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第4世代PropelとEnvilivに実力派ショップの店長夫妻が迫る

重量、空力、剛性。レーシングバイクに求められるあらゆる要素において長足の進歩を果たした第4世代Propel。その進化が日本のホビーレーサーにもたらす恩恵とは。東京都狛江市のBicicletta SHIDOを切り盛りする安藤夫妻のインプレッションを通して、その真価に迫る。

インプレッション当日は、あいにくの空模様。ポツポツと小雨が落ちてくる空とは対照的に、テストライダーの表情は明るかった。

今回は、10年以上トップカテゴリーで走ってきた経験を持つ安藤光平店長(以下、光平)がPropel Advanced Pro Dura-Aceを、共にお店を支える存在であり、自身もロードレースやシクロクロスの第一線で活躍する安藤沙弥さん(以下、沙弥)が女性用モデルのLiv Enviliv Advanced SL 1をそれぞれテストした。

インプレッションライダープロフィール

今回のテストライダーを務めてくれたBicicletta SHIDOの安藤光平店長(左)と安藤沙弥さん(右) photo:Naoki Yasuoka

安藤 光平(Bicicletta SHIDO)
東京都狛江市に店舗を構えるBicicletta SHIDOの店長。強豪クラブチームを渡り歩き、Jプロツアーに10年間参戦した実力派ライダー。2012年には2days race in 木祖村でスプリント賞を獲得。店主としてのコンセプトは「店長と遊んでくれる仲間募集中」で、ロード、グラベル、シクロクロスを共に楽しみたいという。現在はTCR Advanced SLを愛車とする。

安藤 沙弥(Bicicletta SHIDO)
夫の光平店長と共にBicicletta SHIDOを切り盛りする。JBCFでJフェミニンツアーを走りつつ、冬場にはシクロクロスでWE1を走る強豪女子ライダー。今シーズンはLivのBravaを駆り、シクロクロス千葉で勝利を飾った。


テストバイク:PropelとEnviliv

ジャイアント Propel Advanced Pro Dura-Ace

ジャイアント Propel Advanced Pro Dura-Ace

ジャイアントのContact SLR 0 Aeroハンドル
ペア重量1370gを誇るジャイアントのSLR 0 50 Carbonホイール



安藤光平店長がテストしたのは、こちらのPropel Advanced Pro Dura-Ace。フレームには、最上級のAdvanced SLに次ぐセカンドグレードで性能と価格のバランスに優れるAdvancedカーボンを使用し、調整幅の大きな別体式エアロシートポストを備える(Advanced SLフレームはISP)。エアロフューチャーなデザイン、Advanced SLカーボンのフロントフォーク、第4世代Propelと共同開発されたContact SLR Aero Integratedハンドルバーは、ハイエンドのAdvanced SLグレード完成車と共通だ。

「Propel Advanced Pro Dura-Ace」完成車はシマノDura-Aceのフルセットを搭載。カーボンスポーク採用でペア重量わずか1370gを誇るジャイアントのSLR 0 50 Carbonホイールを搭載することが大きな目玉。さらに、タイヤはエアロ性能を追求すると同時に220g (28C) という卓越した軽量性を誇るチューブレスレディタイヤ「CADEX Aero」を履く。どんなシーンにも馴染むグレーのグラデーションカラーも魅力だ。税込価格は121万円。

リブ Enviliv Advanced SL 1

リブ Enviliv Advanced SL 1

リブの女性専用モデル、Alacra SLRサドル
Advanced SLグレードの特徴であるフレーム一体型シートポスト



安藤沙弥さんのテストバイクは、リブのEnviliv最高峰完成車モデルである「Enviliv Advanced SL 1」。Propelと同じく新世代化を果たしつつ、ジオメトリーや乗り味を女性にフィットするよう調整されている。軽さと乗り心地に貢献する一体型のシートポストを採用している。

シマノUltegraのフルセットに、ペア重量わずか1370gという超軽量のSLR 0 50 Carbonホイールを組み合わせつつ、サドルはリブの女性専用モデルであるAlacra SLRを採用して税込価格は121万円。ハンドルバーも360/380mm(XS/Sサイズ)と女性の肩幅に合わせた無理のないセッティングだ。

