2017/09/16(土) - 18:12
トレックワールドに来場した別府史之が駆り出したのが、トレックが今年パワーアイテムとしてプッシュするアルミロードのÉmonda ALR。山間のワインディングで「本気踏み」したフミが、その価値を語る。普段のレースからトレーニングまで愛用する新型ヘルメット「Velocis MIPS」の使い心地にも話が及んだ。
今年トレックがパワーアイテムに据えるのが、300シリーズのAlphaアルミニウムをフレームに使い、軽さを身に纏ったÉmonda ALRだ。フレームセット販売も行われ、初心者はもちろん、コアなアルミファンの心をガッチリと掴むÉmonda ALRには今年、シマノ105をフル搭載した「ALR 5」がデビュー。完成車価格166,000円(税抜)のバイクが秘めるポテンシャルを、山間のワインディングで試した別府史之(トレック・セガフレード)に聞いた。
― 何度もダッシュを繰り返して感触を確かめていましたが、実際の走り心地はいかがでしたか?
いや、もうなんかね、乗ってすぐに、あれ?これ本当にÉmondaだなって感じましたね。ジオメトリーがSLRと同じなんですよね?だからÉmondaならではのバランスの良さをアルミでも感じたし、ロードバイクとしての完成形というフィーリング。そしてこれってアルミなんだっけ?と思わせる走り心地に正直驚きました。
アルミフレームというと固いイメージがありますが、このÉmonda ALRはすごくマイルド。ソフトなサドルによる部分もあるのかな?と思いますが、完成車として見たときの振動吸収性が高くって、それにヘッドチューブなどの溶接部分も綺麗に仕上げられている。見た目も悪くないし、スポーツバイクに乗りたいな、と考えている方には本当にベストチョイスだろうなと感じますね。
もちろんカーボンと比べたら重量はありますが、走りの軽さによってそこまでのデメリットには感じません。逆にあまり軽いバイクだと安定感が無くなるのでビギナーには向いているんじゃないかな。普段僕らが乗るようなクイックさを求められるバイクでもないから、巡行して走るのにすごく良いと思うんです。
その理由の一つに、フロントフォークの出来も良いことがあるんだと思います。ストレートフォークだからコーナーで切り込んでいく時はクイックなのに、ジオメトリーが絶妙なのか、直線を走っている時は安定しててフラつかない。ハンドルを高めにすると安定しないことがあるんですが、Émonda ALRにはその雰囲気を感じません。DomaneとMadoneの中間くらいの、本当にベストなところに収まってると感じます。
これで価格も16万円台ですよね?ファーストバイクに間違いがないし、僕も知り合いにロードバイクを始めたいと相談されたらこれをお勧めするでしょう。
― プロ目線からして、ヘッドチューブの長いH2フィットは気になりませんか?
いえ、僕もレースバイクはH2フィットを選んでいますから何の違和感もありません。あまり前傾になると自分のポジションを崩すことになりますから。僕はH1よりも3cmくらい高いヘッドチューブ高さがベストなので、H2を選んでいます。
今はトレック・セガフレードのメンバーでもH2フィットを選んでいる人は多いですよ。一般の方で無理な「低く遠い」ポジションにしている方を良く見ますが、でもそれって空気抵抗は良くなるけれど、安定した出力をキープできないんです。僕ら日本人は手脚がヨーロッパ人みたいに長いわけじゃないから、実際にはH2フィットの方が落ち着くんです。
チームでも、コンタドール選手のような総合系メンバーはH2フィット。特にÉmondaはジオメトリーが完成されているから、すごく安定して良い操作性が味わえますね。実際にこのÉmonda ALRは先述したようにすごく乗りやすかったのですが、そういう部分に秘訣があったりするんだろうなと思いました。
― フル105で組み上げられたパッケージングはいかがですか?
