2016/05/16(月) - 12:27
スペシャライズドのエントリーカーボンロード「Tarmac Sport」と「Roubaix SL4」。今春のプライスダウンによって、20万円と大幅にコストパフォーマンスを向上させた2台について語ってもらった。
小畑:普段はS-WORKSレベルのハイエンドバイクに乗っているため、「あまり良い評価ができないのでは...」と少し不安を持ったままテストに臨んだのですが、今回の2台、特にTarmacはその予想を見事に覆してくれました。とにかく価格以上にコストパフォーマンスが高く、その理由を無理矢理にでも探さないと、ハイエンドバイクの存在価値が自分の中で薄まってしまいそうです。
堀口:小畑さんが仰るとおりで、私も性能の良さに愕然としました。2台のなかでもTarmac Sportは特に、トップグレードとの性能差が少ないと感じます。S-WORKSとは味付けこそ違いますが、本当にバランスが良く、ホビーライダーにベストな走り心地でした。
小畑:本当にその通り。Tarmac Sportの反応性の良さは飛び抜けたものがありました。どうしても2台を乗り比べるとTarmacの性能が目立ちがちなのですが、長距離を走った際の疲れの少なさはRoubaix SL4が一枚上手でしょう。そういった意味ではしっかりと性能面での住み分けできていると感じます。
Roubaixはジオメトリーや剛性をコントロールすることによって、衝撃吸収性や直進安定性が際立っていました。S-WORKSはエンデュランスロードではあるものの、基本的にはレーシングバイクです。ですからゆっくりと景色を楽しみながらサイクリングをしたい方にとっては、今回テストしたRoubaixの方がマッチします。
堀口:本当ですね。S-WORKSに注目が集まりがちで、憧れも強いのですが、今回の2台を選択した方が幸せになれる層も少なくないんです。20万円という価格ながら、2台ともに個性がしっかりと表現されている部分も評価したいですね。
CW:トップグレードに迫る性能というのは何が理由だと感じますか?
小畑:完成車としてのトータルパッケージが優れているのでしょう。一般的にこのグレードのバイクは良い部分とダメな部分が明確ですが、性能面で悪目立ちする場所がありませんでした。またがってすぐに伝わる乗りやすさがあって、本当に平均点が高いな、と感じたのです。
堀口:Tarmac Sportはコンポーネントが基本的に105ですし、タイヤは通常このグレードでは考えられないS-WORKS Turbo。それゆえブレーキをシマノ製に交換したいな、と思うのですが、それ以外は全く不満がありません。フレームそのものの能力が高いためコンポーネントをアルテグラやデュラエースに交換しても良いですし、「いじる楽しみ」も与えてくれるバイクかと。Roubaix SL4もホイールを交換することで大幅に性能が変わるだろうと感じました。
小畑:今回テストしたRoubaix SL4は26Cのタイヤが装着されており、その分走りの重さを感じたことも事実です。26cタイヤが本当に必要な場面は少ないため、細めのタイヤに交換すれば印象はガラリと変わるでしょう。フレーム自体はラインナップ中で38万円の完成車にも使われているものですから、素性の良さはお墨付きです。
小畑:自分自身、レース機材として乗ってもいいかなと思わせるほどの性能が出ていますし、先程も言ったようにパーツの構成次第ではプロ級の選手が使用しても文句が出ない性能ですから、20万円という予算が出せるのであれば是非お勧めしたい。学生レーサーにもうってつけですし、初めての1台にこれを選んで、練習に励んでもらいたいですね。
堀口:20万円という価格帯で見ると、これほどまでに性能の高い完成車は決して多くありません。タイヤやサドルなど、トータルでパッケージングができるスペシャライズドの強みが出ていると考えて良いでしょう。
CW:TarmacとRoubaixはどのように選び分ければいいのでしょうか。
