2013/05/17(金) - 00:05
MTBの2013レースシーズンを盛り上げる注目のライダーから、今シーズンの「手ごたえと目標」を聞いた。XCOからは斉藤亮(ミヤタ・メリダ)と、海外で活動する沢田時(ブリヂストン・アンカー)にインタビュー。ダウンヒルからは新しいMTBチーム「ダートフリーク」の最強コンビに話を聞いた。
斉藤亮(ミヤタ-メリダ)「明らかにパワーが出せるようになっている、全日本が楽しみ」
国内トップライダーとなった斉藤亮は、春先から海外遠征を繰り返してのシーズンインとなった。アジア選手権後の予定を聞いた。
「今年は2月の中旬から本格的にシーズンインして、キプロス共和国に一ヶ月間遠征に行きました。遠征中はUCI公認レースを5レース走って、3月中旬にJ2緑山に合わせて帰国。緑山で良いカタチで優勝する事ができました。
今シーズンから新たな試みとしてJISS(国立スポーツ科学センター)での合宿を月に1回行い、ウェイトトレーニングを取り入れました。結果、明らかにパワーが出せるようになり、体の使い方や自転車の扱い方も上達していると感じてます。また、好調をキープできるコンディショニングの仕方も体得できていると感じてます。
緑山の後はアメリカのシーオッターに初めて参戦して、ショートトラック・クロスカントリーのレースに出ました。初めてワンウェイのレースに出る経験をして、日本の周回レースと違った魅力と難しさを体験できたので、良い意味で経験値が上がりました。
アメリカから帰国して、Jシリーズ開幕戦に合わせて体調を整えました。初戦はシーズンを占う意味で大切なレースで、ミス無く勝つことができて、内容やバイクのセッティングも満足のいくレースでした。
全日本までのワールドカップ参戦も考えましたが、今のところJ2木島平に参戦して、全日本が終わってからの8月に参戦しようと思っています。今は国内で身体のコンディショニングとバイクのセッティングをしっかりやりたいと思います。
全日本は、山本幸平(スペシャライズド)を中心に展開するでしょう。シーオッターで同じレースを走ってきましたが、彼は確実に世界のトップに近づきつつある様に感じました。僕が彼の足下にも及ばなかったのは確かです。でも、チャンスは絶対あると思っていますし、自分が完璧に走れれば、全く歯が立たないわけではない。僕も年々力をつけているので全日本は楽しみですし、何があるか分からないのがレースですから、弱気にならず攻めて行きたいです。」
海外で活動する選手たち 山本幸平、沢田時
海外で活動するMTB選手3人のうち山本幸平(スペシャライズド)は、スペシャライズと2年契約。日本人の有力選手が集まるタイ合宿を終えてから、南アフリカのMTBステージレース「ケープエキップ」とアメリカ「シーオッター」と転戦してアジア選手権で優勝。続いてワールドカップを転戦する。
「目標はワールドカップで一桁ゴール」とコメントを送ってくれた。
沢田時・平野星矢(共にブリヂストン・アンカー)はフランスを拠点に海外遠征を続けている。ここで沢田に今シーズンのターゲットを聞いた。
沢田時(ブリヂストン・アンカー)「僕より速い選手が世界に多くいることに、非常にやりがいを感じる」
「今シーズンはここまでUCIカテゴリーのレースを中心に転戦しています。UCIカテゴリーのレースは毎週のように世界各国で開催されているので、そのカレンダーに合わせて僕たちも様々な国に遠征しています。今シーズンはすでにフランスやスペイン、ポルトガル、クロアチアのレースに参戦しました。
僕の調子は3月末のポルトガル遠征あたりから上がり始めて、UCIカテゴリー2のレースを10位で終えて、UCIポイントを1ポイント獲得できました。初めて訪れたクロアチアのレースでは16位と後一歩のところでポイント獲得を逃しましたが、走っている時の感覚はとても良く、確かな手応えを感じました。
そして2回目のポルトガル遠征では、UCIカテゴリー1のレースで11位に入ることが出来ました。UCIポイントと共に賞金も獲得することができ、トップ10入りも見えたレースでしたので、次のクロアチアでのレースはシングルリザルトを目標に定めました。
そして、クロアチアでのレースでは心身ともに噛み合ったレースをすることができ、念願であったシングルリザルト、9位に入ることが出来ました。
ここまでにUCIカテゴリーのレースの連戦で僕が獲得したUCIポイントは21ポイント。今シーズンのワールドカップをチームジャージを着て走るには20ポイントが必要であり、ワールドカップ開幕までに20ポイント以上のポイントを獲得する事が必要でしたので、なんとかその目標は達成出来た事になります。
今年からU23のレースを走り始めたので、シーズン開幕の時点では当然ゼロポイント。ここまで、エリートカテゴリーとの混合レースの中で、これだけUCIポイントを獲得出来た事は、自分でも評価出来る内容だと思っています。しかし、満足はしていません。トップ10に入ったクロアチアのレースでも僕より上位の選手の約半分は同じU23の選手であり、中には同じ19歳の選手も含まれています。
