2015/12/28(月) - 11:52
コットンケーシングにトレッドを貼り付けた伝統的なレーシングタイヤの構造を受け継ぎつつも、グラフェンの採用により全方位に進化を遂げた新型CORSAシリーズ。選手時代から歴代のCORSAシリーズに絶大な信頼を寄せてきた今中大介さんの評価はいかに?
従来の定番モデル「CORSA CX」の後継にあたり、ヴィットリアのアイデンティティとも言うべきコットンケーシングを採用するオールラウンドタイヤが「CORSA」。スピード、グリップ力、耐久性、耐パンク性のバランスを追求すべく、ラインアップ中で唯一にして、ヴィットリアだけが世界で製造できるという4種類のコンパウンド(4C)を使用したことが特徴だ。
ケーシングはケブラーで強化した「Corespun K」とし、サイドウォールのプロテクション性能を高めた。チューブラーとオープンチューブラーの両仕様で、23mm、25mm、28mmという3種類の幅が用意される。28mmは「Pave CG」の後継としてパリ~ルーベなど石畳クラシックに投入される予定という。
今回のインプレッションでは、オープンチューブラー仕様(クリンチャー)とチューブラー仕様を用意。幅は共に23mm、インナーチューブは共にラテックス製とした。7.5Barを充填した際の実測幅はオープンチューブラーで25.2mm(リム外幅22.4mm)、チューブラーで23.3mm(リム外幅23.5mm)。重量はオープンチューブラーが240g(実測)、チューブラーが265gである。
これまで歴代のCORSAを使い続けてきた私にとって、新型CORSAは馴染みやすいタイヤでした。まさしくレーシングタイヤといった乗り味で、トレッドが薄く、ケーシング剛性が高いことによる路面からのインフォメーションが豊富な点は従来モデルから受け継がれていますね。
薄いゴムでできた風船のようなものを潰して地面と面接触させてグリップを得ているイメージで、それ故にインフォメーションが豊富なのでしょう。ただ、実際には従来モデルのCORSA CXよりもトレッドの厚みは増しているとのことで、実際に一度乗ってみないと分からない不思議さがあります。恐らく、厚手のトレッドでインフォメーション量を高めることができた点が、グラフェンの効果なのでしょう。
一方で、インフォメーションが豊富だからといって不快というわけではなく、比較的高圧でも心地よく走ることができます。逆に空気圧を下げていても、タイヤが無駄に粘りすぎることなく、スムーズに路面から離れてくれるため、転がり抵抗が増えている印象はありません。
CORSAのグリップはコンパウンドだけに頼らず、タイヤ全体を変形させて粘らせることで得ていますが、その粘りがロスにつながっておらず、ほどよい塩梅で、加速感の良さにも貢献していますね。
絶対的なグリップとしては間違いなく高いレベルにあるのですが、それでいてグリップや粘りとトレードオフになるはずの耐摩耗性が優れているのが、不思議で仕方ありません。
剛性の高さはケーシングをケブラーで補強したことによるものでしょう。その効果はコーナーリング中にも感じ取ることができ、サイドが潰れることなく、先ほど述べた通り「面」を感じるのですが、実際には丸い断面を保ち続けてくれます。
ですからバイクを倒しこんでいく際のグリップの変化が一様で、切れこむこともなければ、敢えて急ブレーキでスリップさせてみても滑り初めに唐突な印象がありません。また、表層には3種類のコンパウンドが使われているとのことですが、コンパウンドの境界をまたぐと感触が変化するといったこともありません。
コンパウンドだけにグリップを頼っているタイヤだと、唐突に滑りはじめることがあり、滑りだしてからバイクを抑えこむためにはテクニックを要すものもあります。一方で、新型CORSAは実に滑り出しがコントローラブルで、高度なテクニックがなくとも何とかバイクを立て直すことができます。
ウェットコンディションではロックしてもグリップが残り続けている印象でした。そもそも滑りにくいのですが、滑ってからの安心感の高さこそが「やっぱこれだよね」とプロレーサーたちが厚い信頼を寄せる部分なのです。そういった信頼感がないと時速100km/h以上は出せませんし、個人的には新型CORSAには時速100km/hを安心して出せるだけの信頼感が備わっていると感じられました。
