2011/07/23(土) - 07:39
いつもの編集会議で懲りもせずにいつもの様にメタボ会長が口を開く。 「俺のニューバイクがいよいよ今週納車なんだよねぇ。そこでだけど近々ロングライドの取材予定って何か入ってないのかな?」
関わりを極力避けたい私達編集部員がシカトを決め込む中、いつもの様に編集長だけが優しく答える。 「来週末にグルメフォンド軽井沢というイベントの取材予定がありますけど会長もご一緒されますか?」
「おぉ~、いいねぇ。軽井沢ってリゾート的な響きがまたいいねぇ。そこにグルメと来たら欠席する訳にはいかんな。」 そう答えるメタボ会長の表情を見れば、その頭の中は美味しい料理で満たされている事が手に取るように判るから可笑しくなる。
「我々編集部は土曜早朝に現地入りして一泊二日の取材予定ですが会長はどうされますか?」
「俺は土曜日の仕事を抜けられそうにないから、単独で日曜日早朝に現着予定で動くよ。じゃ俺は会社に戻るから後はヨロシク!」
そう言い残して編集部を後にするメタボ会長。
そんな二人のやり取りを隣で聞いていた私だが、どうにも腑に落ちない点がある。メタボ会長が走る気になっているグルメフォンド軽井沢は土曜日開催で日曜日は険しい山岳コースを制覇するグランフォンド軽井沢が実施されるはずなのだ。
グランフォンド軽井沢のコースレイアウトを見れば一目瞭然、会長にとっては悶絶必死のコース設定なのだ。125kmの間に獲得標高が2500mに達するのだからオヤジが完走できる可能性は限りなくゼロに等しいのだ。
その旨を編集長に伝えると、彼の表情がとたんにイタズラ小僧の様なそれに変わる。
「最近の会長はチョット自転車ライドを舐めてる節があるから、ここらでチョッピリ苦労して貰いましょう。」
どうやら最近の編集長はメタボ会長を懲らしめる快感に目覚め始めたご様子である。
いよいよ山岳ライド「グランフォンド軽井沢」の当日を迎える。
宿での朝食を簡単に済ませスタート地点の駐車場に向かうと、すでにメタボ会長は到着済みですっかり着替えも済ませ臨戦態勢万全といった感じである。
梅雨入りしたばかりで天候に一抹の不安があったのだが、柔らかな陽射しがこぼれる薄曇りの空は、暑過ぎず寒過ぎずで最高のサイクリング日和りである。やはりこのオヤジの晴れ男っぷりは侮れない。
合流場所に流れ込む私達を見つけるなり、早朝の駐車場にメタボ会長のダミ声が響く。
「どおだぁ!これカッコイイだろぉ!何とか間に合ったぞぉ。」
ピッカピカのニューバイクをこれ見よがしに自慢してくるメタボ会長。今日まさにシェイクダウンを迎えるその車体は眩しいくらいに光り輝いて見える。トレック・マドン6.2にボーラワンを装着した新型メタボ号は、機材としてこれ以上求めるものは無い程の最上級品で有る事は誰の目にも明らかである。そんな素晴らしい個体にいつものデカいシートが装着されている事が残念でならないのは私だけでは無い筈である。
上機嫌なメタボ会長のニューバイク自慢を聞かされているうちに「グランフォンド軽井沢」のスタート時刻を迎える。
スタートの合図と共にゲストライダーの美崎悠さんと並んで最前列からコースに流れ出して行くメタボ会長と編集長。
今回も編集長は首から一眼レフをぶら下げ、バックパックに望遠レンズやハンディカムとU-Stream用のスペアバッテリーを背負い何食わぬ顔で出発してゆくが、その機材重量の合計は6kgに達する。中でも首からぶら下がる一眼レフが私などでは邪魔で仕方ない。
リゾート地ならではの長閑な風景を楽しみながら6km程進むと最初のヒルクライムに突入だ。
浅間山麓の東側まで5%~11%の勾配がダラダラと10km程続くその道のりは、ひたすら登りっ放しで途中に平坦な箇所は存在しない。
メタボ会長の力量はと言えば、斜度5%までであれば持ち前のパワーとバランス感覚で中級者並みの走りを披露するのだが、斜度が6%を超えてくる辺りでその様相はガラリと一変し、見事なまでにパタリと足が止まるのである。
涼しい顔で登ってゆく編集長の横で、すでに会長の表情は苦痛に歪み始めている。小1時間ほど黙々とペダルを廻し続け、何とか北軽井沢エイドステーションに転がり込む。疲労困憊で芝生に座り込むなり、口を尖らせながら
「おいおい、グルメライドにしちゃ随分とヘビーなコースじゃないかい?もう脚がパンパンなんですけど。」 どうやらこのオヤジは本気でグルメフォンド軽井沢に参加しているものと思い込んでいるらしい。