小畑:2台のバイクそれぞれに長所があるのですが、強いて言えばデメリットもあります。Tarmac Sportはレースバイクゆえにハンドリングがクイックなため、まったりとした乗り味を好む方は落ち着かなさを感じてしまうかもしれません。対してRoubaix SL4はレーサー目線からすると、ダンシングの振りやコーナリングなどに重さを感じます。
堀口:メリット、デメリットを自分の使い方に照らし合わせて考え、ショップに相談してもらえれば何も問題はありませんね。キャラクターははっきり分かれているので、爽快感のある乗り心地を求めるならばTarmac Sport、路面が荒れた舗装路、砂利道でも神経を使わないで走りたいならばRoubaix SL4がオススメできます。
堀口:このグレードのバイクがこんなにも高性能を秘めているとはただただ驚きました。普段自転車に乗りなれているとS-WORKSのようなハイエンドモデルに目が行きがちですが、20万円の完成車がこれほど走ってしまうとは。とても盲点だったように思います。
小畑:特にTarmac Sportは、20万円という価格帯の完成車パッケージとして考えるならば、10点満点をプレゼントしてあげたいレベルですね。S-WORKS直系の運動性能が多く引き継がれていますし、RoubaixもRoubaixらしい、しっとりとした乗り味が活きています。
今までエントリーモデルと言えばジャイアントが非常に力を持っていましたが、この2台に関しては完全にその分野に割って入る、新しい存在だと感じます。レースのイメージが強くS-WORKSに注目が集まりがちなスペシャライズドですが、これからロードバイクを選ぼうという方には是非候補として考えて欲しい2台です。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP
堀口昌義(GRACEE)
東京都荒川区東日暮里に店舗を構えるスペシャライズド専門店GRACEE(グレイシー)のストアマネージャー。自身は各世代のS-WORKS TarmacやS-WORKS Roubaix、Allezを乗り継ぎ、現在の愛車はAllez Sprint。「初心者の気持ちを汲み取り、一緒に楽しむ」をモットーとして、走行会やイベントを中心にお店に集まるお客さんとライドを楽しむ。
GRACEE HP
「S-WORKSに近い性能を備えている。正直、驚いた」
CW:今回はエントリーグレードのカーボンバイクをテストして頂きましたが、いかがでしたでしょうか?小畑:普段はS-WORKSレベルのハイエンドバイクに乗っているため、「あまり良い評価ができないのでは...」と少し不安を持ったままテストに臨んだのですが、今回の2台、特にTarmacはその予想を見事に覆してくれました。とにかく価格以上にコストパフォーマンスが高く、その理由を無理矢理にでも探さないと、ハイエンドバイクの存在価値が自分の中で薄まってしまいそうです。
堀口:小畑さんが仰るとおりで、私も性能の良さに愕然としました。2台のなかでもTarmac Sportは特に、トップグレードとの性能差が少ないと感じます。S-WORKSとは味付けこそ違いますが、本当にバランスが良く、ホビーライダーにベストな走り心地でした。
小畑:本当にその通り。Tarmac Sportの反応性の良さは飛び抜けたものがありました。どうしても2台を乗り比べるとTarmacの性能が目立ちがちなのですが、長距離を走った際の疲れの少なさはRoubaix SL4が一枚上手でしょう。そういった意味ではしっかりと性能面での住み分けできていると感じます。
Roubaixはジオメトリーや剛性をコントロールすることによって、衝撃吸収性や直進安定性が際立っていました。S-WORKSはエンデュランスロードではあるものの、基本的にはレーシングバイクです。ですからゆっくりと景色を楽しみながらサイクリングをしたい方にとっては、今回テストしたRoubaixの方がマッチします。
堀口:本当ですね。S-WORKSに注目が集まりがちで、憧れも強いのですが、今回の2台を選択した方が幸せになれる層も少なくないんです。20万円という価格ながら、2台ともに個性がしっかりと表現されている部分も評価したいですね。
CW:トップグレードに迫る性能というのは何が理由だと感じますか?
