2012/04/07(土) - 07:09
記念すべき初開催を迎えた「宮崎アースライド2012」。前日編に続いて、110kmコースを走った編集部による実走レポートをお届けします。
スタッフも合わせて400名以上が宮崎アースライドを走った
前日レポートを担当した編集長からバトンタッチして、当日編の走行レポートを担当するのは私、CW編集部員・磯部。私が宮崎入りをしたのは大会前日、土曜日の夕方頃。昼すぎからは白戸太朗さんによるロングライド講習会が催されていたが間に合わず、前夜祭開始5分前に会場になだれ込んだ。
パーティーの詳しい様子は前日編をご覧いただくとして、「霧島酒造プレゼンツ」のタイトルがつくこのパーティーでは、焼酎やビールが飲み放題。それはもう凄い勢いで皆さんの顔が真っ赤になっていった(笑)が、お酒が非常に弱い私は延々ソフトドリンクでちょっと残念な感じ。
けれどおいしい料理や、アースライドならではのユルくてハッピーな雰囲気に包まれて大満足。明日の天気予報は雨ということで、しっかりと雨準備をして布団にくるまった。
ナビゲーターを務める白戸太朗さんと美崎悠さんのお二人
宮崎地鶏にちなんでヒヨコが2羽登場!?
迎えた当日の朝、ホテルの外の道路は乾いていて、ひとまず天気は持ってくれている。まだ薄暗い中、ユルいミュージックが流れる大淀川河川敷の会場へ。今回大会にエントリーした総数は391名。私自身アースライドの取材は2回目だが、やはり女性の割合の多さに驚かされる。おそらく女性の数は日本中のどのサイクリングイベントよりも多いのでは、と思うほど。
フェニックスが立ち並ぶ国道を走りだしていく 続々と集まってくる皆さんは、バリバリにキメたレーサージャージの方はそこそこに、仲間や家族を連れて、わいわいと楽しみながら参加している方が多い。
こんな雰囲気はビギナーの緊張を解してくれるのでいいなぁと思う。宮崎ならでは(地鶏)のヒヨコも2羽いるしね(写真参照・笑)。
7時を迎えると、順次スタートを切っていく。片側2車線の国道に出て、車列は一路南へ。交通量の多い宮崎の大動脈とはいえ少し走れば車も少なく、舗装もキレイなのでとても走りやすい。道にどこまでもずっと並ぶフェニックスが、宮崎に来たんだぞ!という気分にさせてくれる。
すぐのエイドで手早く補給を済ませ出発をすると、ついに雨である。本降りではないが、軽量性重視でチョイスしたデジタル一眼カメラは非常に水に弱い。濡らさないように袋へ入れ、背中に背負ったバックパックに入れたり出したりしながらの取材となった。
田中律子さんも走ります。フォームも決まってる!
その場で特産日向夏を剥いてくれました。とっても美味しかった!
