2011/09/05(月) - 22:11
今年もやってきましたユーロバイク。20周年を迎えるユーロバイクは各国の自転車関係者が一同に会する大展示会。やっぱり気になるのは、発表されたばかりのニューモデル&プロダクツだ。現地で集めたユーロバイクのホットな情報をお届けしましよう。
快適性を重視したマビックのニューヘルメット
ユーロバイクの開幕直前、DEMO DAYの行なわれた8月30日の夜に、世界に先駆け発表されたのがマビックの新作ヘルメット。イメージカラーのイエローに彩られたヘルメットは、細部の仕様や形状に至るまでマビックの理想を詰め込んだ、全くのブランニューモデルとしてデビューした。
リゾート地としても有名なボーデン湖に浮かぶ島、リンダウのホテルで発表されたニューモデルは、クリーンでシャープなデザイン。各国から主要な自転車メディアが参加して行なわれた発表会には、マビックのフランス本社より、セールスマネージャー、プロダクトマネージャー、それにデザイナーも出席し、各国メディアから飛び交う多くの質問に直接対応した。
ヘルメットというマビックにとって新しいプロダクトをスタートするにあたり、最も重視したのは「快適性能」。それを現すかのように、シンプルで素直なフォルムを実現している。ヘルメットメーカーとしては後発ながら、決して奇をてらったようなことのないフォルムは、マビックの他の製品にも通ずるモノ作りの真摯な姿勢が伺える。
デザイナーのシルヴァンに話しを聞くと、デザインのインスピレーションはクルマや航空機、魚などをモチーフに風に沿うようなスピード感を追求。正面に入る“M”のマークはクルマのエンブレム、上部のフィン状のサイドに入るロゴは飛行機の尾翼のイメージを加味したデザインだという。
これでヘルメット、ウエア、シューズと全身マビックで揃えることも可能となった。ヨーロッパでは早くも10月より発売予定。しかし現状では残念ながら日本への入荷予定はない。というのも日本人の頭にフィットするアジアンフィットを開発中で、その完成を待ってからだという。完璧主義のマビックのこと、アジアンフィットの完成度を楽しみに待つことにしよう。
驚きのブレーキシステムを搭載したリドレー ノア
今年のツール・ド・フランスでレース中にクルマに接触、有刺鉄線に跳ね飛ばされるという悲劇的な事故にあいながら、見事完走を果たしたジョニー・フーガーランド。彼が所属するヴァカンソレイユ・DCMが使用するバイクがリドレー。このベルギーブランドがユーロバイクに持ち込んだのは、独自のブレーキシステムを持つ新しいリドレー ノア。一見すると最近流行のエアロスタイル・ロードバイク、ところがそこには見たこともないオリジナルのブレーキシステムが装着される。
前も後ろも見慣れたブレーキアーチはどこにも見当たらず、ブレーキシューだけが控えめに見えている。そのしくみをよく見てみると、フレームやフォーク自体がブレーキアーチの役割をした専用設計。何とも大胆な構造を採用するブレーキシステムとなっていた。
この構造のメリットをさっそくリドレースタッフに聞いてみると、まず第一にはエアロダイナミクスに優れること。それとキャリパーブレーキに比べ可動部分が無いので、スムーズな動きに貢献、またリリースした際には大きくブレーキが開き、ホイール交換が素早くできるという。
このモデルは前日のDEMO DAYでも試乗車が用意されていた。ほんの僅かな時間ながら、そのブレーキに触れてみると、見た目に反して効き味はごく普通という印象。ブレーキ性能を試すようなことは出来なかったが、少なくとも乗車している限りはノーマルブレーキと何ら変わりなく、違和感などは全く感じない。ヴァカンソレイユ・DCMがツール・ド・フランスで実戦投入していたので、レースバイクとしての戦闘力は折り紙つきと思っていいだろう。
