2015/12/28(月) - 11:52
プロからの信頼も厚いロードレーシングタイヤの雄、ヴィットリア。その頂点に君臨するハイエンド「CORSA」とセカンドグレード「RUBINO」が刷新された。最先端素材「グラフェン」と共に劇的な進化を果たした両シリーズの性能を、選手時代からヴィットリアを長く愛用してきたという今中大介さんによるインプレッションと共に紐解いていく。
1953年に創業し、年間700万本以上のタイヤと90万本ものチューブラー(コットンタイヤ)を生産する、スポーツ自転車用タイヤのリーディングブランドとして君臨してきたヴィットリア。ツール・ド・フランスや世界選手権を筆頭に、60年以上の歴史の中で貢献した勝利は数知れず。プロからこよなく愛され、常に厚い信頼を勝ち得てきた伝統のブランドだ。
ヴィットリアのレーシングタイヤが多くのプロ選手から愛されてきた理由の最たるものに、扱いやすい伝統的な構造を守ってきたことがあげられるだろう。しなやかなコットン製ケーシングに、ハイグリップなトレッドを貼り付けたトラディショナルな造りは、安心感を求めるプロ選手達に対し、多大なる安心感をもたらしてきた。
そしてもう一つの理由が、あらゆるコンディションに対応できるバリエーションの豊富さだった。これまではベーシックモデルの「CORSA CX」を筆頭に、6種類のレーシングモデルを用意。パヴェやタイムトライアルなどに適する専用タイヤなど幅広いラインアップを市販し、さらにはプロの要求に柔軟に応えたプロトタイプを投入してきた。
しかし2016年、ヴィットリアのハイエンドタイヤラインアップは総刷新された。その劇的とも言える進化を担ったのが、コンパウンドに投入された最新鋭のナノ素材「Graphene(グラフェン)」だ。
「グラフェンをコンパウンドに取り入れたことで、新型はあらゆる用途やニーズを賄うことができるようになった」とは、ヴィットリア社代表のルディ・カンパーニュ氏の言葉だ。タイヤに求められる全ての要素を高めたために、従来6種類あったバリエーションは、オールラウンドレーシングモデルの「CORSA」とTT用の「CORSA SPEED」という2種類に集約された。
グラフェンを手に入れた新型「CORSA」は、ロードレースにおけるあらゆる用途とコンディションで優れた性能を発揮するピュアレーシング用だ。パヴェ用としても使える柔軟性を持ちつつ、従来の約3倍にあたる6,000kmの使用に耐えられるという、驚異的なロングライフを実現したのだ。
TT向けタイヤ「CORSA SPEED」は、持ち味であるスピードに磨きをかけ、世界最速のロードタイヤに。加えて従来トレーニングやロングライド向けのミッドレンジに位置づけられていた「RUBINO PRO」にもグラフェンを採用。大幅な進化を遂げたRUBINO PROは、名こそ同じだが中身は他ブランドのハイエンドモデルに競合するレーシングタイヤへと生まれ変わっている。
ヴィットリアが使用するグラフェンは、同郷の化学メーカー「Directa Plus」社より供給を受ける「G+」というもの。素材自体の質や状態に加えて、特に形状にこだわることで、他のグラフェンよりも、コンパウンドやカーボンに添加した際の効果を4倍~6倍とすることに成功している。
G+はすでに昨年発表した同社のカーボンホイール「Qurano」シリーズにも先行して取り入れられており、既存の製品に対して剛性や耐熱性、耐衝撃性、軽量性を高めることに成功。そして、ヴィットリアのメインプロダクトであるタイヤにも大きな進化をもたらした。
通常どのタイヤメーカーもグリップ性能、転がり性能、耐久性などの各性能のバランスを取りながら開発を行っている。そして、グリップを向上させるには転がりを犠牲にするといったように、ある性能に特化する場合にはその他の性能に妥協しなくてはならないのが常だ。
そこでヴィットリアが「CORSA」と「RUBINO」をリニューアルする際に開発コンセプトとして掲げたのが「No Compromise(=妥協しない)」。あらゆる性能に妥協せず、グリップ力、転がり性能、耐パンク性、耐久性など、あらゆる性能をバランス良く高めるだけではなく、全ての性能で世界最高水準を目指したのである。
