2013/02/18(月) - 08:52
名門エキップアサダが、復活へ新たな一歩を踏み出す。2月17日、東京都内のバイクフォーラム青山で開催されたチームプレゼンテーションで2013年シーズンの体制が発表された。
今回のメインはEQA U23(イーキューエー・ユーニジュウサン)の文字通り、23歳以下の選手で構成された若手チーム。2010年より発足した育成チーム・EQADS(エカーズ)の上位チームという位置付けだ。
EQA U23のメンバー Photo:Hideaki.Takagi
プレゼンテーションを行う浅田顕監督
選手が1人ずつ花道を通って入場
EQA U23を率いる浅田顕監督の最終目標は、日本チームでのツール・ド・フランス出場。この目標はかねてより変わらないが、現在プロツアーで活動している別府史之、新城幸也らに続く世代の選手が出て来ていないのが現実。サクソ・ティンコフで走る宮澤崇史は彼らより年上、今季リクイガス・キャノンデールに加入した増田成幸も新城らと同年代だ。これを浅田監督は「若手空洞化」と評する。
EQADSとEQA U23、この2チームがエキップアサダの今季活動の柱となる これらを踏まえ、昨季までの体制をさらに押し上げ、プロ競技界で活躍出来る次世代選手の発掘と強化を行うチームが、EQA U23となる。浅田監督は「トッププロを目指すロードレーサーにとってU23カテゴリーは最も重要な4年間であり、この間の活動内容の充実がその後の活躍を大きく左右する」と語る。
しかしながら、浅田監督は「育成ということをいたずらに強調したくはない」と言う。これには高いステージでの戦いを目指す以上、育成という言葉が選手の甘えになりかねない、という戒めがこめられている。「レースでうまくいかなかった時に『育成の身だから』と言い訳ばかりしているようでは、そこで成長が止まる」という考えだ。
事実、受け取ったプレゼン資料のタイトルには「エキップアサダ強化選手チーム」とあり、育成の文字はない。「目標はあくまでもプロになること。上に行けない選手にはやめてもらう」。トッププロチームで戦う選手達を送り出してきた名将の言葉だけに重い。
質問コーナーでは、語学についての質問も
浅田監督のフランス語をその場で通訳するエカーズの橋詰選手。語学力はすでにEQA U23の選手を上回っている?
加えて、下の世代からの突き上げも競争を加速させる。EQA U23の下部組織であるエカーズの選手達が、虎視眈々とU23の選手達の地位を狙う。エカーズにはすでに、全日本TT2012 U17優勝の橋詰丈をはじめとした、成長著しい選手達が在籍する。対他チームのみならず、組織内でも競争を活性化させ、選手の成長を促すことも、異なる世代のチームを置く狙いの1つだ。
とは言え今回のメンバーは、まずはチーム加入という、最初のセレクションを通過した選手でもある。2012年世界選U23ロード日本代表の寺崎武郎、全日本TT2012 U23チャンピオンの椿大志ら、上を狙うにふさわしい選手達が揃い、活躍への期待が膨らむ。
エキップアサダ発足当時より支援を続ける、エキップアサダ後援会の田之頭宏明会長。チームに熱いエールを投げかけた
エキップアサダ後援会から、寄付金の贈呈が行われた
また、今回都合により参加出来なかったが、昨季のアジア選手権U23ロードチャンピオンで、先日ツアー・オブ・オマーン第2ステージでエスケープを決めた木下智裕は、現体制のエキップアサダで、1つの指標となる選手だろう。まずは彼と同じ位置で戦える選手の輩出が望まれる。
フレームはチームブリヂストン・アンカーも使うトップモデル、アンカーRIS9が供給される。他にも、IRC、オージーケーカブト、ウエイブワン、梅丹本舗と言った、国内の名だたるブランドがつき、彼らのレース活動を下支えする。これら国内トップ選手達と同じクオリティーのサプライを受けることは、即ち大きな責任も負うことになる。「甘えは許されない」というチームの基本姿勢がここにも伺える。
EQA U23が駆るアンカーRIS9
パイオニアのサイクルコンピューター。ペダリング時の力のかかり具合もモニター出来る
オージーケーカブトのカーボンボトルケージ
ブリヂストンサイクルの田代恭崇さんがアンカーRIS9の特長を解説してくれた
トップチューブには名入りのステッカーが貼られる
もちろん「ツール・ド・フランスを目指す」と公言するエキップアサダのゴールがここでないことは明らかだ。エカーズ、EQA U23と来ても、浅田顕とエキップアサダの描くピラミッドは完成していない。次のステップは間違いなく、2009年をもって一旦活動を休止したプロチームの復活だろう。
