自転車、とくにロードバイクという「完全趣味の乗り物」の世界では、“ブランド力”が重視されがちである。伝統がある、レースで目覚しい活躍をした、新規格を広めた、有名な選手が乗っていた…云々。しかし時に、新星のごとく現れた新しい元気なブランドが話題をかっさらうときもある。最近で言えば、ニールプライドがその好例だろう。

確かな技術を武器に躍進する気鋭ブランド

歴史のないブランドが高い評価を得るには、革新的な技術、ハイレベルな動的性能、自転車乗りのハートを射止める魅力的なルックス、価格やコンセプトにインパクトがあることなどが求められる。それらの全てを持っているニールプライドは、つまり単なる新興メーカーではない。そもそも、その母体はウィンドサーフィンのマストやセイル、周辺機器の製造を手掛けて40年以上になる老舗のマリンスポーツブランドなのだ。

BMWデザインワークスUSAの手によって開発が進んだBMWデザインワークスUSAの手によって開発が進んだ (c)トライスポーツ
ニールプライドは、ヨットのニュージーランド代表選手であったニール・プライド氏が、ヨットのセイル(帆)をつくるために起業したブランド。当時最新素材であったグラスファイバー素材を使ってセイルを作成したことで、間もなく世界最大のセイル供給メーカーとなる。

その後、ウィンドサーフィン分野のリードメーカーとしても成功。80年代には製品作りにカーボンファイバーを取り入れ、カーボン製品の一大サプライヤーの地位を確立する。また、スノーボードなどウインタースポーツの分野や、ウエットスーツなどウェア類の開発にも着手する。そして扱うジャンルが増えたことでプライド・グループと名称を変更し、多くのブランドを派生させた。

2012年シーズンはUCIプロコンチネンタルチーム、ユナイテッドヘルスケアによって幾多の勝利を挙げた2012年シーズンはUCIプロコンチネンタルチーム、ユナイテッドヘルスケアによって幾多の勝利を挙げた Jonathan Devich (epicimages.us)
要するに自転車メーカーとしてのニールプライドは誕生してまだ数年の新しいブランドだが、そのベースにはカーボンの扱いやモノ作りのノウハウに関しての膨大な技術が蓄積されているのである。自転車業界に参入のきっかけは、「創始者ニール・プライド氏の息子であるマイク・プライド氏の自転車好きが高じたこと」だという。近年の新ブランドがよくそうであるように「ビジネスチャンスを嗅ぎ付けて…」ではないところにも、いち自転車好きとして好感がもてる。

UnitedHealthcare Pro Cycling Team in action


ラインナップする3台は全てがプロユース

圧倒的な重量と走りの軽さ、剛性を追求した軽量マシン BURA SL圧倒的な重量と走りの軽さ、剛性を追求した軽量マシン BURA SL (c)neilpryde japanニールプライドはBMWデザインワークスUSAとタッグを組み、2011年にアリーゼとディアブロという2台のバイクを世に送り出した。2台ともブランド初とは思えないほどの完成度を持っており、プロレースシーンでも活躍を見せた。

そして2013年、ニールプライドは超軽量バイクのビューラSLとTTフレームであるバイヤモという2台のニューモデルを発表。これにオールラウンドバイクのアリーゼを加えた3台が、ニールプライド2013シーズンの全ラインナップとなる。

プロチームの要求に応え、扱いやすさを重要視したTTバイク、BAYAMOプロチームの要求に応え、扱いやすさを重要視したTTバイク、BAYAMO (c)neilpryde.japanラインナップ3モデルは全てアメリカのUCIプロコンチネンタルチーム、ユナイテッドヘルスケアが使っている。チームは平坦ステージでアリーゼ、山岳ステージはビューラ、TTではバイヤモと使い分けており、全てがハイエンドといえるラインナップになっているのである。

要するにニールプライドのラインナップには、プロユース以外のモデルは存在しないのだ。この「少数精鋭体制」は、ニールプライドというブランドの特徴の一つとなっている。


ニールプライド2013ラインナップ/スペック

ニールプライド BURA SL

ニールプライド BURA SLニールプライド BURA SL
フレームC6.9 46T Toray uni-directional carbon monocoque
フォークC6.9 46T Toray uni-directional carbon、1-1/8" - 1-1/4"
サイズXS, S, M, L, XL
重 量710g (Sサイズ)
カラーMatt Carbon + Gloss Black(メカニカルフレーム)、Gloss Carboon + Gloss Red(Di2フレーム)
価 格340,000円(フレームセット)


ニールプライド ALIZE

ニールプライド ALIZEニールプライド ALIZE
フレームC6.7 Toray uni-directional carbon monocoque
フォーク C6.7 Toray uni-directional carbon、1-1/8" - 1-1/4"
シートポストNEILPRYDE Aeroblade full-carbon
サイズXS, S, M, L, XL, XXL
重 量1020g (L/56cm frame only)
カラーMatt Carbon + Gloss Black
価 格240,000円(フレームセット)


ニールプライド BAYAMO

ニールプライド BAYAMOニールプライド BAYAMO
フレームC6.7 Toray uni-directional carbon monocoque
フォークC6.7 Toray uni-directional carbon、1" - 1-1/8"
シートポストNEILPRYDE Aeroblade full-carbon
サイズXS, S, M, L, XL
重 量1300g (M frame only)
カラーMatt Carbon + Gloss Black / Matt Carbon + Gloss Red
価 格270,000円(フレームセット)

インプレライダーのプロフィール

吉田秀夫(盆栽自転車店)
東京・千駄ヶ谷にある「自転車屋カフェ盆栽自転車店」のプレジデント。かつては実業団トップカテゴリーを走り、ツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・熊野など国際レースも多数出場。2011年の独立開業後に自身のクラブも立ち上げてロードレースからシクロクロスまで鋭意参戦中。ファッションサイクリストをレペゼン。自転車における速さだけではない分野においても同時に深く追求し続けている。
→盆栽自転車店

鈴木祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
→サイクルショップ・ライズライド

ウェア協力:Rapha(ラファ)
提供:トライスポーツ 編集:シクロワイアード編集部