100km/h以上を出す場合には、全てにおいて安心してコントロールできるタイヤでなくてはなりません。自分がどうしたら停まれるか、どうしたら曲がれるか想像できるタイヤでなくてはならないのですが、新型CORSAにはそれらを想像することができます。
そして、コンパウンド、ケーシング、構造に加えて、円周方向に沿う様に刻まれたトレッドパターンも上手く仕事していますね。コーナリング時に発生する「シューッ」っという独特の音を聞けば、「攻めているぞ」とライダーをやる気にさせてくれることでしょう。センターの縦溝は耐久性の向上に貢献しているのではないかと考えています。
今回テストした23Cですと、腰砕けを防止するために従来は思い切って高圧にしなくてはならなかったのですが、新型CORSAですと剛性が高いが故に少し圧を落とすことができます。普段は8Barの私だと、7.5Barまで落としても同等のグリップを得ることができ、コーナーにも不安なく進入できます。
ただ、充分過ぎるほどのグリップ性能ですから、僕であればより高圧にして乗りますね。グリップが犠牲にならないので、カンカンに圧を張って転がり抵抗を少なくして、スパーンと軽やかに走らせたいです。多少振動が伝わってきても、それを乗りこなすのがロードレーサーの醍醐味というものではないでしょうか。
総じて新型CORSAは、使ったら以前のモデルには戻れないほど進化していると断言できますし、今直ぐにでも自分が持っているタイヤを全て履き替えたいほど。これまでのタイヤにはない感触があるにしろ、これなら保守的なプロにも受け入れられるはず。モデルチェンジによる性能低下は一切ありません。
価格ベースで見ればCORSA CXより2割値上がりしましたが、進化の大きさはそれ以上です。じつはプロトタイプを早期に受け取り、長期に渡り乗ったのですが、トレッドがほとんど摩耗していないんです。タイヤ寿命は前モデルより格段に長いはずです。それでいてすべての走行性能が高まっているから驚きです。
新型CORSAは本音で納得できるレーシングタイヤですね。ハンドメイドならではの品質も良好です。重量の軽さと振動吸収性の高さという点では、価格が少し安くて軽いRUBNO PRO SPEEDに分がありますが、あらゆるコンディションのレースを走る方にとっては、間違いなく新型CORSAがオススメです。
ホイールの影響が大きな部分もありますが、やはり快適性が高いですね。オープンチューブラーの基本的な部分はチューブラーにも当てはまります。シュワーンという音を発しながら曲がっていく点も同じ。ただ、ホイールとセットのシステムとして考えると、多くの部分でチューブラーが上を行っています。
クリンチャーと比較してのチューブラーの良さというと、軽さであったり、固定方法に由来する高い快適性が挙げられます。今回改めて、同じ銘柄のオープンチューブラーと乗り比べできたことで、チューブラーのメリットを感じ取ることができました。
同じラテックスチューブを使用していても、やはり快適性はチューブラーに分があります。インフォメーションが豊富で、振動はひとつひとつ伝えてきますが、穏やかで角を丸めてくれている印象ですね。時々ディンプル状の凹凸が設けられた白線があったりしますが、そういった路面状況においてもそれほど不快ではなく、オープンチューブラーほど身体に響いてはきません。そして、加速感もチューブラーに軍配が上がります。
ただ、ホイールの構造上どうしてもグリップ感が異なってきます。今回のインプレッションで使用したようなカーボン製のエアロホイールですと、リムのニップルホール周辺のよじれが横剛性に影響してしまい、少し逃げる所がありました。
それでも、このタイヤを使っていてスリップして落車してもタイヤのせいにすることはできませんね。これまでもビギナーの皆さんに向けてはステップアップの中でまずタイヤを替えて下さいといってきた。これならレースタイヤの性能というものを誰でもすぐに理解できるはずです。パッとくるところを含め、滑っている最中の挙動を安心したなかで掴むことができるでしょう。
今回インプレッションで使用した23Cに加え、25Cと28Cがあるとのことですが、このコンパウンドとケーシングなら、幅が広くなってもハンディにはならなそうだし、乗り味の変化も少なそうですね。あまり太すぎるとスムーズさやキレ、操る楽しみが失われてしまうので、ロードらしさという意味では、国内なら25Cまでで充分。まとめると、キレがあり、安心感もあり、コントローラブルで耐摩耗性も高い。本当に何も文句をつけることがありません。他に求めるものがあるとすれば、軽さしかないのでは。とにかくレーシングタイヤとして充分過ぎる性能を持っています。
ラインアップはチューブラーと、コットンケーシングとしては他に類を見ないチューブレスレディモデル(オープンTLR)の2種類。タイヤのみを変更し行った50kmのTTテストで、オープンTLRは市販品の中で最も転がり抵抗に優れるタイヤからさらに32秒ものアドバンテージを稼ぎだすことに成功したという。
今回のインプレッションでは23mm幅のチューブラー仕様を用意。7.5Barを充填した際の実測幅は23.3mm(リム外幅23.5mm)。重量は220gである。
CORSA Tubularからタイヤを替えただけなのに、バイクを持ち上げた瞬間に軽さが伝わってきます。そして、乗り始めからペダルをひとこぎして、次に逆側のペダルを踏み込むときには、低速での転がりのスムーズさを感じることができました。
「踏みこんだ時に加速し、下死点で減速」を繰り返すヒルクライムでは、やはり低速での転がりの軽さが生きてきます。その軽さは、ケーシングのまま走っているのでは? と勘違いしてしまうほど。トレッドが薄くてダイレクト。
そして軽いので、神経がタイヤの面にまで通っている印象がありますね。ハンドリングにも軽さが良い影響を与えています。このタイヤを履いたら、乗鞍や富士ヒルで分単位でタイムが良くなるでしょう。何よりライダーを奮い立たせてくれるような特別感がありますね。
ただ、急制動してもフラットスポットや毛羽立ちなどトレッドが痛む心配がなく、攻めたタイヤながら耐久性があります。ブレーキング時のグリップも、オールラウンドなレーシングタイヤと同等です。あまり倒し込むことを考えていないためか、トレッド部の幅が非常に狭くなっていますが、コーナリングでよっぽど攻めなければ、デメリットになることもないはずです。
トラクション性能はあるにしろ、軽量タイヤではグリップや耐久性はそれほど必要無いというのが一般的ですが、このタイヤは例外。グラフェンが良い影響を及ぼしているのか、グリップも耐久性も犠牲にしていません。そしてCORSAを長期使った実感で想像するに劣化も少なそうですし、使い方によってはシーズン通して決戦用はこれ1本で行けるでしょう。
タイムトライアルにおいてはDHポジションでコーナーに侵入して行かなくてはならないことも多いですが、その安心感は格段に高いですね。また、CORSAよりもしなやかなぶん快適性もある。途中でパンクしてしまう心配もなさそうなので、山岳コースを多く含むロングライドでも良いですね。タイムの向上や完走へ向けて後押ししてくれるはずです。
コンセプト的にはRUBINO SPEEDに近いのですが、乗り味的な違いはケーシングのたわみ方にあります。RUBINO SPEEDは従来はラインアップされていたDiamante Pro Radialを思い起こさせる変形の仕方で、圧が掛かった時の変形が大きく、従って高圧にしなくてはならない。CORSA SPEED Tubularの場合は低圧でもあまり沈み込まず、CORSAとコーナリングのフィーリングも似ています。ですからCORSA SPEEDを一言で例えるなら、CORSAをそのまま軽くしたタイヤといえるでしょう。
実際に使用する際のアドバイスとしては、普段使用しているタイヤよりも空気圧を0.3から0.5Bar上げて乗ってみて下さい。快適性が高い分、高圧にしても快適性が下がることはありませんから、圧を高めにして走りの軽やかさを楽しんでもらいたいですね。
コットンケーシングの伝統を受け継ぐベーシックモデル CORSA
従来の定番モデル「CORSA CX」の後継にあたり、ヴィットリアのアイデンティティとも言うべきコットンケーシングを採用するオールラウンドタイヤが「CORSA」。スピード、グリップ力、耐久性、耐パンク性のバランスを追求すべく、ラインアップ中で唯一にして、ヴィットリアだけが世界で製造できるという4種類のコンパウンド(4C)を使用したことが特徴だ。
ケーシングはケブラーで強化した「Corespun K」とし、サイドウォールのプロテクション性能を高めた。チューブラーとオープンチューブラーの両仕様で、23mm、25mm、28mmという3種類の幅が用意される。28mmは「Pave CG」の後継としてパリ~ルーベなど石畳クラシックに投入される予定という。
今回のインプレッションでは、オープンチューブラー仕様(クリンチャー)とチューブラー仕様を用意。幅は共に23mm、インナーチューブは共にラテックス製とした。7.5Barを充填した際の実測幅はオープンチューブラーで25.2mm(リム外幅22.4mm)、チューブラーで23.3mm(リム外幅23.5mm)。重量はオープンチューブラーが240g(実測)、チューブラーが265gである。
オープンチューブラー インプレッション
これまで歴代のCORSAを使い続けてきた私にとって、新型CORSAは馴染みやすいタイヤでした。まさしくレーシングタイヤといった乗り味で、トレッドが薄く、ケーシング剛性が高いことによる路面からのインフォメーションが豊富な点は従来モデルから受け継がれていますね。
薄いゴムでできた風船のようなものを潰して地面と面接触させてグリップを得ているイメージで、それ故にインフォメーションが豊富なのでしょう。ただ、実際には従来モデルのCORSA CXよりもトレッドの厚みは増しているとのことで、実際に一度乗ってみないと分からない不思議さがあります。恐らく、厚手のトレッドでインフォメーション量を高めることができた点が、グラフェンの効果なのでしょう。
一方で、インフォメーションが豊富だからといって不快というわけではなく、比較的高圧でも心地よく走ることができます。逆に空気圧を下げていても、タイヤが無駄に粘りすぎることなく、スムーズに路面から離れてくれるため、転がり抵抗が増えている印象はありません。
CORSAのグリップはコンパウンドだけに頼らず、タイヤ全体を変形させて粘らせることで得ていますが、その粘りがロスにつながっておらず、ほどよい塩梅で、加速感の良さにも貢献していますね。
絶対的なグリップとしては間違いなく高いレベルにあるのですが、それでいてグリップや粘りとトレードオフになるはずの耐摩耗性が優れているのが、不思議で仕方ありません。
剛性の高さはケーシングをケブラーで補強したことによるものでしょう。その効果はコーナーリング中にも感じ取ることができ、サイドが潰れることなく、先ほど述べた通り「面」を感じるのですが、実際には丸い断面を保ち続けてくれます。
ですからバイクを倒しこんでいく際のグリップの変化が一様で、切れこむこともなければ、敢えて急ブレーキでスリップさせてみても滑り初めに唐突な印象がありません。また、表層には3種類のコンパウンドが使われているとのことですが、コンパウンドの境界をまたぐと感触が変化するといったこともありません。
コンパウンドだけにグリップを頼っているタイヤだと、唐突に滑りはじめることがあり、滑りだしてからバイクを抑えこむためにはテクニックを要すものもあります。一方で、新型CORSAは実に滑り出しがコントローラブルで、高度なテクニックがなくとも何とかバイクを立て直すことができます。
ウェットコンディションではロックしてもグリップが残り続けている印象でした。そもそも滑りにくいのですが、滑ってからの安心感の高さこそが「やっぱこれだよね」とプロレーサーたちが厚い信頼を寄せる部分なのです。そういった信頼感がないと時速100km/h以上は出せませんし、個人的には新型CORSAには時速100km/hを安心して出せるだけの信頼感が備わっていると感じられました。
100km/h以上を出す場合には、全てにおいて安心してコントロールできるタイヤでなくてはなりません。自分がどうしたら停まれるか、どうしたら曲がれるか想像できるタイヤでなくてはならないのですが、新型CORSAにはそれらを想像することができます。