最初の20kmと云う事も手伝い、すぐに疲労回復を果たしたメタボ会長が次のバラキ湖を目指して出発してゆく。
嬬恋村に向けて下ってゆくこの区間は、避暑地ならではの景色を味わえる素晴らしい区間だ。下り基調のこの区間ですっかりご機嫌になったオヤジがいよいよ今大会の最大の難所バラキ湖キャンプ場への登りに突入する。
嬬恋村からバラキ湖エイドステーションまでの約10kmがまたまた登りっ放しである。実は昨年大会に取材抜きの一般参加で挑戦した私の心が本当に折れそうになったのがこの登り10km区間なのだ。今回が伴走車両での取材担当になった事にどれ程の安堵を覚えた事か。メタボ会長の力量を考えれば、この区間を乗り切る事はほぼ不可能なのだ。
インナーギアを駆使し黙々と漕ぎ続けるメタボ会長を見ていると少しばかり可哀想になってくる。時折こちらに向かって、「あと何kmくらい登ればいいんだ?」 と問いかけてくるその表情は憔悴しきっている。隣を余裕しゃくしゃくの表情で登っている編集長とのギャップがたまらなく楽しい。
それでも感心な事に諦めず登り続け、バラキ湖エイドステーションまで残り1kmを切った所で、メタボ会長が急に自転車を止め路肩にひっくり返る。緊急事態発生か?張り詰める緊張感とともにメタボ会長に駆け寄ると
「いやいや洒落にならんぞ。左右の太ももが同時に攣っちゃって危うくひっくり返るところだったよ。」 いつになく気弱なオヤジの表情が可笑しい。「これじゃ半分拷問だな。」 おどけて見せるものの、太ももの痙攣が止まらないオヤジは立ち上る事すらままならない。
ヘロヘロの状態で何とか第2エイドに辿り着き、昼食をガッツリと腹に流し込むメタボ会長。ただ食事にさえありつければ一気に回復してしまうあたりは流石である。栄養補給とストレッチですっかり元気になったメタボ会長が次の真田エイドステーション目指して走り出す。
ここからは1km登っては1km下り2km登っては2km下るといった感じの優雅な高原ライド区間だ。見晴らしの良い風景には思わず心が和む。まさにリゾートライド区間と言えよう。
長野県と群馬県境の鳥居峠を越えればダウンヒルが15km程続く。真田エイドステーションで地野菜を味わい94km地点の小諸エイドステーションに流れ込む。バラキ湖からこの小諸エイドまでの45km間は比較的疲労の少ない区間である。とは云えやっぱり山岳ライドなだけに途中途中に訪れる6%超えのダラダラ登りがメタボ会長の体力を確実に奪っていく。
そのボロボロの姿を見れば今回のコースレイアウトがオヤジの力量を超えていることは誰の目にも明らかである。
やっとの思いで小諸エイドステーションに転がり込むメタボ会長。這うような足取りで補給のテントに辿り着き、惣菜パンやバナナを片っ端から腹に流し込んでいる。ただ驚くのはその食欲である。普通ここまで疲れると食べ物を受け付けなくなるのだがオヤジは違う。惣菜パン4個とバナナ2本を摂取し終わるとたちまち元気になっている。全く訳の判らない生き物なのだ。
最終エイドを飛び出しラスト30kmに向かうメタボ会長。ただその姿はいつ止まってもおかしくない位、力弱いモノである。
「メタボ会長いつも読んでますよ。後ろに着いて下さい。」「会長ガンバレ~!俺の後ろに入りな!」 一般参加者の方々から次々に声が掛る。ありがたい事に声を掛けて下さる読者の皆さんそれぞれがメタボ会長を牽いてくれるのだ。そんな献身的な読者さん達にドップリ甘えながらオヤジは進む。
スタート地点で偶然一緒だったピナレロのライダーさんに至っては約10kmに渡って単独でメタボ会長の風除け係をこなしながら進んでくださったのだ。
都合5名の読者さん達に入れ替わり立ち替わり牽いて頂いたお陰で、ボロボロオヤジもやっとゴールを迎える。
大方の予想を覆し生涯初の山岳ライド完走である。激しい疲労からかいつもの派手なガッツポーズこそ無いものの、その表情は安堵と充実感で光り輝いて見える。その達成感に溢れる表情を見ていると何だか羨ましくすら思える私がいるもの事実だ。
「いやぁ~キツかったぞぉ!ぶっちゃけ走行中はひたすら君達を恨んでたけど、走り終わると清々しいモンだな!」
すっかり元気を取り戻したメタボ会長が、コース後半で遭遇したReady Go JAPANの佐藤咲子選手夫妻と談笑しながらトン汁うどんを流し込んでいる。いやはや、このオヤジの食欲だけは底なしである。