グラフェンを採用した新型タイヤを、ヴィットリアは「ITS=Intelligent Tire System」と名付けた。タイヤが真っ直ぐに回転している時、つまりはタイヤに掛かる負荷が少ない時はコンパウンドは堅く、優れた転がり性能を発揮する。一方で、加減速時やコーナリング中などタイヤに掛かる負荷が大きくなるとコンパウンドが軟化し、グリップ力が向上する。そう、ヴィットリアのタイヤはグラフェンを手に入れたことにより、ライダーのニーズに応じて、ハイグリップタイヤとしても、ハイスピードタイヤとしても立ちまわることができるのだ。
国内展開されるグラフェン採用ロードタイヤは「CORSA」シリーズが2種類、「RUBINO PRO」シリーズが4種類の全6種類である。「CORSA」シリーズについてのG+の効果を説明していくと、オールラウンドモデル「CORSA」はグリップ・転がり性能を高めつつも耐久性を大幅に改善。耐久性は路面状況など多くの要素で左右されるものの、テスト走行時では従来モデルの約3倍となる6,000kmもの耐久性を獲得。転がり性能に特化したTT/ヒルクライム向けモデル「CORSA SPEED」のチューブレスレディモデルは50kmのTTでは現在市販される最も転がり性能の高いタイヤに対して32秒ものタイム差を付けることに成功している。
RUBINO PRO CONTROL:タフな状況に対応するヘビーデューティーモデル
グラフェンと共に大幅な進化を遂げたCORSAとRUBINO
1953年に創業し、年間700万本以上のタイヤと90万本ものチューブラー(コットンタイヤ)を生産する、スポーツ自転車用タイヤのリーディングブランドとして君臨してきたヴィットリア。ツール・ド・フランスや世界選手権を筆頭に、60年以上の歴史の中で貢献した勝利は数知れず。プロからこよなく愛され、常に厚い信頼を勝ち得てきた伝統のブランドだ。
ヴィットリアのレーシングタイヤが多くのプロ選手から愛されてきた理由の最たるものに、扱いやすい伝統的な構造を守ってきたことがあげられるだろう。しなやかなコットン製ケーシングに、ハイグリップなトレッドを貼り付けたトラディショナルな造りは、安心感を求めるプロ選手達に対し、多大なる安心感をもたらしてきた。
そしてもう一つの理由が、あらゆるコンディションに対応できるバリエーションの豊富さだった。これまではベーシックモデルの「CORSA CX」を筆頭に、6種類のレーシングモデルを用意。パヴェやタイムトライアルなどに適する専用タイヤなど幅広いラインアップを市販し、さらにはプロの要求に柔軟に応えたプロトタイプを投入してきた。
しかし2016年、ヴィットリアのハイエンドタイヤラインアップは総刷新された。その劇的とも言える進化を担ったのが、コンパウンドに投入された最新鋭のナノ素材「Graphene(グラフェン)」だ。
「グラフェンをコンパウンドに取り入れたことで、新型はあらゆる用途やニーズを賄うことができるようになった」とは、ヴィットリア社代表のルディ・カンパーニュ氏の言葉だ。タイヤに求められる全ての要素を高めたために、従来6種類あったバリエーションは、オールラウンドレーシングモデルの「CORSA」とTT用の「CORSA SPEED」という2種類に集約された。
グラフェンを手に入れた新型「CORSA」は、ロードレースにおけるあらゆる用途とコンディションで優れた性能を発揮するピュアレーシング用だ。パヴェ用としても使える柔軟性を持ちつつ、従来の約3倍にあたる6,000kmの使用に耐えられるという、驚異的なロングライフを実現したのだ。
TT向けタイヤ「CORSA SPEED」は、持ち味であるスピードに磨きをかけ、世界最速のロードタイヤに。加えて従来トレーニングやロングライド向けのミッドレンジに位置づけられていた「RUBINO PRO」にもグラフェンを採用。大幅な進化を遂げたRUBINO PROは、名こそ同じだが中身は他ブランドのハイエンドモデルに競合するレーシングタイヤへと生まれ変わっている。
劇的進化の立役者 超最先端素材「グラフェン」とは?