いや、105の完成度には正直驚きました。エントリーグレードのコンポーネントは暫く使っていなかったのですが、ブレーキの効きも良いし、ブラケットの握りもノーストレスですよ。操作感も気持ち良いので、ああ、16万円の完成車がここまでのレベルに来ているんだなと(笑)。
もちろんレースで使うならカーボンフレームを推しますし、Émondaに限らずトレックのSLRグレードフレームは全然別物です。でも、エントリーの方がレースに初トライする時には良いでしょうし、ホイールを変更すれば一段階走りのレベルを上げられるだろうな、とも思いますね。乗り味に癖がなくって、それでいてキビキビ走り16万円のアルミ完成車。ビギナーさんには本当にお勧めしたい一台ですね。
別府史之はじめトレック・セガフレードの選手達がツール・ド・フランス前から使い、ボントレガー2018モデルの最注目アイテムとなったのが、モデルチェンジを遂げた新型Velocis(ヴェロシス)だ。先代よりも空力特性を更に向上させ、内部の通気性にも最大限工夫を凝らした話題作で、MIPS搭載ながら23,149円(税抜)という良心的な価格や、クラッシュリプレイスメントプログラムも嬉しいアイテム。普段のトレーニングからレースまで愛用しているという、別府”フミ”に、その使用感を聞いてみた。
先代のVelocisは後部が尖っていて、深いポジションを取った時に風が当たっているのがよく分かったんです。でも新型は下を向いた時にも空気が流れていくのを感じ取れます。エアロヘルメットのBalistaを被っているような流れの良さを感じるのに、内部に風がどんどん入ってくるから涼しいんですよ。
だから暑い日にも快適に使えるし、すごくオールマイティ。ヘルメットは重さや重心バランスなど違和感を覚えるとストレスになっちゃうけれど、これは良い。下を向いた時に前に下がってくることもありません。それからフィッティングシステムはBOAダイヤルに変わったことも、チーム内で評判が高い部分の一つです。今までよりも調整ノッチが細くなって、しかもその具合もサイクリングシューズと同じで硬すぎず、緩すぎずとちょうど良い塩梅なんです。
正直落車しないとMIPSの効果や安全性は比べられないけれど、ヘルメットは選手の命を守っている部分だから、安全対策をやり過ぎるってことはないと思うんですよね。フィッティングが良くって、MIPSが組み合わせられているから信頼して使えますよね。デザインもずっとこなれたし、これで25,000円(税込)ならすごく安い。僕らプロフェッショナルが使っているものと同じだから、安心して選んでもらえる部分ですよね。
別府史之が試す、価値あるアルミロード Émonda ALR 5
「ファーストバイクに間違いない選択。ロードバイクとして完成系のフィーリング」
今年トレックがパワーアイテムに据えるのが、300シリーズのAlphaアルミニウムをフレームに使い、軽さを身に纏ったÉmonda ALRだ。フレームセット販売も行われ、初心者はもちろん、コアなアルミファンの心をガッチリと掴むÉmonda ALRには今年、シマノ105をフル搭載した「ALR 5」がデビュー。完成車価格166,000円(税抜)のバイクが秘めるポテンシャルを、山間のワインディングで試した別府史之(トレック・セガフレード)に聞いた。
― 何度もダッシュを繰り返して感触を確かめていましたが、実際の走り心地はいかがでしたか?
いや、もうなんかね、乗ってすぐに、あれ?これ本当にÉmondaだなって感じましたね。ジオメトリーがSLRと同じなんですよね?だからÉmondaならではのバランスの良さをアルミでも感じたし、ロードバイクとしての完成形というフィーリング。そしてこれってアルミなんだっけ?と思わせる走り心地に正直驚きました。
アルミフレームというと固いイメージがありますが、このÉmonda ALRはすごくマイルド。ソフトなサドルによる部分もあるのかな?と思いますが、完成車として見たときの振動吸収性が高くって、それにヘッドチューブなどの溶接部分も綺麗に仕上げられている。見た目も悪くないし、スポーツバイクに乗りたいな、と考えている方には本当にベストチョイスだろうなと感じますね。
もちろんカーボンと比べたら重量はありますが、走りの軽さによってそこまでのデメリットには感じません。逆にあまり軽いバイクだと安定感が無くなるのでビギナーには向いているんじゃないかな。普段僕らが乗るようなクイックさを求められるバイクでもないから、巡行して走るのにすごく良いと思うんです。
その理由の一つに、フロントフォークの出来も良いことがあるんだと思います。ストレートフォークだからコーナーで切り込んでいく時はクイックなのに、ジオメトリーが絶妙なのか、直線を走っている時は安定しててフラつかない。ハンドルを高めにすると安定しないことがあるんですが、Émonda ALRにはその雰囲気を感じません。DomaneとMadoneの中間くらいの、本当にベストなところに収まってると感じます。
これで価格も16万円台ですよね?ファーストバイクに間違いがないし、僕も知り合いにロードバイクを始めたいと相談されたらこれをお勧めするでしょう。
― プロ目線からして、ヘッドチューブの長いH2フィットは気になりませんか?
