ツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)第4ステージで日本人選手2名がエスケープ。しかしスプリンターチームの追撃を振り切れるほどのマージンは与えられず、逃げは失敗に終わった。ステージ9位、10位、11位に選手を送り込んだ愛三工業レーシングはチームステージ成績トップに輝いている。

沿道にはバナナやフルーツ、トウモロコシなどの露店が並ぶ沿道にはバナナやフルーツ、トウモロコシなどの露店が並ぶ photo : Sonoko Tanakaランカウイ第4ステージは、タパーからカパールまで海岸線に沿って南下する。前後を重要な頂上ゴールで挟まれた平坦ステージで、カテゴリー山岳は無し。主役の座は一日だけクライマーたちからスプリンターたちに戻った。

西谷泰治(愛三工業レーシング)、新城幸也(ユーロップカー)、プーチョン・サイウドンシン(OCBC)のエスケープグループ西谷泰治(愛三工業レーシング)、新城幸也(ユーロップカー)、プーチョン・サイウドンシン(OCBC)のエスケープグループ photo : Sonoko Tanakaレース序盤のアタック合戦の末に、20km地点で3人のアタックが決まる。新城幸也(ユーロップカー)と西谷泰治(愛三工業レーシング)という日本を代表するライダー2人に、プチョン・サイウドンシン(タイ、OCBCシンガポール)が合流した。

ハンシャンサイクリングがコントロールするメイン集団ハンシャンサイクリングがコントロールするメイン集団 photo : Sonoko Tanaka前日のキャメロンハイランドで総合首位に立ったワン・メイイン(中国)擁するハンシャンサイクリングがコントロールするメイン集団に対し、新城、西谷、サイウドンシンのリードは4分まで拡大。しかし現実的に逃げ切りを狙うには厳しいタイム差に抑え込まれる。

新城は「やっと逃げが決まったのに、なかなかタイム差が開かなくて、なんでだよぉ〜という感じだった。どうせ吸収されるなら、早い段階で後ろに戻ってブライアン(コカール)のスプリントの列車に加わったほうが良いかと思って監督に確認したが、逃げ続けろという指示だったので粘った。もう少し人数がいる逃げだったら、展開が変わっていたかも」と、この日の逃げについて振り返る。

レース後半に入り、ブランコプロサイクリングやオメガファーマ・クイックステップ、アスタナ、ヴィーニファンティーニが集団先頭に立ってペースアップを始めると、タイム差の縮小が加速。ラスト30kmの時点で早くもタイム差は2分を切った。

やがて先頭は新城の独走となり、西谷とサイウドンシンは吸収。直線的で平坦なコースは追い上げる大集団に味方し、単独で粘り続けた新城もラスト11kmで吸収された。新城は「今の時期にしては良く走れていると思う。明日は、ピエールのために自分のできることをするよ」と語っている。

西谷泰治(愛三工業レーシング)、新城幸也(ユーロップカー)、プーチョン・サイウドンシン(OCBC)のエスケープグループ西谷泰治(愛三工業レーシング)、新城幸也(ユーロップカー)、プーチョン・サイウドンシン(OCBC)のエスケープグループ photo : Sonoko Tanaka

第4ステージ、集団スプリントでフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)とアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)が並ぶ第4ステージ、集団スプリントでフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)とアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)が並ぶ photo : Sonoko Tanakaゴールに向かって緊張感が増す中、ラスト4kmでモハマド・ルトフィ(マレーシア、マレーシアチーム)が飛び出したが、しばらくの独走ののち吸収。すでにステージ2勝を飾っているテオ・ボス(オランダ)擁するブランコプロサイクリングが、メンバー4人を揃えて先頭に立った。

フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)がスプリントを制し、今季新しいチームで1勝目を挙げたフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)がスプリントを制し、今季新しいチームで1勝目を挙げた photo : Sonoko Tanakaしかし肝心のボスが集団内に埋もれてしまい、混戦状態のままスプリントが始まる。リードアウト役のグレーム・ブラウン(オーストラリア)が振り返ってボスの姿を探しているその隙に、ラスト250mでアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)がスプリントを開始。

ポイント賞を獲得したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)と総合リーダーのワン・メイリン(中国、ハンシャンサイクリング)ポイント賞を獲得したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)と総合リーダーのワン・メイリン(中国、ハンシャンサイクリング) photo : Sonoko Tanaka昨年ステージ6勝を飾ったグアルディーニを先頭にスプリント。その後ろからビビッドなイエローのフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)が追い上げる。ゴール間際でキッキがグアルディーニを差しきった。

「今日はグアルディーニをマークしていた。ツール・ド・ランカウイでの初勝利を本当に嬉しく思う。昨日のキャメロンハイランドではモンサルベをアシストしたので、今日は自分が勝ちに行こうと決めていたんだ」。2002年にU23の世界チャンピオンに輝き、今年オメガファーマ・クイックステップからヴィーニファンティーニに移籍したキッキが、自身初のステージ優勝を手にした。

スプリントに向けた位置取りで集団前方に姿を見せたのが愛三工業レーシングの青いジャージ。綾部勇成、盛一大、福田真平がそれぞれステージ9位、10位、11位に入り、UCIポイントには届かなかったものの、チームのステージ成績トップに輝いた。

総合に動きはなく、ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)がリーダージャージをキープ。翌日のゲンティンハイランドの頂上ゴールでワンの真価が問われる。


ツール・ド・ランカウイ2013第4ステージ結果
1位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)      3h44'22"
2位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
3位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 レイモント・クレダー(オランダ、ガーミン・シャープ)
5位 アンドリュー・フェン(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、ユナイテッドヘルスケア)
7位 ルスラン・トレウバイエフ(カザフスタン、アスタナ)
8位 アヌアル・マナン(マレーシア、シナジーバクサイクリング)
9位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシング)
10位 盛一大(日本、愛三工業レーシング)
11位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
42位 中島康晴(日本、愛三工業レーシング)
58位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング)
81位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
84位 徳田鍛造(日本、チームNIPPO・デローザ)
97位 福島晋一(日本、チームNIPPO・デローザ)
115位 石橋学(日本、チームNIPPO・デローザ)
117位 佐野淳哉(日本、ヴィーニファンティーニ)
132位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシング)                 +2'02"

個人総合成績
1位 ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)            14h29'06"
2位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)      +2'43"
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)         +3'29"
4位 ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +3'33"
5位 デニス・ファンニーケルク(南アフリカ)                 +3'35"
6位 チャド・ベイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム)
7位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ヨナタン・モンサルベ(ベネズエラ、ヴィーニファンティーニ)
9位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン)
10位 フォルトゥナート・バリアーニ(イタリア、チームNIPPO・デローザ)

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)

アジアンライダー総合成績
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

山岳賞
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

チーム総合成績
MTNキュベカ・サムスン

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka

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