小畑:完成車としてのトータルパッケージが優れているのでしょう。一般的にこのグレードのバイクは良い部分とダメな部分が明確ですが、性能面で悪目立ちする場所がありませんでした。またがってすぐに伝わる乗りやすさがあって、本当に平均点が高いな、と感じたのです。
堀口:Tarmac Sportはコンポーネントが基本的に105ですし、タイヤは通常このグレードでは考えられないS-WORKS Turbo。それゆえブレーキをシマノ製に交換したいな、と思うのですが、それ以外は全く不満がありません。フレームそのものの能力が高いためコンポーネントをアルテグラやデュラエースに交換しても良いですし、「いじる楽しみ」も与えてくれるバイクかと。Roubaix SL4もホイールを交換することで大幅に性能が変わるだろうと感じました。
小畑:今回テストしたRoubaix SL4は26Cのタイヤが装着されており、その分走りの重さを感じたことも事実です。26cタイヤが本当に必要な場面は少ないため、細めのタイヤに交換すれば印象はガラリと変わるでしょう。フレーム自体はラインナップ中で38万円の完成車にも使われているものですから、素性の良さはお墨付きです。
「この性能ならば、カスタマイズすればプロレースでも通用する」
CW:数あるエントリーロードバイクの中においてのコストパフォーマンスはいかがでしょう?小畑:自分自身、レース機材として乗ってもいいかなと思わせるほどの性能が出ていますし、先程も言ったようにパーツの構成次第ではプロ級の選手が使用しても文句が出ない性能ですから、20万円という予算が出せるのであれば是非お勧めしたい。学生レーサーにもうってつけですし、初めての1台にこれを選んで、練習に励んでもらいたいですね。
堀口:20万円という価格帯で見ると、これほどまでに性能の高い完成車は決して多くありません。タイヤやサドルなど、トータルでパッケージングができるスペシャライズドの強みが出ていると考えて良いでしょう。
CW:TarmacとRoubaixはどのように選び分ければいいのでしょうか。
小畑:2台のバイクそれぞれに長所があるのですが、強いて言えばデメリットもあります。Tarmac Sportはレースバイクゆえにハンドリングがクイックなため、まったりとした乗り味を好む方は落ち着かなさを感じてしまうかもしれません。対してRoubaix SL4はレーサー目線からすると、ダンシングの振りやコーナリングなどに重さを感じます。
堀口:メリット、デメリットを自分の使い方に照らし合わせて考え、ショップに相談してもらえれば何も問題はありませんね。キャラクターははっきり分かれているので、爽快感のある乗り心地を求めるならばTarmac Sport、路面が荒れた舗装路、砂利道でも神経を使わないで走りたいならばRoubaix SL4がオススメできます。
「満点をつけてもいい。勉強不足だったことを思い知らされた」
CW:改めて今回のインプレッションを振り返ってみて、カーボンエントリーバイクはいかがでしたか?堀口:このグレードのバイクがこんなにも高性能を秘めているとはただただ驚きました。普段自転車に乗りなれているとS-WORKSのようなハイエンドモデルに目が行きがちですが、20万円の完成車がこれほど走ってしまうとは。とても盲点だったように思います。
小畑:特にTarmac Sportは、20万円という価格帯の完成車パッケージとして考えるならば、10点満点をプレゼントしてあげたいレベルですね。S-WORKS直系の運動性能が多く引き継がれていますし、RoubaixもRoubaixらしい、しっとりとした乗り味が活きています。
今までエントリーモデルと言えばジャイアントが非常に力を持っていましたが、この2台に関しては完全にその分野に割って入る、新しい存在だと感じます。レースのイメージが強くS-WORKSに注目が集まりがちなスペシャライズドですが、これからロードバイクを選ぼうという方には是非候補として考えて欲しい2台です。
インプレライダー プロフィール
小畑郁(なるしまフレンド)
圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高いなるしまフレンド神宮店の技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。現在もなお、メカニックと競技者の双方の視点から自転車のディープで果てしない世界を探求中。なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP
堀口昌義(GRACEE)
東京都荒川区東日暮里に店舗を構えるスペシャライズド専門店GRACEE(グレイシー)のストアマネージャー。自身は各世代のS-WORKS TarmacやS-WORKS Roubaix、Allezを乗り継ぎ、現在の愛車はAllez Sprint。「初心者の気持ちを汲み取り、一緒に楽しむ」をモットーとして、走行会やイベントを中心にお店に集まるお客さんとライドを楽しむ。GRACEE HP
提供:スペシャライズド・ジャパン 制作:シクロワイアード編集部