2013/02/16(土) - 23:51
2月9・10日にタイ北部で開催されたチェンライ国際MTBチャレンジ。山岳地帯を走る2日間のタフなステージレースの模様を、全コース実走したCW編集部・綾野がレポートします。
微笑みの国タイのエキゾチックなトレールと山岳地帯を走り、ゾウやボートに乗り、川を渡る。MTB好きに支持され、日本からのリピーターが絶えないチェンライ国際MTBチャレンジ。今年で14年目となるこの大会は、すでに何度かメディアで紹介されているため「ああ、あの象に乗るイベントね」とピンと来る人が多いだろう。しかし、まずはそのイメージ忘れてほしい。ほのぼのとしたイメージと違い、レース自体は本格派マウンテンバイカーのハートをがっちり掴んで離さないほどタフで魅力あふれるものだ。その証拠に、リピート率は70〜80%に上るほど。
日本のイベント会社R1ジャパンが主催するため、今年も日本人参加者は80人以上と大半を占める。タイ開催といえ、ほぼ日本のイベントと言ってよく、とても馴染みやすく参加しやすい大会なのだ。
大会は2日間で120km以上を走るステージレース制で、実力に合わせた参加クラスが「インターナショナル」「スポーツ」「ファン」の3クラスから選べる。
日本が寒さのまっただなかにある2月。前日に雪の降った東京から、常夏のタイに渡った(それだけでも得した気分だ)。
レースは2日間、「SS:スペシャルステージ」と呼ぶ競技計測区間を組み合わせた複数ステージ制で行われる「ステージレース」だ。
40〜50kmの山岳ステージと、10km程度のフラットダートのスピードステージを組み合わせたレースが2日続くと考えてもらえれば分かりやすい。総合順位は着順の合計で競われ、2日間で総合順位がつく。クラスは年代別にも細分化され、多くの人に入賞のチャンスが有る。そして、年代別1〜3位には賞金も用意されるのだ。ちなみに優勝は3000バーツ(9000円ぐらい)。
スタートラインに並ぶのは、チーム喜輪(KIRIN)、輪工房、りんきち、ストラーダ、バイクランチ、ロングライドファン、カトーサイクル、ワイズロード、いちご・オ・レ、INAC(国際アウトドア専門学校)などなど、日本でもお馴染みのMTBクラブのジャージが出揃う。そう、クラブ単位でこのレースを年間最大のイベントとして位置づけている人たちも多いのだ。
顔ぶれはシリアスレース派というよりエンジョイ派がほとんど。そして鈴木雷太さんや宇田川聡仁さん、鈴木光広さん、廣瀬由紀さん、INACの皆さんなど、元オリンピック選手や全日本MTBライダーも多い。広瀬さんはこのチェンライでMTBの魅力にハマったそうだ。
リムコックリゾートホテルからリエゾンにて郊外へと15km走ったところからスタートする第1ステージ。スタートと同時に汗が滴り落ちてくるほど暑い。
コースはスグに赤土のオフロードへ。じゃぶじゃぶと川を渡り、急坂に思わず押しが入る。
この第1SSが4ステージの中でももっとも厳しいのだ。急坂の登りは延々と続き、ごく一握りの人しか乗れないような厳しさ。ひたすら押しが入る。ふくらはぎが張り裂けそうなほどに上りは果てしなく続く…。
山の中に突然現れる給水&バナナポイントでは、現地の子供達のボランティアから励ましとともに補給を受けるのが嬉しい。そしてコースは徐々に山岳民族の棲む奥地へと入っていく。
「白い壁」と呼ぶ急坂は、あまりの勾配に「信じられない!」と誰もが叫ぶ。クルマやバイクも勢いをつけて一気にクリアしないと停まってしまうほどの激坂だ。MTBのローギアをもってしても、足をつかずに上るのは困難。アカ族の子どもたちが駆け寄ってMTBを押してくれるのがなんとも可愛い!