そして、コンパウンド、ケーシング、構造に加えて、円周方向に沿う様に刻まれたトレッドパターンも上手く仕事していますね。コーナリング時に発生する「シューッ」っという独特の音を聞けば、「攻めているぞ」とライダーをやる気にさせてくれることでしょう。センターの縦溝は耐久性の向上に貢献しているのではないかと考えています。
今回テストした23Cですと、腰砕けを防止するために従来は思い切って高圧にしなくてはならなかったのですが、新型CORSAですと剛性が高いが故に少し圧を落とすことができます。普段は8Barの私だと、7.5Barまで落としても同等のグリップを得ることができ、コーナーにも不安なく進入できます。
ただ、充分過ぎるほどのグリップ性能ですから、僕であればより高圧にして乗りますね。グリップが犠牲にならないので、カンカンに圧を張って転がり抵抗を少なくして、スパーンと軽やかに走らせたいです。多少振動が伝わってきても、それを乗りこなすのがロードレーサーの醍醐味というものではないでしょうか。
総じて新型CORSAは、使ったら以前のモデルには戻れないほど進化していると断言できますし、今直ぐにでも自分が持っているタイヤを全て履き替えたいほど。これまでのタイヤにはない感触があるにしろ、これなら保守的なプロにも受け入れられるはず。モデルチェンジによる性能低下は一切ありません。
価格ベースで見ればCORSA CXより2割値上がりしましたが、進化の大きさはそれ以上です。じつはプロトタイプを早期に受け取り、長期に渡り乗ったのですが、トレッドがほとんど摩耗していないんです。タイヤ寿命は前モデルより格段に長いはずです。それでいてすべての走行性能が高まっているから驚きです。
新型CORSAは本音で納得できるレーシングタイヤですね。ハンドメイドならではの品質も良好です。重量の軽さと振動吸収性の高さという点では、価格が少し安くて軽いRUBNO PRO SPEEDに分がありますが、あらゆるコンディションのレースを走る方にとっては、間違いなく新型CORSAがオススメです。
チューブラー インプレッション
ホイールの影響が大きな部分もありますが、やはり快適性が高いですね。オープンチューブラーの基本的な部分はチューブラーにも当てはまります。シュワーンという音を発しながら曲がっていく点も同じ。ただ、ホイールとセットのシステムとして考えると、多くの部分でチューブラーが上を行っています。
クリンチャーと比較してのチューブラーの良さというと、軽さであったり、固定方法に由来する高い快適性が挙げられます。今回改めて、同じ銘柄のオープンチューブラーと乗り比べできたことで、チューブラーのメリットを感じ取ることができました。
同じラテックスチューブを使用していても、やはり快適性はチューブラーに分があります。インフォメーションが豊富で、振動はひとつひとつ伝えてきますが、穏やかで角を丸めてくれている印象ですね。時々ディンプル状の凹凸が設けられた白線があったりしますが、そういった路面状況においてもそれほど不快ではなく、オープンチューブラーほど身体に響いてはきません。そして、加速感もチューブラーに軍配が上がります。
ただ、ホイールの構造上どうしてもグリップ感が異なってきます。今回のインプレッションで使用したようなカーボン製のエアロホイールですと、リムのニップルホール周辺のよじれが横剛性に影響してしまい、少し逃げる所がありました。
それでも、このタイヤを使っていてスリップして落車してもタイヤのせいにすることはできませんね。これまでもビギナーの皆さんに向けてはステップアップの中でまずタイヤを替えて下さいといってきた。これならレースタイヤの性能というものを誰でもすぐに理解できるはずです。パッとくるところを含め、滑っている最中の挙動を安心したなかで掴むことができるでしょう。
