2010/05/05(水) - 10:00
さて、巷では僕のことを「自転車も組み立てられる塗装屋」なんて言われてるみたいですが、ナニナニ~~...。これでもTEAM NIPPOを支えるメカニック3人衆の長です! 単に年齢順ですけど!
塗上がったフレームを最高の技術で組み上げていこう!
ちなみにカツリーズでフルメンテナンスをオーダーすると、フレームの各部全てのねじ切りからやり直すんです。
やっぱり長年ストレスが加わり放しの所なんで、せっかく分解したんだから、ちゃんとやんなきゃね!
カンパニョーロ工具での組み立て
モチロン工具はキャンパニュョ~ロ!(=Campagnolo) この工具無しで自転車を組み上げることなんて、僕には考えられない! 手にしただけで分かる超高精度は、自転車工具の最高峰だ。
BBの再タップ立て。カンパ工具で施すと精度が違ってきます
リアエンドの再タップ立て メカがビシっとつきます
回転最高! マイクロロングリスでの調整
塗り替えの前に取り外してバラした全てのパーツは洗浄済みだ。新品の時と同じ輝きと性能を取り戻している。パーツの組み付けに使用するグリスは、僕が絶対的な信頼を置く、マイクロロンのアッセンブル・ルブリカントだ。2オンス(56g)で¥8,400(税込)もするって、高性能と同時に価格も桁外れの高級グリスだ!
絶対的な信頼多くグリス「マイクロロン アッセンブル・ルブリカント」
何人かの競輪選手が大切なレース前に、必ず回転部の調整に僕のところへやってくる。彼たちのお目当ては、このグリスでの調整なのだ。
自転車を組むことは確かに誰にでもできる。しかし、細かな配慮と、かける「一手間」にこそ、プロフェッショナルとアマチュアの差があるのだ。
傷つきを防ぐシリコン保護チューブ
せっかくお色直ししたシクロワイアード号。飾るだけじゃなく、実際に乗って貰いたい。しかし折角の塗装がアウターワイヤーで擦れて傷ついちゃったら、悲しい...。新車のときから気になるところだ。
カツリーズではオリジナルのシリコンチューブを製作し、プロテクターとして使用している。半透明なので、装着しても目障りにならない逸品。綺麗な状態で永く乗って貰いたい。そんな思いを込めているんです。
塗装の傷つきを防ぐシリコン保護チューブ
握れば向日葵が見えるクリアバーテープを
約3時間ほどをかけて組み上げられていくロードバイク。いよいよ作業も終盤へ。バーテープを巻き上げる時が来た。しかし、ハンドルにはせっかく向日葵の写真を貼り込んだのに、上からバーテープを巻いたんじゃ見えなくなってしまうよ!
な~んて、ご心配無用!
透明なCinelliのJELLY ROBBONを巻くことを最初から考えていたからだ!
ハンドルに描かれた向日葵のグラフィックスを隠さないクリアバーテープ
さらにディテールの追求心は弱まる事は無い。バーテープの最後に「解れ防止」の為に巻かれるエンドテープは、何処のメーカーも黒色に自社のロゴマークが入っているだけ。それじゃ面白くない。カツリーズでは常時3デザイン、20色の計60種ものエンドテープを用意している。
可愛い編集長には、ハートパターンのグリーンをセレクトだね!(笑)
バーテープ末端はハートマークのテープでキメっ
フレームカラーに合わせられるように数種類をラインナップしています
ワイヤー末端はハンダづけ処理
変速機の調整も終わり、ワイヤーをカット! でも僕はワイヤーキャップを使わない。これもプラスひと手間なんだけど、必ずハンダづけしている。最近は、こんな仕事をするサイクルショップは激減中だ。でも、仕上がりの格好がいいこともそうなんだけど、実際に便利なのだ!
ワイヤー末端バラケ防止処理はキャップでなくハンダづけで処理
ワイヤーのハンダ処理についてはエピソードがある。あれは確か2001年の東日本実業団ロードレースでのこと。あと5分程でスタートするって時に、当時TEAM NIPPOに所属していた広瀬敏君が「ナリタさ~ん、後ろの変速機が全く動きません...助けて~」って来た。この年僕はTEAM NIPPOのメカニックでなく、後にオリンピック選手となるカラミッチ(唐見実世子選手)のサポートで群馬CSCに行っていた。
しかしそんな事、言ってらんない。何とかしてあげなきゃ。変速機を見たところ、アジャスターボルトが根本からポッキリ折れている! これじゃー動きません。
でも、助かったことは広瀬君は同郷で、普段から僕が自転車整備をしていたこと。つまりワイヤーはキャップでなくてハンダづけされていたんです。
スタートまでの時間を確認し、アジャスターを交換。ギリギリスタート時間に間に合った事を覚えている。
これ、もしワイヤーも交換って事になっていたら...彼はスタートに並べなかった。ヒュ~寒....。
オリジナルバーエンドでキメッ!
