2013/02/20(水) - 09:34
台湾サイクリングの旅も今回が最終回。台湾のシリコンバレーと呼ばれる新竹から自転車工場の中心地・台中へ。ジャイアントの工場を訪問、そこではキング・リュウこと劉会長との面会がかなった。
(新北)新店→(新竹)新竹:(桃園)大溪老街-新埔教會-(新竹)新竹城隍廟
4日目:新竹−(苗栗)通霄-(台中)GIANT工場-清水-清水崗-台中市内
今日は途中で新竹の中華風のお寺、新竹城隍廟にお参りした。台湾の街になら(小さな村にも)どこにでもあるのだが、派手派手の装飾がされた中華風の道教のお寺はいかにもエキゾチックな気分にしてくれる。自転車を停めてしばしの散歩。
パソコン関連企業の工場が多く「台湾のシリコンバレー」との異名をとる新竹市だが、やはり台湾の魅力はこういったところにある。(しかし皆さん謎のポーズだが...)
台湾の東海岸は開発されていないので、のどかな田舎が続いたが、西海岸は都会だらけ。IT産業の中心地・新竹から、自転車産業の中心地・台中へ。世界の自転車工場と異名をとるジャイアントの本社やメリダ、スラム社など数えきれない自転車企業がある街だ。
台中の街は都会だ。街にはけばけばしい看板が並び、アジアな雰囲気たっぷり。檳榔樹の実でできた、噛みタバコのようなビンロウの屋台がところどころにあって、なぜかセクシーなお姉さんが売り子をやっているのは、台湾の風物詩。こんな光景もかなり減ってきているけど、まだまだ健在。日本隊の一行も皆走りながらそれを見つけてははしゃいでいる(笑)。
台中市内ではジャイアントストアに立ち寄ることに。連載1話では台北の女性専門店のLivジャイアントストアに立ち寄り、第2話では花蓮のレンタルバイク専門店のジャイアントストアを紹介した。このお店は普通のジャイアントストアだ。
ジャイアントのお膝元の台中のストアとあってとても充実している。店内スペースはおどろくほど広く、商品も充実。店内にはエスプレッソも淹れられるコーヒーマシンがサービスで置かれている。台湾でのライドに欠かせないフェイスマスク(どれもなぜかハデハデ柄)や、キング劉の台湾一周を記したドキュメンタリー本もしっかり並んでいた。連載中何度も紹介したとおり、この本こそが台湾の自転車ブームの起爆剤となったベストセラーだ。
店内ではジャイアントのANYROAD(エニーロード)という名の、日本でまだ見ぬ新型クロスバイクが飾ってあった。全地形型ロードバイク、といったコンセプトの目新しいモデルだ。
街中は都会ならではのオートバイの多さだが、それでもオートバイ&自転車レーンが広々と確保されているので交通量が多くても走るのがまったく怖くない。これは10年ぐらいまえの台湾を知っている身には考えもつかなかったことだ。路面もかつては穴だらけだったのが、まったく凸凹の無いスムーズな道路になった。これは田舎でも、都会でも。これには驚いた。
世界のバッグパッカーのバイブル的存在、トラベルガイドブックの「Lonely Planet=ロンリー・プラネット」は、2012年のおすすめ10大旅行先に台湾を選んだそうだ。しかも「2輪で訪れる観光環境が最適な発展を遂げているから」という理由だそうだ。世界の旅行書が太鼓判を押す台湾は、本物のサイクリング天国になっている。
気持ちのいい海岸線の道を延々20km弱走り、台中に着いた一行はジャイアントの工場を訪問する。私は約20年前に訪問したことがあるのだが、工場の外観自体はあまり、いやほとんど変わっていなかった。しかし内部はトヨタ式生産方式を取り入れ、高効率の自転車生産を行なっている。残念ながら内部は撮影禁止で、紹介することはできません。しかし、世界の自転車工場と形容される理由はわかった気がする。
ここではなんとキング・リュウこと劉金標会長との面会がかなった。ご一緒した愛媛県の皆さんは昨年初夏のしまなみ海道にリュウ会長と台湾のご一行を迎えて一緒にサイクリングをしているので、嬉しい再会となった。
リュウ会長には台湾1周サイクリングでのお話や、自転車をどう生活に取り入れているか、そして台湾と日本の自転車事情についてのお話をしていただいた。そして皆との意見が交換された。
思い立って73歳で台湾を一周したが、それ以降も自転車で毎日台中市内から郊外・大甲にあるジャイアント本社まで自転車通勤をしているという。自転車に乗り出してからというもの、病気という病気が身体から去り、健康な身体を手に入れたこと。生きている実感を味わっていることなどを話してくださった。(お話の様子は動画でもどうぞ)。
帰り際には著書とおみやげを全員にくださる配慮ぶり。世界の自転車界を代表する方に会えて、ありがたいお話がきけました。ありがとうございました。リュウ会長、いつまでもお元気で自転車を楽しんで下さい。
愛媛県自転車道と台湾、しまなみ海道サイクリングの今後の展開に期待
台湾一周サイクリングの旅Formosa900ですが、私の随行は約半分の行程のここまで。1周にチャレンジする愛媛県の仲間たちを見送って、一路帰国しました。
短い旅でしたが、台湾の充実した自転車環境や、しまなみ海道との深い関係、美味しい料理、素敵な人々と触れ合え、一周せずに切り上げて帰るのはあまりにもったいないと感じたのが正直なところです。
台湾は間違いなく自転車天国・大国・先進国でした。日本の自転車をめぐる現状を嘆きつつも、この近しい国が切り拓いていったものから学ぶことは多いように思います。皆さんも機会があれば、いや、ぜひ機会をつくって台湾をサイクリングしてみて下さい。
そしてつい先日、愛媛県が総延長1270kmにおよぶ自転車道を5年がかりで整備することを発表しました(日本経済新聞ウェブ版記事、愛媛県の計画書などを参照)。
この、26コースにおよぶ「愛媛マルゴト自転車道」計画には、今回このFormosa900を走った愛媛県関係者の皆さんが係わっているのです。台湾の進んだ自転車事情を身体で感じてきた皆さんがすすめる計画だけに、今後の展開をとても期待して見守りたいと思います。
最後に、この旅の機会をくださったジャイアント台湾本社、ジャイアント・ジャパンの皆さん、そして現地でサポートしてくださったジャイアント旅行社のスタッフたち、愛媛県及びしまなみ街道での自転車振興に関わる関係者の皆さん、旅をご一緒した皆さんに感謝して連載を終わります。謝謝。
フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)
photo&text:Makoto.AYANO
撮影・文 綾野 真
(新北)新店→(新竹)新竹:(桃園)大溪老街-新埔教會-(新竹)新竹城隍廟
4日目:新竹−(苗栗)通霄-(台中)GIANT工場-清水-清水崗-台中市内
今日は途中で新竹の中華風のお寺、新竹城隍廟にお参りした。台湾の街になら(小さな村にも)どこにでもあるのだが、派手派手の装飾がされた中華風の道教のお寺はいかにもエキゾチックな気分にしてくれる。自転車を停めてしばしの散歩。
パソコン関連企業の工場が多く「台湾のシリコンバレー」との異名をとる新竹市だが、やはり台湾の魅力はこういったところにある。(しかし皆さん謎のポーズだが...)
台湾の東海岸は開発されていないので、のどかな田舎が続いたが、西海岸は都会だらけ。IT産業の中心地・新竹から、自転車産業の中心地・台中へ。世界の自転車工場と異名をとるジャイアントの本社やメリダ、スラム社など数えきれない自転車企業がある街だ。
台中の街は都会だ。街にはけばけばしい看板が並び、アジアな雰囲気たっぷり。檳榔樹の実でできた、噛みタバコのようなビンロウの屋台がところどころにあって、なぜかセクシーなお姉さんが売り子をやっているのは、台湾の風物詩。こんな光景もかなり減ってきているけど、まだまだ健在。日本隊の一行も皆走りながらそれを見つけてははしゃいでいる(笑)。
台中市内ではジャイアントストアに立ち寄ることに。連載1話では台北の女性専門店のLivジャイアントストアに立ち寄り、第2話では花蓮のレンタルバイク専門店のジャイアントストアを紹介した。このお店は普通のジャイアントストアだ。
ジャイアントのお膝元の台中のストアとあってとても充実している。店内スペースはおどろくほど広く、商品も充実。店内にはエスプレッソも淹れられるコーヒーマシンがサービスで置かれている。台湾でのライドに欠かせないフェイスマスク(どれもなぜかハデハデ柄)や、キング劉の台湾一周を記したドキュメンタリー本もしっかり並んでいた。連載中何度も紹介したとおり、この本こそが台湾の自転車ブームの起爆剤となったベストセラーだ。