800gを下回る超軽量フレーム ウィリエール・ゼロポイント7
アレッサンドロ・ペタッキやダミアーノ・クネゴなどのイタリアのスーパースター達が駆るウィリエール。彼らの活躍を見ても判る通り、これまではどちらかというと、軽量さよりもプロがレースで勝てる実戦的なバイク作りに徹していたイタリアン・ブランドだ。そのウィリエールが満を持して投入した軽量バイクが、このゼロポイント7。
車名の「zero.7」とは0.7kgを現す。つまりフレーム重量700g代ということをそのまま車名として採用する。実際の重量の方はMサイズのフレームで750g、フォーク重量は360gという。
興味深いのはカーボン積層にS.E.I.と呼ばれる、フィルムを挟み込んで成形していること。カーボンの中間層に入れられるこのフィルムは振動を吸収して乗り心地を向上、フレーム剛性のアップにも貢献するという。
またBBにはFSAが提唱する新規格“BB386"を採用する。専用のBBと専用のクランクで構成されるこのBB386は、よりたくましいBBシェルを持ち剛性に富んだフレームを実現することが出来るという。この新規格は今のところウィリエールとBHだけに独占供給されるものだ。
実車を目の当たりにすると、マットブラックとレッドのカラーリングが怪しくもカッコいい。多くのトピックスを持つウィリエール・ゼロポイント7だが、ウィリエールによるとプロが使用するモデルは熟成を重ねた従来モデル、チェント・ウノだという。この辺も実戦的なバイク作りを信条とするウィリエールらしいところだ。
サイクルコンピューターが一体となったステム、3T & Cycle Ops
イタリアの自転車パーツブランド3Tは、Cycle Opsと共同で新しいシステムを開発した。3Tの専用ステムには、Cycle Opsのコンピューターが一体となってデザインされ、きれいにハンドル部分に装着される。このコンピューターはGPSが内蔵されたモデルになるようだ。
システムには通常のサイクルコンピューターに加え、パワータップも含まれるもの。全体のシステムは、3TのMETAクランクがケイデンスのセンサーとなり、パワーの方は3Tのリアホイール、メルキュリオのハブ部分にパワーセンサーが組み込まれ、ステムと一体となったコンピュータに送られる。
ステム一体型コンピューターは、空力性能の向上に貢献することとなる。自転車本体に加え、こういったパーツ側でのエアロダイナミクスも、今後の大きなテーマとなることだろう。
さてここからはレポーターが選んだ、ユーロバイクならではの華やかなネタをご紹介。難しいことは抜きにお付き合い下さい。
今年のツール・ド・フランスで引退を表明したヴィノクロフのバイクが展示。スペシャルペイントが施されたスペシャライズドは、デザインも仕上がりも素晴らしい!もしこのまま発売されたら、思わず欲しくなってしまいそうなスペシャルバイクだ。
引退した今でも抜群の人気を誇る、イタリアの伊達男マリオ・チポッリーニ。怪しくも華やかなチポッリーニのブースには、我らが宮澤崇史が所属するファルネーゼ・ビーニのチームカラー・バイクが展示。ブラックで統一した薄暗いブースの中でスポットライトを浴び浮かび上がる。このRB1000というバイク自体もかなりイケイケのデザインで、なんだかそれだけでテンションが上がる。
カンパニョーロのブースでぜひ注目したいのが、このシクロクロス用のパーツ類。2011モデルとしてホイール共々ラインナップされたので、新しさという点では話題は少ないが、こうして専用パーツがラインナップされることは、ただいま世界的にもシクロクロスが赤丸急上昇中!?