さて、最後のお仕事。バーエンドを取り付けて完成! バーエンドにも悪戯してみた。綾野編集長の座右の銘?「根性!」「闘魂!」この言葉を描き、シリコンコートして出来上がり!(笑)
バーエンドにはちょっとしたアソビを(笑)
野菜のラベルデザインなんかもやっています
僕のデザインは、とっくに自転車の世界を飛び出しています。例えば加賀野菜。写真は早朝の金沢中央市場場内にて。お正月の縁起物「くわい」のラベルのデザインをしました。全国のイオングループ店頭に並んだデザインです。
イオングループに並んだ「加賀野菜・くわい」のパッケージ
青果市場にて。くわいのパッケージをデザインするための下見です
他にもレストランの看板やメニュー、アンティークショップなんかの総合デザインも請け負っています。あ、「自転車も組み立てられる塗装屋」って言われてもしかたない??
完成したシクロワイアード号の細部は、次回スタジオ撮影した写真にて隅々までお楽しみいただきます。お楽しみに。
成田 加津利(カツリーズサイクル) プロフィール
成田 加津利(なりた かずとし)
1967年11月27日生まれ(ブルースリーと同じ日である事が自慢)。文化系の生い立ちで美術系への進学を試みるが、ことごとく失敗。その反動で、体育会系へ転身。
高校時代にピスト競技で日本一に輝き、実業団へと進む。ツール・ド・北海道や国際大会で入賞し、平成元年に競輪へと進む。2000年に現役を引退し、現在のショップ「カツリーズ」を開業。
同時に選手指導への思いも強く、アテネオリンピック代表の唐見実世子を育成。現在も石川県のヘッドコーチを務める。メカニックとしても活躍し、現在はNIPPO COLNAGOに所属。過去にはジャパンナショナル、愛三工業、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン、ブリヂストン・アンカーでもスポットでメカニックを努めた事がある。
デザイナーとしては自分が選手として参加した、石川インターハイのパンフレットや、グッドデザインにも輝いたナカガワサイクルワークスの初代チームジャージを手がけている。ちなみに現在のカツリーズサイクルのカツリは、中川茂氏が間違えて読んだ事からニックネームとして定着。開業時に相談したところ、「カツリで行け!」と、かん高い声で名付けたという(分かる人には分かる話!)。
カツリーズ サイクル
塗上がったフレームを最高の技術で組み上げていこう!
ちなみにカツリーズでフルメンテナンスをオーダーすると、フレームの各部全てのねじ切りからやり直すんです。
やっぱり長年ストレスが加わり放しの所なんで、せっかく分解したんだから、ちゃんとやんなきゃね!
カンパニョーロ工具での組み立て
モチロン工具はキャンパニュョ~ロ!(=Campagnolo) この工具無しで自転車を組み上げることなんて、僕には考えられない! 手にしただけで分かる超高精度は、自転車工具の最高峰だ。

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回転最高! マイクロロングリスでの調整
塗り替えの前に取り外してバラした全てのパーツは洗浄済みだ。新品の時と同じ輝きと性能を取り戻している。パーツの組み付けに使用するグリスは、僕が絶対的な信頼を置く、マイクロロンのアッセンブル・ルブリカントだ。2オンス(56g)で¥8,400(税込)もするって、高性能と同時に価格も桁外れの高級グリスだ!
何人かの競輪選手が大切なレース前に、必ず回転部の調整に僕のところへやってくる。彼たちのお目当ては、このグリスでの調整なのだ。
自転車を組むことは確かに誰にでもできる。しかし、細かな配慮と、かける「一手間」にこそ、プロフェッショナルとアマチュアの差があるのだ。
傷つきを防ぐシリコン保護チューブ
せっかくお色直ししたシクロワイアード号。飾るだけじゃなく、実際に乗って貰いたい。しかし折角の塗装がアウターワイヤーで擦れて傷ついちゃったら、悲しい...。新車のときから気になるところだ。
カツリーズではオリジナルのシリコンチューブを製作し、プロテクターとして使用している。半透明なので、装着しても目障りにならない逸品。綺麗な状態で永く乗って貰いたい。そんな思いを込めているんです。
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握れば向日葵が見えるクリアバーテープを
約3時間ほどをかけて組み上げられていくロードバイク。いよいよ作業も終盤へ。バーテープを巻き上げる時が来た。しかし、ハンドルにはせっかく向日葵の写真を貼り込んだのに、上からバーテープを巻いたんじゃ見えなくなってしまうよ!
