2014/07/29(火) - 19:52
前号まででお伝えしたように3つのMTBニューモデルが注目を集めるキャノンデール2015ラインナップだが、もちろんロードバイクが忘れ去られたわけではない。エンデュランスロード「SYNAPSE(シナプス)」のHi-MODグレードが待望のディスクブレーキ化を果たし、更なるオールコンディションロードバイクへと進化を遂げている。
2013年にピュアレーサーであるSUPERSIX EVOと双璧を成すエンデュランスロードとして華々しくデビューした新型シナプス。そのデビューイヤーにはペーター・サガンがヘント~ウェヴェルヘムで優勝(華麗なウイリーゴールを覚えている方も多いはず)、今年2014シーズンにはストラーデ・ビアンケで2位、E3プライスで優勝。その他のクラシックレースでもキャノンデールグリーンのシナプスは大きな存在感を見せてきた。
そして今回のプレスローンチでは、そんなシナプスの上級グレード「HI-MOD」のディスクブレーキ対応モデルが登場。昨年からアルミ製シナプスのディスクブレーキバージョンは存在していたものの、カーボンモデルとしては初めてであり、そのエンデュランスロードというカテゴリー故に以前から登場が待たれていた。
今回のディスクブレーキ化にあたっては、ブレーキキャリパーの搭載位置変更と制動力アップに対応するためフロントフォークとリアバックの形状を変更していることがトピックス。螺旋形状のチェーンステーとフロントフォークなど特徴はそのままだが、よく見ればキャリパーブレーキモデルと比較して若干太く、そして直線的なデザインへと変化していることに気づく。併せてカーボンレイアップの変更も行い、ディスクブレーキへの最適化を行った。ホイールの取り付けは従来通りクイックレリースで行い、リアエンド幅は135mmだ。
ただしディスクブレーキ化に関する部分以外の大きな変更は無く、SUPERSIX EVOのレーシングジオメトリと、一般的なコンフォートロードのジオメトリとのちょうど中間に値するS.E.R.G.(SYNAPSE Endurance Race Geometry)や、しなやかな乗り心地と究極の路面追従性を司るSAVE PLUS(マイクロサスペンションを進化させたもの)など、シナプスがシナプスたるテクノロジーはそのままだ。
BB周りも相変わらず特徴的。登場時に恐らく全ての人のド肝を抜いたであろう双胴シートチューブ「パワーピラミッド」や、従来のシェル幅68mmから5mm拡幅し73mm化した独自の「BB30A」ボトムブラケット、25.4mm径のシートポストなど独自路線を貫き通している。
使用する素材によってカーボンモデル2種類(バリステックHI-MODカーボンorバリステックカーボン)、アルミモデル1種類が存在するシナプスだが、今回ディスクブレーキ仕様が登場したのは上級グレードのHI-MOD。HI-MODの完成車としてはSRAM REDの油圧ディスクブレーキモデルと、シマノの油圧式ブレーキと機械式アルテグラを組み合わせたモデルの2種類。いずれもホイールはフォーミュラのCED502ディスク、ロー側カセット歯数は32Tという仕様だ。
また、このディスクブレーキムーブメントは高性能アルミロードの代名詞でもあるCAAD10にも波及。近年のキャノンデールのメインイメージとは異なる爽やかなブルーグラフィックを纏う「CAAD10 RIVAL DISC」がデビューを飾っており、こちらも話題になるはずだ。
「上質なグランツーリスモか、WRCラリーカー。より遊びの幅が広がった」
シナプスは以前から所有しており、非常に完成度の高いバイクという印象がありました。ツーリング用途として乗っているのですが、今回ディスクブレーキ化したことでよりそうした向きに適したのではないかな、と感じています。もちろんパヴェでも高性能を発揮しますし、実際に今年、私がパリ〜ルーベチャレンジに参加した時もこのバイクでした。
SUPERSIX EVOがフォーミュラカーならば、シナプスは上質なグランツーリスモかWRCのラリーカー。昔のツーリングバイクがそうであったように、どんな天候でも、どんなシチュエーションでも安心して乗る事ことのできるバイクですね。
