07'49"
2位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+00"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+19"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+23"
5位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+31"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+38"
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、アスタナ)+51"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+52"
9位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+1'06"
10位 デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)+1'07"
139位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+6'49"
150位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+7'35"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)96pts
2位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)70pts
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)54pts
12位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
27位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、フランセーズデジュー)9pts
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)6pts
3位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)6pt
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)15h08'41"
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+39"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+44"
チーム総合成績
1位 アスタナ 43h49'39"
2位 サクソバンク +2'33"
3位 チームコロンビア・HTC +2'45"
第5ステージ敢闘賞
ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)
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