6月28日、ツール・ド・ジャパン第3戦ひたちなかステージ兼JCRC第5戦が開催された。コースとなった茨城県ひたちなか市の自動車安全運転センターの5kmサーキットは、ほぼ平坦なオーバルコース。上りの苦手な人も気軽に参加でき、1200名を越える大量のエントリーで、朝から夕方までコースは人で埋め尽くされた。

エンデューロの大集団(3)エンデューロの大集団(3) photo:(c)Takashi.Nakazawa

4時間エンデューロが人気のヒミツ!


伝統の市民レース「ツール・ド・ジャパン」の第3戦は「ひたちなかステージ」だ。コースは、茨城県ひたちなか市の自動車安全運転センター5kmサーキット。04年に「スペシャライズドカップ」として初めてこのコースがJCRC(日本サイクルレーシングクラブ協会)のロードレースに使用されて以来、今年で6年連続の開催である。06年からツール・ド・ジャパンの1ステージとして組み込まれ、ツール・ド・ジャパンとしては今年で4回目の開催となった。

04年の大会はわずか300名程度の参加者だったが、年々参加者が増え続け、今回はなんと1200名以上の参加者を集めた。人気のヒミツは通常のカテゴリー別レースに加えて、2時間個人エンデューロ、4時間個人エンデューロ、4時間チームエンデューロがあることだ。特に4時間個人エンデューロは、1人でもたっぷりと4時間走ることができるので、満足感が極めて高い。

コースはほぼ平坦なオーバルコースで、道幅が広く、安全に走ることが出来るのが特長だ。単調といえば単調なのだが「上りが苦手でスプリントが得意」という人には、またとない絶好のコース。また、普段は完走するのもままならないという人にとっても、集団にさえついていけば完走できるコース設定になっている。この辺も、人気のヒミツの1つなのだろう。

エンデューロのスタート(1)エンデューロのスタート(1) photo:(c)Takashi.Nakazawa

各クラスでスプリント合戦が!


レースは、朝一番のS、A、Bクラスから始まった。脚力自慢のクラスなので果敢にアタックする人が代わる代わる現れるが、平坦なコースゆえなかなか逃げが決まらない。見通しが良いオーバルコースなので、逃げても集団からの距離が計られてしまう。結局どのクラスもスプリント合戦で勝負が決まり、スプリント力があるライダーが着実に上位に名前を連ねた。

続いて行われた小学校低学年、中学年、高学年クラスは実力差が大きいのである程度ばらけた展開になったものの、その後のC、D、EクラスやO、F、X、G、Wクラスはいずれもスプリント勝負となり、さながら「大スプリント大会」という様相を呈した。

エンデューロの大集団(1)エンデューロの大集団(1) photo:(c)Takashi.Nakazawaこういったホビーレースでかならず出てくるのが、「あいつはゴール前だけ出てきてチョイ差しをして入賞した」という話だ。今回のレースでも、そんな話を複数耳にした。確かに、ゴール前のチョイ差しはあまり誉められたものではない。しかし、文句をいう方も逃げるだけの脚がないのだから「まあ、こんなレースもあるか」と気楽に考えた方が良い気がする。

レースとはいっても、我々ホビーレーサーにとって所詮は遊びである。悔しいならスプリントの練習を積めば良いのだし、それがイヤなら10月の「塩原ヒルクライム」でお返しすれば良い。


落車が少々目立った今回の大会


ただし、まったく問題がなかった訳でもない。雨も降っていなかったのに、今大会は落車が少々目立ったのだ。たくさんの参加者が集まったということは、集団走行に慣れていない人が多かったということでもある。集団内での斜行やふらつき、あるいは「前の方で走りたいけど、先頭は引きたくない」という人たちが、左右から被さってくることによる位置取り合戦の落車、中には応援している仲間に手を振った時にバランスを崩して落車してしまう人もいた。

特に大量の参加者を集めた2時間個人エンデューロ、4時間個人エンデューロ、4時間チームエンデューロは、同時スタートだったために最初の2時間は200人以上からなる大きな集団としてレースが進み、落車が多かったようだ。時間差出走にするなどの措置が必要かもしれない。

MTB元アジアチャンピオン・山口孝徳選手のライディング講習会MTB元アジアチャンピオン・山口孝徳選手のライディング講習会 photo:(c)Takashi.Nakazawa後からスタートしたクラスが、前のクラスに追いついてしまうというケースも目立った。たとえばSクラスとAクラスがそうだ。JCRCの最高峰であるSクラスは実力者が多く、普段なら後ろからスタートしたクラスに追いつかれることはないのだが、レースはやはり水モノだ。今回のSクラスはまったりとレースが進み、2分後にスタートしたAクラスに追いつかれてしまったのだ。実力差のある選手どうし、あるいは違う思惑を持った選手どうしが走ることほど危険なものはない。案の定、ゴール前で落車が発生し、せっかくのレースをふいにしてしまう人もいた。

しかし、小回りが利く点もJCRCの良さだ。「来年はクラス人数を減らす、周回を短縮したり区分を増やしたりしてコース上の選手数を減らす、あるいはコースそのものの変更などを検討します」というJCRCからの回答を得た。もちろん、選手もレースのルールやマナーを守ることが大切だ。

各クラス優勝者は以下の通り。
【Sクラス】
小森裕幸(流通経済大学)

【Aクラス】
里誠(Team Lonely Wolf)

【Bクラス】
石井基朗(チームポテト)

【Cクラス】
大内悠太郎(ヤマダレーシング)
F1クラスの入賞者のみなさんF1クラスの入賞者のみなさん photo:(c)Takashi.Nakazawa
【D1クラス】
白石透(いそや友の会)

【D2クラス】
八田広治(セマス新松戸)

【E1クラス】
小宮僚介(航空電子自転車競技部)

【E2クラス】
藤久健(京浜ピストクラブ)

【F1クラス】
佐々木克剛(BLANCHE)

【F2クラス】
清水達史(Team ENDURANCE ATHLETE)
Oクラスの入賞者のみなさんOクラスの入賞者のみなさん photo:(c)Takashi.Nakazawa
【X1クラス】
高橋芳典(YCCマッチグリーン)

【X2クラス】
吉越優太(航空電子自転車競技部)

【Oクラス】
山崎俊太郎(ウゴーレーシング)

【Gクラス】
大塚和平(パインヒルズ '90)

【Wクラス】
細矢由美子(TEAM DREAMER)

【小学校高学年クラス】
伊藤圭佑(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
親子レースの入賞者のみなさん親子レースの入賞者のみなさん photo:(c)Takashi.Nakazawa
【小学校中学年クラス】
石井洋輝(白河第一小学校)

【小学校低学年クラス】
奥原景太(まんもす!)

【チームTT】
Team ARI(有持真人・紺野衛・今田裕一・小森裕幸)

【親子レース】
Blanche最強親子(田中哲史・田中護)

【ミルキー】
懸巧琉(チームニルス)
本格的なロードバイクに乗るキッズレーサー本格的なロードバイクに乗るキッズレーサー photo:(c)Takashi.Nakazawa
【2時間エンデューロ(個人)】
大塚貴夫(おおえたRT)

【4時間エンデューロ(個人)】
倉林貴彦

【4時間エンデューロ(チーム)】
メロンパンナーズIII(竹村恵悟・三須正・増田信一)

各チームの皆さんをカメラマンが訪問。スナップさせていただいた写真や各クラスの熱戦の模様はフォトギャラリーをご覧ください。

詳しいリザルトはJCRCのウェブサイトへ
http://www.jcrc-net.jp/

PHOTO & TEXT : Takashi NAKAZAWA

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