今回インプレッションで使用した23Cに加え、25Cと28Cがあるとのことですが、このコンパウンドとケーシングなら、幅が広くなってもハンディにはならなそうだし、乗り味の変化も少なそうですね。あまり太すぎるとスムーズさやキレ、操る楽しみが失われてしまうので、ロードらしさという意味では、国内なら25Cまでで充分。まとめると、キレがあり、安心感もあり、コントローラブルで耐摩耗性も高い。本当に何も文句をつけることがありません。他に求めるものがあるとすれば、軽さしかないのでは。とにかくレーシングタイヤとして充分過ぎる性能を持っています。
目指したのは史上最速のロードタイヤ CORSA SPEED
CORSA SPEEDは、史上最速のロードタイヤを目指し開発されたTT用タイヤ「Crono CS」の後継に位置づけられるモデルだ。製品名の通りにスピードを追求するべく、シングルコンパウンドを採用し、昨今主流の幅広リムに最適化している。ラインアップはチューブラーと、コットンケーシングとしては他に類を見ないチューブレスレディモデル(オープンTLR)の2種類。タイヤのみを変更し行った50kmのTTテストで、オープンTLRは市販品の中で最も転がり抵抗に優れるタイヤからさらに32秒ものアドバンテージを稼ぎだすことに成功したという。
今回のインプレッションでは23mm幅のチューブラー仕様を用意。7.5Barを充填した際の実測幅は23.3mm(リム外幅23.5mm)。重量は220gである。
インプレッション
CORSA Tubularからタイヤを替えただけなのに、バイクを持ち上げた瞬間に軽さが伝わってきます。そして、乗り始めからペダルをひとこぎして、次に逆側のペダルを踏み込むときには、低速での転がりのスムーズさを感じることができました。
「踏みこんだ時に加速し、下死点で減速」を繰り返すヒルクライムでは、やはり低速での転がりの軽さが生きてきます。その軽さは、ケーシングのまま走っているのでは? と勘違いしてしまうほど。トレッドが薄くてダイレクト。
そして軽いので、神経がタイヤの面にまで通っている印象がありますね。ハンドリングにも軽さが良い影響を与えています。このタイヤを履いたら、乗鞍や富士ヒルで分単位でタイムが良くなるでしょう。何よりライダーを奮い立たせてくれるような特別感がありますね。
ただ、急制動してもフラットスポットや毛羽立ちなどトレッドが痛む心配がなく、攻めたタイヤながら耐久性があります。ブレーキング時のグリップも、オールラウンドなレーシングタイヤと同等です。あまり倒し込むことを考えていないためか、トレッド部の幅が非常に狭くなっていますが、コーナリングでよっぽど攻めなければ、デメリットになることもないはずです。
トラクション性能はあるにしろ、軽量タイヤではグリップや耐久性はそれほど必要無いというのが一般的ですが、このタイヤは例外。グラフェンが良い影響を及ぼしているのか、グリップも耐久性も犠牲にしていません。そしてCORSAを長期使った実感で想像するに劣化も少なそうですし、使い方によってはシーズン通して決戦用はこれ1本で行けるでしょう。
タイムトライアルにおいてはDHポジションでコーナーに侵入して行かなくてはならないことも多いですが、その安心感は格段に高いですね。また、CORSAよりもしなやかなぶん快適性もある。途中でパンクしてしまう心配もなさそうなので、山岳コースを多く含むロングライドでも良いですね。タイムの向上や完走へ向けて後押ししてくれるはずです。
コンセプト的にはRUBINO SPEEDに近いのですが、乗り味的な違いはケーシングのたわみ方にあります。RUBINO SPEEDは従来はラインアップされていたDiamante Pro Radialを思い起こさせる変形の仕方で、圧が掛かった時の変形が大きく、従って高圧にしなくてはならない。CORSA SPEED Tubularの場合は低圧でもあまり沈み込まず、CORSAとコーナリングのフィーリングも似ています。ですからCORSA SPEEDを一言で例えるなら、CORSAをそのまま軽くしたタイヤといえるでしょう。
実際に使用する際のアドバイスとしては、普段使用しているタイヤよりも空気圧を0.3から0.5Bar上げて乗ってみて下さい。快適性が高い分、高圧にしても快適性が下がることはありませんから、圧を高めにして走りの軽やかさを楽しんでもらいたいですね。
提供:ヴィットリア・ジャパン 製作:シクロワイアード