最終的にゲストライダーの美崎悠さん始め40名程の一般女性ライダーの殆どが完走を果たしていたことからも、いかにメタボ会長がヘナチョコなのかお判り頂けるであろう。
ただ、どの参加者の皆さんもその表情は達成感と心地よい充実感で光り輝いている。これこそがロングライドイベントの醍醐味である。コース設定がハードであればある程、ゴール後の達成感も大きくなるのだ。
やっぱり、自転車ライドってイイもんである。
精魂尽き果てボロボロに成りながらも充実感に満ち溢れた表情を浮かべながらメタボ会長が口を開く。
「いや~今日は疲れたな。久し振りに達成感ってやつを堪能したよ。来年こそは鼻歌交じりの楽勝で完走したいモンだな。だけど、まずはこの空腹感を満たさないと倒れちゃいそうだから、どっか近場の温泉でも行ってみんなで美味しいモンでも食おうぜ!」
こんなオヤジの言葉をきっかけに帰り支度を始める。バイクを積み込む際、メタボ会長のトリップをこっそりチェックしてみると、しっかり133kmと表示される。どうやらショートカットとかのズルはしていない様だ。ついでに編集長のトリップも見てみると驚きの229kmが表示された。2日間の取材であれだけの機材を背負ったままこの距離の実走取材を完遂した編集長もやはり化け物である。
大方の予想を覆して意地だけで完走したメタボ会長や常人では考えられない程ヘビーな実走取材をこなしながらもケロッとしている編集長を見ていると、この怒涛の体力こそ実社会で生き残っていく為には必要不可欠な要素なのだと気づかされる。そんな上司二人の底なしの体力に呆れながらも温泉を目指してクルマを走らせる私だった。
今回、編集部チームが実走取材にお伺いした「グランフォンド軽井沢2011」の開催及び運営にご尽力下さった大会関係者並びにサポートスタッフの皆様に御礼申し上げます。
メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
関わりを極力避けたい私達編集部員がシカトを決め込む中、いつもの様に編集長だけが優しく答える。 「来週末にグルメフォンド軽井沢というイベントの取材予定がありますけど会長もご一緒されますか?」
「おぉ~、いいねぇ。軽井沢ってリゾート的な響きがまたいいねぇ。そこにグルメと来たら欠席する訳にはいかんな。」 そう答えるメタボ会長の表情を見れば、その頭の中は美味しい料理で満たされている事が手に取るように判るから可笑しくなる。
「我々編集部は土曜早朝に現地入りして一泊二日の取材予定ですが会長はどうされますか?」
「俺は土曜日の仕事を抜けられそうにないから、単独で日曜日早朝に現着予定で動くよ。じゃ俺は会社に戻るから後はヨロシク!」
そう言い残して編集部を後にするメタボ会長。
そんな二人のやり取りを隣で聞いていた私だが、どうにも腑に落ちない点がある。メタボ会長が走る気になっているグルメフォンド軽井沢は土曜日開催で日曜日は険しい山岳コースを制覇するグランフォンド軽井沢が実施されるはずなのだ。
グランフォンド軽井沢のコースレイアウトを見れば一目瞭然、会長にとっては悶絶必死のコース設定なのだ。125kmの間に獲得標高が2500mに達するのだからオヤジが完走できる可能性は限りなくゼロに等しいのだ。
その旨を編集長に伝えると、彼の表情がとたんにイタズラ小僧の様なそれに変わる。
「最近の会長はチョット自転車ライドを舐めてる節があるから、ここらでチョッピリ苦労して貰いましょう。」
どうやら最近の編集長はメタボ会長を懲らしめる快感に目覚め始めたご様子である。
いよいよ山岳ライド「グランフォンド軽井沢」の当日を迎える。
宿での朝食を簡単に済ませスタート地点の駐車場に向かうと、すでにメタボ会長は到着済みですっかり着替えも済ませ臨戦態勢万全といった感じである。
梅雨入りしたばかりで天候に一抹の不安があったのだが、柔らかな陽射しがこぼれる薄曇りの空は、暑過ぎず寒過ぎずで最高のサイクリング日和りである。やはりこのオヤジの晴れ男っぷりは侮れない。
合流場所に流れ込む私達を見つけるなり、早朝の駐車場にメタボ会長のダミ声が響く。
「どおだぁ!これカッコイイだろぉ!何とか間に合ったぞぉ。」
ピッカピカのニューバイクをこれ見よがしに自慢してくるメタボ会長。今日まさにシェイクダウンを迎えるその車体は眩しいくらいに光り輝いて見える。トレック・マドン6.2にボーラワンを装着した新型メタボ号は、機材としてこれ以上求めるものは無い程の最上級品で有る事は誰の目にも明らかである。そんな素晴らしい個体にいつものデカいシートが装着されている事が残念でならないのは私だけでは無い筈である。
