序盤を乗り切り、歓喜の瞬間へ

ツールのステージはオランダからベルギー、そして本国フランスに入り、アルプスへ。総合争いも最初の佳境にさしかかる。この序盤から中盤戦に至る闘いで、シマノユーザー達は実に4勝を挙げた。それらの勝利をシマノ最新鋭機材のフォトアーカイブとともにダイジェストで振り返ろう。


第3ステージ

序盤戦最大の難所、パヴェが登場。コースプロフィールを見るだけだと単なる平坦ステージだが、時にはスポークが飛び、ハンドルが付け根から折れるような事態も起きるほど自転車へのダメージが大きい石畳区間が断続的に現れ、その難易度を高めている。

第3ステージのチームスカイのバイクには35mmハイトのDURA-ACEホイールが装着されていた第3ステージのチームスカイのバイクには35mmハイトのDURA-ACEホイールが装着されていた Photo:Makoto Ayano
変速機は電動DURA-ACE。電子機器へのダメージも大きいはずのパヴェでも採用されるのは、利便性だけでなく耐久面での信頼も寄せられている証だ変速機は電動DURA-ACE。電子機器へのダメージも大きいはずのパヴェでも採用されるのは、利便性だけでなく耐久面での信頼も寄せられている証だ Photo:Makoto Ayano フランセーズデジューも電動DURA-ACEを使用。シマノ製品を採用するチームにとってスタンダードな機材となりつつあるフランセーズデジューも電動DURA-ACEを使用。シマノ製品を採用するチームにとってスタンダードな機材となりつつある Photo:Makoto Ayano

DURA-ACEホイールを履いたブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)がパヴェを進むDURA-ACEホイールを履いたブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)がパヴェを進む photo:Makoto Ayano
予想通り落車やメカトラブルが頻発したステージとなったが、シマノのプロダクツは多くの選手達をトラブルなくゴールまで運び、チームからの信頼を高めた。


第5ステージ & 第6ステージ

不運も重なり、今季なかなか勝利に恵まれなかったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTCコロンビア)の圧倒的なスプリントが復活。第5ステージでついに勝利を掴んだ。

表彰台で歓喜の涙を流したカヴェンディッシュ、今季これまでの苦しさに並ならぬものがあったのが伺い知れた。インタビューでは苦境の中でも信じ、支えてくれたチームのスタッフや選手達への感謝の言葉が並んだ。

復活勝利を遂げ、雄叫びを挙げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)復活勝利を遂げ、雄叫びを挙げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:Makoto Ayano
ステージ違いだが、第4ステージで見たウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、フランセーズデジュー)のスペシャルバイクを紹介しようステージ違いだが、第4ステージで見たウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、フランセーズデジュー)のスペシャルバイクを紹介しよう photo:Makoto Ayano
サルツバーガーのバイクのヘッドチューブにあしらわれたオーストラリア国旗。ステムはPROのVibeを採用サルツバーガーのバイクのヘッドチューブにあしらわれたオーストラリア国旗。ステムはPROのVibeを採用 photo:Makoto Ayano
電動デュラエースのフロントディレーラーを装備。ボトルの下に見えるのはバッテリーだ。小型軽量にして十分な容量を持ち、もちろん防水性もしっかりしている電動デュラエースのフロントディレーラーを装備。ボトルの下に見えるのはバッテリーだ。小型軽量にして十分な容量を持ち、もちろん防水性もしっかりしている photo:Makoto Ayano

そして続く第6ステージ、この日もカヴェンディッシュは止まらない。チームの献身的な牽引と発射台マーク・レンショーの絶妙な位置取りに助けられ、この日も完璧なスプリントを見せ圧勝。晴れやかな笑顔で表彰台に登り、完全復活を印象づけた。

彼のスプリントを手元から支えたのはシマノだ。一瞬の判断によるすばやいシフトアップと、選手の瞬発力を最大限に発揮することが求められるスプリントで、変速不良や、パーツの剛性不足による力の減衰はあってはならないこと。このシビアな状況に、シマノのプロダクツはチームHTCコロンビアの選手達の要求に正確に応え、カヴェンディッシュの勝利に貢献した。

第6ステージ、ガッツポーズでゴールするカヴェンディッシュ第6ステージ、ガッツポーズでゴールするカヴェンディッシュ photo:Makoto Ayano
2連勝を飾ったカヴェンディッシュがこの日は笑顔でステージに2連勝を飾ったカヴェンディッシュがこの日は笑顔でステージに photo:Makoto Ayano カヴェンディッシュの強力なスプリントパワーを支えるPROのステムとハンドルカヴェンディッシュの強力なスプリントパワーを支えるPROのステムとハンドル photo:Makoto Ayano


