2017/09/16(土) - 18:12
トレック・セガフレードの別府史之が3年ぶりに駆けつけ、大盛況の3日間となったトレックワールド。今年の目玉は何と言ってもフルモデルチェンジを遂げた軽量ロードバイクÉmonda。トレックとボントレガーの全てが詰まった7回目のワンブランド展示会の模様をレポートします。
世界各国で毎年夏場に行なわれ、各ディーラーやメディアが来年度のフルモデルラインナップについて知見を深めることのできる「TREK WORLD(トレックワールド)」。日本では、かの京都議定書で有名な国立京都国際会館にて開催されており、今年で7回目を迎えた一大イベントだ。
今でこそワンブランドの大規模展示・試乗会が増えているものの、このトレックワールドはその元祖。3日間のスケジュールの中には新製品に関してはもちろん、テストライド、セールスのハウツーやSNSを使ったアピールなど多岐にわたるセミナーなどが詰め込まれ、トレックやボントレガー製品についてはもちろん、その歴史やブランドの理念についても学ぶことができる。
トレックは基本的にモデルイヤーを設定しておらず、新製品の発表は準備が出来しだい、順次発表している。今年はツール・ド・フランス前に正式デビューしたÉmondaがやはり話題の中心で、他にもトレックワールドで初公開されたバイクやアイテムも多く、そのラインアップはより拡充、熟成したように感じる。
今年はトレックワールドのために、フランスからトレック・セガフレードに所属する別府史之が一時帰国。会期前日に到着し最終日朝のフライトでフランスに戻るというタイトスケジュールの中、トークショーやインタビュー、ディーラーとの交流をこなしていた(会期中に行った単独インタビューはこちらから。本スペシャルサイトの続編では別府史之によるインプレッションも掲載予定)。
また、今年は開催迫るブエルタ・ア・エスパーニャでの引退を表明したアルベルト・コンタドールが実際にツール・ド・フランスで使用したEmonda SLRの実車、そして先に発表された別府史之エディションのMadone 9が入り口正面に据えられて話題を呼んでいた。
コンタドールのÉmonda SLRはクランクこそSRMから差し替えられていたものの、31番のゼッケンプレートや、ヴィットリアのプロトタイプと思われる幅広のチューブラータイヤ、極限まで引っ張られて薄重ねにされたバーテープ、加工を施したボトルゲージなど見所が満載。ジャパンカップで使用するという別府Madoneには、市販ラインアップには存在しないアナトミック形状のXXX Integrated Bar/Stemが取り付けられていたりと、注目を集めた。
やはり会場の話題をさらっていたのは、フレーム640g、ディスクブレーキモデルで665g(56サイズ)という圧倒的な軽さを身につけた2代目Émonda SLR。昨年デビューしたエンデュランスロードのDomane、一昨年に世界を驚かせたエアロロードのMadoneと並び、トレックが提唱する三種の神器「choose your weapon」たるコンセプトがより際立ちを見せている。
アルベルト・コンタドールが好んで使う新型Émondaの詳細は登場時の特集ページを参照頂きたいが、やはり実物を手に取ると、先代から大きな形状変更を伴わずして軽量化と性能向上を果たしたことを驚かずにはいられない。トレックワールド会場では、50サイズのフレーム重量が610g(H1、ペイント無し)というデータも新たに公表され、来場者の度肝を抜いていた。
これまでÉmondaのカーボンフレームは、上級グレードからSLR、SL、Sと3種類のラインアップが存在していたが、Sがなくなり、SLがボトムラインを担うことになった。ブレーキのダイレクトマウント化などアップグレードが施されているにも関わらず、例えばシマノ105を搭載した「SL5」は完成車税抜価格213,000円と、ぐっとリーズナブルになったことも嬉しい。最高峰モデルの「SLR9(税抜価格1,111,000円)」は完成車重量5.88kg(56サイズ)であり、マスプロモデルとしては世界最軽量。パーツ交換次第で夢の4kg台到達も現実味を帯びてくる。
