2013/05/14(火) - 12:00
雨が降り止まない。スタートは晴れているのにゴールは雨というパターンが続いている。「ジロ・ディタリアが雨を連れて来たんだ。勘弁してくれよ」。ボランティアで交通整理をしているおじさんがトスカーナ訛りのイタリア語で言う。体感気温も下がって来た。
イタリアには明確な南北問題がある。イタリア全土を駆け抜けるジロに帯同していると、はっきりと南北差を感じることが出来る。走っている車から路面の舗装具合、建物の見た目まで、北上するにつれて真新しく、綺麗になってくる。単純に、かかっているお金が違う。
これは自転車にも言えることで、前日のマルケ州からこの日のトスカーナ州にかけて、サイクリストの数自体がどっと増えた。北上するにつれてサイクリストが増え、バイクの年式が新しくなり、カーボンフレーム率が高くなり、バイク重量が軽くなり、コンポのグレードが上がり、変速の段数が増える。
ジロは雨雲とともにイタリアを巡っているらしい。それまで天気が良かったというトスカーナ州に、まるでジロに合わせたように、雨が降る。しかも大雨と言っていいほどの土砂降り。標高1000m級の山岳の気温は10度を切った。
この雨は果たして恵みの雨なのか、それとも禍いの雨なのか。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)はまたもや雨の下りでタイムを失いかけた。対して、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の下りは安心感が違う。
これまで多くの時間をトラックレースに費やし、3つの五輪金メダルと6つの世界タイトルを手にしたウィギンズに対し、エヴァンスは(ヘジダルも)MTBクロスカントリー出身。両者にはそんな違いがある。ただ、それ以前に、金曜日の落車以降、ウィギンズは下りの感覚を失ってしまっている。ウィギンズの言葉を借りると「まるで少女のように下っている」。落車の感触を引きずってしまい、下りコーナーを攻められなくなる感覚は、自転車に乗る全ての人間に共通する。
なお、ウィギンズにとって嬉しくない情報として、天気予報によると、どうやらジロ2週目の天気も思わしくない。優勝候補の筆頭と見られていたウィギンズは、ツール・ド・フランスよりもずっとテクニカルなジロ・デ・イタリアのコースに苦しめられている。ツールではあまり降らない雨がそこに追い討ちをかけている。
フィレンツェの街を一望出来るミケランジェロ広場にジロはゴールする。イタリアの観光ツアーには必ずと言っていいほど組み込まれている観光名所で、海外からの観光客を乗せた大型バスがいつもズラッと並んでいる。
トスカーナ出身のマリオ・チポッリーニやアンドレア・タフィが会場に顔を見せた。数メートル歩くだけであちこちから「マリオ〜〜〜!!」という声が飛ぶチポッリーニのカリスマ性は凄い。なお、今年のジロには彼の名前を冠したバイクに2チーム(ヴィーニファンティーニとバルディアーニヴァルヴォーレ)が乗っている。
9月に行なわれるロード世界選手権の周回を逆走するコースで、28歳のマキシム・ベルコフ(イタリア、カチューシャ)が勝った。フォトグラファーの多くは「なんだ、ロシアチームに所属するロシア人か」と受け流し、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)の勘違いガッツポーズを懸命に撮影したが、実はベルコフのイタリア歴は長い。
2006年にロシアのU23タイムトライアルチャンピオンに輝いたベルコフは、現在ヴィーニファンティーニの監督を務めるルーカ・シントにその才能を見いだされてイタリアへ。同監督のアマチュアチームで走り、2009年にISD・ネーリ(現ヴィーニファンティーニ)でプロデビューしている。
ちなみにベルコフは2日連続でフィニッシュラインを先頭で駆け抜けたことになる。前日の個人タイムトライアルを4番手でスタートしたベルコフは、3分前にスタートしたボブリッジと2分前にスタートしたガヴァッツィと1分前にスタートしたアドリアートをパス。サルターラに先頭でゴールした(ステージ64位)。
長い9日間の闘いを終えて、ジロはようやく1回目の休息日を迎える。選手たちはチームバスよりも早く移動出来るチームカーに乗って雨雲に覆われたアペニン山脈を越え、ヴェネト州のホテルに散らばった。休息日明けの第10ステージは、ジロ初登場のアルトピアーノ・デル・モンタジオにゴールする。最大勾配20%の難関山岳だ。
