2022/03/01(火) - 12:05
イギリス生まれのハイパフォーマンスブランド、ファクターを特集する最終回。チーム右京相模原の2選手に登場いただき、大西監督と共にレース投入するOSTRO VAMとO2 VAMについて語ってもらった。プロ選手の目線から見る、プレミアムロード2モデルの魅力とは?
小石祐馬:チームユーラシアやヴィーニファンティーニ時代にヨーロッパを経験した28歳。現在は欧州時代に培われた経験と勝負勘、そして高いプロ意識と共にチーム右京でキャプテンを務める。2019年からO2 VAMを駆り、2021年9月からOSTRO VAMをレース投入。新型デュラエースと共に注目を集めている。
宇賀隆貴:アマチュアチームから2021年にチーム右京入りするや否や強さを発揮し、若手選手で争われるJCLの年間ホワイトジャージを獲得した注目株。最初は環境変化に戸惑ったと言うものの、最終ラウンドの大田原ロードレースではエースを任されるなどチームからの期待も厚い。使用モデルはO2 VAM。
CW:まずはOSTRO VAM(以下OSTRO)に関して伺います。小石選手、その走りはいかがですか?
小石:O2 VAM(以下O2)から乗り換えてまず感じたのは巡行性能の高さ。速さを感じるバイクですよ。それでいて重量はペダル付きで7.1〜7.2kgに収まっているんです。ディスクブレーキ時代になってペダル込み7.5kgくらいが普通ですが、OSTROはずっと軽く武器になってくれます。
秋吉台カルストロードレースできちんと実戦デビュー、それもぶっつけ本番でした(笑)。あのコースは公道だからスピードの出る直線区間が多く、その一方最後は急勾配登坂が1kmくらい続くので、エアロと軽さを両立したバイクが良いのですが、他チームの選手と比べてもエアロ的なメリットは大きく、登りでも軽さが活きましたね。
大西監督:OSTROを投入した時のSNSは反響が大きかったですね。注目されてるんだな、と改めて思わされました。
小石:コーナー後の急な立ち上がりなど「掛かり」が求められる場面でも良いし、低速でも高速でも面白いくらい進んでくれます。正直今まで、大きくフレームの差を感じることはなかったのですが、OSTROはそんな自分でも驚くくらいでした。
CW:前周りに比べてリアの線の細さが目立ちますが、乗り心地や振動吸収性能はいかがですか?
小石:もちろん疲れないことはありませんが、長距離を走っても変な疲労が溜まりにくいと思いますね。踏み心地もガチガチじゃないし、パリ〜ルーベ用を謳うくらいだから頑丈でしょうし、オールラウンドに使えます。エアロロード=クセのある乗り味をイメージする方も少なくないと思いますが、実際OSTROのハンドリングは素直で曲がりやすいし、ロングライドに使っても気持ち良いと思います。
あとはやっぱり、ブラックインクの一体型ハンドルですよね。設計もこのハンドルありきでしょうから、特に快適性に関してバイクとの相性がとても良く思います。今までは一般的な別体型でしたが、そっちよりも好きです。
ハンドルはフレームセットに付属するし、セラミックスピードのBBが付属することも考えば、実質的なフレーム価格は他社のフラッグシップと同じか、それより安い。17度など深いステム角度を選びたい人は別ですが、ハンドル幅とステム長の組み合わせも豊富なのでほとんどの人に対応してくれそうです。
CW:なるほど。ありがとうございます。それでは宇賀選手にO2に関して伺います。1シーズン通して乗られましたが、どんな性格のバイクでしょうか?
