2019/05/31(金) - 18:00
チームイネオスのお披露目となったツール・ド・ヨークシャーの開幕日、第1ステージの午前にDOGMA F12のプレゼンテーションが行われた。デイブ・ブレイルスフォードGMとテクニカルディレクターらを招き、チームとの共同開発の経緯が語られた。チームイネオスにとってのDOGMA F12とは? フォトジャーナリストのペート・ゴディングがレポートする。
ヨークシャーの開幕日にひっそりと開催されたプレゼンテーション。ファウスト・ピナレロ氏やデイブ・ブレイルスフォードGMが参席した photo:Pete Goding
ブレイルスフォードGM:「この機材アドバンテージは我々だけのもの」 photo:Pete Goding
「チームのためのバイクであり、レースで勝つことが求められるバイク」 photo:Pete Goding
関係者だけを招待し、密やかに催されたDOGMA F12プレゼンテーション。メディアスクラムとは無縁のなか、F12の開発経緯、とりわけチームとどのようなやりとりを経てF12が生みだされたのかが語られた。
チームスカイからチームイネオスへ。その変更の発表と同時に、ピナレロは新型DOGMA F12発表の準備に追われたという。スポンサー変更が予定よりも早まったため、DOGMA F12の発表もそれに合わせることになったためだ。5月1日に間に合うように、145台のDOGMA F12がイタリアからヨーロッパ各国にいるチームのもとへと輸送され、組み上げられたのだ。
チームスカイのテクニカルディレクター、カールステン・イェップセン氏は言う。「それは機材調達とロジスティック(物流)の限界への挑戦だった。ピナレロ社の関係者はよく頑張ってくれた」。
ツール・ド・ヨークシャーで初めて公開されたDOGMA F12。新ジャージと共に注目を集めた photo:Pete Goding
F12の、チームイネオスの初陣に向かうクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス) photo:Pete Goding2009年のチームスカイ発足時から唯一のバイクサプライヤーとなってきたピナレロ社。「その関係性の継続こそが真に実りあるコラボレーションの証明と言えるだろう」と、前置きしながらイェップセン氏は語る。
「彼らは本当に誠実に、選手たちからの膨大なリクエストやフィードバックに対し、最良のバイクを造るという回答で応えてきた。選手たちが仕事をまっとうするための素晴らしいツールとなるバイクを常に創造してきたんだ」。
昨年のツール・ド・フランスでのゲラント・トーマスの個人総合優勝で、ピナレロは過去通算14回のマイヨジョーヌ獲得に貢献してきた。そしてクリストファー・フルームは今年5度目のツール制覇に挑む。言うまでもなく5勝はツール史上最多勝利数のタイ記録だ。
ピナレロは常にツール、ジロ、ブエルタの3つのグランツールおよび世界のトップレースで勝利するチームのパートナーであり続けてきた。そのトップモデルがDOGMAだ。常勝バイクとしてのDOGMA F12の発表は、それだけで大きなトピックと言えるだろう。
F12とF10との違いは曲がったトップチューブに顕著だが、その違いは目に見えないものが大きい。ピナレロの哲学はバイクのあちこちに見受けられ、具現化されているが、「DOGMAは軽量で高剛性な、ベストなパフォーマンスを発揮するオールラウンドバイクである」ということは変わらない。そのうえでF10比で7.3%にのぼるエアロダイナミクスの向上により、時速40km走行時で8ワットもの出力をセーブできるのだ。
外観上の大きな特徴である曲がったトップチューブ photo:Pete Goding
DOGMAのテクニカル解説が進んでいく。類い稀な運動性能が明るみになった photo:Pete Goding
例えば横剛性は+10%。F10比で7.3%にのぼるエアロダイナミクスの向上により、時速40km走行時で8ワットもの出力をセーブできる photo:Pete Goding
エアロダイナミクスの向上に大きく寄与しているのはケーブル類の内蔵によるインテグレーション化だ。そしてより太くなったチェーンステイなど、新形状のF12フレームの高剛性化は10%の向上を果たし、捻れを防ぐことでさらなるパワー伝達性の向上とエネルギーの高効率化につながっている。
イェップセン氏はモナコ周辺で行われたクリス・フルームとゲラント・トーマスによるテストライドに同行した。その場で2人から発せられたインプレッションは「F10よりも剛性が高く、ペダリングに対する反応性が向上しているのが感じ取れる」というものだった。
開発の指揮を採ったミケーレ・ボッテオン氏 photo:Pete Goding
1ヶ月前倒しという過密スケジュールの中、145台のチームバイクを届けプレゼンにこぎつけた両名 photo:Pete Goding