text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
イタリアには明確な南北問題がある。イタリア全土を駆け抜けるジロに帯同していると、はっきりと南北差を感じることが出来る。走っている車から路面の舗装具合、建物の見た目まで、北上するにつれて真新しく、綺麗になってくる。単純に、かかっているお金が違う。
これは自転車にも言えることで、前日のマルケ州からこの日のトスカーナ州にかけて、サイクリストの数自体がどっと増えた。北上するにつれてサイクリストが増え、バイクの年式が新しくなり、カーボンフレーム率が高くなり、バイク重量が軽くなり、コンポのグレードが上がり、変速の段数が増える。
ジロは雨雲とともにイタリアを巡っているらしい。それまで天気が良かったというトスカーナ州に、まるでジロに合わせたように、雨が降る。しかも大雨と言っていいほどの土砂降り。標高1000m級の山岳の気温は10度を切った。
この雨は果たして恵みの雨なのか、それとも禍いの雨なのか。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)はまたもや雨の下りでタイムを失いかけた。対して、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の下りは安心感が違う。
これまで多くの時間をトラックレースに費やし、3つの五輪金メダルと6つの世界タイトルを手にしたウィギンズに対し、エヴァンスは(ヘジダルも)MTBクロスカントリー出身。両者にはそんな違いがある。ただ、それ以前に、金曜日の落車以降、ウィギンズは下りの感覚を失ってしまっている。ウィギンズの言葉を借りると「まるで少女のように下っている」。落車の感触を引きずってしまい、下りコーナーを攻められなくなる感覚は、自転車に乗る全ての人間に共通する。
なお、ウィギンズにとって嬉しくない情報として、天気予報によると、どうやらジロ2週目の天気も思わしくない。優勝候補の筆頭と見られていたウィギンズは、ツール・ド・フランスよりもずっとテクニカルなジロ・デ・イタリアのコースに苦しめられている。ツールではあまり降らない雨がそこに追い討ちをかけている。
フィレンツェの街を一望出来るミケランジェロ広場にジロはゴールする。イタリアの観光ツアーには必ずと言っていいほど組み込まれている観光名所で、海外からの観光客を乗せた大型バスがいつもズラッと並んでいる。
トスカーナ出身のマリオ・チポッリーニやアンドレア・タフィが会場に顔を見せた。数メートル歩くだけであちこちから「マリオ〜〜〜!!」という声が飛ぶチポッリーニのカリスマ性は凄い。なお、今年のジロには彼の名前を冠したバイクに2チーム(ヴィーニファンティーニとバルディアーニヴァルヴォーレ)が乗っている。
9月に行なわれるロード世界選手権の周回を逆走するコースで、28歳のマキシム・ベルコフ(イタリア、カチューシャ)が勝った。フォトグラファーの多くは「なんだ、ロシアチームに所属するロシア人か」と受け流し、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)の勘違いガッツポーズを懸命に撮影したが、実はベルコフのイタリア歴は長い。
2006年にロシアのU23タイムトライアルチャンピオンに輝いたベルコフは、現在ヴィーニファンティーニの監督を務めるルーカ・シントにその才能を見いだされてイタリアへ。同監督のアマチュアチームで走り、2009年にISD・ネーリ(現ヴィーニファンティーニ)でプロデビューしている。
ちなみにベルコフは2日連続でフィニッシュラインを先頭で駆け抜けたことになる。前日の個人タイムトライアルを4番手でスタートしたベルコフは、3分前にスタートしたボブリッジと2分前にスタートしたガヴァッツィと1分前にスタートしたアドリアートをパス。サルターラに先頭でゴールした(ステージ64位)。
長い9日間の闘いを終えて、ジロはようやく1回目の休息日を迎える。選手たちはチームバスよりも早く移動出来るチームカーに乗って雨雲に覆われたアペニン山脈を越え、ヴェネト州のホテルに散らばった。休息日明けの第10ステージは、ジロ初登場のアルトピアーノ・デル・モンタジオにゴールする。最大勾配20%の難関山岳だ。
text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
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