2013/06/07(金) - 07:53
標高1369mの超級山岳ヴァルモレルにゴールするクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第5ステージで、総合争いが勃発。ツール・ド・フランス前哨戦と呼ぶに相応しいバトルの末、コンタドールを振り切ったクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が勝利した。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第5ステージ・コース高低図 image:A.S.O.ドーフィネは後半戦に突入。第5ステージはグレシー・シュル・エクスからヴァルモレルまでの139kmで行なわれた。前半から難易度の低い山岳が続き、標高1369mの超級山岳ヴァルモレル(登坂距離12.7km・平均勾配7%)にゴールする。
フランス東部の山岳地帯はこの日も好天に恵まれた photo:Cor Vos勝負が懸かったこの重要なステージで逃げたのは15名。ツアー・ダウンアンダー覇者のトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ブランコプロサイクリング)やブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)、フランティセク・ラボン(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)がエスケープ。山岳賞ジャージを着るトマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)もしっかりこの中に入った。
ポルトに牽引されて登りを進むクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Cor Vosダムソーは3つのカテゴリー山岳を連続で先頭通過し、山岳賞トップの座をキープ。逃げグループのリードは5分を推移したが、ガーミン・シャープやカチューシャ、モビスターの集団コントロールによって縮小に転じる。逃げグループは超級山岳ヴァルモレルを前に細分化。2分ほどのリードで最後の登りに差し掛かった。
ゴールに向かって逃げ続けるマシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Cor Vos勾配7%が続くヴァルモレルの登りで逃げグループの中から飛び出したのはティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)。しばらくウェレンスの独走が続いたが、やがてマシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード)が先頭を奪う。
一方のメイン集団はスカイプロサイクリングのハイペースによって見る見るうちに縮小。ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)はパンクで、ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)は落車の影響で遅れてしまう。
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が数回アタックするシーンも見られたが、メイン集団を率いるリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)が落ち着いてこれを吸収。ラスト3kmを切ったところで、リーダージャージを着るローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)がついにメイン集団から脱落した。
ポルトの牽引が終わるといよいよリーダー対決が始まる。ラスト2kmを切って先手を打ったのは、前日の個人タイムトライアルでタイムを失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)。強烈なアタックによってメイン集団は崩壊する。タイミングを見計らってペースアップしたフルームだけがコンタドールに追いついた。
フラムルージュ(ラスト1kmアーチ)を過ぎ、先行するブッシュを視界に捉えたフルームとコンタドール。ツールでもバトルを繰り広げるであろう2人がハイペースで登りを進み、ラスト300mでついにブッシュを抜いて先頭へ。前を向いてひたすら踏み続けたフルームが、コンタドールを4秒引き離してゴールした。
超級山岳ヴァルモレルを制したクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferla
勝利に貢献したポルトと喜ぶクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferlaライバルを寄せ付けない抜群の登坂力を披露したたフルームは「このステージ優勝は登りでポジション取りをしてくれたチームメイトたちのおかげ」とコメントする。「ピーター・ケノーとリッチー・ポルトが全てのアタックに対応してくれた。コンタドールがアタックした時、彼はもはや総合で大きく遅れている選手なので、焦らずに見送ったんだ。レディオシャックの選手(ブッシュ)には追いつかないと思っていたけど、チームメイトに感謝するためにステージ優勝を狙った」。
「登りでロドリゲスやコンタドール、バルベルデを引き離すことが出来てよかったよ。この上ないほど良いコンディションだ。でもアルベルト(コンタドール)は残りの3週間で必ず調子を上げてくると思う」。チームメイトのポルトと52秒差、遅れたデニスから54秒差で総合首位に立ったフルーム。スカイプロサイクリングのリーダーとしてツール・ド・フランスに挑む準備は出来ている。
クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が総合首位に立つ photo:Riccardo Scanferla
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第5ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 3h28'39"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +04"
3位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +10"
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +12"
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
8位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +21"
9位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +24"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +29"
14位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +59"
18位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +1'31"
48位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +4'50"
51位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +5'29"
73位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +9'58"
133位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +19'22"
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 16h08'44"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +52"
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +54"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +1'37"
5位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +1'47"
6位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +1'49"
7位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'52"
8位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)+1'58"
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +2'16"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +2'20"
ポイント賞
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)
新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
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一方のメイン集団はスカイプロサイクリングのハイペースによって見る見るうちに縮小。ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)はパンクで、ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)は落車の影響で遅れてしまう。
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が数回アタックするシーンも見られたが、メイン集団を率いるリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)が落ち着いてこれを吸収。ラスト3kmを切ったところで、リーダージャージを着るローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)がついにメイン集団から脱落した。
ポルトの牽引が終わるといよいよリーダー対決が始まる。ラスト2kmを切って先手を打ったのは、前日の個人タイムトライアルでタイムを失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)。強烈なアタックによってメイン集団は崩壊する。タイミングを見計らってペースアップしたフルームだけがコンタドールに追いついた。
フラムルージュ(ラスト1kmアーチ)を過ぎ、先行するブッシュを視界に捉えたフルームとコンタドール。ツールでもバトルを繰り広げるであろう2人がハイペースで登りを進み、ラスト300mでついにブッシュを抜いて先頭へ。前を向いてひたすら踏み続けたフルームが、コンタドールを4秒引き離してゴールした。
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「登りでロドリゲスやコンタドール、バルベルデを引き離すことが出来てよかったよ。この上ないほど良いコンディションだ。でもアルベルト(コンタドール)は残りの3週間で必ず調子を上げてくると思う」。チームメイトのポルトと52秒差、遅れたデニスから54秒差で総合首位に立ったフルーム。スカイプロサイクリングのリーダーとしてツール・ド・フランスに挑む準備は出来ている。
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選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第5ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 3h28'39"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +04"
3位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +10"
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +12"
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
8位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +21"
9位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +24"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +29"
14位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +59"
18位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +1'31"
48位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +4'50"
51位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +5'29"
73位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +9'58"
133位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +19'22"
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 16h08'44"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +52"
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +54"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +1'37"
5位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +1'47"
6位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +1'49"
7位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'52"
8位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)+1'58"
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +2'16"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +2'20"
ポイント賞
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)
新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
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