ここまで走ったU23レースを通して、U23のトップ選手はエリートのトップ選手と変わらないと言われている理由がよく分かりました。ジュニアからU23カテゴリーになったことで、一気にレースのレベルが上がっている事を感じています。今は、僕より速い選手が世界に数え切れないほどいることに、非常にやりがいを感じる様になりました。
これからの予定は、アジア選を終えた一週間後にワールドカップがドイツで開幕。さらに一週間後にチェコで第2戦が開催されます。いずれも初めて行くコース、そして初めてのU23カテゴリーでのワールドカップですので、非常に楽しみにしています。
ということで5月はビッグレースに参戦します。体調管理に気を使いながら、精一杯戦っていきますので、日本から応援の程、宜しくお願い致します」
新興MTBチーム「ダートフリーク」
ダートフリークとはモーターサイクルパーツを扱う商社で、レース分野でのサポート経験が豊富。ブースの充実ぶりは過去の「ホンダ」や「イクザワ」を彷彿とさせる。また、スラムやロックショックを販売しており、ブースではユーザーサポートも有料で行われている。
今年から発足したMTBチームは、ダウンヒルチームに安達靖と末政実緒の最強コンビを揃え、クロスカントリーでは山田誉史輝・山田将輝兄弟と相野田静香の若手選手をサポートする。今回はダウンヒルチームの二人に話を聞いた。
末政「チームの体制はしっかりしていてメカニックもいていい環境です。久しぶりにチームメイトもいてレースに集中できています。(チームメイトの安達靖がいることによって)良い勉強になっています。メカニックもレース経験が抱負なので的確なアドバイスを頂けて、これからさらに速くなっていけたらな、と思います。今年はXCレースに挑戦していて、次の八幡浜とあと何戦か出れたらと思います。ワールドカップも何戦か出たいなと考えて計画中です」。
安達「チーム体制はバッチリなので、あとは自分がどこまで戻せるかですね。(Jシリーズ第1戦の予選は)思ったより清水一輝に差をつけられたかなぁという感じがあるので、もうちょっと詰めなければ駄目ですね」。
今年のバイクは僕の乗り方に合っているし、セッティングも煮詰めることができてます。今年はXCレースをトレーニングとして走って、ダウンヒルは何かしらタイトルは獲りたい。タイトルは獲れるだけ獲りたいけど、欲張らずに何かしら結果は残したい。」
最後は、ダートフリークのバイクブランド「ライテック」のサポートを受ける若手のXCライダー三人に、それぞれの目標を一言で宣言してもらった。
山田誉史輝「去年は10位台だったので一桁に入りたい」
山田将輝「今年はエキスパートランキング一位になること」
相野田静香「中込由香里選手についていけるように頑張りたいです」
text&photo:Akihiro.NAKAO
斉藤亮(ミヤタ-メリダ)「明らかにパワーが出せるようになっている、全日本が楽しみ」
国内トップライダーとなった斉藤亮は、春先から海外遠征を繰り返してのシーズンインとなった。アジア選手権後の予定を聞いた。
「今年は2月の中旬から本格的にシーズンインして、キプロス共和国に一ヶ月間遠征に行きました。遠征中はUCI公認レースを5レース走って、3月中旬にJ2緑山に合わせて帰国。緑山で良いカタチで優勝する事ができました。
今シーズンから新たな試みとしてJISS(国立スポーツ科学センター)での合宿を月に1回行い、ウェイトトレーニングを取り入れました。結果、明らかにパワーが出せるようになり、体の使い方や自転車の扱い方も上達していると感じてます。また、好調をキープできるコンディショニングの仕方も体得できていると感じてます。
緑山の後はアメリカのシーオッターに初めて参戦して、ショートトラック・クロスカントリーのレースに出ました。初めてワンウェイのレースに出る経験をして、日本の周回レースと違った魅力と難しさを体験できたので、良い意味で経験値が上がりました。
アメリカから帰国して、Jシリーズ開幕戦に合わせて体調を整えました。初戦はシーズンを占う意味で大切なレースで、ミス無く勝つことができて、内容やバイクのセッティングも満足のいくレースでした。
全日本までのワールドカップ参戦も考えましたが、今のところJ2木島平に参戦して、全日本が終わってからの8月に参戦しようと思っています。今は国内で身体のコンディショニングとバイクのセッティングをしっかりやりたいと思います。
全日本は、山本幸平(スペシャライズド)を中心に展開するでしょう。シーオッターで同じレースを走ってきましたが、彼は確実に世界のトップに近づきつつある様に感じました。僕が彼の足下にも及ばなかったのは確かです。でも、チャンスは絶対あると思っていますし、自分が完璧に走れれば、全く歯が立たないわけではない。僕も年々力をつけているので全日本は楽しみですし、何があるか分からないのがレースですから、弱気にならず攻めて行きたいです。」
海外で活動する選手たち 山本幸平、沢田時
海外で活動するMTB選手3人のうち山本幸平(スペシャライズド)は、スペシャライズと2年契約。日本人の有力選手が集まるタイ合宿を終えてから、南アフリカのMTBステージレース「ケープエキップ」とアメリカ「シーオッター」と転戦してアジア選手権で優勝。続いてワールドカップを転戦する。