コースは日南海岸へ出ると、次なるエイド「道の駅フェニックス」へと到着した。ここまでの走行距離は20kmほどと、休憩を入れるのにちょうど良い距離だ。こちらに並べられた特産の日向夏はあまり関東では馴染みのない柑橘類だけれど、皮の白い部分にも甘みがあってとても美味しい。甘酸っぱさが体をリフレッシュさせてくれる。
ヤシの木と、海岸まで張り出した荒々しい九州の風土を横目に (c)アースライド
大雨が打ち付ける中、海岸線を走った (c)アースライド
迫り来る雨雲から追い立てられる様に出発すると、ここからが宮崎アースライドのハイライト区間だ。海岸線のアップダウンをこなす道からは、日向灘と、「鬼の洗濯岩」と呼ばれる特徴的な海岸線をはるかに見渡す事ができる。折しもスコールのような大雨に降られてしまい、カメラを出すことが出来なかったのが悔やまれる。風光明媚で超有名な日南海岸を自転車で走っている皆さんの姿を写真でお見せすることができなくてゴメンナサイ。
宮崎限定、マンゴー味のスコールを頂きます それでも、九州独特の海岸線に張り出す荒々しい山の稜線と、そこへと架かる低い雲、そして日向灘の組み合わせが雨に白く霞み、山水画に描かれたような美しさを見せている。
この区間では白戸太朗さんや田中律子さんと走ったが、最長走行距離が20kmとは思えないほど田中律子さんのフォームはバッチリ。ペースもなかなかで、さすが太朗さんにコーチングを受けているだけあるな、と感じた。
鵜戸神社に設定されたエイドでは、宮崎マンゴー風味のご当地ドリンクを補給して再出発すると、海岸線からコースは内陸へ。
九州の内陸は高い山岳があるため平坦基調だが、実はじっくりと登っている。辺りは田植えを控えた田園地帯が広がり、春を感じるのどかな雰囲気だ。この頃になると雨も弱まってきて、少し暖かくも感じる。やがて60km地点のエイドステーション、飫肥(おび)城址へ到着した。
城下町の面影を色濃く残す飫肥の街並みを行く
振舞われた豚汁は大人気。身も心も温まりますね
飫肥地区は、江戸時代の武家屋敷などの街並みが現在も残る城下町。周辺は歴史を感じさせる通りや商店なども多く、旅したくなるような場所柄だ。60kmコースの参加者はこのエイドでゴールとなり、最寄りの駅からローカル線に乗り込んで宮崎へと戻る。自転車はトラックへ積み、身軽で車窓の景色を楽しむことができるという、なんとも「旅」気分が味わえる素敵なコース設定である。
頂上が近づくにつれ、勾配もキツくなっていく 一方110kmへ進む私達はここからが最大の難所。この先に控える大戸野越(峠)は距離5kmで標高差400mを稼ぐ本格的な峠道だ。
飫肥のエイドで白戸さんと合流した私は、他数名の脚自慢の参加者たちと一緒に快調なペースで走っていく。すると緩やかに始まった上りで白戸さんがペースアップ。ふと白戸さんの顔を見ると、あ、練習モードに入ってる(笑)。
2人で登りを飛ばしていくが、そこは世界で活躍する白戸さん。練習不足気味(←言い訳)の私にはペースが辛く、頂上付近で見事に千切られてしまった。
この頃には天気も回復し、晴れ間ものぞくようになっていた。やっと撮影できるコンディションになったため、峠の写真を抑えるべくUターン。下っている途中で美崎悠さんが登ってきたので、ここへ合流することにした。
峠の片隅には、少し早い春が来ていた
もう少しで頂上です、頑張れ!
峠も終盤になると10%超えの箇所があって休憩を入れている方も多いのだが、悠さんはイタリアのグランフォンド出場を目標としているだけあって、快調なペースで登っていく。頂上付近では晴れ間から日差しが差し込み、爽快なパノラマを望むことができた。撮った写真の周辺がボヤけているのは、雨に濡れたカメラだから。この写真のごとく、濡れ続けた身体も陽にあたって徐々に乾いて行くような感じでした(笑)。
大パノラマが広がる大戸野越頂上からの爽快な眺め
路面も乾いてきて、ゆったりしたカーブが続く気持ちの良いダウンヒルを楽しむと、「道の駅 田野」で最後のエイド休憩を入れる。峠をこなした達成感と、暖かい陽気につられてみなさん座りこんでゆったりと休憩。どら焼きやトマトなどが疲れた体にとても嬉しい。残りは20kmで、下り基調なのでペースも快調に、悠さんたちとグループを作ってゴールを目指していく。
日向夏ドリンクと笑顔で元気をチャージ
菜の花畑は見頃を迎えていた
市街地に入り、そろそろゴールが近づいてきた頃、あれ、何か違和感が?と思ったらここでゲゲゲのパンクである。よりによってラスト4kmでパンクしなくてもいいじゃないか...。
濡れた路面はパンクを誘発しやすいので、雨の中を走る際には十分な対策を取る必要がある。そういう訳で、決して日頃の行いが悪いわけではないです。多分。
走りきった後の最高の笑顔をパチリ
香ばしい炭火焼地鶏は最高に美味しかった!