な~んて、ご心配無用!
透明なCinelliのJELLY ROBBONを巻くことを最初から考えていたからだ!
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さらにディテールの追求心は弱まる事は無い。バーテープの最後に「解れ防止」の為に巻かれるエンドテープは、何処のメーカーも黒色に自社のロゴマークが入っているだけ。それじゃ面白くない。カツリーズでは常時3デザイン、20色の計60種ものエンドテープを用意している。
可愛い編集長には、ハートパターンのグリーンをセレクトだね!(笑)
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ワイヤー末端はハンダづけ処理
変速機の調整も終わり、ワイヤーをカット! でも僕はワイヤーキャップを使わない。これもプラスひと手間なんだけど、必ずハンダづけしている。最近は、こんな仕事をするサイクルショップは激減中だ。でも、仕上がりの格好がいいこともそうなんだけど、実際に便利なのだ!
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ワイヤーのハンダ処理についてはエピソードがある。あれは確か2001年の東日本実業団ロードレースでのこと。あと5分程でスタートするって時に、当時TEAM NIPPOに所属していた広瀬敏君が「ナリタさ~ん、後ろの変速機が全く動きません...助けて~」って来た。この年僕はTEAM NIPPOのメカニックでなく、後にオリンピック選手となるカラミッチ(唐見実世子選手)のサポートで群馬CSCに行っていた。
しかしそんな事、言ってらんない。何とかしてあげなきゃ。変速機を見たところ、アジャスターボルトが根本からポッキリ折れている! これじゃー動きません。
でも、助かったことは広瀬君は同郷で、普段から僕が自転車整備をしていたこと。つまりワイヤーはキャップでなくてハンダづけされていたんです。
スタートまでの時間を確認し、アジャスターを交換。ギリギリスタート時間に間に合った事を覚えている。
これ、もしワイヤーも交換って事になっていたら...彼はスタートに並べなかった。ヒュ~寒....。
オリジナルバーエンドでキメッ!
さて、最後のお仕事。バーエンドを取り付けて完成! バーエンドにも悪戯してみた。綾野編集長の座右の銘?「根性!」「闘魂!」この言葉を描き、シリコンコートして出来上がり!(笑)
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野菜のラベルデザインなんかもやっています
僕のデザインは、とっくに自転車の世界を飛び出しています。例えば加賀野菜。写真は早朝の金沢中央市場場内にて。お正月の縁起物「くわい」のラベルのデザインをしました。全国のイオングループ店頭に並んだデザインです。
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他にもレストランの看板やメニュー、アンティークショップなんかの総合デザインも請け負っています。あ、「自転車も組み立てられる塗装屋」って言われてもしかたない??
完成したシクロワイアード号の細部は、次回スタジオ撮影した写真にて隅々までお楽しみいただきます。お楽しみに。
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成田 加津利(なりた かずとし)
1967年11月27日生まれ(ブルースリーと同じ日である事が自慢)。文化系の生い立ちで美術系への進学を試みるが、ことごとく失敗。その反動で、体育会系へ転身。
高校時代にピスト競技で日本一に輝き、実業団へと進む。ツール・ド・北海道や国際大会で入賞し、平成元年に競輪へと進む。2000年に現役を引退し、現在のショップ「カツリーズ」を開業。
同時に選手指導への思いも強く、アテネオリンピック代表の唐見実世子を育成。現在も石川県のヘッドコーチを務める。メカニックとしても活躍し、現在はNIPPO COLNAGOに所属。過去にはジャパンナショナル、愛三工業、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン、ブリヂストン・アンカーでもスポットでメカニックを努めた事がある。
デザイナーとしては自分が選手として参加した、石川インターハイのパンフレットや、グッドデザインにも輝いたナカガワサイクルワークスの初代チームジャージを手がけている。ちなみに現在のカツリーズサイクルのカツリは、中川茂氏が間違えて読んだ事からニックネームとして定着。開業時に相談したところ、「カツリで行け!」と、かん高い声で名付けたという(分かる人には分かる話!)。
カツリーズ サイクル