イスラム教の安息日である金曜日。イスラム教が信仰されている東南アジアでは、午後の礼拝の時間を配慮し、金曜日は午前中、もしくは午後の遅い時間にレースが開催されることが多い。したがって今日はそんな事情から、117キロのレースが15時にスタートした。

マレーシア特有の金曜日に開催されるショートステージ

短いレースのちょうど半分の地点に標高差500メートルの2級山岳が控えるレイアウト。その山岳を使って仕掛ける選手がいるか、とも言われていたが、結果的には、終始レースリーダーのテオ・ボス(オランダ)擁するブランコプロサイクリングが集団を徹底コントロールし、彼らの思惑どおりにゴールスプリントの展開になった。

今日が誕生日というアッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)今日が誕生日というアッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ) photo:Sonoko Tanakaイスラム教の礼拝の関係で、15時にスタートした第2ステージイスラム教の礼拝の関係で、15時にスタートした第2ステージ photo:Sonoko Tanaka


盛一大が集団スプリントに参加し、11位でゴール

出走サインをする盛一大(愛三工業レーシング)出走サインをする盛一大(愛三工業レーシング) photo:Sonoko Tanaka日本人最高位は盛一大(愛三工業レーシング)の11位。「愛三工業は3人が最後の局面に残りました。ラスト1キロから700メートルくらいで、綾部さんにリードアウトしてもらって前に上がり、最終コーナーを抜けて立ち上がったところで、後ろの真平が離れてしまっていたので、自分でスプリントをすることに切り替えて、そこから仕掛けました。

レースを終えた盛一大(愛三工業レーシング)、チームメイトと今日のレースを振り返るレースを終えた盛一大(愛三工業レーシング)、チームメイトと今日のレースを振り返る photo:Sonoko Tanakaブランコプロサイクリングは最後のアシストがすごく強かった印象です。それまで前方にいなかったのに、最後にすごい勢いで仕掛けてきた。けど、スプリント自体のスピードはそんなに速くはないので、最後まで残れれば勝負できると思います」と振り返る。

愛三工業レーシングの別府匠監督は今大会の抱負を開幕前にこう語っている。「チームの目標はステージ優勝です。去年は西谷泰治の6位が最高位だったので、今年は少なくとも表彰台に乗りたいと思っています。今回のメンバーは現時点でのベストメンバーで、このレースは2012シーズンの延長という位置づけなので、去年の流れから選んだメンバーです。西谷だけでなく、福田真平でもゴールスプリントを狙えるようにトレーニングを積んでいます。とくに第6ステージ、超級山岳のステージを終えたあとのアップダウンが連続するステージは自分たちにとって大きなチャンスだと思っています」

ゴール後、選手たちは水シャワーに飛び込む。日差しはないものの、じわっとした暑さを感じるゴール後、選手たちは水シャワーに飛び込む。日差しはないものの、じわっとした暑さを感じる photo:Sonoko Tanaka賑やかなキャラバン隊がコースを走る賑やかなキャラバン隊がコースを走る photo:Sonoko Tanaka


エースを担う西谷泰治「気持ちで勝負できる!」

スタート前の愛三工業レーシング。エーススプリンターを託されている福田真平が熱心にコースマップを見るスタート前の愛三工業レーシング。エーススプリンターを託されている福田真平が熱心にコースマップを見る photo:Sonoko Tanaka西谷泰治と盛一大は2月上旬、中東のレースからの連戦となっている。西谷は「連戦の疲れもあるので、今回はマイナスからのスタートという感じです。レースを走りながらコンディションを上げていって、フレッシュな状態の選手が日を重ねて、山を越えることで潰れてくることもあると思うので、そこでチャンスを掴みたいと思っています。

最後は離れてしまったという福田真平(愛三工業レーシング)。次のチャンスを狙う最後は離れてしまったという福田真平(愛三工業レーシング)。次のチャンスを狙う photo:Sonoko Tanaka今回は真平と2人でスプリントを狙う体制です。若い選手が勝てる選手になることで、作戦の切り札を増やしていきたいというのがチームの考えです。真平は、スプリントがかかれば自分よりも速いので、チャンスはあると思います。

ゴールスプリントでステージ優勝した2010年と比べて、出場チームのレベルは上がっていますし、スプリント1本狙いのチームも多いので、なかなか勝つのは難しいと思いますが、自分たちのチームのチーム力は高いですし、2010年と比べて、多くの経験を積んできているので、自分と真平で勝ちを狙いにいきたいと思います。第1ステージを走ってみて、身体が重い感じはありますが、あとは気持ちしだいですね」とコメント。

明日は、最初の超級山岳キャメロンハイランドにゴールするステージ。序盤のゴールスプリントは、テオ・ボスの2連勝という結果だったが、まだレースは始まったばかり。明日は総合順位が動き始めるだろう。

そして、15時にスタートしたレースがゴールしたのは18時近く。チームはさらにそこからホテルまで約1時間の移動があり、厳しい山岳ステージを前に慌ただしい夜を迎えている。

手描きのボードを抱える子どもたち。でも上下が逆だよ!手描きのボードを抱える子どもたち。でも上下が逆だよ! photo:Sonoko Tanakaレースの最終日に優勝者に手渡されるランカウイの象徴、鷲をかたどったトロフィーレースの最終日に優勝者に手渡されるランカウイの象徴、鷲をかたどったトロフィー photo:Sonoko Tanaka


text&photo:Sonoko Tanaka

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