さっと修理を済ませて、再出発したらすぐにゴールを迎えた。ちょっとだけ最後がキマらなかったけれど、それでも110kmという距離以上に走りごたえたっぷり。毎回アースライドのコースは何らかのアクセントがつけられ、しっかりと走りたい方でも満足できるし、ショートコースもあって走りに自身の無い人も完走できちゃうイベントだなと改めて実感できた。
特に閉会式も無く、ロハスなミュージックが流れる雰囲気の中、皆さんはそれぞれ解散していく。このあたりのフリーダムな感じもアースライド本来の魅力。会場で香ばしく焼かれていた名物の炭火焼地鶏に舌鼓を打ちつつ、私の大会取材も幕を閉じた。このバーベQの地鶏を食べに来るだけでも価値アリと思えるほど、美味しい完走のご褒美だった。
*この後の大会関係者の打ち上げに参加させて頂き、銘酒・霧島1杯で「途中落車するほど」楽しんだのはここだけの秘密である。
フォトギャラリー(Google Picasaウェブアルバム)
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO&So.Isobe
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前日レポートを担当した編集長からバトンタッチして、当日編の走行レポートを担当するのは私、CW編集部員・磯部。私が宮崎入りをしたのは大会前日、土曜日の夕方頃。昼すぎからは白戸太朗さんによるロングライド講習会が催されていたが間に合わず、前夜祭開始5分前に会場になだれ込んだ。
パーティーの詳しい様子は前日編をご覧いただくとして、「霧島酒造プレゼンツ」のタイトルがつくこのパーティーでは、焼酎やビールが飲み放題。それはもう凄い勢いで皆さんの顔が真っ赤になっていった(笑)が、お酒が非常に弱い私は延々ソフトドリンクでちょっと残念な感じ。
けれどおいしい料理や、アースライドならではのユルくてハッピーな雰囲気に包まれて大満足。明日の天気予報は雨ということで、しっかりと雨準備をして布団にくるまった。
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迎えた当日の朝、ホテルの外の道路は乾いていて、ひとまず天気は持ってくれている。まだ薄暗い中、ユルいミュージックが流れる大淀川河川敷の会場へ。今回大会にエントリーした総数は391名。私自身アースライドの取材は2回目だが、やはり女性の割合の多さに驚かされる。おそらく女性の数は日本中のどのサイクリングイベントよりも多いのでは、と思うほど。
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こんな雰囲気はビギナーの緊張を解してくれるのでいいなぁと思う。宮崎ならでは(地鶏)のヒヨコも2羽いるしね(写真参照・笑)。
7時を迎えると、順次スタートを切っていく。片側2車線の国道に出て、車列は一路南へ。交通量の多い宮崎の大動脈とはいえ少し走れば車も少なく、舗装もキレイなのでとても走りやすい。道にどこまでもずっと並ぶフェニックスが、宮崎に来たんだぞ!という気分にさせてくれる。
すぐのエイドで手早く補給を済ませ出発をすると、ついに雨である。本降りではないが、軽量性重視でチョイスしたデジタル一眼カメラは非常に水に弱い。濡らさないように袋へ入れ、背中に背負ったバックパックに入れたり出したりしながらの取材となった。
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コースは日南海岸へ出ると、次なるエイド「道の駅フェニックス」へと到着した。ここまでの走行距離は20kmほどと、休憩を入れるのにちょうど良い距離だ。こちらに並べられた特産の日向夏はあまり関東では馴染みのない柑橘類だけれど、皮の白い部分にも甘みがあってとても美味しい。甘酸っぱさが体をリフレッシュさせてくれる。
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迫り来る雨雲から追い立てられる様に出発すると、ここからが宮崎アースライドのハイライト区間だ。海岸線のアップダウンをこなす道からは、日向灘と、「鬼の洗濯岩」と呼ばれる特徴的な海岸線をはるかに見渡す事ができる。折しもスコールのような大雨に降られてしまい、カメラを出すことが出来なかったのが悔やまれる。風光明媚で超有名な日南海岸を自転車で走っている皆さんの姿を写真でお見せすることができなくてゴメンナサイ。