上機嫌なメタボ会長のニューバイク自慢を聞かされているうちに「グランフォンド軽井沢」のスタート時刻を迎える。
スタートの合図と共にゲストライダーの美崎悠さんと並んで最前列からコースに流れ出して行くメタボ会長と編集長。
今回も編集長は首から一眼レフをぶら下げ、バックパックに望遠レンズやハンディカムとU-Stream用のスペアバッテリーを背負い何食わぬ顔で出発してゆくが、その機材重量の合計は6kgに達する。中でも首からぶら下がる一眼レフが私などでは邪魔で仕方ない。
リゾート地ならではの長閑な風景を楽しみながら6km程進むと最初のヒルクライムに突入だ。
浅間山麓の東側まで5%~11%の勾配がダラダラと10km程続くその道のりは、ひたすら登りっ放しで途中に平坦な箇所は存在しない。
メタボ会長の力量はと言えば、斜度5%までであれば持ち前のパワーとバランス感覚で中級者並みの走りを披露するのだが、斜度が6%を超えてくる辺りでその様相はガラリと一変し、見事なまでにパタリと足が止まるのである。
涼しい顔で登ってゆく編集長の横で、すでに会長の表情は苦痛に歪み始めている。小1時間ほど黙々とペダルを廻し続け、何とか北軽井沢エイドステーションに転がり込む。疲労困憊で芝生に座り込むなり、口を尖らせながら
「おいおい、グルメライドにしちゃ随分とヘビーなコースじゃないかい?もう脚がパンパンなんですけど。」 どうやらこのオヤジは本気でグルメフォンド軽井沢に参加しているものと思い込んでいるらしい。
最初の20kmと云う事も手伝い、すぐに疲労回復を果たしたメタボ会長が次のバラキ湖を目指して出発してゆく。
嬬恋村に向けて下ってゆくこの区間は、避暑地ならではの景色を味わえる素晴らしい区間だ。下り基調のこの区間ですっかりご機嫌になったオヤジがいよいよ今大会の最大の難所バラキ湖キャンプ場への登りに突入する。
嬬恋村からバラキ湖エイドステーションまでの約10kmがまたまた登りっ放しである。実は昨年大会に取材抜きの一般参加で挑戦した私の心が本当に折れそうになったのがこの登り10km区間なのだ。今回が伴走車両での取材担当になった事にどれ程の安堵を覚えた事か。メタボ会長の力量を考えれば、この区間を乗り切る事はほぼ不可能なのだ。
インナーギアを駆使し黙々と漕ぎ続けるメタボ会長を見ていると少しばかり可哀想になってくる。時折こちらに向かって、「あと何kmくらい登ればいいんだ?」 と問いかけてくるその表情は憔悴しきっている。隣を余裕しゃくしゃくの表情で登っている編集長とのギャップがたまらなく楽しい。
それでも感心な事に諦めず登り続け、バラキ湖エイドステーションまで残り1kmを切った所で、メタボ会長が急に自転車を止め路肩にひっくり返る。緊急事態発生か?張り詰める緊張感とともにメタボ会長に駆け寄ると
「いやいや洒落にならんぞ。左右の太ももが同時に攣っちゃって危うくひっくり返るところだったよ。」 いつになく気弱なオヤジの表情が可笑しい。「これじゃ半分拷問だな。」 おどけて見せるものの、太ももの痙攣が止まらないオヤジは立ち上る事すらままならない。
ヘロヘロの状態で何とか第2エイドに辿り着き、昼食をガッツリと腹に流し込むメタボ会長。ただ食事にさえありつければ一気に回復してしまうあたりは流石である。栄養補給とストレッチですっかり元気になったメタボ会長が次の真田エイドステーション目指して走り出す。
ここからは1km登っては1km下り2km登っては2km下るといった感じの優雅な高原ライド区間だ。見晴らしの良い風景には思わず心が和む。まさにリゾートライド区間と言えよう。
長野県と群馬県境の鳥居峠を越えればダウンヒルが15km程続く。真田エイドステーションで地野菜を味わい94km地点の小諸エイドステーションに流れ込む。バラキ湖からこの小諸エイドまでの45km間は比較的疲労の少ない区間である。とは云えやっぱり山岳ライドなだけに途中途中に訪れる6%超えのダラダラ登りがメタボ会長の体力を確実に奪っていく。
そのボロボロの姿を見れば今回のコースレイアウトがオヤジの力量を超えていることは誰の目にも明らかである。
