2009/10/10(土) - 16:00
毎年7月にイタリア・トレヴィーゾで開催される山岳ロングライドイベント『グランフォンド ピナレロ』。2009年大会には日本から人気バイクショップのスタッフが参加し、距離200km・累計標高差2000m以上のハードコースを最新モデル“ドグマ60.1”で駆け抜けた。
今回イタリアングランフォンドを身体全体で感じ、見事に完走を果たしたショップスタッフ6人。さらにグランフォンドコースを6時間32分で走り切った俳優の鶴見辰吾さんが“ドグマ60.1”の実力を語る。
昨年のフラグシップモデル“プリンス カーボン”に比べると、カツカツとした感じが少なく、しっとりとした印象です。しかしながらフレーム剛性が高く、ハードなペダリングでも力をロスすることなく、しっかりと推進力に変わっていきます。プリンスよりもさらに高弾性なカーボンを使用しているので、「硬すぎるのではないか?」と心配をしていたのですが……思ったよりもしっとりとしていてホッとしました。これがナノアロイ技術によるものなのでしょうか。
剛性が高くても快適さがしっかりとキープされている点は、長時間乗り続けるロードレースには不可欠な要素だと思います。ただ剛性だけを追求せず、素材や形状など膨大な研究開発の上、快適性をも両立させた最先端のフレームに乗れること自体に、気分が高揚します。
カーボンモノコックフレームの特性なのか、フレームの一体感が高く、一枚板にペダルと車輪が付いているような軽快感です。また、下りでのコントロールのしやすさがとても印象的ですね。ステアリングの特性が素直で、フレームの振動吸収性能は高く、荒れた路面でしっかりと路面に追従してくれます。
また、今回『グランフォンド ピナレロ』で実際に使用した“ドグマ60.1”は、全くの新車だったにも関わらず、乗ってすぐに違和感なく走ることができました。これも、ライダーにストレスをあたえない素性を持ち合わせている点が影響しているのだと思います。好みは分かれると思いますが、一目見てピナレロと分かるフォルムはいいですね。左右非対称フレームの特性は強く主張しませんが、全体的にメリットが大きいと思います。
新生ドグマは、今までの常識を覆す魅力に溢れていると断言できます。それはなぜか?――彼は主張しません。ただ、そこに最良な存在としてあるのみです。
停止状態から加速し、時速30~35kmの巡航、そして時速46~50kmの限界走行。どの状態でも非常に良い走行フィールをドグマは提供してくれます。様々なメーカーのトップモデルやピナレロで言えばマグネシュウムのドグマなどは、確かにはち切れんばかりの魅力を持ち、素晴らしい性能を持っています。しかし、それらの多くは最高出力領域での走りによく、常に最大出力で走り続けることを要求してきます。
日本の中級者は時速45kmで単独巡航できる脚力はありません。ですから、最高出力での魅力を味わえるのは、1日のうちで非常に短時間であると思われます。それに対して“ドグマ60.1”は、どの負荷領域でもいい。60トンというカーボン素材を使用しているので、すごく硬いイメージがあると思いますが、これはプロユースの剛性のためではなく、いかなる状況でも最善のペダリングを提供するために採用されたのです。
今回、イタリアのグランフォンドに“ドグマ60.1”で参加してきたのですが、日本のショップや自転車雑誌で「グランフォンド向けバイク」と表現すると、どこかレース用より一段階落ちた安楽なスケルトンで、柔らかめの構造ということを意味していると思われます。実際、私も少し年配の方には「こちらのバイクはグランフォンド向けですので、初心者の方でも安心です」的な案内をしていました。ピナレロで言えば、FP-6とかね。
しかし本場のグランフォンドに参加してみて、それが違うことがわかりました。当初、グランフォンドコースの距離200kmと聞いて、「まぁ大丈夫だろう。例えば荒川サイクリングロードを上流に向かって、グリーンライン経由で帰ってくるくらいか?」と思っていたのですが……。実際は、白石峠と顔振峠を2回ずつ上り、そのあと奥多摩駅から柳沢峠を走るような感じでした。富士チャレンジ200ソロの二倍くらいの疲労感。
このコースを決めたのはピナレロ自身。そして、そのピナレロが「グランフォンド向き」としてリリースした“ドグマ60.1”は、決して中途半端なバイクであるはずがありません。速くて、軽くて、疲れにくいのが必須なのです。