ユーロバイク恒例のコレを楽しみにしている人も多いハズ。そのご期待に応えてしっかりとキャッチ!この際、野暮な説明は省きます。
ベルのブースにはかっこいいTTヘルメットがありました。後頭部に続くパープルのラインが、レース過ぎてなくて逆にナイスなカラーリング。
その昔、独自のアーティスティックなペイントで一世を風靡したコルナゴ。こちらは一転してモードなカラーを手に入れて会場にあらわれたTTバイク・フライトT。ドスの利いたカラーリングが、かなり今っぽい。
マキシスのブースには、なんとe-Bike(電動自転車)用のタイヤがお目見え。まだプロトタイプのようで詳しい内容は聞けなかったが、もしかして電池の寿命が伸びるeco性能なんかが搭載されていたりして?どちらにしても、それだけe-Bikeという市場が大きくなっているということなのだろう。
e-Bikeつながりの話題をもう一点。昨年のユーロバイクでワールドプレミアを果たした、コラテックの電動バイク、e-bowがブラッシュアップして登場。ヘッドの補強や極太のチェーンステー周りを見ると、かなり剛性アップが図られている様子だ。
photo&text : Takashi.KAYABA
快適性を重視したマビックのニューヘルメット
ユーロバイクの開幕直前、DEMO DAYの行なわれた8月30日の夜に、世界に先駆け発表されたのがマビックの新作ヘルメット。イメージカラーのイエローに彩られたヘルメットは、細部の仕様や形状に至るまでマビックの理想を詰め込んだ、全くのブランニューモデルとしてデビューした。
リゾート地としても有名なボーデン湖に浮かぶ島、リンダウのホテルで発表されたニューモデルは、クリーンでシャープなデザイン。各国から主要な自転車メディアが参加して行なわれた発表会には、マビックのフランス本社より、セールスマネージャー、プロダクトマネージャー、それにデザイナーも出席し、各国メディアから飛び交う多くの質問に直接対応した。
ヘルメットというマビックにとって新しいプロダクトをスタートするにあたり、最も重視したのは「快適性能」。それを現すかのように、シンプルで素直なフォルムを実現している。ヘルメットメーカーとしては後発ながら、決して奇をてらったようなことのないフォルムは、マビックの他の製品にも通ずるモノ作りの真摯な姿勢が伺える。
デザイナーのシルヴァンに話しを聞くと、デザインのインスピレーションはクルマや航空機、魚などをモチーフに風に沿うようなスピード感を追求。正面に入る“M”のマークはクルマのエンブレム、上部のフィン状のサイドに入るロゴは飛行機の尾翼のイメージを加味したデザインだという。
これでヘルメット、ウエア、シューズと全身マビックで揃えることも可能となった。ヨーロッパでは早くも10月より発売予定。しかし現状では残念ながら日本への入荷予定はない。というのも日本人の頭にフィットするアジアンフィットを開発中で、その完成を待ってからだという。完璧主義のマビックのこと、アジアンフィットの完成度を楽しみに待つことにしよう。
驚きのブレーキシステムを搭載したリドレー ノア
今年のツール・ド・フランスでレース中にクルマに接触、有刺鉄線に跳ね飛ばされるという悲劇的な事故にあいながら、見事完走を果たしたジョニー・フーガーランド。彼が所属するヴァカンソレイユ・DCMが使用するバイクがリドレー。このベルギーブランドがユーロバイクに持ち込んだのは、独自のブレーキシステムを持つ新しいリドレー ノア。一見すると最近流行のエアロスタイル・ロードバイク、ところがそこには見たこともないオリジナルのブレーキシステムが装着される。
前も後ろも見慣れたブレーキアーチはどこにも見当たらず、ブレーキシューだけが控えめに見えている。そのしくみをよく見てみると、フレームやフォーク自体がブレーキアーチの役割をした専用設計。何とも大胆な構造を採用するブレーキシステムとなっていた。
この構造のメリットをさっそくリドレースタッフに聞いてみると、まず第一にはエアロダイナミクスに優れること。それとキャリパーブレーキに比べ可動部分が無いので、スムーズな動きに貢献、またリリースした際には大きくブレーキが開き、ホイール交換が素早くできるという。
このモデルは前日のDEMO DAYでも試乗車が用意されていた。ほんの僅かな時間ながら、そのブレーキに触れてみると、見た目に反して効き味はごく普通という印象。ブレーキ性能を試すようなことは出来なかったが、少なくとも乗車している限りはノーマルブレーキと何ら変わりなく、違和感などは全く感じない。ヴァカンソレイユ・DCMがツール・ド・フランスで実戦投入していたので、レースバイクとしての戦闘力は折り紙つきと思っていいだろう。
800gを下回る超軽量フレーム ウィリエール・ゼロポイント7