インプレッションbyBicicletta SHIDO

実走派と名高いBicicletta SHIDOの2人がPropelとEnvilivの実力に迫る photo:Naoki Yasuoka

CW:天候も崩れる中、かなりしっかり乗りこんでいただきありがとうございます。新型PropelとEnviliv、いかがでしたか。

沙弥:もう、端的にすごく良い。雨も全然気にならなかったくらい(笑)まず軽いですね。進みも良いし、踏んだ時のフィーリングが気持ちいい。今回は激坂をダンシングで踏んでいくシーンもありましたけど、しなり戻りのリズムがピタッとはまるのが最高でした。

光平:前作や現行のTCRと比較しても、明らかに速くなってます。前作もスピードのあるバイクだったんですが、乗りこなすためには相当のパフォーマンスを要求してきました。今回のモデルチェンジで、その気難しさが完全に取り払われていて、驚かされました。

CW:エアロロードに対して、ブラケットの角を握りしめてエアロポジションでずっと走るための自転車、というイメージを持っている方は多いと思います。ドロップハンドルのTTバイク、みたいな。

「端的にすごく良い。このパッケージでレースを戦えるハイパフォーマンスな一台」安藤 沙弥(Bicicletta SHIDO) photo:Naoki Yasuoka

光平:全然そういった印象は受けなかったですね。

沙弥:オールラウンドバイクと言われても違和感が無い乗り味でしたね。ヒルクライムでも重さを感じることは無かったですし、どんなポジションで走っても走りの良さは感じられます。

特に印象的だったのはフロント周りの軽さですね。重心バランスが良いのか、コーナーやダンシングといったバイクを倒す動作がとてもスムーズ。すごく扱いやすい。

CW:登りもイケる、とのことですが、どういった登りが得意そうですか?

沙弥:例えば日本のロードレースで出てくるような、ある程度速度に乗って流れるように走っていけるような区間は得意中の得意だと思います。一方で、今日のテストコースに登場した10%超の激坂でも普通に走れたんですよ。後ろから引っ張られるような重さを感じるバイクもありますが、Envilivは軽快そのもの。

光平:あの区間は結構辛かったけど、それは自分が増量中だからです(笑)バイクが足を引っ張っていたわけではなく、自分がバイクの足を引っ張ってましたね(一同笑)

CW:光平さんは現行のTCRを愛車として乗っていますが、どういったキャラクターの違いがありますか?

光平:ハンドリングやバイクの挙動の傾向としては、かなり共通したものがあります。一方で、踏んだ時の印象としては、Propelのほうが優しい印象を受けました。自分のTCRはAdvanced SLで、今回のテストバイクはセカンドグレードのAdvanced PROでしたので、その違いはもちろんあるとは思いますが、乗りやすさという面ではPropelに軍配が上がります。

「TCRと比しても扱いやすさが際立つ。平坦だけじゃなく、登りでも活躍できる」安藤 光平(Bicicletta SHIDO) photo:Naoki Yasuoka

沙弥:ペダリングしやすいのは間違いない。硬すぎるバイクは全力で踏むとその分跳ね返ってきますよね。Envilivは前に進むのに使えなかったエネルギーをそのまま返すのではなくて、バイク側が「上手くやっとくんで!」という感じに処理してくれる。だから、アタックできる本数も増えそうだし、確実にレース終盤でのアドバンテージになるでしょうね。

あと、単純な快適性という意味でも、非常にハイレベルでした。かなり路面が荒れている区間も走りましたが、 全然バイクが跳ねない。身体に負担も少ないし、しっかり前に進むしで、弱点が無い。

光平:登りでも使えるエアロロードという意味では、Propelは既にその立ち位置をある程度確かなものにしていたとも思います。Mt.富士ヒルクライムでも上位勢はエアロダイナミクスを重視するようになって、Propelを選ぶ人も増えてきていました。

今回のモデルチェンジは、その流れを更に加速させて、より多くのサイクリストがPropelを選ぶようになるだけのインパクトがあると思いますね。

平坦からアップダウンまでくまなくテストを行った photo:Naoki Yasuoka

CW:新型PropelとTCRの使い分け方は?

