2014/04/15(火) - 20:50
フレームセット価格221,900円とミッドレンジに位置づけられるものの、日本国内トップチームで使われた実績から、価格を超えた高性能で人気を博しているのがエアロロードの「KURARO(クラーロ)」だ。
「KURAROはKOM直系のミッドレンジとして、走りのレスポンスを重視したレース志向のモデル。重量は最軽量レベルではないものの、ミドルクラスから上の選手が好む高い剛性に設計されている。実際に僕が乗っても満足できる」と今中さん自身もかなりお気に入りの1台だ。
フレーム単体重量は970g、フォークは380gの重量は、確かに今中さんが語る通り最軽量のスペックではないものの、レースでハンディとなるようなレベルではない。むしろ適度なチューブ肉厚で構成されるフレームは、気を遣わずレースから練習まで集中して走れるので、レース志向のライダーによってはメリットといえる。またエアロダイナミクスを意識したフォルムのモデルとしてみれば、標準的な重量ともいえるだろう。
そのフレームワークは、翼断面に成型されたシートチューブと専用ポストが印象的だが、ヘッドチューブやダウンチューブにも後端をカットアウトしたカムテールタイプのデザインを取り入れてエアロダイナミクスを追求している。そしてシートポストはKHARMA EVOと同じように前後入れ替え式の構造により、タイムトライアル/トライアスロンのDHポジションにも対応する設計だ。またワイヤー類も内蔵式の仕様で、変速部のケーブルストッパーはボルトオンの取り外し式で電動、機械式変速の双方に対応している。
「チューブ断面は凝ったデザインだよね。ダウンチューブはKOMとはまた違った菱形の断面形状ですが、十分なボリュームで剛性を確保している。トップチューブは四角断面だけど、過度な扁平仕様としないことによってレーシーな走りを素直に出せるように狙われている。
それでありながらシートチューブに向かって薄く成型することで乗り心地への配慮もしている。シートステーの接合位置をやや下げているのはクォータには多いけれど、これは加速性と乗り心地をバランスさせるためだね。またトップチューブやシートステーの接合部はチューブ同士の接合感をあえて残して、それがわかるようにペイントするなど見た目にも工夫されていて、おもしろい形状なんだ」
これらの凝ったフレームフレームワークには、PF30規格対応のハンガーシェル、ロワーベアリングを1-1/2インチに設計したテーパードヘッドチューブなど、優れたレスポンスを発揮する最新レースバイクに必要不可欠な要素もきっちり盛り込まれている。
「クォータのフロントフォークは、断面口径を大きく設計して剛性を出しているのが特徴だね。ガッチリ系だけれども、肉厚はそれほど大きくないのでストレスを感じるようなことはないだろうね。ブレードが細くて路面に対して突っ張るような感覚のあるフォークに比べると、クォータのような設計のフォークの方がロードインフォメーションを得やすくて乗りやすさがある」
こうしてKURAROのフレームワークを見てくると、最新レースバイクの最先端の設計がすべて盛り込まれている。でありながらフレームセット価格が22万円というのは、かなりお買い得感が高いといえるだろう。そして、そのパフォーマンスは昨年、宇都宮ブリッツェンの主要機として活躍したことでも実証済みだ。チームに供給されたのも、今中さんがKURAROの性能を高く評価しているからに他ならない。
「一般的にプロチームに供給するバイクというと、フラッグシップとなることが多いよね。でも僕らの場合は、実際に自分が製品を試してチームに供給するにふさわしいものを判断している。KURAROもそんな中から選ばれたモデルなんだ。ハイエンドになれば重量は軽くなるけれど、それが本当の意味で走りに結びつくかといったら、そうでないこともある。
カーボンの積層もKURARO程のレベルであれは超軽量フレームのような危うさはないので、重いホイールを履いた練習から、エアロホイールを履いてのレースまで不安なく走れるだろうね。鈴鹿みたいなサーキットでのレースやエンデューロもよく走るし、価格も抑えているのでレースを目指す人にガンガン乗ってもらえると思うよ」
加速、中・後半のスピードの伸びのよさが気持ちいい(吉本司)
吉本 : フレーム剛性はしっかりとしていて、大きなパワーもしっかりと受け止めてくれます。KHARMA EVOも剛性は高いフレームだと思うのですが、KURAROの方が軽量でカーボンの積層も違うためでしょうか、より軽快に走れる感覚が強くて加速の気持ちよさがあります。価格が違うので比べてはいけないのですが、KHARMAの後に乗ると、より一層そう感じますね。
今中 : KURAROとKHARMA EVOでは素材のグレードとチューブの肉厚も違うと思うけれど、やっぱりペダルを踏んだときのメリハリ感は、KURAROの方が強いのかな?
