2013/07/18(木) - 11:00
山岳個人TTの第17ステージは、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)がアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)を下し、今大会ステージ3勝目を達成。またフランス人最高位のジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)が落車によりリタイア。
ステージ優勝・総合1位・山岳賞のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
今日の結果には自分でも驚いている。少しくらいはタイムを失うことになるという心構えで、明日以降に備えることだけを考えていた。特にラルプ・デュエズを2回登る明日のステージのために、今日は絶対に自分を限界域まで追い込まないようにしていた。1回目の個人タイムトライアル(第11ステージ)ほど追い込んでいないので、本当に自分でも驚いている。
第1計測ポイントや第2計測ポイントでのタイム差がコンタドールと大きく離れていないと知ったのが励みになった。終盤にギアが大きなタイムトライアル・バイクに交換したことで、確実に数秒はタイム差を縮められるだろうとは思っていた。パリに到着するまでは、まだまだレースは続く。4分以上の充分なタイム差を獲得していたとしても、毎日ずっと試練が続くと思う。
それに明日からの3日間は、ここまでのツールのなかで最も過酷なステージなりそうだ。ぼくとアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)の間には、個人的な確執は全くない。お互いにしっかりとバイクに乗っている——つまり、健全な競争関係にあるのだと思う。昨日のことについては、彼が下りでリスクを取って限界を超えただけで、そのせいでぼくの目の前で落車して危ない目にあいそうになったというだけのことだ。
誰かの些細なミスが重大なことにつながることもある。つまり、誰かのツールがそれで終了する可能性もあるということだ。これは自転車レースであって、生存をかけたレースではないことを彼も認識するべきだと思う。ぼくはステージ優勝を望んでいるわけではなく、今はただ、このマイヨ・ジョーヌを着る時間を確保するために、あらゆることにトライしてリードを広げようとしているだけだ。現段階では、それを最優先に考えていて、それ以外の結果はボーナスみたいなものだと思っている。
新人賞・総合5位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
タイムトライアルで良い成績が出せた。今日はぼく向きのコースだったことが大きい。自分の人生のなかでも最大級に重要なタイムトライアルだった。だけど、おそらくベストではなかった。好調ではあったけど、昨日のステージでの疲れを感じていたからだ。明日のラルプ・デュエズのステージは勝負所となるだろう。楽しみでもあり、やりがいもある。
現在のところラルプ・デュエズについては、なにひとつ知らない。まだ行ったことがないからだ。おだやかな気持ちで登ってみたいと思う。今の目標は現状維持。つまり、ライバルのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)に対して、この新人賞ジャージを守ることだ。そして余裕があれば、総合成績も狙ってみるつもりだ。
ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
落ち着いた1日を過ごした。(出走時には)雨も降っていなかったので、しっかり走っても良かったのだけど。ほとんど心配もなく、ゴールに着くことができた。
今日のコースが2つの山岳だけだったのは幸運だった。ゆっくりと登って、慎重に下ればよかったからだ。今日はレースらしいことをしなかった。明日のステージに必要とされる体力を温存するつもりだった。
総合2位・ステージ2位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
良いステージだった。あとわずかまで迫れたことに満足している。ただ、わずかなタイム差で勝利を逃したことは残念だ。クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は、極めて高いレベルで登坂とタイムトライアルの両方をこなせる選手だ。フルームのタイムを知ったときは、まだぼくがベストタイムだった。だから最後に彼が勝ったことに驚いた。
最後の下りでは雨が降り始めたので、ゆっくりと下ることにした。昨日、落車した反省もある。(ケガをした)膝はタイムトライアルのあいだはあまり痛まなかったことが本当に喜ばしい。おかげで明日以降のステージにもやる気が出た。(途中での)バイク交換については多くの議論があると思う。でも、ぼくは今日の(バイク交換しなかったという)決定については満足している。メカノックのファウスティーノは、ぼくのためにバイクを準備してくれていた。それを使ったとしても、タイムは縮まなかったと思う。