そんなシナプスにディスクブレーキですから、非常にマッチングが良い。今回はシマノの油圧ロードディスクブレーキでしたが、雨天のキャリパーブレーキに起こる空制動の時間がありません。引きも軽く、女性など握力の弱い方には非常にお勧めしやすい組み合わせだと思いました。
キャリパーブレーキとはフィーリングが違いますが、すぐに慣れるはず。濡れた路面で思いっきりレバーを引いてもスリップしづらいですし、良い製品ですね。
もともとシナプスはブレーキングの際、フォークがフレーム側に動く性格がありますが、ディスクブレーキ化したことでそれがやや強くなったように思います。停止する寸前にその性格が目立ちますが、ある程度スピードが出ている時には全く気になりません。
重量がかさんでしまうデメリットも否めなくはないですが、ディスクブレーキは低重心化という副産物を生み出しましたね。ダンシングの振りも重くないですし、28cという太いタイヤも安定感をプラスしています。キャリパーモデルと比較して少しだけキレが薄まった感じがありますが、メーカーの思惑通りの性能が出ていると思います。
シナプスはクイックなハンドリングですが、それはこのディスクブレーキモデルでも共通していました。ただしクイックすぎることもないですし、低重心化もあってコーナリング中も安心して身体を預けることができていました。
そして28cを入れてもまだ余裕のあるクリアランスも嬉しいところ。手持ちのキャリパータイプのシナプスで延々とジープロードを走ったことがありますが、泥も詰まりにくいし、乗り心地が良く安定感が高い。グラベルツーリングをはじめ、今までのロードバイクとは全く違った遊び方ができるでしょうね。そういう意味ではMTBライダーにも向いていますし、ツーリング派にも良いでしょう。
例えばSUPERSIXはEVOクラスだと初心者にはやや扱いづらい面がありますが、シナプスは高級なHI-MODグレードでもとても乗りやすい。初心者だけれど良い物が欲しい、というニーズにはベストな一台じゃないかと思いますね。
待望のディスクブレーキ化を果たしたSYNAPSE
2013年にピュアレーサーであるSUPERSIX EVOと双璧を成すエンデュランスロードとして華々しくデビューした新型シナプス。そのデビューイヤーにはペーター・サガンがヘント~ウェヴェルヘムで優勝(華麗なウイリーゴールを覚えている方も多いはず)、今年2014シーズンにはストラーデ・ビアンケで2位、E3プライスで優勝。その他のクラシックレースでもキャノンデールグリーンのシナプスは大きな存在感を見せてきた。
そして今回のプレスローンチでは、そんなシナプスの上級グレード「HI-MOD」のディスクブレーキ対応モデルが登場。昨年からアルミ製シナプスのディスクブレーキバージョンは存在していたものの、カーボンモデルとしては初めてであり、そのエンデュランスロードというカテゴリー故に以前から登場が待たれていた。
今回のディスクブレーキ化にあたっては、ブレーキキャリパーの搭載位置変更と制動力アップに対応するためフロントフォークとリアバックの形状を変更していることがトピックス。螺旋形状のチェーンステーとフロントフォークなど特徴はそのままだが、よく見ればキャリパーブレーキモデルと比較して若干太く、そして直線的なデザインへと変化していることに気づく。併せてカーボンレイアップの変更も行い、ディスクブレーキへの最適化を行った。ホイールの取り付けは従来通りクイックレリースで行い、リアエンド幅は135mmだ。
ただしディスクブレーキ化に関する部分以外の大きな変更は無く、SUPERSIX EVOのレーシングジオメトリと、一般的なコンフォートロードのジオメトリとのちょうど中間に値するS.E.R.G.(SYNAPSE Endurance Race Geometry)や、しなやかな乗り心地と究極の路面追従性を司るSAVE PLUS(マイクロサスペンションを進化させたもの)など、シナプスがシナプスたるテクノロジーはそのままだ。
BB周りも相変わらず特徴的。登場時に恐らく全ての人のド肝を抜いたであろう双胴シートチューブ「パワーピラミッド」や、従来のシェル幅68mmから5mm拡幅し73mm化した独自の「BB30A」ボトムブラケット、25.4mm径のシートポストなど独自路線を貫き通している。