「メカニックでなくとも、選手自身が簡単にハンドル高を調整できるような仕組みを」 photo:Pete Godingファウスト・ピナレロ氏はイェップセン氏のことを「我々の”technical guy(技術者)”」と呼んでいる。なぜなら、彼を通じて得られる選手からのフィードバックをプロダクツに反映させているからだ。もう何年も、ピナレロ社のバイク造りの考え方は、チームとの共同開発がその基礎となっている。そのひとつの例がハンドル周辺のシンプルな変更だ。
イェップセン氏はハンドル高の調整が選手にとってよりやりやすいような方式を要望した。従来の方式に対し、ケーブル類がハンドルに完全内蔵されたバイクでは、それは難しいことのように思えるにもかかわらず。
「シーズン中の選手が、ハンドル高を5mm変更することが選手自身でも簡単にできるように」。それがイェップセン氏がピナレロに強く要望した重要な点だった。その結果、ハンドル下のコラムスペーサーは分割式となり、ハンドルやケーブ部類を完全に抜かなくても簡単に高さ調整が可能な構造となった。
もうひとつの要望はフレームの耐破損性を強化すること。これは落車した際はもちろん、遠征時の対応としても無視できないものだった。選手たちそれぞれが航空機に乗って遠征するような際に、完全なプロテクションを施した梱包をすることは難しい。「超高弾性のカーボンフレームでも、今までに輸送時のトラブルでダメージを受けて破損した例があった。そのため破損や衝撃に強いフレーム形状や構造、そして部分ごとのカーボンレイアップについての要望を出したんだ。しかもバイクの重量増にならないように」。
「バイクの重量の軽量化は、常に正解なわけじゃない」とイェップセン氏。「我々は総合狙いのチーム。そうしたリスクは負えない。我々のやり方はコンサバ(保守的)すぎるのかもしれないが、勝利につながる要素を選んでいくんだ」。
チームのテクニカルディレクターを務めるカールステン・イェップセン氏 photo:Pete Goding
クリス・フルームのバイクもまだコラムスペーサーが積まれた状況だ photo:Pete Goding
チームイネオスカラーのDIGMA F12。チームはリムブレーキバージョンを使用する photo:Pete Goding
現在、多くのチームが「平坦コースでエアロバイク」「登りの多い山岳コースで軽量なオールラウンドバイク」といったように、レースのコースプロファイルによってバイクを乗り分けるようになっている。しかしDOGMAF12はエアロでオールラウンドなバイクとして、チームイネオスの選手は2タイプのバイクを乗り換えるようなことはしない。そのことを質問してみた。
イェップセン氏は言う。「違うバイクを状況に応じて乗り換えることは、我々チーム内でもコーチ、スポーツサイエンティストを交えて議論に長い時間を費やした。その結果、バイクを乗り換えることは選手にとってストレスになり、大変なことだという結論に達した。もちろん2台を同じポジションにセットする必要があるが、微妙な点まですべて同じにできるかといえば、それはとても難しい。ここにあるベストなオールラウンドバイク(つまりDOGMA F12)なら1台で、理想的。というのが結論だ」。
リム版はダイレクトマウントに進化。制動力を最大限確保するべくフレーム側も工夫を行なっている photo:Pete Goding
市場のニーズに応じてディスクブレーキ版も用意する。リム版とは完全なる別設計だ photo:Pete Goding
DOGMA F12にはディスクとリムブレーキの2バージョンがある。ピナレロ社は開発の当初から、それぞれが共通点を持ちながら統一されたデザインで別々に最適化され、開発されるのが望ましいと考えている。今まではディスクバージョンはリムブレーキフレームの追加版として後から開発されてきた。しかしDOGMA F12は両バージョンがそれぞれ別のもの、しかし同じDOGMA F12として開発された。リムブレーキバージョンもダイレクトマウントタイプが採用され、より強力なブレーキングパワーを持つに至っている。
イェップセン氏はディスクブレーキの採用について次のように考えている。「リムブレーキとディスクを比較した際、重量増のデメリットとブレーキングパワー増加によるメリットの差は、本当に僅かしかない(とくにデュアルピボットのダイレクトマウントブレーキによりその差は小さくなった)。それでもリムブレーキを選んでいる現在だが、チームはシマノなどパートナー企業に対し、さらにその差を埋めるリクエストをしているから、リムブレーキが過去のものになる日は近いだろう。チームイネオスはその方向性、来る日に備え、ディスクブレーキバイクでのトレーニングも積んでいる。
ブレイルスフォード氏:「ドグマは我らチームとのエクスクルーシブ(専属契約)にしたいバイク」 photo:Pete Goding
「チームにとって、DOGMA F12はエクスクルーシブ(専属契約)にしたいバイクだ」ー そう語るのはデイブ・ブレイルスフォードGMだ。ピナレロがかつてそうしたように、数チームとバイク供給の契約をするのはつまり、強力武装したライバルがその数できるということを意味する。
