2013/05/12(日) - 06:22
54.8kmの長距離個人タイムトライアルはブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)向き。しかし昨年のツール・ド・フランス覇者はパンクによってバイク交換を余儀なくされる。昨年のチームメイト、アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)が10秒差で勝利した。
2013年のジロ・デ・イタリアには個人タイムトライアルが2つ設定されている。そのうち、平坦で距離が長いのがこの第8ステージ。海沿いのガビッチェ・マーレをスタートし、ワインディングロードを経て内陸部のサルターラにゴールする。
前半はテクニカルなコーナーが続き、後半は比較的平坦で真っすぐ。最後は最大勾配13%の登りを経てサルターラの街の外れにゴールする。時折空から雨粒が落ちたが、一日中ずっと降り続くことはなかった。
中間計測ポイントでトップタイムをマークしたアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)は、そのままゴールまで快走。1時間16分27秒という暫定トップタイムでサルターラにゴール。平均スピードは43.0km/h。後続のスペシャリストたちの走りを待ったが、最後までイギリスTTチャンピオンのタイムを更新する選手は現れなかった。
スカイプロサイクリングからモビスターに移籍し、初出場のグランツールでステージ初優勝を飾った24歳は「自分の走りをしただけ。でも、待っている時間は地獄だった」とキャリア最大の勝利の感想を淡々と述べる。「チャンスを与えてくれたモビスターには本当に感謝している」。
スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)やルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)も好走したが、ダウセットには届かない。雷鳴が遠くから聞こえる中、いよいよ総合上位陣が54.8kmの闘いをスタートさせた。
前日の第7ステージでライバルたちから遅れ、総合23位に沈んだブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)は序盤から好走。1分前にスタートしたダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)を軽々とパスしたが、18km地点で前輪がパンクしてしまう。スペアバイクで走り出したものの、リズムの崩れとテクニカルなコースによって、中間計測ポイントでは下位に沈む。
「自分向きだった」という平坦基調のレース後半にかけてウィギンズはタイムを挽回し、ラスト3kmから始まるサルターラの登りを勢い良く駆け上がる(ラスト3kmのタイムは最速)。しかしダウセットのタイムには10秒届かなかった。
逆にレース前半から攻めたのはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)。中間計測ポイントで最速タイムをマークすると、そのままペースを維持して後半の平坦路へ。サルターラの登りでタイムを失ったものの、ダウセットから21秒、ウィギンズから11秒遅れという好タイムでゴールした。
その他、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)がステージ7位、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)がステージ11位の好成績。地元マルケ州出身のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)は決して得意ではない長距離個人TTでステージ10位に絡んでみせる。逆にディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)はタイムを伸ばせず、ウィギンズから2分13秒遅れのステージ18位に終わった。
マリアローザを着るベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が大きく遅れたため、ピンクの栄光ジャージはニーバリの手に。鬼門とされていた個人TTで総合リードを得たニーバリを、エヴァンスが29秒差、ヘーシンクが1分15秒差、そしてウィギンズが1分16秒差で追う展開に。徐々に2013年ジロの総合優勝候補が絞られて来た。
ジロ・デ・イタリア2013第8ステージ結果
1位 アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター) 1h16'27"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +10"
3位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +14"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +21"
5位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング) +32"
6位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ) +35"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +39"
8位 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ) +45"
9位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +53"
10位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +53"
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 29h46'57"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +29"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1'15"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'16"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1'24"
6位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +2'05"
7位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'11"
8位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +2'43"
9位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ) +2'44"
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'49"
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
新人賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Saltara, Italy
2013年のジロ・デ・イタリアには個人タイムトライアルが2つ設定されている。そのうち、平坦で距離が長いのがこの第8ステージ。海沿いのガビッチェ・マーレをスタートし、ワインディングロードを経て内陸部のサルターラにゴールする。
前半はテクニカルなコーナーが続き、後半は比較的平坦で真っすぐ。最後は最大勾配13%の登りを経てサルターラの街の外れにゴールする。時折空から雨粒が落ちたが、一日中ずっと降り続くことはなかった。
中間計測ポイントでトップタイムをマークしたアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)は、そのままゴールまで快走。1時間16分27秒という暫定トップタイムでサルターラにゴール。平均スピードは43.0km/h。後続のスペシャリストたちの走りを待ったが、最後までイギリスTTチャンピオンのタイムを更新する選手は現れなかった。
スカイプロサイクリングからモビスターに移籍し、初出場のグランツールでステージ初優勝を飾った24歳は「自分の走りをしただけ。でも、待っている時間は地獄だった」とキャリア最大の勝利の感想を淡々と述べる。「チャンスを与えてくれたモビスターには本当に感謝している」。
スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)やルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)も好走したが、ダウセットには届かない。雷鳴が遠くから聞こえる中、いよいよ総合上位陣が54.8kmの闘いをスタートさせた。
前日の第7ステージでライバルたちから遅れ、総合23位に沈んだブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)は序盤から好走。1分前にスタートしたダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)を軽々とパスしたが、18km地点で前輪がパンクしてしまう。スペアバイクで走り出したものの、リズムの崩れとテクニカルなコースによって、中間計測ポイントでは下位に沈む。
「自分向きだった」という平坦基調のレース後半にかけてウィギンズはタイムを挽回し、ラスト3kmから始まるサルターラの登りを勢い良く駆け上がる(ラスト3kmのタイムは最速)。しかしダウセットのタイムには10秒届かなかった。
逆にレース前半から攻めたのはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)。中間計測ポイントで最速タイムをマークすると、そのままペースを維持して後半の平坦路へ。サルターラの登りでタイムを失ったものの、ダウセットから21秒、ウィギンズから11秒遅れという好タイムでゴールした。
その他、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)がステージ7位、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)がステージ11位の好成績。地元マルケ州出身のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)は決して得意ではない長距離個人TTでステージ10位に絡んでみせる。逆にディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)はタイムを伸ばせず、ウィギンズから2分13秒遅れのステージ18位に終わった。
マリアローザを着るベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が大きく遅れたため、ピンクの栄光ジャージはニーバリの手に。鬼門とされていた個人TTで総合リードを得たニーバリを、エヴァンスが29秒差、ヘーシンクが1分15秒差、そしてウィギンズが1分16秒差で追う展開に。徐々に2013年ジロの総合優勝候補が絞られて来た。
ジロ・デ・イタリア2013第8ステージ結果
1位 アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター) 1h16'27"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +10"
3位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) +14"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +21"
5位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング) +32"
6位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ) +35"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +39"
8位 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ) +45"
9位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +53"
10位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +53"
個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 29h46'57"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +29"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1'15"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'16"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1'24"
6位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +2'05"
7位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'11"
8位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +2'43"
9位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ) +2'44"
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +2'49"
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
新人賞
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Saltara, Italy
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