“ピナレロ プリンス”に初めて乗ったときには、漕ぎ出しの軽さと速度の乗りが良かったため、ついつい必要以上に頑張ってしまい……疲れてしまったのを覚えています。完全にレース向きの乗り味と硬さを感じました。しかし“ドグマ60.1”はそうではありませんでした。普通に乗ることができるのと同時に、スピードもグングン上がり、それでいて硬い感じがしない。その効果なのか、普段よりも速いペースで走っても、あまり疲れを感じさせないバイクというイメージを持ちました。
私は普段アルミバイクを乗ることも多く、重量的にはカーボンのドグマと同じような重さなのですが、走行時の加速性や安定度といった「走りの軽さ」は断然ドグマのほうが良かったですね。とくに下りの安定感はスゴイ。「自分は下りが得意なのでは!」と勘違いしてしまうくらいでした。
さらに、このバイクは乗り始めた最初から違和感なく、最後まで良いイメージを持ち続けられた点が印象的でしたね。多くのバイクは、どこか優れている点があると、どこかに気になる点があったりすることがあるんです。例えば「よく進むけど、長時間乗っていると硬過ぎると感じる」や「重量的に軽いが、乗っていて微妙に違和感がある」など。しかし、ドグマ60.1にはそれがないのがいいですね。
バイクから「もっと踏めよ!」と言われている感覚がなく、快適に自分のペースで走れる感じ。だからと言って加速性が悪いことはなく、すべてにおいて高い性能を持っている。今回『グランフォンド ピナレロ』に参加し、上り・下り、そして高速走行などさまざまなシチュエーションで距離100km以上もドグマを試乗してとくに感じたことは、上り&下り性能がびっくりするくらい良かったことですね。
60トンという、プリンスよりも高弾性のカーボン素材を使っているので「さらに硬くなったのでは?」と思われる方もいると思います。しかし、実際には硬過ぎることなく、それでいて(プロ選手のように)高剛性を求める人にも最適と言えます。グランフォンドからレース、ツーリングまで、幅広い使い方に満足できるモデルと言えるでしょう。
「ドグマ60.1」の振動吸収性は抜群に良かったです。路面を滑るように走る感覚がありました。時速30kmを過ぎてから、ギアを重くして踏み込むと、フレーム全体で「ギュン」と伸びる感じを覚えました。
「乗り手の要求するスピードを、フレーム全体で素直に応えてくれる」。一言で表すとそんなフレームでしょうか。乗り手を選ばない懐深いフレームですので、カーボンの最高峰を手にしたいという方に問答無用にオススメできるモデルです。
「ロードレーサーに求められる特徴が、全て高い次元で具現化されると、こういう乗り味になるんだ」という、驚きを覚えました。カーボン全盛期の一つのベンチマークとなるモデルではないでしょうか。
今回イタリアングランフォンドを身体全体で感じ、見事に完走を果たしたショップスタッフ6人。さらにグランフォンドコースを6時間32分で走り切った俳優の鶴見辰吾さんが“ドグマ60.1”の実力を語る。
ライダーにストレスを与えない抜群の軽快感が推進力へとつながる
剛性が高くても快適さがしっかりとキープされている点は、長時間乗り続けるロードレースには不可欠な要素だと思います。ただ剛性だけを追求せず、素材や形状など膨大な研究開発の上、快適性をも両立させた最先端のフレームに乗れること自体に、気分が高揚します。
カーボンモノコックフレームの特性なのか、フレームの一体感が高く、一枚板にペダルと車輪が付いているような軽快感です。また、下りでのコントロールのしやすさがとても印象的ですね。ステアリングの特性が素直で、フレームの振動吸収性能は高く、荒れた路面でしっかりと路面に追従してくれます。
また、今回『グランフォンド ピナレロ』で実際に使用した“ドグマ60.1”は、全くの新車だったにも関わらず、乗ってすぐに違和感なく走ることができました。これも、ライダーにストレスをあたえない素性を持ち合わせている点が影響しているのだと思います。好みは分かれると思いますが、一目見てピナレロと分かるフォルムはいいですね。左右非対称フレームの特性は強く主張しませんが、全体的にメリットが大きいと思います。
どの速度域でも魅力に溢れる従来の常識を覆す最良なバイク