光平:現行TCRユーザーとして言うと、もう全部新型Propelで良いです(笑)。冗談抜きで、そういう風潮になってもおかしくないくらい新型Propelの走りは軽いですね。ただ一点気になるとすれば、Propelのほうがスローピング度合いが小さいので、ISPを採用しているSLグレードに乗りたい方はサイズ選びがシビアになると思いますね。

CW:エアロロードという固定観念に囚われない、オールラウンドなバイクだと。今回はどちらのバイクにもSLRグレードの新型ホイールが装着されていましたが、いかがでしたか。

沙弥:前作のEnvilivがデビューした時にも乗る機会があったんです。その時は、ホイールを変えればレースでも使えるバイクだね、という印象だったんですよ。でも、今回のバイクはこのままのパッケージで、トップカテゴリーのレースで戦えると思います。

CW:グレードとしてはカデックスに次ぐセカンドグレードですが、アップグレードの余地についてはいかがでしょうか?

沙弥:正直な話、女子レーサーにとってはカデックスのホイールは少し扱いが難しい面もあるんですよね。かなり硬い乗り味なので、足が無くなってくると負けてしまうんです。出力の大きな男性レーサーだと問題ないとは思うのですが。

「踏みやすくバランスに優れた完成車パッケージは、おきなわやふくしまといった長距離レースにぴったり」安藤 沙弥(Bicicletta SHIDO) photo:Naoki Yasuoka

一方で、今回のSLRホイールはカデックスに比べると扱いやすい性格で、フレームとのバランス、ライダーとのバランスが本当にちょうどいい。セカンドグレードだからといって、ホイールがボトルネックになっているという事は全く無かったですね。

なので、書いてあるロゴに惑わされずに、自分と相性が良いのはどちらかを選んだほうが幸せになれると思います。少なくとも、私はこのホイールでレースに出たとしても後悔することはないんじゃないかなと。

CW:ライダーそれぞれのパフォーマンスレベルに合わせた機材選択が大切だという事ですね。それでは最後に、お二人が自分のバイクとして組むのであれば、どういった組み方をされますか?

「Livのバイクは女性だけでなく小柄な男性ライダーにもオススメできる」安藤 沙弥(Bicicletta SHIDO) photo:Naoki Yasuoka

沙弥:私がレースバイクとして組むなら、もっと硬いホイールを組み合わせたいですね。さっき言っていたことと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、それは自分が出るレースの距離が短くて、時間で言えば2時間半以内には終わることが大半で、アタックの撃ち合いでペースの上げ下げが激しいんですよね。

そういったレースであれば、脚へのダメージの溜まりやすさがデメリットになりづらいし、打てば響くような反応性が武器になる。なので、JBCFで使うのであればカデックスのローハイトなモデルなんかも面白そうだと思います。

一方で、もっと距離が長くてペースの強弱が控えめなレース、たとえばツール・ド・ふくしまであるとか、おきなわであるとか、そういったレースであれば、むしろ今の完成車仕様のままで投入したいですね。普段のロング練習なんかも絶対使いやすいですし、シチュエーションによってホイールを使い分けたいですね。

ホイール以外のハンドルやサドルなんかは、もう全然違和感も無いし、ストレスも無いです。むしろサドルはかなり気に入りました。乗り心地も良いのに軽い。ダンシングの振りの軽さはこのサドルの恩恵もあると思いますね。

「ISP採用のAdvanced SLなら乗り心地も振りの軽さも更に良くなりそうで期待大」安藤 光平(Bicicletta SHIDO) photo:Naoki Yasuoka

光平:自分のバイクにするなら、まずはAdvanced SLグレードを選びたいですね。今回テストしたProグレードでも走りに不満は無かったですが、やはりISPのメリットは大きいです。乗り心地は明らかに変わりますし、車体上部が軽くなるので、挙動も更に鋭くなりますから。

パーツに関しては、カデックスを軸に組んでいきたいですね。ホイールやハンドル、サドルといったパーツについては、専業メーカー顔負けの性能を発揮しますし、ジャイアントのバイクとのマッチングはもちろん最高です。

タイヤについては悩ましいポイントですね。やはりもっとも影響の大きなパーツですし、人それぞれのこだわりが出る部分なので、好きなモデルを使いたいところですが、今回のカデックスのタイヤは超軽量ですし、エアロも考慮されているということなので、ぜひ使ってみたいですね。

小雨降る中、徹底的にテストしてくれた安藤夫妻 photo:Naoki Yasuoka

提供:ジャイアント・ジャパン
制作:シクロワイアード編集部