宇賀:とても俊敏なバイクですよね。ヒラヒラ曲がるし、華奢に見える一方で剛性もあって加速感も俊敏です。ハンドリングの軽さは一番最初こそ慣れるまで時間がかかりましたが、慣れた今では武器になってくれています。
今年は山口ながとクリテリウムという、それはそれはコーナーだらけのレースがあったのですが、僕が一番速く曲がれていたように思います(笑)。JCLのトップクラスにもなれば下手な選手っていないんですが、その中で余裕を感じていたのはバイクの差かな。と。タイヤなど複合的な要因はありますが、その中でバイクが担う部分も少なくないと。
大西監督:O2に関しては、私も選手のお下がりを乗ってますからコメントさせてください(笑)。確かに宇賀が言うように乗り慣れていない頃はハンドリングのせいか少し疲れを感じたんですが、でもSTRAVAでセグメントを確認すると速く走れているな、みたいな…。
小石:趣味として使うヒルクライム専用機なら間違いなくO2ですよね。O2はリムブレーキ仕様を残しているので超軽量バイクに仕立てることもできますよ。そういうユーザーって実はすごく多いですし、O2リムより軽いバイクってなかなかありません。ロードレースで使うなら総合力でOSTROですが、長いヒルクライムならO2もすごく魅力的です。
宇賀:ダンシングの振りの軽さは突出してますよね。O2はリムとディスクどちらも乗りましたが、やっぱりディスクは低重心で安定感を感じました。一見フォークの細さが気になるのですが、一方でよく見るとBBとチェーンステーはしっかりと太い。まだOSTROには乗っていないのですが、O2も十分戦えるバイクだと感じています。
それから、走りとは別なのですが、O2はシートポストの高さ調整がしやすいんです。硬く締めこまなくてもしっかり止まるので、精度が高いんでしょうね。プロ選手は結構ポジションいじるのでありがたいな、と。
大西監督:ファクターはメカニック目線でもいい作りをしているな、と思うんですよね。例えばボトムブラケットやヘッドセットを組んでいる時に「嫌な感じ」が全然しません。ジャイアントやトレックのようなメガブランドではありませんが、作りも走りも良いってところがとても好印象でした。
ちなみに、2022年は小石も含め、選手4人がOSTROに変更となります。レースでは、私たちの選手の走りと共に、バイクにもぜひ注目して頂ければ、と!
小石:やはりOSTROはスピードが乗る公道レース、特に平坦で60km/h出て、それでいて厳しい登りが登場するような、ヨーロッパのようなレースでは絶対的な武器ですね。イスラエルの選手がほぼ全て機材を切り替えた理由がよく分かります。レース機材として見たとき、O2も良いですが、個人的にOSTROはもっと良い。それはレーサーだけでなく、速く長距離を走りたい方にも共通するメリットだと思いました。
インプレッションライダー プロフィール
小石祐馬:チームユーラシアやヴィーニファンティーニ時代にヨーロッパを経験した28歳。現在は欧州時代に培われた経験と勝負勘、そして高いプロ意識と共にチーム右京でキャプテンを務める。2019年からO2 VAMを駆り、2021年9月からOSTRO VAMをレース投入。新型デュラエースと共に注目を集めている。
宇賀隆貴:アマチュアチームから2021年にチーム右京入りするや否や強さを発揮し、若手選手で争われるJCLの年間ホワイトジャージを獲得した注目株。最初は環境変化に戸惑ったと言うものの、最終ラウンドの大田原ロードレースではエースを任されるなどチームからの期待も厚い。使用モデルはO2 VAM。
CW:まずはOSTRO VAM(以下OSTRO)に関して伺います。小石選手、その走りはいかがですか?
小石:O2 VAM(以下O2)から乗り換えてまず感じたのは巡行性能の高さ。速さを感じるバイクですよ。それでいて重量はペダル付きで7.1〜7.2kgに収まっているんです。ディスクブレーキ時代になってペダル込み7.5kgくらいが普通ですが、OSTROはずっと軽く武器になってくれます。
秋吉台カルストロードレースできちんと実戦デビュー、それもぶっつけ本番でした(笑)。あのコースは公道だからスピードの出る直線区間が多く、その一方最後は急勾配登坂が1kmくらい続くので、エアロと軽さを両立したバイクが良いのですが、他チームの選手と比べてもエアロ的なメリットは大きく、登りでも軽さが活きましたね。
大西監督:OSTROを投入した時のSNSは反響が大きかったですね。注目されてるんだな、と改めて思わされました。
小石:コーナー後の急な立ち上がりなど「掛かり」が求められる場面でも良いし、低速でも高速でも面白いくらい進んでくれます。正直今まで、大きくフレームの差を感じることはなかったのですが、OSTROはそんな自分でも驚くくらいでした。
CW:前周りに比べてリアの線の細さが目立ちますが、乗り心地や振動吸収性能はいかがですか?