やっとの思いで小諸エイドステーションに転がり込むメタボ会長。這うような足取りで補給のテントに辿り着き、惣菜パンやバナナを片っ端から腹に流し込んでいる。ただ驚くのはその食欲である。普通ここまで疲れると食べ物を受け付けなくなるのだがオヤジは違う。惣菜パン4個とバナナ2本を摂取し終わるとたちまち元気になっている。全く訳の判らない生き物なのだ。
最終エイドを飛び出しラスト30kmに向かうメタボ会長。ただその姿はいつ止まってもおかしくない位、力弱いモノである。
「メタボ会長いつも読んでますよ。後ろに着いて下さい。」「会長ガンバレ~!俺の後ろに入りな!」 一般参加者の方々から次々に声が掛る。ありがたい事に声を掛けて下さる読者の皆さんそれぞれがメタボ会長を牽いてくれるのだ。そんな献身的な読者さん達にドップリ甘えながらオヤジは進む。
スタート地点で偶然一緒だったピナレロのライダーさんに至っては約10kmに渡って単独でメタボ会長の風除け係をこなしながら進んでくださったのだ。
都合5名の読者さん達に入れ替わり立ち替わり牽いて頂いたお陰で、ボロボロオヤジもやっとゴールを迎える。
大方の予想を覆し生涯初の山岳ライド完走である。激しい疲労からかいつもの派手なガッツポーズこそ無いものの、その表情は安堵と充実感で光り輝いて見える。その達成感に溢れる表情を見ていると何だか羨ましくすら思える私がいるもの事実だ。
「いやぁ~キツかったぞぉ!ぶっちゃけ走行中はひたすら君達を恨んでたけど、走り終わると清々しいモンだな!」
すっかり元気を取り戻したメタボ会長が、コース後半で遭遇したReady Go JAPANの佐藤咲子選手夫妻と談笑しながらトン汁うどんを流し込んでいる。いやはや、このオヤジの食欲だけは底なしである。
最終的にゲストライダーの美崎悠さん始め40名程の一般女性ライダーの殆どが完走を果たしていたことからも、いかにメタボ会長がヘナチョコなのかお判り頂けるであろう。
ただ、どの参加者の皆さんもその表情は達成感と心地よい充実感で光り輝いている。これこそがロングライドイベントの醍醐味である。コース設定がハードであればある程、ゴール後の達成感も大きくなるのだ。
やっぱり、自転車ライドってイイもんである。
精魂尽き果てボロボロに成りながらも充実感に満ち溢れた表情を浮かべながらメタボ会長が口を開く。
「いや~今日は疲れたな。久し振りに達成感ってやつを堪能したよ。来年こそは鼻歌交じりの楽勝で完走したいモンだな。だけど、まずはこの空腹感を満たさないと倒れちゃいそうだから、どっか近場の温泉でも行ってみんなで美味しいモンでも食おうぜ!」
こんなオヤジの言葉をきっかけに帰り支度を始める。バイクを積み込む際、メタボ会長のトリップをこっそりチェックしてみると、しっかり133kmと表示される。どうやらショートカットとかのズルはしていない様だ。ついでに編集長のトリップも見てみると驚きの229kmが表示された。2日間の取材であれだけの機材を背負ったままこの距離の実走取材を完遂した編集長もやはり化け物である。
大方の予想を覆して意地だけで完走したメタボ会長や常人では考えられない程ヘビーな実走取材をこなしながらもケロッとしている編集長を見ていると、この怒涛の体力こそ実社会で生き残っていく為には必要不可欠な要素なのだと気づかされる。そんな上司二人の底なしの体力に呆れながらも温泉を目指してクルマを走らせる私だった。
今回、編集部チームが実走取材にお伺いした「グランフォンド軽井沢2011」の開催及び運営にご尽力下さった大会関係者並びにサポートスタッフの皆様に御礼申し上げます。
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メタボ会長
身長 : 172cm 体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 24ヶ月目
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立し平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。
身長 : 172cm 体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 24ヶ月目
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立し平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。