今日のステージ2位という結果でも、ぼくたちの目標は変わらない。トップの座を狙うチャンスがある限り、やってみようと思う。たしかにフルームは素晴らしい。でも、まだ過酷なステージが2日残っているし、総合2位の今なら、総合1位への道のりは少し楽になった。フルームは本当に強力だ。でも、ぼくのまわりにいる素晴らしいチームとなら、まだまだ勝機がある。
ステージ3位・総合6位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
この個人タイムトライアルでは素晴らしい成績を出せたと思う。ステージ優勝もできるかもしれないと一瞬は考えたほどだ。コンタドールが最後の数mを走るのを見ていたのだけど、まるで(サッカーの)欧州チャンピオンズリーグの決勝でのPK戦を見ている気分だった。0.7秒差でコンタドールに負けたことがわかったときは、本当にがっかりした。
彼が中間計測ポイントでベストタイムをたたき出したので、このままなら彼がステージ優勝して、自分は1秒差で2位になるだろうと思った。でも、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が走って、優勝を奪い去ってしまった。予想はしていたことだけど。ともかく、自分の状態には満足している。ツールの終盤に大きな仕事ができそうだ。
総合18位・ステージ167位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
今の段階で言えるのは、最初に思っていた以上にジロ・デ・イタリアで激しく消耗してしまったようだ。ジロとツールの両方に出場することの問題は、たしかに意識はしていた。
自分としてはジロを終えた後でも、ツールにフレッシュな状態で出場できると思っていたが、不調のままで、調子も上がらない。3月の段階まで戻って、決定を見直す必要が出てきた。
鎖骨を骨折してリタイアしたジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
カーブのところで落車したのは、道にヒビなどがあったからじゃなかったと思う。自分でもリスクは取ってないと思う。こなせると思って先に進んだので、あのカーブで落車するなんて自分でも驚いている。
これもまたレースだ。体調も良いし、鎖骨を折っただけだ。自宅に戻って少し休んで、身体が回復したら、次の目的に向かおうと思う。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝・総合1位・山岳賞のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
今日の結果には自分でも驚いている。少しくらいはタイムを失うことになるという心構えで、明日以降に備えることだけを考えていた。特にラルプ・デュエズを2回登る明日のステージのために、今日は絶対に自分を限界域まで追い込まないようにしていた。1回目の個人タイムトライアル(第11ステージ)ほど追い込んでいないので、本当に自分でも驚いている。
第1計測ポイントや第2計測ポイントでのタイム差がコンタドールと大きく離れていないと知ったのが励みになった。終盤にギアが大きなタイムトライアル・バイクに交換したことで、確実に数秒はタイム差を縮められるだろうとは思っていた。パリに到着するまでは、まだまだレースは続く。4分以上の充分なタイム差を獲得していたとしても、毎日ずっと試練が続くと思う。
それに明日からの3日間は、ここまでのツールのなかで最も過酷なステージなりそうだ。ぼくとアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)の間には、個人的な確執は全くない。お互いにしっかりとバイクに乗っている——つまり、健全な競争関係にあるのだと思う。昨日のことについては、彼が下りでリスクを取って限界を超えただけで、そのせいでぼくの目の前で落車して危ない目にあいそうになったというだけのことだ。
誰かの些細なミスが重大なことにつながることもある。つまり、誰かのツールがそれで終了する可能性もあるということだ。これは自転車レースであって、生存をかけたレースではないことを彼も認識するべきだと思う。ぼくはステージ優勝を望んでいるわけではなく、今はただ、このマイヨ・ジョーヌを着る時間を確保するために、あらゆることにトライしてリードを広げようとしているだけだ。現段階では、それを最優先に考えていて、それ以外の結果はボーナスみたいなものだと思っている。
新人賞・総合5位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