いえ、僕もレースバイクはH2フィットを選んでいますから何の違和感もありません。あまり前傾になると自分のポジションを崩すことになりますから。僕はH1よりも3cmくらい高いヘッドチューブ高さがベストなので、H2を選んでいます。
今はトレック・セガフレードのメンバーでもH2フィットを選んでいる人は多いですよ。一般の方で無理な「低く遠い」ポジションにしている方を良く見ますが、でもそれって空気抵抗は良くなるけれど、安定した出力をキープできないんです。僕ら日本人は手脚がヨーロッパ人みたいに長いわけじゃないから、実際にはH2フィットの方が落ち着くんです。
チームでも、コンタドール選手のような総合系メンバーはH2フィット。特にÉmondaはジオメトリーが完成されているから、すごく安定して良い操作性が味わえますね。実際にこのÉmonda ALRは先述したようにすごく乗りやすかったのですが、そういう部分に秘訣があったりするんだろうなと思いました。
― フル105で組み上げられたパッケージングはいかがですか?
いや、105の完成度には正直驚きました。エントリーグレードのコンポーネントは暫く使っていなかったのですが、ブレーキの効きも良いし、ブラケットの握りもノーストレスですよ。操作感も気持ち良いので、ああ、16万円の完成車がここまでのレベルに来ているんだなと(笑)。
もちろんレースで使うならカーボンフレームを推しますし、Émondaに限らずトレックのSLRグレードフレームは全然別物です。でも、エントリーの方がレースに初トライする時には良いでしょうし、ホイールを変更すれば一段階走りのレベルを上げられるだろうな、とも思いますね。乗り味に癖がなくって、それでいてキビキビ走り16万円のアルミ完成車。ビギナーさんには本当にお勧めしたい一台ですね。
Émonda ALR 5スペックチャート
サイズ | 47、50、52、54、56、58、60cm |
フレーム | Ultralight 300 Series Alpha Aluminum |
コンポーネント | シマノ 105 |
ホイール | ボントレガー Tubeless Ready |
重量 | 8.47kg(56cm) |
価格 | 166,000円(税抜) |
トレック・セガフレードが使う高性能ヘルメット Velocis MIPS
別府史之はじめトレック・セガフレードの選手達がツール・ド・フランス前から使い、ボントレガー2018モデルの最注目アイテムとなったのが、モデルチェンジを遂げた新型Velocis(ヴェロシス)だ。先代よりも空力特性を更に向上させ、内部の通気性にも最大限工夫を凝らした話題作で、MIPS搭載ながら23,149円(税抜)という良心的な価格や、クラッシュリプレイスメントプログラムも嬉しいアイテム。普段のトレーニングからレースまで愛用しているという、別府”フミ”に、その使用感を聞いてみた。
「高いエアロ性能と通気性で被りやすい。チームの皆も気に入って使ってます」
Velocisはチーム内での評判も良くて、みんな気に入って被ってますよ。新しくなって、ルックスもグッとカッコ良くなりましたよね。やっぱりプロである以上カッコ良さって重要で、普通のヘルメットは選手によって「浮いてる感」が出ちゃうけれど、これならスタイリッシュだし、そしてフィット感もすごく良くって安全性にも良い効果を発揮してくれるだろうなと思いますよね。先代のVelocisは後部が尖っていて、深いポジションを取った時に風が当たっているのがよく分かったんです。でも新型は下を向いた時にも空気が流れていくのを感じ取れます。エアロヘルメットのBalistaを被っているような流れの良さを感じるのに、内部に風がどんどん入ってくるから涼しいんですよ。
だから暑い日にも快適に使えるし、すごくオールマイティ。ヘルメットは重さや重心バランスなど違和感を覚えるとストレスになっちゃうけれど、これは良い。下を向いた時に前に下がってくることもありません。それからフィッティングシステムはBOAダイヤルに変わったことも、チーム内で評判が高い部分の一つです。今までよりも調整ノッチが細くなって、しかもその具合もサイクリングシューズと同じで硬すぎず、緩すぎずとちょうど良い塩梅なんです。
正直落車しないとMIPSの効果や安全性は比べられないけれど、ヘルメットは選手の命を守っている部分だから、安全対策をやり過ぎるってことはないと思うんですよね。フィッティングが良くって、MIPSが組み合わせられているから信頼して使えますよね。デザインもずっとこなれたし、これで25,000円(税込)ならすごく安い。僕らプロフェッショナルが使っているものと同じだから、安心して選んでもらえる部分ですよね。
ボントレガー Velocis MIPS Asia Fit
サイズ | S/M(51~58cm)、M/L(55~61cm) |
カラー | Viper Red、Black、White、Visibility、Vice Pink |
重量 | S/M(275g)、M/L(293g) |
価格 | 25,000円(税込) |
提供:トレックジャパン text:CW編集部 photo:Shojiro.Nakabayashi