総合争いの事実上最終日となったツール・ド・台湾第6ステージ。最後は60名ほどの集団スプリントに持ち込まれ、ベンジャミン・ジローが優勝。幾多のアタックを凌ぎ切ったベルナルド・サルツバージャーがリーダージャージをキープしている。

細かいアタックがかかり続けるメイン集団細かいアタックがかかり続けるメイン集団 photo:tourdetw台南からスタートしたツール・ド・台湾(UCI2.1)も、6日目で遂に北部の台北に到達した。第6ステージの舞台となったのは、新台北市の沿岸部を駆け巡る126km。コースは概ねフラットだが、途中76.9kmには標高361mのカテゴリー2級山岳が一つ設けられる。

翌日最終ステージは台北市内でのショートクリテリウムとなるため、総合争いは実質的にこの第6ステージで決まる。総合首位のベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)以下トップ10位は全て1分差以内という僅差のため、各チームが激しいアタックを仕掛けてくることが予想された。


台湾北西の沿岸を部走る台湾北西の沿岸を部走る photo:tourdetw

ドラパック・サイクリングがコントロールするメイン集団ドラパック・サイクリングがコントロールするメイン集団 photo:tourdetwベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ)とマート・オハヴェ(エストニア、チャンピオンシステム・プロサイクリング)のスタートアタックで幕開けたレースは、25km地点で平塚吉光(愛三工業レーシング)、寺崎武郎(日本ナショナルチーム)を含む5名が先行した。

しかし平塚が総合で1分遅れだったため、危機感を抱いた集団はこの逃げを吸収。スピーディーな展開に、最初の1時間は平均速度47km/hをマークする。カウンターアタックで2名が飛び出しを決めたものの決定的なリードを奪うことならず。レースは落ち着きを見せないまま、2級山岳へと突入した。

山岳でも細かいアタックが続く山岳でも細かいアタックが続く photo:tourdetw登りではドラパック・サイクリングの守りを崩したいチームが波状攻撃を仕掛けたが、サルツバージャーはこれを耐え抜き山頂を通過。峠の前後で細分化した先頭集団には、ゴールへと向かう平坦路で徐々に後方から選手が追いつき、最終的に人数は60名ほどに。

ゴールまで距離を減らしても集団からアタックが頻発するが、いずれも決定打には繋がらない。鈴木譲(シマノレーシング)や内間康平(日本ナショナルチーム)の動きも封じ込まれ、最後は集団スプリントへとなだれ込んでいった。

終盤にアタックする平塚吉光(愛三工業レーシング)終盤にアタックする平塚吉光(愛三工業レーシング) photo:tourdetwラスト200mから吉田隼人(シマノレーシング)が先頭に立つが、微妙な上り勾配に失速。最後は伸びを見せたベンジャミン・ジローが優勝。前日の上りゴールでも4位に入った27歳のスプリンターが、嬉しいプロ初勝利を上げた。

日本人最高位は寺崎武郎(日本ナショナルチーム)の9位。スプリントでは綾部勇成(愛三工業レーシング)が他の選手と絡んで落車。「今日、チャンスだと思っていたけど、ラスト100Mでこけました。いい位置にいただけに残念です。手を負傷しましたがゴールはしてます。ケガの具合はまだよくわかりませんがまた勝負できるように回復させたいと思います。」と自身のtwitterで報告している。

総合は攻撃に絶え、強いレースを見せたサルツバージャーが手堅くリーダージャージをキープ。台北市内で開催されるクリテリウムを前に、総合優勝に向けて王手を掛けた。

表彰台に立つベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ)表彰台に立つベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ) photo:tourdetw圧倒的な上りスプリントで勝利したベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ)圧倒的な上りスプリントで勝利したベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ) photo:tourdetw


ベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)にシャンパンを掛けるベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ)ベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)にシャンパンを掛けるベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ) photo:tourdetwステージ優勝、各賞ジャージ表彰ステージ優勝、各賞ジャージ表彰 photo:tourdetw





ツール・ド・台湾2013第6ステージ結果
1位 ベンジャミン・ジロー(フランス、ラポム・マルセイユ)
2位 グリシャ・ヤノルシュケ(ドイツ、ニュートリション・アバス)
3位 モハマドアディク・フサイン(マレーシア、チャンピオンシステム・プロサイクリング)
4位 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドバイザーズ)
5位 ダニー・サマーヒル(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 モハマドソフィ・セナン(トレンガヌ・サイクリング)
7位 モハマドリズアン・ザイナル(マレーシア、マレーシアナショナルチーム)
8位 ベンジャミン・エドミュラー(ドイツ、オベルンドルファー)
9位 寺崎武郎(日本ナショナルチーム)
10位 ルイス・メインテ(南アフリカ、MTNキュベカ・サムスン)

14位 野中竜馬(シマノレーシング)
18位 吉田隼人(シマノレーシング)
28位 伊藤雅和(愛三工業レーシング)
32位 鈴木譲(シマノレーシング)
40位 西村大輝(日本ナショナルチーム)
47位 清水太己(日本ナショナルチーム)
49位 平塚吉光(愛三工業レーシング)
58位 内間康平(日本ナショナルチーム)
62位 綾部勇成(愛三工業レーシング)
68位 中島康晴(愛三工業レーシング) +6′26″
77位 福田真平(愛三工業レーシング)
92位 入部正太郎(シマノレーシング) +11′58″
93位 安井雅彦(シマノレーシング)

個人総合成績
1位 ベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング) 17h40′50″
2位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン) +27″
3位 ルイス・メインテ(南アフリカ、MTNキュベカ・サムスン) +28″
4位 キリル・ポズディヤノフ(ロシア、シナジーバクサイクリング)
5位 ネイサン・アール(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドバイザーズ)+31″
6位 クロムステン・アンデルセン(デンマーク、フロイ・ビアンキ)+37″
7位 モハマドソフィ・セナン(マレーシア、トレンガヌ・サイクリング)+41″
8位 ホ・チョイキ(香港、香港ナショナルチーム)
9位 リアム・ホロハン(イギリス、マディソン・ジェネシス)+43″
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシング)+47″

ポイント賞
ベルナルド・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック・サイクリング)

山岳賞
フェン・チュンカイ(台湾、チャンピオンシステム・プロサイクリング)

チーム総合成績
フロイ・ビアンキ


text:So.Isobe
photo:tourdetw