信じられないほどの素朴な暮らしの村々の間を縫って走り、そんな急坂をいくつも越えて山岳を乗り越えていく。とくに高地の畑の間を空に向けてまっすぐ伸びる「赤い壁」は、気が遠くなりそう。
上りをクリアすれば、今度はダイナミックなダウンヒル。バナナ畑の間をサスを効かせてグングン下る。MTBの性能もフルに引き出せそうだ。
この第1SSは精神的にも肉体的にも鬼門だ。昼過ぎ、筆者で3時間30分オーバーで走りきって、年代別8位(10人中)ゴール。もっとも速い人(選手クラス)とは1時間20分以上もタイム差がある…。
そして嬉しいランチタイム。ここではタイ北部のチェンマイ風ヌードル「カオソイ」が食べられる。酸っぱ辛くて美味しい絶品の麺に思わず舌鼓。ビールを飲みたくても我慢(笑)。辛いものを食べたあと、まだ次のSSが残っているのだ。
第2SSはフラットダートのジープロードをかっ飛んでいくスピードレースの10kmだ。ちょっとおっかない木の吊り橋を渡り、舗装路とミックスされたアップダウンのローカル道を競い合う。ゴール地点は川沿いの「象乗り場」。
この象乗り場には、タイで合宿中の新城幸也、福島晋一、宮澤崇史、山本幸平ほか20名以上の多くの選手達が待っていたサプライズ。彼らも練習中だったのだが、我々がここに来るのを知っていて待っていてくれたのだ。なんというファンサービス!
そしてここからは象に乗って川を渡る。ひとりひとり、自転車を抱えて大きな象の背中に乗るのだ。
川を渡ったらロングボートに乗り換え、その川を下ってホテルまで帰る。もう自転車には乗らないので、河岸では大会協賛のシンハービールをもらえるのだ。ほろ酔い気分でボートに揺られてウトウトできるのは、なんとも贅沢な体験だ。
その夜はほとんどすべての参加者たちはタイ名物のマッサージに直行。600円ぐらいからの料金で、たっぷり1時間、疲れをほぐしてもらうのもまた贅沢な体験だ。そしてツワモノのみなさんはナイトマーケットにフードコートでビールとタイ料理で遅くまで楽しむのだ(笑)。
続く
photo&text:Makoto.AYANO
フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)
微笑みの国タイのエキゾチックなトレールと山岳地帯を走り、ゾウやボートに乗り、川を渡る。MTB好きに支持され、日本からのリピーターが絶えないチェンライ国際MTBチャレンジ。今年で14年目となるこの大会は、すでに何度かメディアで紹介されているため「ああ、あの象に乗るイベントね」とピンと来る人が多いだろう。しかし、まずはそのイメージ忘れてほしい。ほのぼのとしたイメージと違い、レース自体は本格派マウンテンバイカーのハートをがっちり掴んで離さないほどタフで魅力あふれるものだ。その証拠に、リピート率は70〜80%に上るほど。
日本のイベント会社R1ジャパンが主催するため、今年も日本人参加者は80人以上と大半を占める。タイ開催といえ、ほぼ日本のイベントと言ってよく、とても馴染みやすく参加しやすい大会なのだ。
大会は2日間で120km以上を走るステージレース制で、実力に合わせた参加クラスが「インターナショナル」「スポーツ」「ファン」の3クラスから選べる。
日本が寒さのまっただなかにある2月。前日に雪の降った東京から、常夏のタイに渡った(それだけでも得した気分だ)。
レースは2日間、「SS:スペシャルステージ」と呼ぶ競技計測区間を組み合わせた複数ステージ制で行われる「ステージレース」だ。
40〜50kmの山岳ステージと、10km程度のフラットダートのスピードステージを組み合わせたレースが2日続くと考えてもらえれば分かりやすい。総合順位は着順の合計で競われ、2日間で総合順位がつく。クラスは年代別にも細分化され、多くの人に入賞のチャンスが有る。そして、年代別1〜3位には賞金も用意されるのだ。ちなみに優勝は3000バーツ(9000円ぐらい)。