「チームイネオスにとって、ピナレロ社と強固なパートナーシップを結び、彼らの開発の手助けとなるような関係性を築きあげること。しかも我々とだけ、他のライバルチームにはそのアドバンテージを享受させないことは、チームイネオスにとってさらなる勝利を目指すうえで非常に大切な戦略だ」と、ブレイルスフォード氏は言い切った。
氏の信念では、さらなる進化を創造するためには、チームイネオスとピナレロが、それぞれの分野のスペシャリストでありながらも、‘one integrated unit’ − ひとつの統合されたユニットとして機能する強固な関係になることが大切なのだと言う。
「市場でもっともルックスが美しいと言われるバイクを創りたい」」とファウスト氏は言う photo:Pete Goding
ボトムブラケット上部に燦然と輝くトレカT1100G 1Kのロゴと、ファウスト氏のサイン photo:Pete Goding
トップチューブに貼られたチームロゴ photo:Pete Goding
イタリアの”レガシー”とも言えるピナレロブランドの真髄は、ファウスト氏がこだわる「バイクを創り出す際において、スタイリングやデザインは非常に重要なファクターだ。市場でもっともルックスが美しいと言われるバイクを創りたい」という言葉に象徴される。そして、バイクの新しい機構や構造的な変更は、常に伝統的な観点から検証されるべきだという。
「なぜなら、DOGMA F12はチームのためのバイクであり、レースに勝つことが必要なバイクだからだ」(ファウスト・ピナレロ氏)。
ツール・ド・ヨークシャーを制したクリス・ローレス(イギリス、チームイネオス)と、喜ぶフルームたち (c)CorVos
このプレゼンの数日後、チームイネオスのお披露目レースとなったツール・ド・ヨークシャーで、若きクリス・ローレスが総合優勝を、そしてチームイネオスはチーム総合成績の勝利も挙げた。チーム名は変わっても、勝利への貪欲さはまったく変わっていなかった。
ヨークシャーで密やかにお披露目されたDOGMA F12
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チームスカイからチームイネオスへ。その変更の発表と同時に、ピナレロは新型DOGMA F12発表の準備に追われたという。スポンサー変更が予定よりも早まったため、DOGMA F12の発表もそれに合わせることになったためだ。5月1日に間に合うように、145台のDOGMA F12がイタリアからヨーロッパ各国にいるチームのもとへと輸送され、組み上げられたのだ。
チームスカイのテクニカルディレクター、カールステン・イェップセン氏は言う。「それは機材調達とロジスティック(物流)の限界への挑戦だった。ピナレロ社の関係者はよく頑張ってくれた」。
チームスカイ発足から10年のコラボレーション
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「彼らは本当に誠実に、選手たちからの膨大なリクエストやフィードバックに対し、最良のバイクを造るという回答で応えてきた。選手たちが仕事をまっとうするための素晴らしいツールとなるバイクを常に創造してきたんだ」。
昨年のツール・ド・フランスでのゲラント・トーマスの個人総合優勝で、ピナレロは過去通算14回のマイヨジョーヌ獲得に貢献してきた。そしてクリストファー・フルームは今年5度目のツール制覇に挑む。言うまでもなく5勝はツール史上最多勝利数のタイ記録だ。
ピナレロは常にツール、ジロ、ブエルタの3つのグランツールおよび世界のトップレースで勝利するチームのパートナーであり続けてきた。そのトップモデルがDOGMAだ。常勝バイクとしてのDOGMA F12の発表は、それだけで大きなトピックと言えるだろう。
F12とF10との違いは曲がったトップチューブに顕著だが、その違いは目に見えないものが大きい。ピナレロの哲学はバイクのあちこちに見受けられ、具現化されているが、「DOGMAは軽量で高剛性な、ベストなパフォーマンスを発揮するオールラウンドバイクである」ということは変わらない。そのうえでF10比で7.3%にのぼるエアロダイナミクスの向上により、時速40km走行時で8ワットもの出力をセーブできるのだ。
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イェップセン氏はモナコ周辺で行われたクリス・フルームとゲラント・トーマスによるテストライドに同行した。その場で2人から発せられたインプレッションは「F10よりも剛性が高く、ペダリングに対する反応性が向上しているのが感じ取れる」というものだった。
チームのリクエストをもとにDOGMAはデザインされる