小石:もちろん疲れないことはありませんが、長距離を走っても変な疲労が溜まりにくいと思いますね。踏み心地もガチガチじゃないし、パリ〜ルーベ用を謳うくらいだから頑丈でしょうし、オールラウンドに使えます。エアロロード=クセのある乗り味をイメージする方も少なくないと思いますが、実際OSTROのハンドリングは素直で曲がりやすいし、ロングライドに使っても気持ち良いと思います。
あとはやっぱり、ブラックインクの一体型ハンドルですよね。設計もこのハンドルありきでしょうから、特に快適性に関してバイクとの相性がとても良く思います。今までは一般的な別体型でしたが、そっちよりも好きです。
ハンドルはフレームセットに付属するし、セラミックスピードのBBが付属することも考えば、実質的なフレーム価格は他社のフラッグシップと同じか、それより安い。17度など深いステム角度を選びたい人は別ですが、ハンドル幅とステム長の組み合わせも豊富なのでほとんどの人に対応してくれそうです。
CW:なるほど。ありがとうございます。それでは宇賀選手にO2に関して伺います。1シーズン通して乗られましたが、どんな性格のバイクでしょうか?
宇賀:とても俊敏なバイクですよね。ヒラヒラ曲がるし、華奢に見える一方で剛性もあって加速感も俊敏です。ハンドリングの軽さは一番最初こそ慣れるまで時間がかかりましたが、慣れた今では武器になってくれています。
今年は山口ながとクリテリウムという、それはそれはコーナーだらけのレースがあったのですが、僕が一番速く曲がれていたように思います(笑)。JCLのトップクラスにもなれば下手な選手っていないんですが、その中で余裕を感じていたのはバイクの差かな。と。タイヤなど複合的な要因はありますが、その中でバイクが担う部分も少なくないと。
大西監督:O2に関しては、私も選手のお下がりを乗ってますからコメントさせてください(笑)。確かに宇賀が言うように乗り慣れていない頃はハンドリングのせいか少し疲れを感じたんですが、でもSTRAVAでセグメントを確認すると速く走れているな、みたいな…。
小石:趣味として使うヒルクライム専用機なら間違いなくO2ですよね。O2はリムブレーキ仕様を残しているので超軽量バイクに仕立てることもできますよ。そういうユーザーって実はすごく多いですし、O2リムより軽いバイクってなかなかありません。ロードレースで使うなら総合力でOSTROですが、長いヒルクライムならO2もすごく魅力的です。
宇賀:ダンシングの振りの軽さは突出してますよね。O2はリムとディスクどちらも乗りましたが、やっぱりディスクは低重心で安定感を感じました。一見フォークの細さが気になるのですが、一方でよく見るとBBとチェーンステーはしっかりと太い。まだOSTROには乗っていないのですが、O2も十分戦えるバイクだと感じています。
それから、走りとは別なのですが、O2はシートポストの高さ調整がしやすいんです。硬く締めこまなくてもしっかり止まるので、精度が高いんでしょうね。プロ選手は結構ポジションいじるのでありがたいな、と。
大西監督:ファクターはメカニック目線でもいい作りをしているな、と思うんですよね。例えばボトムブラケットやヘッドセットを組んでいる時に「嫌な感じ」が全然しません。ジャイアントやトレックのようなメガブランドではありませんが、作りも走りも良いってところがとても好印象でした。
ちなみに、2022年は小石も含め、選手4人がOSTROに変更となります。レースでは、私たちの選手の走りと共に、バイクにもぜひ注目して頂ければ、と!
小石:やはりOSTROはスピードが乗る公道レース、特に平坦で60km/h出て、それでいて厳しい登りが登場するような、ヨーロッパのようなレースでは絶対的な武器ですね。イスラエルの選手がほぼ全て機材を切り替えた理由がよく分かります。レース機材として見たとき、O2も良いですが、個人的にOSTROはもっと良い。それはレーサーだけでなく、速く長距離を走りたい方にも共通するメリットだと思いました。
提供:トライスポーツ、制作:シクロワイアード編集部