スタートラインに並ぶのは、チーム喜輪(KIRIN)、輪工房、りんきち、ストラーダ、バイクランチ、ロングライドファン、カトーサイクル、ワイズロード、いちご・オ・レ、INAC(国際アウトドア専門学校)などなど、日本でもお馴染みのMTBクラブのジャージが出揃う。そう、クラブ単位でこのレースを年間最大のイベントとして位置づけている人たちも多いのだ。
顔ぶれはシリアスレース派というよりエンジョイ派がほとんど。そして鈴木雷太さんや宇田川聡仁さん、鈴木光広さん、廣瀬由紀さん、INACの皆さんなど、元オリンピック選手や全日本MTBライダーも多い。広瀬さんはこのチェンライでMTBの魅力にハマったそうだ。
リムコックリゾートホテルからリエゾンにて郊外へと15km走ったところからスタートする第1ステージ。スタートと同時に汗が滴り落ちてくるほど暑い。
コースはスグに赤土のオフロードへ。じゃぶじゃぶと川を渡り、急坂に思わず押しが入る。
この第1SSが4ステージの中でももっとも厳しいのだ。急坂の登りは延々と続き、ごく一握りの人しか乗れないような厳しさ。ひたすら押しが入る。ふくらはぎが張り裂けそうなほどに上りは果てしなく続く…。
山の中に突然現れる給水&バナナポイントでは、現地の子供達のボランティアから励ましとともに補給を受けるのが嬉しい。そしてコースは徐々に山岳民族の棲む奥地へと入っていく。
「白い壁」と呼ぶ急坂は、あまりの勾配に「信じられない!」と誰もが叫ぶ。クルマやバイクも勢いをつけて一気にクリアしないと停まってしまうほどの激坂だ。MTBのローギアをもってしても、足をつかずに上るのは困難。アカ族の子どもたちが駆け寄ってMTBを押してくれるのがなんとも可愛い!
信じられないほどの素朴な暮らしの村々の間を縫って走り、そんな急坂をいくつも越えて山岳を乗り越えていく。とくに高地の畑の間を空に向けてまっすぐ伸びる「赤い壁」は、気が遠くなりそう。
上りをクリアすれば、今度はダイナミックなダウンヒル。バナナ畑の間をサスを効かせてグングン下る。MTBの性能もフルに引き出せそうだ。
この第1SSは精神的にも肉体的にも鬼門だ。昼過ぎ、筆者で3時間30分オーバーで走りきって、年代別8位(10人中)ゴール。もっとも速い人(選手クラス)とは1時間20分以上もタイム差がある…。
そして嬉しいランチタイム。ここではタイ北部のチェンマイ風ヌードル「カオソイ」が食べられる。酸っぱ辛くて美味しい絶品の麺に思わず舌鼓。ビールを飲みたくても我慢(笑)。辛いものを食べたあと、まだ次のSSが残っているのだ。
第2SSはフラットダートのジープロードをかっ飛んでいくスピードレースの10kmだ。ちょっとおっかない木の吊り橋を渡り、舗装路とミックスされたアップダウンのローカル道を競い合う。ゴール地点は川沿いの「象乗り場」。
この象乗り場には、タイで合宿中の新城幸也、福島晋一、宮澤崇史、山本幸平ほか20名以上の多くの選手達が待っていたサプライズ。彼らも練習中だったのだが、我々がここに来るのを知っていて待っていてくれたのだ。なんというファンサービス!
そしてここからは象に乗って川を渡る。ひとりひとり、自転車を抱えて大きな象の背中に乗るのだ。
川を渡ったらロングボートに乗り換え、その川を下ってホテルまで帰る。もう自転車には乗らないので、河岸では大会協賛のシンハービールをもらえるのだ。ほろ酔い気分でボートに揺られてウトウトできるのは、なんとも贅沢な体験だ。
その夜はほとんどすべての参加者たちはタイ名物のマッサージに直行。600円ぐらいからの料金で、たっぷり1時間、疲れをほぐしてもらうのもまた贅沢な体験だ。そしてツワモノのみなさんはナイトマーケットにフードコートでビールとタイ料理で遅くまで楽しむのだ(笑)。
続く
photo&text:Makoto.AYANO
フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)
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