神宮外苑は鹿屋体育大学の黄色のジャージが大活躍。黒枝士揮が連覇で大学として男子個人5連覇。女子は上野みなみと塚越さくらがワン・ツー。そしてシリーズチャンピオンは西沢倭義(明治大学)に。

グループ1 都心で行われるクリテリウムグループ1 都心で行われるクリテリウム photo:Hideaki TAKAGI
都心で行われる学生クリテも今年で7年目。年間13戦の全日本学生ロードレース・カップ・シリーズの最終戦。ポイント配分もこの最終戦のみ2倍で、多くの観客へのアピールとともに年間チャンピオンを決定付ける重要な大会だ。会場には早朝から各大学が陣取り、そして応援団も駆けつけて学生スポーツの盛んな神宮外苑の雰囲気を盛り上げる。

マスターズTT 1分35秒10の藤田征樹マスターズTT 1分35秒10の藤田征樹 photo:Hideaki TAKAGIマスターズ 後半独走の倉林貴彦(なるしまフレンド)が優勝マスターズ 後半独走の倉林貴彦(なるしまフレンド)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIコースは神宮外苑内の道路を使う1周1.5kmで完全な平坦、2周に1回のポイントレース方式。クリテリウムに先立ち個人TTも行われた。これに藤田征樹が出場。藤田はパラサイクリストで、昨年のロンドンパラリンピックではロードTTで銅メダル獲得。また2009年の世界選手権では1kmTTに優勝した世界チャンピオン。この日は優勝したポール・ソールズベリー(イナーメ信濃山形)からプラス4秒ほどの快走を見せた。

朝からクラス別にレースが行われ、30歳以上のJCF登録者のマスターズ・クリテリウムでは、後半独走の倉林貴彦(なるしまフレンド)が優勝。会場近くに神宮店のある、なるしまフレンドの応援団が盛り上がる。イナーメ信濃山形は今季加入の小室雅成中心に戦うが、独走した倉林との差を詰め切れなかった。

会場を沸かせたのは大学生クラス2A。橋本英也(鹿屋体育大学)が1回目のポイントを先頭で通過するとそのままおよそ10kmを独走、ゴールまで逃げ切ってポイント満点で圧勝。トラックのポイントレースも得意な橋本は4km個人追抜きの日本記録保持者。「今年はロードに力を入れたい」と語る。
女子 上野みなみ(鹿屋体育大学)がトップ通過女子 上野みなみ(鹿屋体育大学)がトップ通過 photo:Hideaki TAKAGI
女子は序盤から昨年の覇者、塚越さくら(鹿屋体育大学)が加点、後半から同じく上野みなみが加点しゴールも獲って優勝。チームとしてのオーダーはなく、2人で競い合っての結果。大学に入ってから自転車競技を始めた塚越は、いまや3km個人追い抜きを上野とともに3分40秒台で走る。2人の差はもはや僅差。
グループ1 鹿屋体育大学勢がまとまるグループ1 鹿屋体育大学勢がまとまる photo:Hideaki TAKAGI
注目の男子大学生グループ1は各大学3人までの出場となるため、小数でのチーム戦をいかにできるかも大きな見どころ。招待選手としてアムステルダム大学の学生3人が走る。20周30kmでレースは行われた。序盤から鹿屋体育大学勢がリード、黒枝が2回を1着通過。その後は榊原健一(中京大学)、和田力(日本大学)らの逃げができるが長瀬幸治(鹿屋体育大学)や他大学勢が追い上げて吸収。
グループ1 黒枝士揮(鹿屋体育大学)が優勝グループ1 黒枝士揮(鹿屋体育大学)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
中盤に黒枝は加点するが終盤に他大学勢の逃げが決まり得点は分散する。終盤にかけてどの大学もゴールポイント狙いで熾烈なアタックが続く。ラスト2周は山本元喜(鹿屋体育大学)がこれら逃げを吸収してゴールは黒枝が余裕の1着通過、他を圧倒した。2着にはシリーズ戦リーダーの西沢倭義(明治大学)が入り2位に。年間チャンピオンとなり門田杯を手にした。
グループ2A 橋本英也(鹿屋体育大学)が優勝グループ2A 橋本英也(鹿屋体育大学)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
ここ2年ほどのクリテリウムでは鹿屋勢はライバル校と接戦だった。実際に昨年の学生選手権は京都産業大学の吉岡直哉が優勝し、鹿屋は2位になっている。だがこの日は違った。3人の誰でも勝負できる体制で進めて圧勝。「当初は1年生の長瀬で行こうと思ったが黒枝のかかりがよいので変更。ただ何があるかわからないので山本にも点を取るように指示した」と黒川監督は語る。
グループ2B 笠原恭輔(中央大学)が優勝グループ2B 笠原恭輔(中央大学)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI西沢倭義(明治大学)がロードレースカップシリーズ年間チャンピオンに、門田杯を手にする西沢倭義(明治大学)がロードレースカップシリーズ年間チャンピオンに、門田杯を手にする photo:Hideaki TAKAGI
結果
グループ1
1位 黒枝士揮(鹿屋体育大学)38点
2位 西沢倭義(明治大学)22点
3位 ラース・ファン・デ・ファール(アムステルダム大学)19点
4位 山本隼(中央大学)12点
5位 山本元喜(鹿屋体育大学)10点
6位 辻本尚希(順天堂大学)10点
7位 榊原健一(中京大学)8点
8位 和田力(日本大学)7点
9位 寺崎浩平(法政大学)6点
10位 大中巧基(早稲田大学)5点 

大学対抗
1位 鹿屋体育大学 6点
2位 順天堂大学 17点
3位 中京大学 20点

女子
1位 上野みなみ(鹿屋体育大学)22点
2位 塚越さくら(鹿屋体育大学)19点
3位 小島蓉子(日本体育大学)15点

グループ2A
1位 橋本英也(鹿屋体育大学)27点
2位 黒瀬耕平(中央大学)15点
3位 相本祥政(法政大学)8点

グループ2B
1位 笠原恭輔(中央大学)15点
2位 高宮佑介(日本大学)15点
3位 谷岡駿(朝日大学)12点

グループ3A
1位 山本琢也(朝日大学)16点
2位 関根寛人(法政大学)12点
3位 米川正人(駒澤大学)10点

グループ3B
1位 吉川希望(順天堂大学)17点
2位 森川拳輔(法政大学)12点
3位 栗田万生(順天堂大学)10点

マスターズ

1位 倉林貴彦(なるしまフレンド)22点
2位 小室雅成(イナーメ信濃山形)16点
3位 小畑郁(なるしまフレンド)16点

マスターズタイムトライアル
1位 ポール・ソールズベリー(イナーメ信濃山形)1分30秒91
2位 山本健一(なるしまフレンド)1分32秒46
3位 中村匠(Blanche)1分33秒49

2012 年度全日本学生ロードレースカップ・シリーズ最終ランキング
1位 西沢倭義(明治大学)316点
2位 大中巧基(早稲田大学)222点
3位 佐々木勇輔(早稲田大学)166点
4位 金井誠人(明治大学)130点
5位 山本隼(中央大学)126点
6位 森田雅士(立教大学)122点
7位 安井雅彦(東京大学)108点
8位 緑川竣一(中央大学)106点
9位 神開一輝(中央大学)103点
10位 高木三千成(立教大学)101点

photo&text:高木秀彰