29年目を迎えたシマノバイカーズフェスティバルにて行われた、「富士見電動アシストガイドツアー・ロング」に参加したレポートをお届け。小雨が降る中でも、笑顔を届けるE-MTBの魅力あふれる16kmでした。



雨に濡れないようクリアファイルに入れられたコースマップ雨に濡れないようクリアファイルに入れられたコースマップ メリダやミヤタ、パナソニックやヤマハといったブランドのE-MTBが勢ぞろいメリダやミヤタ、パナソニックやヤマハといったブランドのE-MTBが勢ぞろい


最新ガジェットに興味深々の皆さん最新ガジェットに興味深々の皆さん
雨の1日目と快晴の2日目と、1粒で2度おいしい(?)イベントとなった今年のシマノバイカーズフェスティバル。メイン会場で開催されるレース種目のほかに、様々なツーリング種目が行われているのがこのイベントの大きな魅力の一つでもある。

それも本格的なMTBライダーに向けたトレイルライドツアーはもちろんのこと、富士見パノラマ周辺の景色や史跡を楽しむオンロードメインのショートトリップや少し足を延ばして八ヶ岳山麓をめぐるプチグランフォンド、今年初開催となったグラベルツーリングやサポートカーにお土産を預けてショッピングとサイクリングの両方を楽しめる手ぶらツーリングなどなど、オン/オフロード、脚力の有無に応じて誰もが楽しむことができる様々なツーリング種目が催され、シマノバイカーズフェスティバルのもう一つのメインイベントとして毎年多くの参加者を集めている。

さて、そんな中でもここ数年高い人気を集めているのが電動アシストユニットを搭載したスポーツバイク、E-BIKEを使って富士見パノラマ周辺をめぐる「富士見電動アシストガイドツアー」だ。今年で3年目となったこの種目だが、満員御礼であった昨年一昨年の反響と感想を受け、今年はより距離を拡大した新種目「富士見電動アシストガイドツアー・ロング」を開催する運びとなったのだ。

パワーアップを果たした富士見電動アシストガイドツアー・ロングパワーアップを果たした富士見電動アシストガイドツアー・ロング
全長10kmほどだった昨年までの「富士見電動アシストガイドツアー」に対し、この「ロング」は16kmと60%増しの距離に。もちろん、走り慣れたベテランサイクリストからすれば少し短めの距離に感じるかもしれないけれど、スポーツバイクに乗り慣れていない人にとってはなかなかの距離だ。だって、16kmも走れば、新宿から東京五輪ロードのスタート会場の武蔵野の森公園くらいまで行けるのだ。十分大冒険である。

さて、小雨がぱらつく中集合場所となるテントへ。テントの中にはE-MTBがひしめいている。メリダやミヤタと言ったシマノ STEPS搭載車だけでなく、ヤマハやパナソニックなど、メーカーの枠を感じさせないレンタルバイク達から気になる一台を選ぶことができる。

今日一日の相棒を決めたら、シート高を合わせる。この辺りは普通の自転車と変わらない。一方ハンドル周りには色々なレバーやスイッチが付いているのはE-MTB ならでは。ユニットのモデルによって各スイッチの操作方法も違うので、そのあたりはしっかりとスタッフさんがレクチャーしてくれる。

まずは試乗コースのダブルトラックを下っていくまずは試乗コースのダブルトラックを下っていく 所々で立ち止まり、そのスポットの謂れを教えてくれる所々で立ち止まり、そのスポットの謂れを教えてくれる


清らかな水が流れる武智川の疎水清らかな水が流れる武智川の疎水
さて、それぞれのバイクの準備が整ったら、スタート前のミーティングタイム。短めのライドではあるけれど、簡単にコースの説明と走行上の注意を共有する。このミーティングは他のどのツーリング種目でも行われており、安全なライドを楽しむために必要不可欠なもの。しっかりとレクチャーを受けたら、いざ出発だ!

まずは、富士見パノラマから試乗コースにも使われるトレイルを経由して下っていく。最初の見どころとなるのは入笠山から流れ出る武智川。この川は、別名「武血川」という呼び方もあるのだとか。なんだかホラーな字面だが、その通りの由来となっており、昔この地で行われた諏訪氏と武田氏の合戦の結果、川に6日間も血が流れていたためだとか。

もちろん今はそんなこともなく美しい清水が流れているのですが、ちょっと夜には来たくないかもしれない……。さて、ここからはダブルトラックの林道を登っていくことに。普通のMTBであれば結構な登りだけれど、E-MTBであればむしろアシストのパワーを味わうことができて楽しいくらい。

林間のダブルトラックを上っていく林間のダブルトラックを上っていく
田圃の横の農道を走っていく田圃の横の農道を走っていく 田圃の横の農道を走っていく田圃の横の農道を走っていく


点々と古風な建物が並ぶ富士見エリア点々と古風な建物が並ぶ富士見エリア
ギュイギュイと唸りを上げるユニットが絞り出すパワーを堪能しつつ登りきる。この後は再び谷側へ。今年の4月にオープンしたばかりの「カゴメ野菜生活ファーム」を左手に見つつ、川沿いのフラットダートを走っていく。