EQA U23は、今季の欧州トップアマチュアカテゴリーレース、国内選手権、Jプロツアーに参戦することが発表された。まずはプレゼン直後の2/19より欧州遠征がスタート、春の帰国後に国内レースを走る。Jプロツアーだけとってみても、彼らには格上へのチャレンジとなる。あらゆるレースで自らを試されることになるはずだ。
和やかな雰囲気で行われたプレゼンテーションとは裏腹に、背水の陣でレースに臨むEQA U23。まずは欧州やJプロツアーでどこまで結果を残せるか、今季の活動に注目したい。
閉会のあいさつをする浅田顕監督
最後は選手と監督が揃ってお見送り
エキップアサダ強化選手チーム 2013年度体制
※年齢は2013年度年齢
EQA U23
寺崎 武郎★(22):2012年世界選手権U23 日本代表
椿 大志★(22):2012年全日本選手権個人 TT U23 優勝
秋丸 湧哉★(22):2012年全日本選手権ロード エリート 13位
一丸 尚伍(21):2012年 GPアルビ(仏 1,2,3カテゴリー)6位
清水 太己★(20):2012年 GPカズ・モンドナール(仏 1,2,3コテゴリ ー)2位
面手 利輝★(20):2012年全日本選手権ロード U23 2位
代 凌介 (20):2012年 3days 熊野 E1 第2ステージ 優勝
内野 直也(19):2012年全日本選手権個人TT ジュニア 2位
*★はJCF日本自転車競技連盟 強化指定選手
*木下智裕は、UCI国際自転車競技連合ワールドサイクリングセンター(WCC/CMC)研修プログラムへ参加
EQADS
市川 貴大(20):2012年 JBCF 群馬ロード E2 優勝
萩原 慎也(20):2012年 JBCF 幕張クリテリウム E3 クラス 優勝
蠣崎 藍道(18)准所属選手、伊豆総合高校:2012年国体 少年男子ポイントレース 3位
小山 貴大(17)准所属選手、前橋育英高校:2012年全国ジュニアロードレース 高校男子 5位
橋詰 丈(17)准所属選手、昭和第一高校:全日本選手権ロード個人TT U17優勝
石上 優大(16):2012年ジャパンカップ チャレンジクラス 優勝
渡辺 歩(15)准所属選手:2012年埼玉県クリテリウム 中学生クラス 2勝
蠣崎 優仁(14):2012年シマノ鈴鹿ロード ユースIII・Aクラス優勝
チームスタッフ
監督:浅田顕
メカニック:高橋優平
コーチ:相川将
広報:山崎健一
チームオフィシャルスポンサー/サプライヤー
井上護謨工業株式会社( http://www.irc-tire.com/bc/ )
株式会社ウエイブワン( http://www.wave-one.com/ )
株式会社オージーケーカブト( http://www.ogkkabuto.co.jp/ )
株式会社ジャパンマテリアル( http://www.jama.co.jp/ )
パイオニア株式会社( http://pioneer.jp/ )
ブリヂストンサイクル株式会社( http://www.bscycle.co.jp/ )
株式会社梅丹本舗( http://www.meitanhonpo.jp/ )
渡辺クリニック( 茨城県下妻市本城町 1-44-2 )
text: Yuichiro Hosoda
photo: Yuichiro Hosoda, Hideaki Takagi
今回のメインはEQA U23(イーキューエー・ユーニジュウサン)の文字通り、23歳以下の選手で構成された若手チーム。2010年より発足した育成チーム・EQADS(エカーズ)の上位チームという位置付けだ。
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EQA U23を率いる浅田顕監督の最終目標は、日本チームでのツール・ド・フランス出場。この目標はかねてより変わらないが、現在プロツアーで活動している別府史之、新城幸也らに続く世代の選手が出て来ていないのが現実。サクソ・ティンコフで走る宮澤崇史は彼らより年上、今季リクイガス・キャノンデールに加入した増田成幸も新城らと同年代だ。これを浅田監督は「若手空洞化」と評する。
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事実、受け取ったプレゼン資料のタイトルには「エキップアサダ強化選手チーム」とあり、育成の文字はない。「目標はあくまでもプロになること。上に行けない選手にはやめてもらう」。トッププロチームで戦う選手達を送り出してきた名将の言葉だけに重い。