第9ステージ

休息日明けすぐに訪れたアルプス山岳シリーズのクライマックス。204.5kmに及ぶ距離の中に1級が2つ、2級が1つ、最後に超級山岳のマドレーヌ峠が登場するという厳しいコースが選手達に襲いかかった。レースは16km地点から11名の逃げが成立し、マイヨアポワを着るジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、マイヨヴェールのトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)が入るこのグループにサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)も乗った。

超級山岳マドレーヌ峠には溢れんばかりの観客が集まり、選手達の通過を待ちわびていた超級山岳マドレーヌ峠には溢れんばかりの観客が集まり、選手達の通過を待ちわびていた photo:Makoto Ayano
晴れ渡るスタート地点に現れたサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)。より軽量な24mmハイトのDURA-ACEホイールをチョイスし、この日逃げに乗った晴れ渡るスタート地点に現れたサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)。より軽量な24mmハイトのDURA-ACEホイールをチョイスし、この日逃げに乗った photo:Makoto Ayano
ラボバンクの選手達は軽量なステム一体型のカーボンハンドル、PROのステルスEVOを装着している選手が多かったラボバンクの選手達は軽量なステム一体型のカーボンハンドル、PROのステルスEVOを装着している選手が多かった photo:Makoto Ayano
山岳の上りをこなすマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)。空力も意識してか35mmのDURA-ACEホイール山岳の上りをこなすマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)。空力も意識してか35mmのDURA-ACEホイール photo:Makoto Ayano

マドレーヌ峠を越える頃には先頭集団が4名に絞られ、サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)はこの中に残って最後の下りに入った。ゴール1kmを切って後方からアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)とアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)、クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ)の3名が追いついたが、この小集団のスプリントを見事制したのはサンディ・カザール。最終コーナーを曲がると先頭に立ち、そのまま譲らずゴールに飛び込んだ。

前回記事の冒頭でもステージ優勝候補として紹介したサンディ・カザールが、ついにツール通算2つめのステージ優勝を手に入れた。

ツール通算2勝目を手にしたサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)。ハンドルとステムはPROのVibeシリーズで固められていたツール通算2勝目を手にしたサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)。ハンドルとステムはPROのVibeシリーズで固められていた photo:Makoto.AYANO
山岳ステージと言えば軽量パーツがクローズアップされるが、中には軽量化に走るあまりに強度や剛性面で疑問符のつくものも見受けられる。しかし、シマノの製品は単に軽量なだけではない。緻密な計算に基づいた設計によってトップクラスの軽量化を実現しながら、ダンシングやハイスピードの下りでも選手達に安心感を与え、コンペティションに集中させてくれる強度と剛性を誇る。

サンディ・カザールが所属するフランセーズデジューは、ホイール、ハンドル、ステム、コンポーネントに至るまで、多くのシマノ製品を採用しているチーム。フレームとサドル周辺以外は全てシマノ製品である。今回の彼の勝利によって、山岳ステージにおけるシマノ製品の信頼性をトータルで証明した形となった。


第11ステージ

総合争いが中休みとなった平坦基調のこのステージ、フランセーズデジューのアントニー・ジェラン(フランス)をはじめとする3名が果敢に逃げを決め、レース序盤から終盤の流れをリード。

残り22kmで彼らの逃げを吸収すると、ゴール前は予想通りの集団スプリントへ。勝者を待ち受けるカメラの砲列が写したのはまたもカヴェンディッシュ。その姿にはもうツール開幕当初に見られた不安の影はみじんもない。この日はカーボンにホワイト&シルバーペイントのPROのトラックステムが彼の盤石のスプリントを援護、今ツール怒濤の3勝目に繋げた。

3名の逃げを形成したアントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー)3名の逃げを形成したアントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー) photo:Makoto Ayano
シストロンの街をスタートした選手たちシストロンの街をスタートした選手たち photo:Makoto Ayano
3級山岳の下りをこなすデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)ら3級山岳の下りをこなすデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)ら photo:Makoto Ayano


両手を挙げ、自信に満ちた表情でゴールするマーク・カヴェンディッシュ両手を挙げ、自信に満ちた表情でゴールするマーク・カヴェンディッシュ photo:Makoto Ayano
第11ステージのカヴェンディッシュのステムは、ノーマルカラーのバイクに合わせたPROのトラックステムに変更されていた第11ステージのカヴェンディッシュのステムは、ノーマルカラーのバイクに合わせたPROのトラックステムに変更されていた photo:Makoto Ayano 複数の選手の足元に見られたDURA-ACE カーボンペダルの踏み面。軽量化されながら、プロ選手の脚力を受け止めるのに十分な剛性がある複数の選手の足元に見られたDURA-ACE カーボンペダルの踏み面。軽量化されながら、プロ選手の脚力を受け止めるのに十分な剛性がある photo:Makoto Ayano



次回はいよいよ最終回。ツールの盛り上がりが最高潮に達する終盤戦からパリ・シャンゼリゼゴールに至るまでの軌跡を写真とともに振り返る。

提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード