2022/04/21(木) - 19:33
コルナゴの最高峰モデル、C68がデビュー。Cが意味するのはコルナゴのプロダクトレンジにおける頂点のモデル。本社のあるカンビアーゴで製造される、完全なるハンドメイド・イン・イタリーのロードバイクだ。新たな世代を拓く新たなコルナゴ。レガシーはここに継承され、新たな至高のモデルが誕生した。
イタリア・カンビアーゴでの創業から68年。そして前代C64の発表から4年。コルナゴが新たな最高峰モデル C68をリリースした。伝統のラグド製法にこだわることは変わらず、しかし数々の新技術、新構造を取り入れ、モダンに生まれ変わった至高のロードモデルだ。
カーボンフレームの可能性にいち早く着目し、開発を進めたコルナゴのフラッグシップとして君臨してきた歴代のCシリーズ。フェラーリとの協業により1989年に誕生した初代C35。最強軍団と呼ばれたマペイに愛され、パリ〜ルーベを初めて制したカーボンバイクとなったC40。オスカル・フレイレにより世界選手権ロードを制したC50、新城幸也やトマ・ヴォクレールが駆りツール・ド・フランスを駆けたC59、新機構を採り入れブラッシュアップしたC60、そしてUAEチームエミレーツが駆ったC64と、世界のトップレースの最前線で、無数の勝利と栄光ともに、Cの系譜は引き継がれてきた。
コルナゴC68は、今までと同じ「C」のフィロソフィーを受け継ぐモデル。モデル名C68の「C」とは、Carbon(カーボン)、Colnago(コルナゴ)、Cambiago(カンビアーゴ)、Class(格式)のCに由来する。「68」とはコルナゴ社創業年の1954年からの数え年。ロードバイク界の雄コルナゴ社が、ユニークで特別なデザインを愛するロードバイクファンのために、イタリアの多様な伝統的手法にのっとりハンドメイドで造り上げる珠玉のロードモデルだ。
C68は、これまでのコルナゴレーシングフレームのアイデンティティであるカーボンラグ工法を採用していることが変わらない特徴だ。多くのブランドがモノコック工法へとスイッチしたが、コルナゴはフラッグシップモデルにおいて頑なにラグ構造を堅守している。それはライダーの身体にフィットした自転車を造るという、ロードバイクフレームにおいて大切なことをコルナゴが最重要視していることの表れだ。
モデル「V」は妥協のないレーシングモデル。レースへと捧げられるモデルで、モノコック製法によるフレームはエアロダイナミクスと軽量性、剛性に優れたパフォーマンスをもち、レースに勝利するためのバイク。VはVictory(勝利)のV、Velocita(スピード)のVだ。
モデル「C」は「クラシックなコルナゴ」と言えるだろう。ラグ構造とともに伝統的なイタリアでの完全ハンドメイドというスタイルを貫き、ユニークで特別なデザインを愛するファンに捧げるモデルだ。
C68は従来のコルナゴの伝統を引き継ぐクラシックで新しいモデルだ。古さだけのクラシックではなく、トラディショナルななかにも斬新な新技術を盛り込んでモダンな変貌を遂げている。「ハンドメイド・イン・イタリー」のレガシーを継承しつつ、時代をリードする先見性に富む新フラッグシップ。日本に先行して1台のみ届いたC68のディテールを紐解いていこう。
無骨とも言えたラグ構造の前代モデル、C64。C68はそのC64をベースにしつつ、共有化しているのは基本コンセプトとしての「ラグ構造」のみというフルモデルチェンジを遂げた。
外観で見るに、C68はトラディショナルなフォルムを引き継ぎつつ、現代的なシェイプに置き換えられたロードバイクだ。ラグ構造を採用したと言われても、前モデルのようなラグは姿を潜めている。ヘッドチューブやシートクランプ周辺は、外観からラグのような存在が確認できる。しかしCシリーズのルーツとも言えるリアトライアングルのラグやダウンチューブ、BB周辺のラグは外からは見えなくなっている。
カーボンチューブとラグによってフレームを組み上げるのは同様。しかしデザインの合理性を絞り込み、C68は主にチューブとラグを一体化させたモジュールによって構成される。従来の製法によるフレーム以上のターゲット性能に達するためには、多くのジョイントやピースは必要が無かった。それぞれを融合させて一体化し、かつ自由度を追求することで理想の構造を追い求めたのだ。
基本的にはいくつかのチューブとパーツを、ラグを用いてグルー(接着剤)で接着することで組みあげていく伝統的な手法。しかし新たな構造メソッドによる製法は、カスタムサイズによるフレーム設計の自由度向上というメリットを生み出した。トップチューブはヘッドチューブやシートチューブ/ダウンチューブに沿って接合部をスライドさせることができ、リーチとスタックをカスタムできる。以前のモデルでは固定化したヘッドラグの形状による制限がどうしてもあり、リーチを自由に変更することはできなかった。
そしてさらに望むならチタンラグを選ぶことで、ミリ単位でジオメトリーを指定できる完全なサイズオーダーが可能となる。3Dプリント製チタニウムラグのオプションを選択すれば、数ミリ単位の調整や0.1°刻みの角度調整によるジオメトリー変更さえ可能になる。または大幅な変更さえも自在にできるという。
BB周辺はラグを使用せず、シートチューブと一体化している。一方でトップチューブは、シートチューブと接合するラグと、ヘッドチューブと接合するラグ一体パイプの2ピースの構造となる(詳しくは上図)。
最終的に、C64に比べてC68は同サイズ相当において軽量化を達成し、フレーム剛性はより高められている。とくにステアリング周辺は、剛性と一体感を増したことで高精度で操舵感に優れるハンドリング性能を手に入れている。
フレーム重量は51サイズで約930gとなる(未塗装、エンドやFD台座等の金属パーツ除く)。シートポスト形状はC64とV3Rsと共通。フロントディレイラー台座は脱着が可能で、シングルチェーンリング化にも対応する。
そしてC68 Roadには、3Dプリント製チタンラグを用いたリミテッド・エディションも用意される。望むならチタンラグを選ぶことで、ミリ単位でジオメトリーを指定できる完全なサイズオーダーが可能となる。ラグをカスタムメイドすることで完全なジオメトリーオーダーが可能となり、無限の選択肢とカスタマイズ性がオプションとして加わることになる。
レーシングフレーム製作においては、ライダーの身体に完全にフィットさせることができる「ス・ミズーラ」(イタリア語で「サイズを測定してつくるオーダーメイド」)とは、ロードバイクフレーム製作において伝統的で極めて重要な手法である。
「なぜチタンラグ?」 その答えは、チタンとは3Dプリントに最適な金属素材で、カーボンとの適合性にも優れている。自在に成型できるチタンラグによって本当の意味でのフレームサイズのジオメトリーオーダーが可能になる。イタリアの医療分野の先進企業との協業により、究極的なまでに正確な3Dプリント成型が可能となったのだ。
C60において初めてオーバーサイズBB「スレッドフィット82.5」を開発し、搭載してから8年。インナースリーブを用いるこのBB方式がプレスフィットBBのひとつの最適解となっていた。近年登場したT47規格は、コルナゴのスレッドフィット82.5の45mm径より僅かに大径の47mmで、コルナゴが開発した方式に影響を受けた規格であると言えるが、コルナゴはユーザーやメカニックの利便性を考慮し、T47規格BBをこれからのフレームに採用することを決めた。
コクピットのコラム内には超コンパクトなマルチツールを内蔵する。ステムキャップの下に埋め込まれたツールは簡単に取り外せ、数グラムを減じることも簡単。ツールホルダーはフォークコラムの構造体の一部となっているが、取り外してロングエキスパンダーに交換することもできる。
新型となるステム一体型の「CC.01インテグレーテッドハンドルバー」もC68と同時に発表された。通常、一体型ハンドルと言えども数パーツを接着、接合して成型されている。 CC.01インテグレーテッドハンドルバーは完全な一体成型によるワンピース・モノコック構造となり、軽量化と強靭な剛性を達成している。
突き出し量と幅のバリエーションも豊富に揃い、ハンドル幅で4種類(370, 390, 410,430mm 芯-芯)、ステム長で7種類(80, 90, 100, 110, 120, 130,140mm)の、じつに16通りもの組み合わせバリエーションから選べる。
ハンドル形状は現在のライディングの流行に沿った形状だ。「コンパクトエアロ」を意識した、フード部(ハンドルショルダー)からドロップにかけて+2cmのフレア形状が採用される。フード部410mmでドロップ下部は430mmとなる(size370は14mmフレアとなる)。リーチは80mm(size370はリーチ77mm)、ドロップは122mm(size370は119mmとなる)。ステムアングルは84°だ。
フレア形状ハンドルはダウンヒル時のバイクコントロールに優れ、エアロダイナミクスを向上させるためにブレーキフード部を狭く内側にセットする現在主流のライディングポジションに対応したハンドル形状となる。
フード部のハンドル幅は従来のハンドルより1cm相当狭くなり、増したリーチ(スタンダードな75mmリーチハンドルに比較して)は、フード部のグリップポジションを前後に増加して、ドロップ部を握ればダウンヒルやローリングコースでより深いクラウチングスタイルを可能にする。
CC.01ハンドルは新世代のワイヤレス電動シフターのレバー形状にあわせてデザインされた。ケーブル内装式ながら、外装式のリムブレーキ式バイクにも適合する。
CC.01ハンドルの重量はsize110-410で310gと、現在の市場にある他のケーブル内装式一体型ハンドルと比較して軽量に仕上げられている。マット&グロッシーブラック塗装による最低限のマーキングは軽量化のため。形状もエアロダイナミクス向上のために最適化されている。そしてC64とV3Rsのリム&ディスクモデルにも完全に適合する。
コンピューターマウントはGarmin、Wahoo、Bryton、Hammerheadの各マウントに対応。アームは2種の長さを用意し、GoProスタイルのバヨネットも装着可能だ。 CC.01ハンドルバーセットはコラムスペーサーキット、コラム内蔵式マルチツール、キャップ等がセットとなる。
まず最初に発表されたモデルのC68 Roadは、純粋なロードパフォーマンスを追求したモデル。今後発表される第2モデルのC68 Allroadは、ワイドタイヤを装着するキャパシティを備えたオールロードモデル。そして3番目に登場するC68 Gravelはドロップハンドルでのオフロードライディングに対応したグラベルモデルとなる。
フレームジオメトリー&サイズを豊富に取り揃えてきたコルナゴの伝統はそのままに、ごく近い将来的に3モデル・合計18種類のフレームサイズが用意されることになる。Roadで7サイズ(ディスクブレーキモデル。リムブレーキ:2022年秋より)。Allroadで6サイズ(ディスクのみ。2022年秋より)。Gravelで5サイズ(ディスクのみ。2022年冬より)が順次リリースされる予定だ。
イタリア・カンビアーゴでの創業から68年。そして前代C64の発表から4年。コルナゴが新たな最高峰モデル C68をリリースした。伝統のラグド製法にこだわることは変わらず、しかし数々の新技術、新構造を取り入れ、モダンに生まれ変わった至高のロードモデルだ。
カーボンフレームの可能性にいち早く着目し、開発を進めたコルナゴのフラッグシップとして君臨してきた歴代のCシリーズ。フェラーリとの協業により1989年に誕生した初代C35。最強軍団と呼ばれたマペイに愛され、パリ〜ルーベを初めて制したカーボンバイクとなったC40。オスカル・フレイレにより世界選手権ロードを制したC50、新城幸也やトマ・ヴォクレールが駆りツール・ド・フランスを駆けたC59、新機構を採り入れブラッシュアップしたC60、そしてUAEチームエミレーツが駆ったC64と、世界のトップレースの最前線で、無数の勝利と栄光ともに、Cの系譜は引き継がれてきた。
コルナゴC68は、今までと同じ「C」のフィロソフィーを受け継ぐモデル。モデル名C68の「C」とは、Carbon(カーボン)、Colnago(コルナゴ)、Cambiago(カンビアーゴ)、Class(格式)のCに由来する。「68」とはコルナゴ社創業年の1954年からの数え年。ロードバイク界の雄コルナゴ社が、ユニークで特別なデザインを愛するロードバイクファンのために、イタリアの多様な伝統的手法にのっとりハンドメイドで造り上げる珠玉のロードモデルだ。
C68は、これまでのコルナゴレーシングフレームのアイデンティティであるカーボンラグ工法を採用していることが変わらない特徴だ。多くのブランドがモノコック工法へとスイッチしたが、コルナゴはフラッグシップモデルにおいて頑なにラグ構造を堅守している。それはライダーの身体にフィットした自転車を造るという、ロードバイクフレームにおいて大切なことをコルナゴが最重要視していることの表れだ。
VとC、2つのフラッグシップモデル
コルナゴにはもうひとつのハイエンド「Vシリーズ」がある。それはレースに捧げるレーシングバイクで、UAEチームエミレーツが駆るモデルだ。現在のトップモデル V3Rsはご存知のようにタディ・ポガチャルによってツール・ド・フランスで2年連続優勝したバイク。そのVとCのキャラクターは異なるものだ。モデル「V」は妥協のないレーシングモデル。レースへと捧げられるモデルで、モノコック製法によるフレームはエアロダイナミクスと軽量性、剛性に優れたパフォーマンスをもち、レースに勝利するためのバイク。VはVictory(勝利)のV、Velocita(スピード)のVだ。
モデル「C」は「クラシックなコルナゴ」と言えるだろう。ラグ構造とともに伝統的なイタリアでの完全ハンドメイドというスタイルを貫き、ユニークで特別なデザインを愛するファンに捧げるモデルだ。
C68は従来のコルナゴの伝統を引き継ぐクラシックで新しいモデルだ。古さだけのクラシックではなく、トラディショナルななかにも斬新な新技術を盛り込んでモダンな変貌を遂げている。「ハンドメイド・イン・イタリー」のレガシーを継承しつつ、時代をリードする先見性に富む新フラッグシップ。日本に先行して1台のみ届いたC68のディテールを紐解いていこう。
無骨とも言えたラグ構造の前代モデル、C64。C68はそのC64をベースにしつつ、共有化しているのは基本コンセプトとしての「ラグ構造」のみというフルモデルチェンジを遂げた。
外観で見るに、C68はトラディショナルなフォルムを引き継ぎつつ、現代的なシェイプに置き換えられたロードバイクだ。ラグ構造を採用したと言われても、前モデルのようなラグは姿を潜めている。ヘッドチューブやシートクランプ周辺は、外観からラグのような存在が確認できる。しかしCシリーズのルーツとも言えるリアトライアングルのラグやダウンチューブ、BB周辺のラグは外からは見えなくなっている。
新技術 モジュラーストラクチャー製法
C68フレームはプロジェクトのコアとなる新技術「モジュラーストラクチャー」製法によって製造され、優位性を生み出しているという。カーボンチューブとラグによってフレームを組み上げるのは同様。しかしデザインの合理性を絞り込み、C68は主にチューブとラグを一体化させたモジュールによって構成される。従来の製法によるフレーム以上のターゲット性能に達するためには、多くのジョイントやピースは必要が無かった。それぞれを融合させて一体化し、かつ自由度を追求することで理想の構造を追い求めたのだ。
基本的にはいくつかのチューブとパーツを、ラグを用いてグルー(接着剤)で接着することで組みあげていく伝統的な手法。しかし新たな構造メソッドによる製法は、カスタムサイズによるフレーム設計の自由度向上というメリットを生み出した。トップチューブはヘッドチューブやシートチューブ/ダウンチューブに沿って接合部をスライドさせることができ、リーチとスタックをカスタムできる。以前のモデルでは固定化したヘッドラグの形状による制限がどうしてもあり、リーチを自由に変更することはできなかった。
そしてさらに望むならチタンラグを選ぶことで、ミリ単位でジオメトリーを指定できる完全なサイズオーダーが可能となる。3Dプリント製チタニウムラグのオプションを選択すれば、数ミリ単位の調整や0.1°刻みの角度調整によるジオメトリー変更さえ可能になる。または大幅な変更さえも自在にできるという。
ラグドフレームのアドバンテージは他にも
なぜC68はモノコックではなく複数ピースを組み合わせるラグドフレームなのか。もちろんモノコックにはできないカスタムサイズが可能という強みはある。それに加えて次のような製造上の重要なアドバンテージがあるのだ。- フレームに組み上げる前のチューブやパーツの段階でカーボンをより適切な積層にコントロールできる。
- カーボンチューブやパーツ製造の段階で、コルナゴ独自の製法で内部により高圧をかけて成型できる。それはモノコック構造では応用できない技術であること。
- ユーザーが求める最終製品のターゲットに向けて、細部をよりスマートにチューニングすることが可能である。
C68 テクニカルディテール
フレーム各部のシェイプの見直しと刷新、設計により、各部を最適化することもできた。新型ヘッドチューブ形状によりステアリングコラム周りの剛性向上と軽量化、そしてケーブル内蔵のために現在主流となっているDシェイプのステアリングコラムを用いることなくケーブルマネジメントの最適化が可能になった。それにより構造的にアッセンブル(組付け)に余裕ができ、スムーズでコントローラブルなハンドリングにつながっている。BB周辺はラグを使用せず、シートチューブと一体化している。一方でトップチューブは、シートチューブと接合するラグと、ヘッドチューブと接合するラグ一体パイプの2ピースの構造となる(詳しくは上図)。
最終的に、C64に比べてC68は同サイズ相当において軽量化を達成し、フレーム剛性はより高められている。とくにステアリング周辺は、剛性と一体感を増したことで高精度で操舵感に優れるハンドリング性能を手に入れている。
フレーム重量は51サイズで約930gとなる(未塗装、エンドやFD台座等の金属パーツ除く)。シートポスト形状はC64とV3Rsと共通。フロントディレイラー台座は脱着が可能で、シングルチェーンリング化にも対応する。
3Dチタニウムラグによる完全なるジオメトリーオーダー
モールド(金型)を用いて一体成型するモノコック製法とは違い、いくつかのチューブとパーツを、ラグを用いてグルー(航空宇宙産業レベルの接着剤)で接着することで組みあげていくこの伝統的な手法が、ユニークな独自性と豊富なサイズ展開という優位性を生み出している。そしてC68 Roadには、3Dプリント製チタンラグを用いたリミテッド・エディションも用意される。望むならチタンラグを選ぶことで、ミリ単位でジオメトリーを指定できる完全なサイズオーダーが可能となる。ラグをカスタムメイドすることで完全なジオメトリーオーダーが可能となり、無限の選択肢とカスタマイズ性がオプションとして加わることになる。
レーシングフレーム製作においては、ライダーの身体に完全にフィットさせることができる「ス・ミズーラ」(イタリア語で「サイズを測定してつくるオーダーメイド」)とは、ロードバイクフレーム製作において伝統的で極めて重要な手法である。
「なぜチタンラグ?」 その答えは、チタンとは3Dプリントに最適な金属素材で、カーボンとの適合性にも優れている。自在に成型できるチタンラグによって本当の意味でのフレームサイズのジオメトリーオーダーが可能になる。イタリアの医療分野の先進企業との協業により、究極的なまでに正確な3Dプリント成型が可能となったのだ。
T47規格ボトムブラケットの採用
構造的に前世代のC64との違いについて特筆しておくことは、 C68には剛性と適合性に優れるT47プレスフィット規格のボトムブラケットを採用したことだ。C60において初めてオーバーサイズBB「スレッドフィット82.5」を開発し、搭載してから8年。インナースリーブを用いるこのBB方式がプレスフィットBBのひとつの最適解となっていた。近年登場したT47規格は、コルナゴのスレッドフィット82.5の45mm径より僅かに大径の47mmで、コルナゴが開発した方式に影響を受けた規格であると言えるが、コルナゴはユーザーやメカニックの利便性を考慮し、T47規格BBをこれからのフレームに採用することを決めた。
生涯保証のセラミックスピード社製SLTヘッドセット
C68にはセラミックスピード社製のSLTヘッドセットが採用される。SLT(Solid Lubrication Technology) テクノロジーを採用したこのヘッドパーツセットはメンテナンスが簡単で、コルナゴ社とセラミックスピード社の両社によって生涯保証されるとおり、長期間の使用に耐える至高のシステムとなっている。コクピットのコラム内には超コンパクトなマルチツールを内蔵する。ステムキャップの下に埋め込まれたツールは簡単に取り外せ、数グラムを減じることも簡単。ツールホルダーはフォークコラムの構造体の一部となっているが、取り外してロングエキスパンダーに交換することもできる。
カンビアーゴのコルナゴ工房での完全ハンドメイド
フレームを構成するチューブなどのパーツ点数はCシリーズ前モデルとほぼ変わらない。そして美的な観点から見ても、そのハンドメイドの製造ラインは今までとなんら変わることがない。もっと近代的な手法や見映えを求める声はあるだろう。しかしそれこそが伝統的なコルナゴファンが求めるものを提供するための製造方法なのだ。より広い選択肢を用意するために。CC.01 インテグレーテッドハンドルバー
新型となるステム一体型の「CC.01インテグレーテッドハンドルバー」もC68と同時に発表された。通常、一体型ハンドルと言えども数パーツを接着、接合して成型されている。 CC.01インテグレーテッドハンドルバーは完全な一体成型によるワンピース・モノコック構造となり、軽量化と強靭な剛性を達成している。
突き出し量と幅のバリエーションも豊富に揃い、ハンドル幅で4種類(370, 390, 410,430mm 芯-芯)、ステム長で7種類(80, 90, 100, 110, 120, 130,140mm)の、じつに16通りもの組み合わせバリエーションから選べる。
ハンドル形状は現在のライディングの流行に沿った形状だ。「コンパクトエアロ」を意識した、フード部(ハンドルショルダー)からドロップにかけて+2cmのフレア形状が採用される。フード部410mmでドロップ下部は430mmとなる(size370は14mmフレアとなる)。リーチは80mm(size370はリーチ77mm)、ドロップは122mm(size370は119mmとなる)。ステムアングルは84°だ。
フレア形状ハンドルはダウンヒル時のバイクコントロールに優れ、エアロダイナミクスを向上させるためにブレーキフード部を狭く内側にセットする現在主流のライディングポジションに対応したハンドル形状となる。
フード部のハンドル幅は従来のハンドルより1cm相当狭くなり、増したリーチ(スタンダードな75mmリーチハンドルに比較して)は、フード部のグリップポジションを前後に増加して、ドロップ部を握ればダウンヒルやローリングコースでより深いクラウチングスタイルを可能にする。
CC.01ハンドルは新世代のワイヤレス電動シフターのレバー形状にあわせてデザインされた。ケーブル内装式ながら、外装式のリムブレーキ式バイクにも適合する。
CC.01ハンドルの重量はsize110-410で310gと、現在の市場にある他のケーブル内装式一体型ハンドルと比較して軽量に仕上げられている。マット&グロッシーブラック塗装による最低限のマーキングは軽量化のため。形状もエアロダイナミクス向上のために最適化されている。そしてC64とV3Rsのリム&ディスクモデルにも完全に適合する。
コンピューターマウントはGarmin、Wahoo、Bryton、Hammerheadの各マウントに対応。アームは2種の長さを用意し、GoProスタイルのバヨネットも装着可能だ。 CC.01ハンドルバーセットはコラムスペーサーキット、コラム内蔵式マルチツール、キャップ等がセットとなる。
C68 他のハンドルとの適合性
コルナゴの伝統どおり、他社の一般的なハンドルバーの取り付けに関しても最大限の配慮がされている。31.8mm径のハンドルバーとデダ SUPER BOXステムの組み合わせ、デダ ALANERAハンドルセットの適合性も保証されている。C68のプラットフォーム 今後はオールロード、グラベルへの展開も
もうひとつのニュースは歴代Cシリーズとして初めて、シングルパーパスモデルではなく、今後はRoad(ロード)、Allroad(オールロード)、Gravel(グラベル)の3モデル展開となることだ。まず最初に発表されたモデルのC68 Roadは、純粋なロードパフォーマンスを追求したモデル。今後発表される第2モデルのC68 Allroadは、ワイドタイヤを装着するキャパシティを備えたオールロードモデル。そして3番目に登場するC68 Gravelはドロップハンドルでのオフロードライディングに対応したグラベルモデルとなる。
フレームジオメトリー&サイズを豊富に取り揃えてきたコルナゴの伝統はそのままに、ごく近い将来的に3モデル・合計18種類のフレームサイズが用意されることになる。Roadで7サイズ(ディスクブレーキモデル。リムブレーキ:2022年秋より)。Allroadで6サイズ(ディスクのみ。2022年秋より)。Gravelで5サイズ(ディスクのみ。2022年冬より)が順次リリースされる予定だ。
モデル展開とカラーバリエーション
コルナゴC68 ジオメトリー
コルナゴC68 スペックと販売価格
C68 Discフレームセット | 税込913,000円(税別830,000円) |
C68 Disc Titanium フレームセット | 税込1,100,000円(税別1,000,000円) |
C68 disc 完成車 メインコンポ:Shimano Dura ace 9270 DI2 ホイール:SHIMANO WHR9270 | 税込1,903,000円(税別1,730,000円) |
C68 disc 完成車 メインコンポ:Shimano Ultegra 8170 DI2 ホイール:FULCRUM WIND400 | 税込1,485,00円(税別1,350,000円) |
C68 disc Titanium 完成車 メインコンポ:Shimano Dura ace 9270 DI2 ホイール:SHIMANO WHR9270 | 税込2,090,000円(税別1,900,000円) |
提供:コルナゴ・ジャパン(アキボウ)、text&photo:綾野 真