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加えて、下の世代からの突き上げも競争を加速させる。EQA U23の下部組織であるエカーズの選手達が、虎視眈々とU23の選手達の地位を狙う。エカーズにはすでに、全日本TT2012 U17優勝の橋詰丈をはじめとした、成長著しい選手達が在籍する。対他チームのみならず、組織内でも競争を活性化させ、選手の成長を促すことも、異なる世代のチームを置く狙いの1つだ。
とは言え今回のメンバーは、まずはチーム加入という、最初のセレクションを通過した選手でもある。2012年世界選U23ロード日本代表の寺崎武郎、全日本TT2012 U23チャンピオンの椿大志ら、上を狙うにふさわしい選手達が揃い、活躍への期待が膨らむ。
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フレームはチームブリヂストン・アンカーも使うトップモデル、アンカーRIS9が供給される。他にも、IRC、オージーケーカブト、ウエイブワン、梅丹本舗と言った、国内の名だたるブランドがつき、彼らのレース活動を下支えする。これら国内トップ選手達と同じクオリティーのサプライを受けることは、即ち大きな責任も負うことになる。「甘えは許されない」というチームの基本姿勢がここにも伺える。
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EQA U23は、今季の欧州トップアマチュアカテゴリーレース、国内選手権、Jプロツアーに参戦することが発表された。まずはプレゼン直後の2/19より欧州遠征がスタート、春の帰国後に国内レースを走る。Jプロツアーだけとってみても、彼らには格上へのチャレンジとなる。あらゆるレースで自らを試されることになるはずだ。
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エキップアサダ強化選手チーム 2013年度体制
※年齢は2013年度年齢
EQA U23
寺崎 武郎★(22):2012年世界選手権U23 日本代表
椿 大志★(22):2012年全日本選手権個人 TT U23 優勝
秋丸 湧哉★(22):2012年全日本選手権ロード エリート 13位
一丸 尚伍(21):2012年 GPアルビ(仏 1,2,3カテゴリー)6位
清水 太己★(20):2012年 GPカズ・モンドナール(仏 1,2,3コテゴリ ー)2位
面手 利輝★(20):2012年全日本選手権ロード U23 2位
代 凌介 (20):2012年 3days 熊野 E1 第2ステージ 優勝
内野 直也(19):2012年全日本選手権個人TT ジュニア 2位
*★はJCF日本自転車競技連盟 強化指定選手
*木下智裕は、UCI国際自転車競技連合ワールドサイクリングセンター(WCC/CMC)研修プログラムへ参加
EQADS
市川 貴大(20):2012年 JBCF 群馬ロード E2 優勝
萩原 慎也(20):2012年 JBCF 幕張クリテリウム E3 クラス 優勝
蠣崎 藍道(18)准所属選手、伊豆総合高校:2012年国体 少年男子ポイントレース 3位
小山 貴大(17)准所属選手、前橋育英高校:2012年全国ジュニアロードレース 高校男子 5位
橋詰 丈(17)准所属選手、昭和第一高校:全日本選手権ロード個人TT U17優勝
石上 優大(16):2012年ジャパンカップ チャレンジクラス 優勝
渡辺 歩(15)准所属選手:2012年埼玉県クリテリウム 中学生クラス 2勝
蠣崎 優仁(14):2012年シマノ鈴鹿ロード ユースIII・Aクラス優勝
チームスタッフ
監督:浅田顕
メカニック:高橋優平
コーチ:相川将
広報:山崎健一
チームオフィシャルスポンサー/サプライヤー
井上護謨工業株式会社( http://www.irc-tire.com/bc/ )
株式会社ウエイブワン( http://www.wave-one.com/ )
株式会社オージーケーカブト( http://www.ogkkabuto.co.jp/ )
株式会社ジャパンマテリアル( http://www.jama.co.jp/ )
パイオニア株式会社( http://pioneer.jp/ )
ブリヂストンサイクル株式会社( http://www.bscycle.co.jp/ )
株式会社梅丹本舗( http://www.meitanhonpo.jp/ )
渡辺クリニック( 茨城県下妻市本城町 1-44-2 )
text: Yuichiro Hosoda
photo: Yuichiro Hosoda, Hideaki Takagi
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