2008/12/25(木) - 01:44
2008年12月14日、長野県飯田市の特設コースに於いて第14回全日本シクロクロス選手権が開催された。男子エリートは、難コースを攻略した辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)が前人未到の7連覇を達成。女子エリートは豊岡英子(ayakotoyooka)が4連覇を達成した。
全日本シクロクロス選手権の舞台は「ツアー・オブ・ジャパン南信州ステージ」や「しらびそヒルクライム」、さらには「ダイハツボンシャンス飯田」でお馴染みの長野県飯田市。名勝天竜峡の近く、天竜川の西岸に作られた特設コースで日本チャンピオンを決める大一番が行なわれた。
河川敷の一周2.5kmコースは平坦基調だが、「担ぎポイント」となる階段やシケイン、急坂が設定されているのがシクロクロスならでは。コースの大半は泥に覆われており、重馬場を踏み抜くパワーがライダーに必要とされる。前日から降り続いた雨によりところどころ水たまりも見られた。
スターターを務めたのは会場に駆けつけた飯田市の牧野光朗市長。どんよりとした空の下、号砲とともに51名のエリートライダーが泥コースへと飛び立った。
スタートダッシュにより先頭に立ったのは、ディフェンディングチャンピオンの辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)だ。これに小坂正則と丸山厚(ともにスワコレーシングチーム)、U23の竹之内悠(TREK)、そして山本聖吾(快レーシング)の4名が食らいつき、1周完了の時点で早くも5名のパックが形成された。
連覇に向けて好スタートを切った辻浦だったが、泥詰まりによるペダルトラブルで一時はペースを落としてしまう。しかしピットでバイクを交換すると再びペース取り戻した。
悪路を走破するシクロクロスでは機材トラブルが多発するため、ピットの重要性は極めて高い。特に泥コースでは駆動系トラブルの可能性が常に付きまとい、ピットで待ち構えるスタッフはバイクの泥を落とす作業に奔走した。実際に、ロードレースのオフシーズンをシクロクロスに打ち込んでいる岡崎和也(梅丹本舗・GDR)は、機材トラブルでリタイアを余儀なくされている。
徐々にペースを上げる辻浦は、食い下がる選手たちを置き去りにしながら独走態勢へ。レース中盤から単独走行に入った辻浦はペースを落とすどころか、他を寄せ付けないラップタイムを刻んで周回を重ねた。
ベテランの小坂(正)と山本が一進一退の激しい2位争いを繰り広げる中、最後までペースを落とさなかった辻浦が独走のままゴールに飛び込んだ。辻浦は結果的に2位以下を1分以上引き離し、2003年から続く前人未到の7連覇を達成した。2位争いは小坂(正)に軍配が上がり、山本は3位に。そして中盤から単独走行を強いられた竹之内は、粘り強い走りで4位ゴール。U23トップに輝いた。
「7連覇を達成できたことは嬉しい。これまで支えてくれた多くの人に感謝したい」と、冷静に喜びを語る辻浦。しかし同時に「誰もこの連覇を止められなかったことが残念でもある。もっとロードレースや他種目の選手がシクロクロスに参加して、国としてのレベルアップが望めれば」と、シクロクロス界を引っ張るチャンピオンとして同種目の発展を願う印象的なコメントを残した。
8名がエントリーしたエリート女子は、こちらもディフェンディングチャンピオン主導のレースが展開された。3年連続チャンピオンに輝いている豊岡英子(ayakotoyooka)に、志村みち子(ラヴニールあづみの)と酒井真清(テスタッチレーシング)が食らいつく。しかしレースの進行とともに豊岡のペースが他を圧倒した。
最後までペースを落とさなかった豊岡は、全日本選手権4度目となるガッツポーズでゴール。「全日本選手権ロードレースで負けた後は、このシクロクロスに照準を合わせていた」と語る豊岡。「タイトルを防衛することよりも、ただ勝つことだけを考えて走った」という言葉通り、最後まで攻めの姿勢を貫いた。
両チャンピオンは1月31日から2月1日にかけてオランダで開催されるシクロクロス世界選手権大会に目を向けている。なお、日本代表メンバーは男子エリートが辻浦と小坂(正)、男子U23が竹之内と小坂(光)、女子が豊岡と荻島美香(アライレーシング)の計6名だ。
全日本シクロクロス選手権2008結果
エリート男子
1位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)1h06'14"
2位 小坂正則(スワコレーシングチーム)+1'02"
3位 山本聖吾(快レーシング)+1'14"
4位 竹之内悠(TREK)+1'25"
5位 小坂光(スワコレーシングチーム)+2'48"
6位 丸山厚(スワコレーシングチーム)+3'17"
7位 中山和也(スワコレーシングチーム)+4'33"
8位 小森亮平(ダイハツボンシャンス飯田)+5'03"
9位 池本真也(和光機器タムラクラブ)+5'41"
10位 入江克典(シマノドリンキング)+6'02"
11位 大原満(愛三サポーターズクラブ)+6'39"
12位 中間森太郎(Team RIDLEY Japan)+6'45"
13位 伊澤優大(Bee Club)+6'49"
14位 松井正史(シマノドリンキング)
エリート女子
1位 豊岡英子(ayakotoyooka)44:15
2位 志村みち子(ラヴニールあづみの)+0'44"
3位 酒井真清(テスタッチレーシング)+2'24"
4位 田近郁美(GOD HILL)+5'27"
5位 中村由香里(ナカガワAS.K'デザイン)+6'52"
6位 岩田知夏(北桑田高校)+8'33"
7位 武田和圭(ARAI・MURACA)+8'55"
全日本シクロクロス選手権の舞台は「ツアー・オブ・ジャパン南信州ステージ」や「しらびそヒルクライム」、さらには「ダイハツボンシャンス飯田」でお馴染みの長野県飯田市。名勝天竜峡の近く、天竜川の西岸に作られた特設コースで日本チャンピオンを決める大一番が行なわれた。
河川敷の一周2.5kmコースは平坦基調だが、「担ぎポイント」となる階段やシケイン、急坂が設定されているのがシクロクロスならでは。コースの大半は泥に覆われており、重馬場を踏み抜くパワーがライダーに必要とされる。前日から降り続いた雨によりところどころ水たまりも見られた。
スターターを務めたのは会場に駆けつけた飯田市の牧野光朗市長。どんよりとした空の下、号砲とともに51名のエリートライダーが泥コースへと飛び立った。
スタートダッシュにより先頭に立ったのは、ディフェンディングチャンピオンの辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)だ。これに小坂正則と丸山厚(ともにスワコレーシングチーム)、U23の竹之内悠(TREK)、そして山本聖吾(快レーシング)の4名が食らいつき、1周完了の時点で早くも5名のパックが形成された。
連覇に向けて好スタートを切った辻浦だったが、泥詰まりによるペダルトラブルで一時はペースを落としてしまう。しかしピットでバイクを交換すると再びペース取り戻した。
悪路を走破するシクロクロスでは機材トラブルが多発するため、ピットの重要性は極めて高い。特に泥コースでは駆動系トラブルの可能性が常に付きまとい、ピットで待ち構えるスタッフはバイクの泥を落とす作業に奔走した。実際に、ロードレースのオフシーズンをシクロクロスに打ち込んでいる岡崎和也(梅丹本舗・GDR)は、機材トラブルでリタイアを余儀なくされている。
徐々にペースを上げる辻浦は、食い下がる選手たちを置き去りにしながら独走態勢へ。レース中盤から単独走行に入った辻浦はペースを落とすどころか、他を寄せ付けないラップタイムを刻んで周回を重ねた。
ベテランの小坂(正)と山本が一進一退の激しい2位争いを繰り広げる中、最後までペースを落とさなかった辻浦が独走のままゴールに飛び込んだ。辻浦は結果的に2位以下を1分以上引き離し、2003年から続く前人未到の7連覇を達成した。2位争いは小坂(正)に軍配が上がり、山本は3位に。そして中盤から単独走行を強いられた竹之内は、粘り強い走りで4位ゴール。U23トップに輝いた。
「7連覇を達成できたことは嬉しい。これまで支えてくれた多くの人に感謝したい」と、冷静に喜びを語る辻浦。しかし同時に「誰もこの連覇を止められなかったことが残念でもある。もっとロードレースや他種目の選手がシクロクロスに参加して、国としてのレベルアップが望めれば」と、シクロクロス界を引っ張るチャンピオンとして同種目の発展を願う印象的なコメントを残した。
8名がエントリーしたエリート女子は、こちらもディフェンディングチャンピオン主導のレースが展開された。3年連続チャンピオンに輝いている豊岡英子(ayakotoyooka)に、志村みち子(ラヴニールあづみの)と酒井真清(テスタッチレーシング)が食らいつく。しかしレースの進行とともに豊岡のペースが他を圧倒した。
最後までペースを落とさなかった豊岡は、全日本選手権4度目となるガッツポーズでゴール。「全日本選手権ロードレースで負けた後は、このシクロクロスに照準を合わせていた」と語る豊岡。「タイトルを防衛することよりも、ただ勝つことだけを考えて走った」という言葉通り、最後まで攻めの姿勢を貫いた。
両チャンピオンは1月31日から2月1日にかけてオランダで開催されるシクロクロス世界選手権大会に目を向けている。なお、日本代表メンバーは男子エリートが辻浦と小坂(正)、男子U23が竹之内と小坂(光)、女子が豊岡と荻島美香(アライレーシング)の計6名だ。
全日本シクロクロス選手権2008結果
エリート男子
1位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)1h06'14"
2位 小坂正則(スワコレーシングチーム)+1'02"
3位 山本聖吾(快レーシング)+1'14"
4位 竹之内悠(TREK)+1'25"
5位 小坂光(スワコレーシングチーム)+2'48"
6位 丸山厚(スワコレーシングチーム)+3'17"
7位 中山和也(スワコレーシングチーム)+4'33"
8位 小森亮平(ダイハツボンシャンス飯田)+5'03"
9位 池本真也(和光機器タムラクラブ)+5'41"
10位 入江克典(シマノドリンキング)+6'02"
11位 大原満(愛三サポーターズクラブ)+6'39"
12位 中間森太郎(Team RIDLEY Japan)+6'45"
13位 伊澤優大(Bee Club)+6'49"
14位 松井正史(シマノドリンキング)
エリート女子
1位 豊岡英子(ayakotoyooka)44:15
2位 志村みち子(ラヴニールあづみの)+0'44"
3位 酒井真清(テスタッチレーシング)+2'24"
4位 田近郁美(GOD HILL)+5'27"
5位 中村由香里(ナカガワAS.K'デザイン)+6'52"
6位 岩田知夏(北桑田高校)+8'33"
7位 武田和圭(ARAI・MURACA)+8'55"
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