使用する素材によってカーボンモデル2種類(バリステックHI-MODカーボンorバリステックカーボン)、アルミモデル1種類が存在するシナプスだが、今回ディスクブレーキ仕様が登場したのは上級グレードのHI-MOD。HI-MODの完成車としてはSRAM REDの油圧ディスクブレーキモデルと、シマノの油圧式ブレーキと機械式アルテグラを組み合わせたモデルの2種類。いずれもホイールはフォーミュラのCED502ディスク、ロー側カセット歯数は32Tという仕様だ。
また、このディスクブレーキムーブメントは高性能アルミロードの代名詞でもあるCAAD10にも波及。近年のキャノンデールのメインイメージとは異なる爽やかなブルーグラフィックを纏う「CAAD10 RIVAL DISC」がデビューを飾っており、こちらも話題になるはずだ。
SYNAPSE HI-MOD RED DISC
サイズ | 48,51,54,56,58cm |
フォーク | Synapse SAVE PLUS, Ball isTec Hi-MOD Carbon, Disc Specific,1-1/8” to 1-1/4” Tapered Carbon Steerer |
クランク | Cannondale Hollowgram Si PRO, BB30, FSA Chainrings , 50/34 |
BB | BB30A |
メインコンポ | SRAM RED |
ホイール | Formula CRD502 Disc |
税抜価格 | 740,000円 |
インプレッション
「上質なグランツーリスモか、WRCラリーカー。より遊びの幅が広がった」
井上寿(ストラーダバイシクルズ)
シナプスは以前から所有しており、非常に完成度の高いバイクという印象がありました。ツーリング用途として乗っているのですが、今回ディスクブレーキ化したことでよりそうした向きに適したのではないかな、と感じています。もちろんパヴェでも高性能を発揮しますし、実際に今年、私がパリ〜ルーベチャレンジに参加した時もこのバイクでした。SUPERSIX EVOがフォーミュラカーならば、シナプスは上質なグランツーリスモかWRCのラリーカー。昔のツーリングバイクがそうであったように、どんな天候でも、どんなシチュエーションでも安心して乗る事ことのできるバイクですね。
そんなシナプスにディスクブレーキですから、非常にマッチングが良い。今回はシマノの油圧ロードディスクブレーキでしたが、雨天のキャリパーブレーキに起こる空制動の時間がありません。引きも軽く、女性など握力の弱い方には非常にお勧めしやすい組み合わせだと思いました。
キャリパーブレーキとはフィーリングが違いますが、すぐに慣れるはず。濡れた路面で思いっきりレバーを引いてもスリップしづらいですし、良い製品ですね。
もともとシナプスはブレーキングの際、フォークがフレーム側に動く性格がありますが、ディスクブレーキ化したことでそれがやや強くなったように思います。停止する寸前にその性格が目立ちますが、ある程度スピードが出ている時には全く気になりません。
重量がかさんでしまうデメリットも否めなくはないですが、ディスクブレーキは低重心化という副産物を生み出しましたね。ダンシングの振りも重くないですし、28cという太いタイヤも安定感をプラスしています。キャリパーモデルと比較して少しだけキレが薄まった感じがありますが、メーカーの思惑通りの性能が出ていると思います。
シナプスはクイックなハンドリングですが、それはこのディスクブレーキモデルでも共通していました。ただしクイックすぎることもないですし、低重心化もあってコーナリング中も安心して身体を預けることができていました。
そして28cを入れてもまだ余裕のあるクリアランスも嬉しいところ。手持ちのキャリパータイプのシナプスで延々とジープロードを走ったことがありますが、泥も詰まりにくいし、乗り心地が良く安定感が高い。グラベルツーリングをはじめ、今までのロードバイクとは全く違った遊び方ができるでしょうね。そういう意味ではMTBライダーにも向いていますし、ツーリング派にも良いでしょう。
例えばSUPERSIXはEVOクラスだと初心者にはやや扱いづらい面がありますが、シナプスは高級なHI-MODグレードでもとても乗りやすい。初心者だけれど良い物が欲しい、というニーズにはベストな一台じゃないかと思いますね。
提供:キャノンデール・ジャパン 編集:シクロワイアード編集部