「目標はワールドカップで一桁ゴール」とコメントを送ってくれた。
沢田時・平野星矢(共にブリヂストン・アンカー)はフランスを拠点に海外遠征を続けている。ここで沢田に今シーズンのターゲットを聞いた。
沢田時(ブリヂストン・アンカー)「僕より速い選手が世界に多くいることに、非常にやりがいを感じる」
「今シーズンはここまでUCIカテゴリーのレースを中心に転戦しています。UCIカテゴリーのレースは毎週のように世界各国で開催されているので、そのカレンダーに合わせて僕たちも様々な国に遠征しています。今シーズンはすでにフランスやスペイン、ポルトガル、クロアチアのレースに参戦しました。
僕の調子は3月末のポルトガル遠征あたりから上がり始めて、UCIカテゴリー2のレースを10位で終えて、UCIポイントを1ポイント獲得できました。初めて訪れたクロアチアのレースでは16位と後一歩のところでポイント獲得を逃しましたが、走っている時の感覚はとても良く、確かな手応えを感じました。
そして2回目のポルトガル遠征では、UCIカテゴリー1のレースで11位に入ることが出来ました。UCIポイントと共に賞金も獲得することができ、トップ10入りも見えたレースでしたので、次のクロアチアでのレースはシングルリザルトを目標に定めました。
そして、クロアチアでのレースでは心身ともに噛み合ったレースをすることができ、念願であったシングルリザルト、9位に入ることが出来ました。
ここまでにUCIカテゴリーのレースの連戦で僕が獲得したUCIポイントは21ポイント。今シーズンのワールドカップをチームジャージを着て走るには20ポイントが必要であり、ワールドカップ開幕までに20ポイント以上のポイントを獲得する事が必要でしたので、なんとかその目標は達成出来た事になります。
今年からU23のレースを走り始めたので、シーズン開幕の時点では当然ゼロポイント。ここまで、エリートカテゴリーとの混合レースの中で、これだけUCIポイントを獲得出来た事は、自分でも評価出来る内容だと思っています。しかし、満足はしていません。トップ10に入ったクロアチアのレースでも僕より上位の選手の約半分は同じU23の選手であり、中には同じ19歳の選手も含まれています。
ここまで走ったU23レースを通して、U23のトップ選手はエリートのトップ選手と変わらないと言われている理由がよく分かりました。ジュニアからU23カテゴリーになったことで、一気にレースのレベルが上がっている事を感じています。今は、僕より速い選手が世界に数え切れないほどいることに、非常にやりがいを感じる様になりました。
これからの予定は、アジア選を終えた一週間後にワールドカップがドイツで開幕。さらに一週間後にチェコで第2戦が開催されます。いずれも初めて行くコース、そして初めてのU23カテゴリーでのワールドカップですので、非常に楽しみにしています。
ということで5月はビッグレースに参戦します。体調管理に気を使いながら、精一杯戦っていきますので、日本から応援の程、宜しくお願い致します」
新興MTBチーム「ダートフリーク」
ダートフリークとはモーターサイクルパーツを扱う商社で、レース分野でのサポート経験が豊富。ブースの充実ぶりは過去の「ホンダ」や「イクザワ」を彷彿とさせる。また、スラムやロックショックを販売しており、ブースではユーザーサポートも有料で行われている。
今年から発足したMTBチームは、ダウンヒルチームに安達靖と末政実緒の最強コンビを揃え、クロスカントリーでは山田誉史輝・山田将輝兄弟と相野田静香の若手選手をサポートする。今回はダウンヒルチームの二人に話を聞いた。
末政「チームの体制はしっかりしていてメカニックもいていい環境です。久しぶりにチームメイトもいてレースに集中できています。(チームメイトの安達靖がいることによって)良い勉強になっています。メカニックもレース経験が抱負なので的確なアドバイスを頂けて、これからさらに速くなっていけたらな、と思います。今年はXCレースに挑戦していて、次の八幡浜とあと何戦か出れたらと思います。ワールドカップも何戦か出たいなと考えて計画中です」。
安達「チーム体制はバッチリなので、あとは自分がどこまで戻せるかですね。(Jシリーズ第1戦の予選は)思ったより清水一輝に差をつけられたかなぁという感じがあるので、もうちょっと詰めなければ駄目ですね」。
今年のバイクは僕の乗り方に合っているし、セッティングも煮詰めることができてます。今年はXCレースをトレーニングとして走って、ダウンヒルは何かしらタイトルは獲りたい。タイトルは獲れるだけ獲りたいけど、欲張らずに何かしら結果は残したい。」
最後は、ダートフリークのバイクブランド「ライテック」のサポートを受ける若手のXCライダー三人に、それぞれの目標を一言で宣言してもらった。
山田誉史輝「去年は10位台だったので一桁に入りたい」
山田将輝「今年はエキスパートランキング一位になること」
相野田静香「中込由香里選手についていけるように頑張りたいです」
text&photo:Akihiro.NAKAO
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