他にも、ビギナーのみならず、フレームセット販売でコアなアルミフレームファンから愛される「ALR」のラインアップ拡充や、シリーズ唯一のディスクブレーキ装備モデル「SLR8 DISC」の価格発表など、いよいよÉmonda販売モデルの全貌が明らかとなった。
会場にはSLR、SL合わせて50台ほどの試乗車が用意され、それらが代わる代わるテストコースに駆りだされて行った。全国のトレックストア、トレックコンセプトストアでもÉmondaの試乗車が配備されていく予定とのことで、気になる方はストアにお問い合わせを。
また、Madoneにはノーマルハンドルを標準装備した完成車が登場しているほか、Domaneには79,000円(税抜)から購入できるエントリーアルミモデル「Domane AL」シリーズがデビューしている。こちらはキャリア/泥除け取り付け用のダボ穴が装備されており、持ち味の安定性を活かしてキャンパー仕様や、快速通勤仕様に改造するのも面白そうだ。加えてカーボンモデルのSLシリーズには、シマノ105をフル搭載した「SL5」が新規登場しており、フロントIsoSpeed搭載モデルが241,000円(税抜)から購入できるようになった。
Booneは昨年からテレネット・フィデアによって本格投入されており、市販が待たれていたモデル。待望の前後12mmスルーアクスル+フラットマウント+142mm幅リアエンド化を果たしたことはもちろん、Domane同様にフロントにもIsoSpeedを投入したことで悪路への対応力を向上させている。Crockkettはスルーアクスル化を果たしたほか、泥や超ワイドタイヤに対するクリアランス、そしてシングルスピード化可能なリアエンドを備える意欲作だ。
MTB関連のビッグニュースはなかったが、IsoSpeedを搭載したProcaliber(プロキャリバー)にはアルミモデルが登場し、X-Caliber(エクスキャリバー)もフレームを一新。加えて29er+規格を採用したフルリジットの「Stache(スタッシュ)」が今年もカタログ外の限定モデルとして販売されることがアナウンスされた。
ボントレガー関連での注目は、ハイエンドヘルメットのVelocis(ヴェロシス)がモデルチェンジし、アジアフィットの価格が発表されたこと。トレック・セガフレードの選手もこぞって使う製品は、セミエアロフォルムと高い通気性で注目度大。その下に位置付けられるCircuit(サーキット)も代替わりが行われ、マグネット式のBlenderマグネチックマウントを搭載しライトやカメラを装着が非常に簡単という製品。もしもの際に助けてくれるMIPSを搭載しつつリーズナブルで、さらにダメージを受けた場合は無料交換してくれるという保証付き。
シューズ関連ではミドルグレードながら、BOAダイヤルと上位モデルにも迫るルックスを備えたCircuit Road Shoeが新登場し、入門モデルとして3本ベルクロ式のStravos(ストラヴォス)Road Shoeもデビュー。カーボンチューブレスレディホイールAeolus Pro 3 TLR(インプレッションはこちら)も会場の注目を集めた製品の一つだ。
デイライトやABCコンセプト(Always:常にデイライトを点灯、Biomotion:動きのある足先、頭を目立たせる、Contrast:蛍光色やリフレクターを付ける)の提唱も昨年同様力強くプッシュされ、その勢いはまだまだ留まるところを見せていない。
次ページでは、会場の熱視線を浴びていたÉmondaのインプレッションを紹介。オンザロードの堀越耕平さん、まるいちの河井貴彦さんにSLRとSLを試してもらい、そのポテンシャルや、グレード間の乗り味の違いなどを語ってもらった。
トレック、ボントレガーの全てを詰め込んだ展示試乗会「トレックワールド」
世界各国で毎年夏場に行なわれ、各ディーラーやメディアが来年度のフルモデルラインナップについて知見を深めることのできる「TREK WORLD(トレックワールド)」。日本では、かの京都議定書で有名な国立京都国際会館にて開催されており、今年で7回目を迎えた一大イベントだ。
今でこそワンブランドの大規模展示・試乗会が増えているものの、このトレックワールドはその元祖。3日間のスケジュールの中には新製品に関してはもちろん、テストライド、セールスのハウツーやSNSを使ったアピールなど多岐にわたるセミナーなどが詰め込まれ、トレックやボントレガー製品についてはもちろん、その歴史やブランドの理念についても学ぶことができる。
トレックは基本的にモデルイヤーを設定しておらず、新製品の発表は準備が出来しだい、順次発表している。今年はツール・ド・フランス前に正式デビューしたÉmondaがやはり話題の中心で、他にもトレックワールドで初公開されたバイクやアイテムも多く、そのラインアップはより拡充、熟成したように感じる。
今年はトレックワールドのために、フランスからトレック・セガフレードに所属する別府史之が一時帰国。会期前日に到着し最終日朝のフライトでフランスに戻るというタイトスケジュールの中、トークショーやインタビュー、ディーラーとの交流をこなしていた(会期中に行った単独インタビューはこちらから。本スペシャルサイトの続編では別府史之によるインプレッションも掲載予定)。
また、今年は開催迫るブエルタ・ア・エスパーニャでの引退を表明したアルベルト・コンタドールが実際にツール・ド・フランスで使用したEmonda SLRの実車、そして先に発表された別府史之エディションのMadone 9が入り口正面に据えられて話題を呼んでいた。
コンタドールのÉmonda SLRはクランクこそSRMから差し替えられていたものの、31番のゼッケンプレートや、ヴィットリアのプロトタイプと思われる幅広のチューブラータイヤ、極限まで引っ張られて薄重ねにされたバーテープ、加工を施したボトルゲージなど見所が満載。ジャパンカップで使用するという別府Madoneには、市販ラインアップには存在しないアナトミック形状のXXX Integrated Bar/Stemが取り付けられていたりと、注目を集めた。
マスプロ最軽量モデルÉmonda SLRが大注目 エントリ〜ミドルグレードの拡充も
やはり会場の話題をさらっていたのは、フレーム640g、ディスクブレーキモデルで665g(56サイズ)という圧倒的な軽さを身につけた2代目Émonda SLR。昨年デビューしたエンデュランスロードのDomane、一昨年に世界を驚かせたエアロロードのMadoneと並び、トレックが提唱する三種の神器「choose your weapon」たるコンセプトがより際立ちを見せている。
アルベルト・コンタドールが好んで使う新型Émondaの詳細は登場時の特集ページを参照頂きたいが、やはり実物を手に取ると、先代から大きな形状変更を伴わずして軽量化と性能向上を果たしたことを驚かずにはいられない。トレックワールド会場では、50サイズのフレーム重量が610g(H1、ペイント無し)というデータも新たに公表され、来場者の度肝を抜いていた。
これまでÉmondaのカーボンフレームは、上級グレードからSLR、SL、Sと3種類のラインアップが存在していたが、Sがなくなり、SLがボトムラインを担うことになった。ブレーキのダイレクトマウント化などアップグレードが施されているにも関わらず、例えばシマノ105を搭載した「SL5」は完成車税抜価格213,000円と、ぐっとリーズナブルになったことも嬉しい。最高峰モデルの「SLR9(税抜価格1,111,000円)」は完成車重量5.88kg(56サイズ)であり、マスプロモデルとしては世界最軽量。パーツ交換次第で夢の4kg台到達も現実味を帯びてくる。
他にも、ビギナーのみならず、フレームセット販売でコアなアルミフレームファンから愛される「ALR」のラインアップ拡充や、シリーズ唯一のディスクブレーキ装備モデル「SLR8 DISC」の価格発表など、いよいよÉmonda販売モデルの全貌が明らかとなった。
会場にはSLR、SL合わせて50台ほどの試乗車が用意され、それらが代わる代わるテストコースに駆りだされて行った。全国のトレックストア、トレックコンセプトストアでもÉmondaの試乗車が配備されていく予定とのことで、気になる方はストアにお問い合わせを。
また、Madoneにはノーマルハンドルを標準装備した完成車が登場しているほか、Domaneには79,000円(税抜)から購入できるエントリーアルミモデル「Domane AL」シリーズがデビューしている。こちらはキャリア/泥除け取り付け用のダボ穴が装備されており、持ち味の安定性を活かしてキャンパー仕様や、快速通勤仕様に改造するのも面白そうだ。加えてカーボンモデルのSLシリーズには、シマノ105をフル搭載した「SL5」が新規登場しており、フロントIsoSpeed搭載モデルが241,000円(税抜)から購入できるようになった。
カーボン、アルミ両モデルがフルモデルチェンジ 刷新されたシクロクロスラインアップ
Émondaに隠れがちではあるものの、シクロクロス用のフラッグシップカーボンモデル「Boone(ブーン)」とアルミモデル「Crockkett(クロケット)」がいずれもフルモデルチェンジしたことも話題。あまり知られていないが、トレック社はベルギーのトップシリーズ戦で冠スポンサーを務めているほか、これまで本社裏で開催してきたUCIレースを今年ワールドカップに昇格させるなど、ベルギー以上にシクロクロスLOVE!な会社。Booneは昨年からテレネット・フィデアによって本格投入されており、市販が待たれていたモデル。待望の前後12mmスルーアクスル+フラットマウント+142mm幅リアエンド化を果たしたことはもちろん、Domane同様にフロントにもIsoSpeedを投入したことで悪路への対応力を向上させている。Crockkettはスルーアクスル化を果たしたほか、泥や超ワイドタイヤに対するクリアランス、そしてシングルスピード化可能なリアエンドを備える意欲作だ。
MTB関連のビッグニュースはなかったが、IsoSpeedを搭載したProcaliber(プロキャリバー)にはアルミモデルが登場し、X-Caliber(エクスキャリバー)もフレームを一新。加えて29er+規格を採用したフルリジットの「Stache(スタッシュ)」が今年もカタログ外の限定モデルとして販売されることがアナウンスされた。
トレック・セガフレードが使う新型Velocis シューズも拡充したボントレガー
ボントレガー関連での注目は、ハイエンドヘルメットのVelocis(ヴェロシス)がモデルチェンジし、アジアフィットの価格が発表されたこと。トレック・セガフレードの選手もこぞって使う製品は、セミエアロフォルムと高い通気性で注目度大。その下に位置付けられるCircuit(サーキット)も代替わりが行われ、マグネット式のBlenderマグネチックマウントを搭載しライトやカメラを装着が非常に簡単という製品。もしもの際に助けてくれるMIPSを搭載しつつリーズナブルで、さらにダメージを受けた場合は無料交換してくれるという保証付き。
シューズ関連ではミドルグレードながら、BOAダイヤルと上位モデルにも迫るルックスを備えたCircuit Road Shoeが新登場し、入門モデルとして3本ベルクロ式のStravos(ストラヴォス)Road Shoeもデビュー。カーボンチューブレスレディホイールAeolus Pro 3 TLR(インプレッションはこちら)も会場の注目を集めた製品の一つだ。
デイライトやABCコンセプト(Always:常にデイライトを点灯、Biomotion:動きのある足先、頭を目立たせる、Contrast:蛍光色やリフレクターを付ける)の提唱も昨年同様力強くプッシュされ、その勢いはまだまだ留まるところを見せていない。
次ページでは、会場の熱視線を浴びていたÉmondaのインプレッションを紹介。オンザロードの堀越耕平さん、まるいちの河井貴彦さんにSLRとSLを試してもらい、そのポテンシャルや、グレード間の乗り味の違いなどを語ってもらった。
提供:トレックジャパン text:So.Isobe photo:Shojiro.Nakabayashi