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この区間では白戸太朗さんや田中律子さんと走ったが、最長走行距離が20kmとは思えないほど田中律子さんのフォームはバッチリ。ペースもなかなかで、さすが太朗さんにコーチングを受けているだけあるな、と感じた。
鵜戸神社に設定されたエイドでは、宮崎マンゴー風味のご当地ドリンクを補給して再出発すると、海岸線からコースは内陸へ。
九州の内陸は高い山岳があるため平坦基調だが、実はじっくりと登っている。辺りは田植えを控えた田園地帯が広がり、春を感じるのどかな雰囲気だ。この頃になると雨も弱まってきて、少し暖かくも感じる。やがて60km地点のエイドステーション、飫肥(おび)城址へ到着した。
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飫肥地区は、江戸時代の武家屋敷などの街並みが現在も残る城下町。周辺は歴史を感じさせる通りや商店なども多く、旅したくなるような場所柄だ。60kmコースの参加者はこのエイドでゴールとなり、最寄りの駅からローカル線に乗り込んで宮崎へと戻る。自転車はトラックへ積み、身軽で車窓の景色を楽しむことができるという、なんとも「旅」気分が味わえる素敵なコース設定である。
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飫肥のエイドで白戸さんと合流した私は、他数名の脚自慢の参加者たちと一緒に快調なペースで走っていく。すると緩やかに始まった上りで白戸さんがペースアップ。ふと白戸さんの顔を見ると、あ、練習モードに入ってる(笑)。
2人で登りを飛ばしていくが、そこは世界で活躍する白戸さん。練習不足気味(←言い訳)の私にはペースが辛く、頂上付近で見事に千切られてしまった。
この頃には天気も回復し、晴れ間ものぞくようになっていた。やっと撮影できるコンディションになったため、峠の写真を抑えるべくUターン。下っている途中で美崎悠さんが登ってきたので、ここへ合流することにした。
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峠も終盤になると10%超えの箇所があって休憩を入れている方も多いのだが、悠さんはイタリアのグランフォンド出場を目標としているだけあって、快調なペースで登っていく。頂上付近では晴れ間から日差しが差し込み、爽快なパノラマを望むことができた。撮った写真の周辺がボヤけているのは、雨に濡れたカメラだから。この写真のごとく、濡れ続けた身体も陽にあたって徐々に乾いて行くような感じでした(笑)。
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市街地に入り、そろそろゴールが近づいてきた頃、あれ、何か違和感が?と思ったらここでゲゲゲのパンクである。よりによってラスト4kmでパンクしなくてもいいじゃないか...。
濡れた路面はパンクを誘発しやすいので、雨の中を走る際には十分な対策を取る必要がある。そういう訳で、決して日頃の行いが悪いわけではないです。多分。
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さっと修理を済ませて、再出発したらすぐにゴールを迎えた。ちょっとだけ最後がキマらなかったけれど、それでも110kmという距離以上に走りごたえたっぷり。毎回アースライドのコースは何らかのアクセントがつけられ、しっかりと走りたい方でも満足できるし、ショートコースもあって走りに自身の無い人も完走できちゃうイベントだなと改めて実感できた。
特に閉会式も無く、ロハスなミュージックが流れる雰囲気の中、皆さんはそれぞれ解散していく。このあたりのフリーダムな感じもアースライド本来の魅力。会場で香ばしく焼かれていた名物の炭火焼地鶏に舌鼓を打ちつつ、私の大会取材も幕を閉じた。このバーベQの地鶏を食べに来るだけでも価値アリと思えるほど、美味しい完走のご褒美だった。
*この後の大会関係者の打ち上げに参加させて頂き、銘酒・霧島1杯で「途中落車するほど」楽しんだのはここだけの秘密である。
フォトギャラリー(Google Picasaウェブアルバム)
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO&So.Isobe
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