南仏・コルシカ島で開催された2日間のステージレース、クリテリウム・アンテルナシオナルが決着。最終日の頂上ゴールで勝利したクリス・フルームが総合優勝。2位にはリッチー・ポルトが入り、スカイプロサイクリングがレースを席巻した。

クリテリウム・アンテルナシオナル2013 コースマップクリテリウム・アンテルナシオナル2013 コースマップ (c)A.S.O.A.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)主催のもと、クリテリウム・アンテルナシオナル(UCI2.HC)が3月23日~24日の2日間で開催された。地中海に浮かぶ温暖なコルシカ島が今年も舞台に選ばれた。

初日に短距離のロードレースと個人タイムトライアルを行い、2日目には標高956mのコル・デ・ロスペダール峠頂上に至る本格的な山岳ステージが用意される今大会は、2日間という期間ながら選手の総合力を問う伝統のステージレースだ。

レースにはBMCレーシングチームやスカイプロサイクリングなど、9つのUCIプロツアーチームを含む16チームから、計123名の選手が参加。

昨年度覇者のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)やクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)ら強豪オールラウンダーが集結。日本からは新城幸也(ユーロップカー)がエースのトマ・ヴォクレール(フランス)と共に出場した。


第1ステージ ポルトヴェッキオ~ポルトヴェッキオ 89km

新城幸也(ユーロップカー)を含む逃げ集団新城幸也(ユーロップカー)を含む逃げ集団 photo:A.S.O.全3ステージは全てコルシカ島南部のポルトヴェッキオを起点とするもの。初日の午前中に行われた第1ステージは、途中に難易度の低いカテゴリー山岳が1つ用意される89km。

集団内で走るナセル・ブアニ(フランス、FDJ)集団内で走るナセル・ブアニ(フランス、FDJ) photo:A.S.O.序盤には新城幸也やジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)を含む5名が逃げを決め、最大で3分のタイム差を持ってレースをリード。途中1ヶ所設けられたスプリントポイントは新城が先頭通過し、ボーナスタイムを獲得する。

後半にナセル・ブアニ(フランス)での勝利を狙うFDJやスカイプロサイクリングがペースを集団のペースを上げたため、逃げは残り3kmで全て吸収。

最後はジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)やブアニの追撃を振り切ったテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)がスプリント勝利。同時にマイヨジョーヌの獲得に成功した。

ボスは「山で遅れてしまい、その時はただレースを止めたかった。でもチームメイトに引き戻してもらい、勝つことができたんだ。ハードワークをこなしてくれた彼らに感謝したいよ。信じられない!」と自身のTwitterでコメント。中間スプリントでボーナスタイムを獲得した新城幸也は総合で3位となった。


マイヨジョーヌを獲得したテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)マイヨジョーヌを獲得したテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング) photo:A.S.O.開幕ステージを制したテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)開幕ステージを制したテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング) photo:A.S.O.



第1ステージ結果
1位 テオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング) 2h02′43″
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
3位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)
4位 クレメン・コレツキー(フランス、ブルターニュ・シュレー)
5位 サイモン・ゲスク(ドイツ、アルゴス・シマノ)





第2ステージ ポルトヴェッキオ~ポルトヴェッキオ 7km(個人タイムトライアル)

ステージ4位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)ステージ4位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.第1ステージ終了後の午後に行われる個人タイムトライアル。ポルトヴェッキオを発着するオールフラットな7kmコースは、総合を決する上でのキーポイントだ。

トップタイムを叩きだしたリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)トップタイムを叩きだしたリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.最速タイムを叩きだしたのはパリ~ニースを制して波に乗るリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)。9分10秒でコースを駆け抜け、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)やティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)を01秒抑えて一躍総合リーダーの座に就いた。

クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)がステージ4位、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)がステージ5位と好調を見せた一方で、Aシュレクはステージ71位、エヴァンスは
46秒遅れの74位と沈み、総合圏外に脱落した。