吉本 : KHARMAの方が一体感が強いと感じました。KURAROはヘッドからBBまでのパワーラインがしっかりと作られていてパンチのある加速ができますね。その一方でバックステーによってハンガー周りの剛性がうまく調整されているので、脚当たりもよくトルクを加えられる。それが今中さんのおっしゃる、メリハリのあるという部分もつながっていると思います。
今中 : 菱形の断面を持ったダウンチューブが効いているのかもしれない。思い切り加速をするような場面ではトルクにしっかり応えるし、エッジの効いている部分がタメを与えるような感覚を出している。
吉本 : 一瞬の立ち上がりのよさもさることながら、加速、中・後半のスピードの伸びのよさが気持ちよくて、魅力的ですね。ホイールとのマッチングのよさもあるとは思いますが、逃げみたいな場面である程度大きなトルクをかけて踏み続けるような巡航走行でも、スムーズに進んでくれる印象が強かったですね。
今中 : ブリツェンが乗っていたときも、そういった部分がメリットになっていたのかもしれないね。例えば集団内において心拍130ぐらいで巡航するような時に楽に走れるのかな。
吉本 : 僕の場合はもっと心拍は高いと思いますけど(笑)。平坦や緩斜面の高速域での巡航でもバイクがスーッと軽く流れてくれるような感覚があるので、無駄足をあまり使わずに済む感覚はありますね。
今中 : そうだね。スピードを維持しやすいバイクだよね。
吉本 : そういう意味でもカルマに比べると、より実戦で高いアドバンテージを得られるピュアレーサーだと感じました。
今中 : 確かに。レーサーとして不安要素やマイナス要素が無いように作られたバランスのいいモデルだと思うよ。
吉本 : そしてカルマ同様に安定性にとても優れていて、安心してバイクに身を任せられるのもよかったです。
今中 : クォータのモデル全体にいえることだけれど、フロントフォークは全体的に十分なボリュームがあって安心感がある。KURAROもハンドリングにナーバスさはなく扱いやすくて、乗りやすさに長けている。
例えばアルプスの崖が迫っているような難しい高速の下りを全力でダウンヒルするには、フロントフォークのボリューム感があってしっかりしているというのは必要で、その上でナーバスなハンドリングにならない程よさが必要になる。そうした点から見るとKURAROのフォークは、十分な高性能にできている。
吉本 : フロントフォークからヘッドにかけての剛性は一体感があってしっかりしていますね。横Gの強いコーナリングでは安心感はありますし、コーナーが連続する場面でも切り返しのよさも得られます。ダンシングで体を前にあずけたときも素直にバイクが進みますね。クラウンやブレードのボリュームからするともっと突き上げは強いのかと想像しましたが、荒れた路面を走っても想像以上に快適でしたし、接地感の薄い印象もありませんでした。
今中 : フロントフォークの設計には沢山の経験が必要で、メーカーのポリシーが現れる部分だよね。フォークが硬すぎて突っ張っていてると操作性がナーバスだし、柔らかすぎるとダンシングでの加速に影響を及ぼしちゃうからね。
吉本 : やはりフロントフォーク作りから始まったメーカーというのは、優れたロードバイク作りに大きな影響を与えているのでしょう。昔からフロントフォークがよくないバイクは走らないというのは定説ですからね。
今中 : なじみやすい走行性能というのは、クォータの1つの特徴なんだよね。
吉本 : 扱いやすい走行性能もさることながら、価格や堅牢性を含めたバランスにも優れているのがいいですね。レースをガンガンやるような人だと落車に巻き込まれる危険性も多いでしょうし、過度にチューブの肉厚が薄いフレームだと不安ですから、KURAROぐらいのレベルだと普段からレースまで思い切り乗れますね。しかも価格も無理なく購入できるレベルなので、万が一落車で壊した場合でも再び手に入れやすいですし。いろいろな意味でレーサーに最適なモデルだと感じました。
今中 : そうなんだよ。だから僕も自信を持ってKURAROをブリッツェンに薦めたんだよね。
KOM直系のミッドレンジモデル KURARO
「KURAROはKOM直系のミッドレンジとして、走りのレスポンスを重視したレース志向のモデル。重量は最軽量レベルではないものの、ミドルクラスから上の選手が好む高い剛性に設計されている。実際に僕が乗っても満足できる」と今中さん自身もかなりお気に入りの1台だ。
フレーム単体重量は970g、フォークは380gの重量は、確かに今中さんが語る通り最軽量のスペックではないものの、レースでハンディとなるようなレベルではない。むしろ適度なチューブ肉厚で構成されるフレームは、気を遣わずレースから練習まで集中して走れるので、レース志向のライダーによってはメリットといえる。またエアロダイナミクスを意識したフォルムのモデルとしてみれば、標準的な重量ともいえるだろう。