タイムトライアルで良い成績が出せた。今日はぼく向きのコースだったことが大きい。自分の人生のなかでも最大級に重要なタイムトライアルだった。だけど、おそらくベストではなかった。好調ではあったけど、昨日のステージでの疲れを感じていたからだ。明日のラルプ・デュエズのステージは勝負所となるだろう。楽しみでもあり、やりがいもある。
現在のところラルプ・デュエズについては、なにひとつ知らない。まだ行ったことがないからだ。おだやかな気持ちで登ってみたいと思う。今の目標は現状維持。つまり、ライバルのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)に対して、この新人賞ジャージを守ることだ。そして余裕があれば、総合成績も狙ってみるつもりだ。
ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
落ち着いた1日を過ごした。(出走時には)雨も降っていなかったので、しっかり走っても良かったのだけど。ほとんど心配もなく、ゴールに着くことができた。
今日のコースが2つの山岳だけだったのは幸運だった。ゆっくりと登って、慎重に下ればよかったからだ。今日はレースらしいことをしなかった。明日のステージに必要とされる体力を温存するつもりだった。
総合2位・ステージ2位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
良いステージだった。あとわずかまで迫れたことに満足している。ただ、わずかなタイム差で勝利を逃したことは残念だ。クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は、極めて高いレベルで登坂とタイムトライアルの両方をこなせる選手だ。フルームのタイムを知ったときは、まだぼくがベストタイムだった。だから最後に彼が勝ったことに驚いた。
最後の下りでは雨が降り始めたので、ゆっくりと下ることにした。昨日、落車した反省もある。(ケガをした)膝はタイムトライアルのあいだはあまり痛まなかったことが本当に喜ばしい。おかげで明日以降のステージにもやる気が出た。(途中での)バイク交換については多くの議論があると思う。でも、ぼくは今日の(バイク交換しなかったという)決定については満足している。メカノックのファウスティーノは、ぼくのためにバイクを準備してくれていた。それを使ったとしても、タイムは縮まなかったと思う。
今日のステージ2位という結果でも、ぼくたちの目標は変わらない。トップの座を狙うチャンスがある限り、やってみようと思う。たしかにフルームは素晴らしい。でも、まだ過酷なステージが2日残っているし、総合2位の今なら、総合1位への道のりは少し楽になった。フルームは本当に強力だ。でも、ぼくのまわりにいる素晴らしいチームとなら、まだまだ勝機がある。
ステージ3位・総合6位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
この個人タイムトライアルでは素晴らしい成績を出せたと思う。ステージ優勝もできるかもしれないと一瞬は考えたほどだ。コンタドールが最後の数mを走るのを見ていたのだけど、まるで(サッカーの)欧州チャンピオンズリーグの決勝でのPK戦を見ている気分だった。0.7秒差でコンタドールに負けたことがわかったときは、本当にがっかりした。
彼が中間計測ポイントでベストタイムをたたき出したので、このままなら彼がステージ優勝して、自分は1秒差で2位になるだろうと思った。でも、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が走って、優勝を奪い去ってしまった。予想はしていたことだけど。ともかく、自分の状態には満足している。ツールの終盤に大きな仕事ができそうだ。
総合18位・ステージ167位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
今の段階で言えるのは、最初に思っていた以上にジロ・デ・イタリアで激しく消耗してしまったようだ。ジロとツールの両方に出場することの問題は、たしかに意識はしていた。
自分としてはジロを終えた後でも、ツールにフレッシュな状態で出場できると思っていたが、不調のままで、調子も上がらない。3月の段階まで戻って、決定を見直す必要が出てきた。
鎖骨を骨折してリタイアしたジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
カーブのところで落車したのは、道にヒビなどがあったからじゃなかったと思う。自分でもリスクは取ってないと思う。こなせると思って先に進んだので、あのカーブで落車するなんて自分でも驚いている。
これもまたレースだ。体調も良いし、鎖骨を折っただけだ。自宅に戻って少し休んで、身体が回復したら、次の目的に向かおうと思う。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
Amazon.co.jp