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「シーズン中の選手が、ハンドル高を5mm変更することが選手自身でも簡単にできるように」。それがイェップセン氏がピナレロに強く要望した重要な点だった。その結果、ハンドル下のコラムスペーサーは分割式となり、ハンドルやケーブ部類を完全に抜かなくても簡単に高さ調整が可能な構造となった。
もうひとつの要望はフレームの耐破損性を強化すること。これは落車した際はもちろん、遠征時の対応としても無視できないものだった。選手たちそれぞれが航空機に乗って遠征するような際に、完全なプロテクションを施した梱包をすることは難しい。「超高弾性のカーボンフレームでも、今までに輸送時のトラブルでダメージを受けて破損した例があった。そのため破損や衝撃に強いフレーム形状や構造、そして部分ごとのカーボンレイアップについての要望を出したんだ。しかもバイクの重量増にならないように」。
「バイクの重量の軽量化は、常に正解なわけじゃない」とイェップセン氏。「我々は総合狙いのチーム。そうしたリスクは負えない。我々のやり方はコンサバ(保守的)すぎるのかもしれないが、勝利につながる要素を選んでいくんだ」。
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エアロでオールラウンドなバイク DOGMA F12は1台で両立する
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イェップセン氏は言う。「違うバイクを状況に応じて乗り換えることは、我々チーム内でもコーチ、スポーツサイエンティストを交えて議論に長い時間を費やした。その結果、バイクを乗り換えることは選手にとってストレスになり、大変なことだという結論に達した。もちろん2台を同じポジションにセットする必要があるが、微妙な点まですべて同じにできるかといえば、それはとても難しい。ここにあるベストなオールラウンドバイク(つまりDOGMA F12)なら1台で、理想的。というのが結論だ」。
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DOGMA F12にはディスクとリムブレーキの2バージョンがある。ピナレロ社は開発の当初から、それぞれが共通点を持ちながら統一されたデザインで別々に最適化され、開発されるのが望ましいと考えている。今まではディスクバージョンはリムブレーキフレームの追加版として後から開発されてきた。しかしDOGMA F12は両バージョンがそれぞれ別のもの、しかし同じDOGMA F12として開発された。リムブレーキバージョンもダイレクトマウントタイプが採用され、より強力なブレーキングパワーを持つに至っている。
イェップセン氏はディスクブレーキの採用について次のように考えている。「リムブレーキとディスクを比較した際、重量増のデメリットとブレーキングパワー増加によるメリットの差は、本当に僅かしかない(とくにデュアルピボットのダイレクトマウントブレーキによりその差は小さくなった)。それでもリムブレーキを選んでいる現在だが、チームはシマノなどパートナー企業に対し、さらにその差を埋めるリクエストをしているから、リムブレーキが過去のものになる日は近いだろう。チームイネオスはその方向性、来る日に備え、ディスクブレーキバイクでのトレーニングも積んでいる。
チームイネオスが勝ち続けるための専属関係
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「チームイネオスにとって、ピナレロ社と強固なパートナーシップを結び、彼らの開発の手助けとなるような関係性を築きあげること。しかも我々とだけ、他のライバルチームにはそのアドバンテージを享受させないことは、チームイネオスにとってさらなる勝利を目指すうえで非常に大切な戦略だ」と、ブレイルスフォード氏は言い切った。
氏の信念では、さらなる進化を創造するためには、チームイネオスとピナレロが、それぞれの分野のスペシャリストでありながらも、‘one integrated unit’ − ひとつの統合されたユニットとして機能する強固な関係になることが大切なのだと言う。
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イタリアの”レガシー”とも言えるピナレロブランドの真髄は、ファウスト氏がこだわる「バイクを創り出す際において、スタイリングやデザインは非常に重要なファクターだ。市場でもっともルックスが美しいと言われるバイクを創りたい」という言葉に象徴される。そして、バイクの新しい機構や構造的な変更は、常に伝統的な観点から検証されるべきだという。
「なぜなら、DOGMA F12はチームのためのバイクであり、レースに勝つことが必要なバイクだからだ」(ファウスト・ピナレロ氏)。
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提供:ピナレロジャパン text&photo:Pete Goding