停止状態から加速し、時速30~35kmの巡航、そして時速46~50kmの限界走行。どの状態でも非常に良い走行フィールをドグマは提供してくれます。様々なメーカーのトップモデルやピナレロで言えばマグネシュウムのドグマなどは、確かにはち切れんばかりの魅力を持ち、素晴らしい性能を持っています。しかし、それらの多くは最高出力領域での走りによく、常に最大出力で走り続けることを要求してきます。
日本の中級者は時速45kmで単独巡航できる脚力はありません。ですから、最高出力での魅力を味わえるのは、1日のうちで非常に短時間であると思われます。それに対して“ドグマ60.1”は、どの負荷領域でもいい。60トンというカーボン素材を使用しているので、すごく硬いイメージがあると思いますが、これはプロユースの剛性のためではなく、いかなる状況でも最善のペダリングを提供するために採用されたのです。
今回、イタリアのグランフォンドに“ドグマ60.1”で参加してきたのですが、日本のショップや自転車雑誌で「グランフォンド向けバイク」と表現すると、どこかレース用より一段階落ちた安楽なスケルトンで、柔らかめの構造ということを意味していると思われます。実際、私も少し年配の方には「こちらのバイクはグランフォンド向けですので、初心者の方でも安心です」的な案内をしていました。ピナレロで言えば、FP-6とかね。
しかし本場のグランフォンドに参加してみて、それが違うことがわかりました。当初、グランフォンドコースの距離200kmと聞いて、「まぁ大丈夫だろう。例えば荒川サイクリングロードを上流に向かって、グリーンライン経由で帰ってくるくらいか?」と思っていたのですが……。実際は、白石峠と顔振峠を2回ずつ上り、そのあと奥多摩駅から柳沢峠を走るような感じでした。富士チャレンジ200ソロの二倍くらいの疲労感。
このコースを決めたのはピナレロ自身。そして、そのピナレロが「グランフォンド向き」としてリリースした“ドグマ60.1”は、決して中途半端なバイクであるはずがありません。速くて、軽くて、疲れにくいのが必須なのです。
上り&下りの性能がとくに抜群グランフォンドに最適なモデル
私は普段アルミバイクを乗ることも多く、重量的にはカーボンのドグマと同じような重さなのですが、走行時の加速性や安定度といった「走りの軽さ」は断然ドグマのほうが良かったですね。とくに下りの安定感はスゴイ。「自分は下りが得意なのでは!」と勘違いしてしまうくらいでした。
さらに、このバイクは乗り始めた最初から違和感なく、最後まで良いイメージを持ち続けられた点が印象的でしたね。多くのバイクは、どこか優れている点があると、どこかに気になる点があったりすることがあるんです。例えば「よく進むけど、長時間乗っていると硬過ぎると感じる」や「重量的に軽いが、乗っていて微妙に違和感がある」など。しかし、ドグマ60.1にはそれがないのがいいですね。
バイクから「もっと踏めよ!」と言われている感覚がなく、快適に自分のペースで走れる感じ。だからと言って加速性が悪いことはなく、すべてにおいて高い性能を持っている。今回『グランフォンド ピナレロ』に参加し、上り・下り、そして高速走行などさまざまなシチュエーションで距離100km以上もドグマを試乗してとくに感じたことは、上り&下り性能がびっくりするくらい良かったことですね。
60トンという、プリンスよりも高弾性のカーボン素材を使っているので「さらに硬くなったのでは?」と思われる方もいると思います。しかし、実際には硬過ぎることなく、それでいて(プロ選手のように)高剛性を求める人にも最適と言えます。グランフォンドからレース、ツーリングまで、幅広い使い方に満足できるモデルと言えるでしょう。
乗り手の求めるスピードに素直に応えてくれる乗り味
「乗り手の要求するスピードを、フレーム全体で素直に応えてくれる」。一言で表すとそんなフレームでしょうか。乗り手を選ばない懐深いフレームですので、カーボンの最高峰を手にしたいという方に問答無用にオススメできるモデルです。
「ロードレーサーに求められる特徴が、全て高い次元で具現化されると、こういう乗り味になるんだ」という、驚きを覚えました。カーボン全盛期の一つのベンチマークとなるモデルではないでしょうか。

次のページではショップ店長&スタッフのインプレに続き、鶴見辰吾さんがDOGMA60.1について激白!
提供:ピナレロジャパン Text:Tomo Hoshino 制作:シクロワイアード