そして、再び山側へと登っていく。そう、このガイドツアーは富士見高原の地形を活かして、何度も登って降りてを繰り返すコース設定となっている。いつもなら「どんだけ登らせるんだ!?」と不満が出てしまいそうなハードなコース設定だけど、E-MTBならなんてことはない、というよりもむしろ楽しいほど。E-BIKEの特性を十分楽しめるコースとなっている。

あの雲の向こうには八ヶ岳が…!あの雲の向こうには八ヶ岳が…!
もう少し晴れればよかったのですがもう少し晴れればよかったのですが
山側からは一帯を見下ろすことのできる絶景スポットもたくさん。晴れれば向こうには八ヶ岳の雄姿が拝めるはずだったけれど、この日はあいにく雲の向こう。そしてこの先の入笠湖へ至るルートもロングコースだけのスペシャル区間となっている。

昨年まではルートになかった本格的なシングルトレイルがこの区間には用意されているのだ。ユニットによる低重心化やほとんどどのバイクもプラスサイズのタイヤを履いていることもあり、登りだけでなく下りも安心できるのがE-MTB。もちろん車重があるので、コナーやブレーキングには注意が必要だが、速度さえ出しすぎなければむしろ安心して下れる。実際、本格的なトレイルはこの日が始めてという女性でも、結構な難易度のセクションを乗車のまま越えられていた。これもE-MTBの安定感あってこそだろう。

入笠湖へ至るシングルトラックを下っていく入笠湖へ至るシングルトラックを下っていく
TVCMのロケにも使われたという入笠湖TVCMのロケにも使われたという入笠湖 甲州街道の一里塚には大きな木が植わっていました甲州街道の一里塚には大きな木が植わっていました


一里塚にて記念撮影!一里塚にて記念撮影!
入笠湖畔で一息ついたら、残るセクションもあとわずか。昨年のE-MTBツアーでも登場した一里塚へと逆からアプローチし、最後の富士見パノラマへの登りへ。この日最も長いヒルクライムとなったが、参加者の皆さん全く苦しい表情はなく、笑顔がはじけていた。これも昨年見た景色。乗る人が変わっても、コースが変わっても、E-MTBが与えてくれる楽しさは変わらないもの。では、今年の参加者の皆さんの声を伺ってみたので、紹介しましょう。

まずはチームJ電磁のみなさん。普段はロードをメインに走られているという皆さんですが、この種目のために愛知からいらっしゃったのだとか。「E-BIKEがどんなものか気になっていたので、しっかり乗れて良かったです」という。特にパナソニックのE-MTBが気になっていたとのことで、フルサスとハードテールモデルを交換しながら走られており、かなり満喫されていたよう。

チームJ電磁のみなさんチームJ電磁のみなさん
「体力に自信がない人が登りを楽しく走る、というのはもちろんですけど、これにトッププロが乗って真剣勝負しているところも見たくなりますね!」とかなり興味をそそられた様子。走る場所やイベントがあれば、自分も手に入れてみたいとも。

これまでメンバーの中でも体力に差があり、登りだとどうしても遅れてしまう人もいたという。「でも、今回はみんな一緒に走れて、ホントに良かったです。E-BIKEのポテンシャルを感じましたね。あとはもう少し手が届きやすくなってくれれば(笑)」と、期待を込めていただけました。

さて、こちらは夫婦で参加の飯田さんご夫妻。大井川で有名な静岡県島田市からお越しとのことで、普段旦那さんはエコパのエンデューロや大井川鉄道に乗って大井川沿いを下ってくるサイクリングなどを楽しまれているという。一方、奥さんはたまに短めのコースのイベントやカフェライドなどに参加されているのだとか。

夫婦で参加の飯田さんご夫妻夫婦で参加の飯田さんご夫妻
実は毎年このシマノバイカーズの電動アシストガイドツアーに参加されている飯田夫妻。「これなら私でも参加できるし、楽しんですよね」と奥さん。今年はトレイルの下りも少し難易度は高かったですが、「降りて押してもいいってガイドさんには言われたんですけど、全然大丈夫でした!」と頼もしい感想が。
「今年はパン屋さんをめぐる手ぶらツーリングとか、他にも楽しそうな種目があったんですけど、ちょっと距離が長そうだったのでこっちにしたんです」とも。E-BIKEでそういったツアーがあればぜひ参加してみたい!とのことでしたので、ぜひご考慮お願いします(笑)

「E-BIKEはやっぱり楽だし、楽しいですよね」とは旦那さん。どんなつらい坂でも一踏みできれば進みますから、とその魅力を語ってくれた。「もっと長く登ってみたくなりますね。なんだかいつの間にかゴール地点に帰ってきてびっくりしました」とも。とにかく登りが短く感じてしまうE-BIKEの魅力の前には、皆が坂バカになってしまうのかもしれないですね。

まだまだあまり馴染みのない乗り物だけれども、そのポテンシャルは計り知れないE-BIKE。フラットな試乗コースを少し乗るだけだと、その実力のほんの少ししか味わうことはできないのが、普及のネックになっているとも思う。まずは、E-BIKEの実力を100%楽しめるライドでその魅力を体験すれば、きっと欲しくてたまらなくなるはずだ。

text&photo:Naoki.Yasuoka

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