そのフレームワークは、翼断面に成型されたシートチューブと専用ポストが印象的だが、ヘッドチューブやダウンチューブにも後端をカットアウトしたカムテールタイプのデザインを取り入れてエアロダイナミクスを追求している。そしてシートポストはKHARMA EVOと同じように前後入れ替え式の構造により、タイムトライアル/トライアスロンのDHポジションにも対応する設計だ。またワイヤー類も内蔵式の仕様で、変速部のケーブルストッパーはボルトオンの取り外し式で電動、機械式変速の双方に対応している。
「チューブ断面は凝ったデザインだよね。ダウンチューブはKOMとはまた違った菱形の断面形状ですが、十分なボリュームで剛性を確保している。トップチューブは四角断面だけど、過度な扁平仕様としないことによってレーシーな走りを素直に出せるように狙われている。
それでありながらシートチューブに向かって薄く成型することで乗り心地への配慮もしている。シートステーの接合位置をやや下げているのはクォータには多いけれど、これは加速性と乗り心地をバランスさせるためだね。またトップチューブやシートステーの接合部はチューブ同士の接合感をあえて残して、それがわかるようにペイントするなど見た目にも工夫されていて、おもしろい形状なんだ」
レースバイクに不可欠な要素を盛り込んだエアロフォルム
これらの凝ったフレームフレームワークには、PF30規格対応のハンガーシェル、ロワーベアリングを1-1/2インチに設計したテーパードヘッドチューブなど、優れたレスポンスを発揮する最新レースバイクに必要不可欠な要素もきっちり盛り込まれている。
「クォータのフロントフォークは、断面口径を大きく設計して剛性を出しているのが特徴だね。ガッチリ系だけれども、肉厚はそれほど大きくないのでストレスを感じるようなことはないだろうね。ブレードが細くて路面に対して突っ張るような感覚のあるフォークに比べると、クォータのような設計のフォークの方がロードインフォメーションを得やすくて乗りやすさがある」
こうしてKURAROのフレームワークを見てくると、最新レースバイクの最先端の設計がすべて盛り込まれている。でありながらフレームセット価格が22万円というのは、かなりお買い得感が高いといえるだろう。そして、そのパフォーマンスは昨年、宇都宮ブリッツェンの主要機として活躍したことでも実証済みだ。チームに供給されたのも、今中さんがKURAROの性能を高く評価しているからに他ならない。
「一般的にプロチームに供給するバイクというと、フラッグシップとなることが多いよね。でも僕らの場合は、実際に自分が製品を試してチームに供給するにふさわしいものを判断している。KURAROもそんな中から選ばれたモデルなんだ。ハイエンドになれば重量は軽くなるけれど、それが本当の意味で走りに結びつくかといったら、そうでないこともある。
カーボンの積層もKURARO程のレベルであれは超軽量フレームのような危うさはないので、重いホイールを履いた練習から、エアロホイールを履いてのレースまで不安なく走れるだろうね。鈴鹿みたいなサーキットでのレースやエンデューロもよく走るし、価格も抑えているのでレースを目指す人にガンガン乗ってもらえると思うよ」
クォータ KURARO スペック
フレーム | カーボンモノコック |
フロントフォーク | カーボン製 トップ=1-1/8インチ、ボトム=1-1/2インチ インテグラルオーバーサイズ |
重量 | フレーム単体970g、フロントフォーク380g |
サイズ | XS(440)、S(465)、M(505)、L(525)C-T |
カラー | ダークグレー、ホワイト/レッド、ホワイト/シルバー、ホワイト/イエロー |
税抜価格 | 221,900円(フレームセット) 484,760円(アルテグラDi2仕様完成車) 366,665円(アルテグラ仕様完成車)、284,760円(105仕様完成車) |
インプレッション
加速、中・後半のスピードの伸びのよさが気持ちいい(吉本司)価格も抑えているのでレースを目指す人にバリバリ乗ってほしい(今中大介)
吉本 : フレーム剛性はしっかりとしていて、大きなパワーもしっかりと受け止めてくれます。KHARMA EVOも剛性は高いフレームだと思うのですが、KURAROの方が軽量でカーボンの積層も違うためでしょうか、より軽快に走れる感覚が強くて加速の気持ちよさがあります。価格が違うので比べてはいけないのですが、KHARMAの後に乗ると、より一層そう感じますね。今中 : KURAROとKHARMA EVOでは素材のグレードとチューブの肉厚も違うと思うけれど、やっぱりペダルを踏んだときのメリハリ感は、KURAROの方が強いのかな?