「とてもテクニカルなタイムトライアルで、得意なコースでは無かった。でもコーチやスポーツディレクターと一緒にポジションの改善に取り組んできたことがこの結果に繋がったと思う。チームは調子良く、フルーミーは僕から総合で数秒後ろだね。この勝利はチーム皆で叶えたもの。僕らにとって総合優勝は難しくないはずだ」とポルトは語った。


マイヨジョーヌに袖を通したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)マイヨジョーヌに袖を通したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.マイヨジョーヌを着て走るテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)マイヨジョーヌを着て走るテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング) photo:A.S.O.



第2ステージ結果
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) 09′10″
2位 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ) +01″
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
4位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)+02″
5位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)+07″





第3ステージ ポルトヴェッキオ~コル・デ・ロスペダール 176km

コル・デ・ロスペダールを上るメイン集団。リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)は前方に位置取るコル・デ・ロスペダールを上るメイン集団。リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)は前方に位置取る photo:A.S.O.24日に行われた第3ステージは、ポルトヴェッキオをスタートしコル・デ・ロスペダールへとゴールする176km。コース中には計6つのカテゴリー山岳が詰め込まれ、最後は標高956mの頂上ゴールという本格山岳ステージだ。

アタックするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)アタックするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:A.S.O.スタート直後にはイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)がアタックしたものの決まらず、20kmを経過してからジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)やフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・シュレー)ら7名が先行。しかしスカイプロサイクリングが集団をハイペースに保ったことで、レースは中盤にして振り出しに。

代わってアンディ・シュレクやトマ・ヴォクレール、フランシス・ムレー(フランス、FDJ)がアタックしたものの、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)が牽く集団に飲み込まれる。コル・デ・ロスペダールへ突入すると、人数の絞られたメイン集団から、ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)が飛び出した。
雨のコル・デ・ロスペダールに独走でゴールするクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)雨のコル・デ・ロスペダールに独走でゴールするクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.
すると、残り5.5kmからクリス・フルームがアタック。ここにジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)が追いつくと、2名はチョップに合流。するとフルームが更にアタックし、単独先頭に立った。

一人ハイペースを刻むフルームは、最終的にマイヨジョーヌを着るリッチー・ポルトを30秒引き離し、独走でゴールへ。チームメイトのポルトを逆転し、マイヨジョーヌを獲得。第82回クリテリウム・アンテルナシオナル総合優勝に輝いた。

総合優勝を果たしたクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)総合優勝を果たしたクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.「作戦通りにレースが進んだ。それ以上でも、それ以下でも無い」と語るフルーム。「作戦は、レースを通してコントロールを担うことだった。ずっと他チームに対してプレッシャーをかけ続ける事ができた。先頭を引いている時、後ろに付いていたリッチーと僕との間に、わずかに差ができた。行けると感じたから行ったんだ。」

「その瞬間的な判断が功を奏した。総合でワンツーを達成するなんて、チームにとってこれ以上無いリザルトをもたらす事ができた。」と付け加えた。

フルームに総合首位を明け渡したポルトは、「フルーミーはキリエンカが凄い勢いでテンポを作った後、アタックした。一瞬差がついたんだけど、彼を見たのはそれが最後だった。彼は行ってしまったんだ(笑)。でもそれは、プランには無かったけれど完璧な動きだった。僕とフルーミーは毎日一緒に乗っているから、お互いの事をよく分かっている。チームとして完全にレースを掌握できた。とても結果に満足しているよ」とコメントした。


第3ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 4h43′38″
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +30″
3位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング) +45″
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BBMCレーシングチーム)

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)6h55′23″
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +32″
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +54″
4位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1′00″
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +1′08″
7位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル) +1′33″
8位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ) +1′37″
9位 ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング) +1′43″
10位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +2′05″

ポイント賞
リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)

山岳賞
ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)

新人賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
アージェードゥーゼル


text:So.Isobe
photo:A.S.O.
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