店内ではジャイアントのANYROAD(エニーロード)という名の、日本でまだ見ぬ新型クロスバイクが飾ってあった。全地形型ロードバイク、といったコンセプトの目新しいモデルだ。
街中は都会ならではのオートバイの多さだが、それでもオートバイ&自転車レーンが広々と確保されているので交通量が多くても走るのがまったく怖くない。これは10年ぐらいまえの台湾を知っている身には考えもつかなかったことだ。路面もかつては穴だらけだったのが、まったく凸凹の無いスムーズな道路になった。これは田舎でも、都会でも。これには驚いた。
世界のバッグパッカーのバイブル的存在、トラベルガイドブックの「Lonely Planet=ロンリー・プラネット」は、2012年のおすすめ10大旅行先に台湾を選んだそうだ。しかも「2輪で訪れる観光環境が最適な発展を遂げているから」という理由だそうだ。世界の旅行書が太鼓判を押す台湾は、本物のサイクリング天国になっている。
気持ちのいい海岸線の道を延々20km弱走り、台中に着いた一行はジャイアントの工場を訪問する。私は約20年前に訪問したことがあるのだが、工場の外観自体はあまり、いやほとんど変わっていなかった。しかし内部はトヨタ式生産方式を取り入れ、高効率の自転車生産を行なっている。残念ながら内部は撮影禁止で、紹介することはできません。しかし、世界の自転車工場と形容される理由はわかった気がする。
ここではなんとキング・リュウこと劉金標会長との面会がかなった。ご一緒した愛媛県の皆さんは昨年初夏のしまなみ海道にリュウ会長と台湾のご一行を迎えて一緒にサイクリングをしているので、嬉しい再会となった。
リュウ会長には台湾1周サイクリングでのお話や、自転車をどう生活に取り入れているか、そして台湾と日本の自転車事情についてのお話をしていただいた。そして皆との意見が交換された。
思い立って73歳で台湾を一周したが、それ以降も自転車で毎日台中市内から郊外・大甲にあるジャイアント本社まで自転車通勤をしているという。自転車に乗り出してからというもの、病気という病気が身体から去り、健康な身体を手に入れたこと。生きている実感を味わっていることなどを話してくださった。(お話の様子は動画でもどうぞ)。
帰り際には著書とおみやげを全員にくださる配慮ぶり。世界の自転車界を代表する方に会えて、ありがたいお話がきけました。ありがとうございました。リュウ会長、いつまでもお元気で自転車を楽しんで下さい。
愛媛県自転車道と台湾、しまなみ海道サイクリングの今後の展開に期待
台湾一周サイクリングの旅Formosa900ですが、私の随行は約半分の行程のここまで。1周にチャレンジする愛媛県の仲間たちを見送って、一路帰国しました。
短い旅でしたが、台湾の充実した自転車環境や、しまなみ海道との深い関係、美味しい料理、素敵な人々と触れ合え、一周せずに切り上げて帰るのはあまりにもったいないと感じたのが正直なところです。
台湾は間違いなく自転車天国・大国・先進国でした。日本の自転車をめぐる現状を嘆きつつも、この近しい国が切り拓いていったものから学ぶことは多いように思います。皆さんも機会があれば、いや、ぜひ機会をつくって台湾をサイクリングしてみて下さい。
そしてつい先日、愛媛県が総延長1270kmにおよぶ自転車道を5年がかりで整備することを発表しました(日本経済新聞ウェブ版記事、愛媛県の計画書などを参照)。
この、26コースにおよぶ「愛媛マルゴト自転車道」計画には、今回このFormosa900を走った愛媛県関係者の皆さんが係わっているのです。台湾の進んだ自転車事情を身体で感じてきた皆さんがすすめる計画だけに、今後の展開をとても期待して見守りたいと思います。
最後に、この旅の機会をくださったジャイアント台湾本社、ジャイアント・ジャパンの皆さん、そして現地でサポートしてくださったジャイアント旅行社のスタッフたち、愛媛県及びしまなみ街道での自転車振興に関わる関係者の皆さん、旅をご一緒した皆さんに感謝して連載を終わります。謝謝。
フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)
photo&text:Makoto.AYANO
撮影・文 綾野 真