吉本 : KHARMAの方が一体感が強いと感じました。KURAROはヘッドからBBまでのパワーラインがしっかりと作られていてパンチのある加速ができますね。その一方でバックステーによってハンガー周りの剛性がうまく調整されているので、脚当たりもよくトルクを加えられる。それが今中さんのおっしゃる、メリハリのあるという部分もつながっていると思います。
今中 : 菱形の断面を持ったダウンチューブが効いているのかもしれない。思い切り加速をするような場面ではトルクにしっかり応えるし、エッジの効いている部分がタメを与えるような感覚を出している。
吉本 : 一瞬の立ち上がりのよさもさることながら、加速、中・後半のスピードの伸びのよさが気持ちよくて、魅力的ですね。ホイールとのマッチングのよさもあるとは思いますが、逃げみたいな場面である程度大きなトルクをかけて踏み続けるような巡航走行でも、スムーズに進んでくれる印象が強かったですね。
今中 : ブリツェンが乗っていたときも、そういった部分がメリットになっていたのかもしれないね。例えば集団内において心拍130ぐらいで巡航するような時に楽に走れるのかな。
吉本 : 僕の場合はもっと心拍は高いと思いますけど(笑)。平坦や緩斜面の高速域での巡航でもバイクがスーッと軽く流れてくれるような感覚があるので、無駄足をあまり使わずに済む感覚はありますね。
今中 : そうだね。スピードを維持しやすいバイクだよね。
吉本 : そういう意味でもカルマに比べると、より実戦で高いアドバンテージを得られるピュアレーサーだと感じました。
今中 : 確かに。レーサーとして不安要素やマイナス要素が無いように作られたバランスのいいモデルだと思うよ。
吉本 : そしてカルマ同様に安定性にとても優れていて、安心してバイクに身を任せられるのもよかったです。
今中 : クォータのモデル全体にいえることだけれど、フロントフォークは全体的に十分なボリュームがあって安心感がある。KURAROもハンドリングにナーバスさはなく扱いやすくて、乗りやすさに長けている。
例えばアルプスの崖が迫っているような難しい高速の下りを全力でダウンヒルするには、フロントフォークのボリューム感があってしっかりしているというのは必要で、その上でナーバスなハンドリングにならない程よさが必要になる。そうした点から見るとKURAROのフォークは、十分な高性能にできている。
吉本 : フロントフォークからヘッドにかけての剛性は一体感があってしっかりしていますね。横Gの強いコーナリングでは安心感はありますし、コーナーが連続する場面でも切り返しのよさも得られます。ダンシングで体を前にあずけたときも素直にバイクが進みますね。クラウンやブレードのボリュームからするともっと突き上げは強いのかと想像しましたが、荒れた路面を走っても想像以上に快適でしたし、接地感の薄い印象もありませんでした。
今中 : フロントフォークの設計には沢山の経験が必要で、メーカーのポリシーが現れる部分だよね。フォークが硬すぎて突っ張っていてると操作性がナーバスだし、柔らかすぎるとダンシングでの加速に影響を及ぼしちゃうからね。
吉本 : やはりフロントフォーク作りから始まったメーカーというのは、優れたロードバイク作りに大きな影響を与えているのでしょう。昔からフロントフォークがよくないバイクは走らないというのは定説ですからね。
今中 : なじみやすい走行性能というのは、クォータの1つの特徴なんだよね。
吉本 : 扱いやすい走行性能もさることながら、価格や堅牢性を含めたバランスにも優れているのがいいですね。レースをガンガンやるような人だと落車に巻き込まれる危険性も多いでしょうし、過度にチューブの肉厚が薄いフレームだと不安ですから、KURAROぐらいのレベルだと普段からレースまで思い切り乗れますね。しかも価格も無理なく購入できるレベルなので、万が一落車で壊した場合でも再び手に入れやすいですし。いろいろな意味でレーサーに最適なモデルだと感じました。
今中 : そうなんだよ。だから僕も自信を持ってKURAROをブリッツェンに薦めたんだよね。
提供:インターマックス text:吉本司 編集:シクロワイアード