「CORSA」と「RUBINO」の新型に劇的進化をもたらした「グラフェン」とは何なのか。その正体は、世界中の科学者から注目を集める超最先端のナノ素材。2次元=シート状の原子構造をとることにあり、これまでに発見されたあらゆる物質の中でも最も薄いという。その厚みはわずかに原子1個分にあたる10億分の1メートルで、グラフェン1gの面積は2,630平方メートルほどになるという。同時に現在知られている物質の中で最も軽く、かつ高い強度を兼ね備えており、ダイヤモンドより硬く、鋼鉄の200倍の強度というものだ。ヴィットリアが使用するグラフェンは、同郷の化学メーカー「Directa Plus」社より供給を受ける「G+」というもの。素材自体の質や状態に加えて、特に形状にこだわることで、他のグラフェンよりも、コンパウンドやカーボンに添加した際の効果を4倍~6倍とすることに成功している。
G+はすでに昨年発表した同社のカーボンホイール「Qurano」シリーズにも先行して取り入れられており、既存の製品に対して剛性や耐熱性、耐衝撃性、軽量性を高めることに成功。そして、ヴィットリアのメインプロダクトであるタイヤにも大きな進化をもたらした。
通常どのタイヤメーカーもグリップ性能、転がり性能、耐久性などの各性能のバランスを取りながら開発を行っている。そして、グリップを向上させるには転がりを犠牲にするといったように、ある性能に特化する場合にはその他の性能に妥協しなくてはならないのが常だ。
そこでヴィットリアが「CORSA」と「RUBINO」をリニューアルする際に開発コンセプトとして掲げたのが「No Compromise(=妥協しない)」。あらゆる性能に妥協せず、グリップ力、転がり性能、耐パンク性、耐久性など、あらゆる性能をバランス良く高めるだけではなく、全ての性能で世界最高水準を目指したのである。
グラフェンを採用した新型タイヤを、ヴィットリアは「ITS=Intelligent Tire System」と名付けた。タイヤが真っ直ぐに回転している時、つまりはタイヤに掛かる負荷が少ない時はコンパウンドは堅く、優れた転がり性能を発揮する。一方で、加減速時やコーナリング中などタイヤに掛かる負荷が大きくなるとコンパウンドが軟化し、グリップ力が向上する。そう、ヴィットリアのタイヤはグラフェンを手に入れたことにより、ライダーのニーズに応じて、ハイグリップタイヤとしても、ハイスピードタイヤとしても立ちまわることができるのだ。
国内展開されるグラフェン採用ロードタイヤは「CORSA」シリーズが2種類、「RUBINO PRO」シリーズが4種類の全6種類である。「CORSA」シリーズについてのG+の効果を説明していくと、オールラウンドモデル「CORSA」はグリップ・転がり性能を高めつつも耐久性を大幅に改善。耐久性は路面状況など多くの要素で左右されるものの、テスト走行時では従来モデルの約3倍となる6,000kmもの耐久性を獲得。転がり性能に特化したTT/ヒルクライム向けモデル「CORSA SPEED」のチューブレスレディモデルは50kmのTTでは現在市販される最も転がり性能の高いタイヤに対して32秒ものタイム差を付けることに成功している。
大幅な性能向上に成功 グラフェンを採用する6種類のロードタイヤ
CORSA:定番モデルCORSA CXの後継にあたるオールラウンドタイヤ
ラインアップ | チューブラー、オープンチューブラー |
コンパウンド | G+ Isotech 4C |
ケーシング | CoresupunK 320TPI |
サイズ/重量 | 23-28"/265g、25-28"/280g、28-28"/330g(チューブラー) 700x23c/235g、25c/240g、28c/265g(オープンチューブラー) |
税抜価格 | 16,500円(チューブラー)、10,600円(オープンチューブラー) |
CORSA SPEED:スピードを追求した最速タイヤ。ブランド初のチューブレス仕様も
ラインアップ | チューブラー、オープンTLR |
コンパウンド | G+ Isotech 4C |
ケーシング | Coresupun 320TPI |
サイズ/重量 | 23-28"/220g(チューブラー)、700x23c/205g(オープンTLR) |
税抜価格 | 18,000円(チューブラー)、11,400円(オープンTLR、来春発売予定) |
RUBINO PRO:グラフェン採用でレーシングタイヤにリニューアル
ラインアップ | クリンチャー |
コンパウンド | G+ Isotech 3C |
ケーシング | Nylon 150TPI |
サイズ/重量 | 650x23c/200g、700x23c/225g、25c/235g、28c/245g |
カラー | ブラック、ホワイト/ブラック、レッド/ブラック、ブルー/ブラック、イエロー/ブラック ※カラーモデル(来春発売予定)がラインアップされるのは700x23cと25cの2サイズ |
税抜価格 | 7,000円 |
RUBINO PRO SPEED:グラフェン採用タイヤでは最軽量。TTやヒルクライムに適する
RUBINO PRO CONTROL:タフな状況に対応するヘビーデューティーモデル
RUBINO PRO ENDURANCE:低温下での高グリップを重視した新機軸のタイヤ
ラインアップ | クリンチャー |
コンパウンド | G+ Isotech 3C |
ケーシング | Nylon 60TPI |
サイズ/重量 | 700x23c/280g、25c/320g、28c/360g |
カラー | ブラック |
税抜価格 | 7,000円 |
インプレライダーのプロフィール
提供:ヴィットリア・ジャパン 製作:シクロワイアード