アレッサンドロ・ペタッキやダミアーノ・クネゴなどのイタリアのスーパースター達が駆るウィリエール。彼らの活躍を見ても判る通り、これまではどちらかというと、軽量さよりもプロがレースで勝てる実戦的なバイク作りに徹していたイタリアン・ブランドだ。そのウィリエールが満を持して投入した軽量バイクが、このゼロポイント7。
車名の「zero.7」とは0.7kgを現す。つまりフレーム重量700g代ということをそのまま車名として採用する。実際の重量の方はMサイズのフレームで750g、フォーク重量は360gという。
興味深いのはカーボン積層にS.E.I.と呼ばれる、フィルムを挟み込んで成形していること。カーボンの中間層に入れられるこのフィルムは振動を吸収して乗り心地を向上、フレーム剛性のアップにも貢献するという。
またBBにはFSAが提唱する新規格“BB386"を採用する。専用のBBと専用のクランクで構成されるこのBB386は、よりたくましいBBシェルを持ち剛性に富んだフレームを実現することが出来るという。この新規格は今のところウィリエールとBHだけに独占供給されるものだ。
実車を目の当たりにすると、マットブラックとレッドのカラーリングが怪しくもカッコいい。多くのトピックスを持つウィリエール・ゼロポイント7だが、ウィリエールによるとプロが使用するモデルは熟成を重ねた従来モデル、チェント・ウノだという。この辺も実戦的なバイク作りを信条とするウィリエールらしいところだ。
サイクルコンピューターが一体となったステム、3T & Cycle Ops
イタリアの自転車パーツブランド3Tは、Cycle Opsと共同で新しいシステムを開発した。3Tの専用ステムには、Cycle Opsのコンピューターが一体となってデザインされ、きれいにハンドル部分に装着される。このコンピューターはGPSが内蔵されたモデルになるようだ。
システムには通常のサイクルコンピューターに加え、パワータップも含まれるもの。全体のシステムは、3TのMETAクランクがケイデンスのセンサーとなり、パワーの方は3Tのリアホイール、メルキュリオのハブ部分にパワーセンサーが組み込まれ、ステムと一体となったコンピュータに送られる。
ステム一体型コンピューターは、空力性能の向上に貢献することとなる。自転車本体に加え、こういったパーツ側でのエアロダイナミクスも、今後の大きなテーマとなることだろう。
さてここからはレポーターが選んだ、ユーロバイクならではの華やかなネタをご紹介。難しいことは抜きにお付き合い下さい。
今年のツール・ド・フランスで引退を表明したヴィノクロフのバイクが展示。スペシャルペイントが施されたスペシャライズドは、デザインも仕上がりも素晴らしい!もしこのまま発売されたら、思わず欲しくなってしまいそうなスペシャルバイクだ。
引退した今でも抜群の人気を誇る、イタリアの伊達男マリオ・チポッリーニ。怪しくも華やかなチポッリーニのブースには、我らが宮澤崇史が所属するファルネーゼ・ビーニのチームカラー・バイクが展示。ブラックで統一した薄暗いブースの中でスポットライトを浴び浮かび上がる。このRB1000というバイク自体もかなりイケイケのデザインで、なんだかそれだけでテンションが上がる。
カンパニョーロのブースでぜひ注目したいのが、このシクロクロス用のパーツ類。2011モデルとしてホイール共々ラインナップされたので、新しさという点では話題は少ないが、こうして専用パーツがラインナップされることは、ただいま世界的にもシクロクロスが赤丸急上昇中!?
ユーロバイク恒例のコレを楽しみにしている人も多いハズ。そのご期待に応えてしっかりとキャッチ!この際、野暮な説明は省きます。
ベルのブースにはかっこいいTTヘルメットがありました。後頭部に続くパープルのラインが、レース過ぎてなくて逆にナイスなカラーリング。
その昔、独自のアーティスティックなペイントで一世を風靡したコルナゴ。こちらは一転してモードなカラーを手に入れて会場にあらわれたTTバイク・フライトT。ドスの利いたカラーリングが、かなり今っぽい。
マキシスのブースには、なんとe-Bike(電動自転車)用のタイヤがお目見え。まだプロトタイプのようで詳しい内容は聞けなかったが、もしかして電池の寿命が伸びるeco性能なんかが搭載されていたりして?どちらにしても、それだけe-Bikeという市場が大きくなっているということなのだろう。
e-Bikeつながりの話題をもう一点。昨年のユーロバイクでワールドプレミアを果たした、コラテックの電動バイク、e-bowがブラッシュアップして登場。ヘッドの補強や極太のチェーンステー周りを見ると、かなり剛性アップが図られている様子だ。
photo&text : Takashi.KAYABA
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